漫画『トリガー』が面白い!インパルス板倉の傑作、魅力をネタバレ紹介

更新:2021.1.7

お笑い芸人のインパルス板倉の原作小説をコミカライズしたハードアクション漫画『トリガー』。ハードボイルドな世界観の中で善悪とは何かを問いかけてくる力強い作品です。 今回はそんな本作の魅力をご紹介!ネタバレをありなのでご注意を。

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漫画『トリガー』の見所を全巻ネタバレ紹介!インパルス板倉のコミカライズが面白い!

著者
板倉 俊之
出版日
2011-12-27

絶対的に正しいという権利を与えられた時、あなたならどうするでしょうか?

本作の舞台は正義感の強い国王が変革を起こした架空の日本。都道府県ごとに「トリガー」と呼ばれる治外法権の人物たちがそれぞれの土地を独自のやり方で浄化しようとする物語が繰り広げられます。

悪人は選ばれないという前提での設定ですが、それでも自分だけの正義を貫くということの恐ろしさ、間違いを感じさせられる内容となっています。

読めば読むほどに、それぞれの正義、価値観の違いが感じられるので、ぜひ多くの人のトリガーとしての生き様をご覧になっていただきたい作品です。おそらくエピソードを何話も読むうちに、自分の考えを揺さぶられることになるでしょう。

実はこの本格的なハードアクションの世界を作り上げたのは、インパルスというコンビのボケ役として有名な板倉俊之。本作は彼の執筆した小説のコミカライズ作品なのです。

今回は小説、漫画ともに評価の高い本作の魅力を全巻ご紹介!ぜひ、ネタバレを含みますのでご注意ください。


同じくインパルスの板倉の小説を漫画化した『蟻地獄』について紹介した<インパルス板倉作『蟻地獄』を読んでみよう!漫画版も最高に面白い!【ネタバレ注意】>もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

漫画『トリガー』の世界観に背筋が凍る!?【あらすじ】

漫画『トリガー』の世界観に背筋が凍る!?【あらすじ】
出典:『トリガー』1巻

『トリガー』の舞台は国王制の日本。かつての問題を山積みにして腐敗しきった議会制度に見切りをつけた日本国民は、変化を求めて国王制を受け入れたのです。そんな現在の日本をまとめるのが国王の冴木。

しかし彼は着任してから3年経っても一向に減らない犯罪件数に心を悩ませていました。悪を倒してよりよい社会になったはずなのに、どうして犯罪が減らないのか。悩んだ末、冴木が出した答えは「悪」には程度に関わらず極刑を与えるというものでした。

その法律の名は「射殺許可法」。各都道府県に国王の思想に近い執行人をひとりずつ配置し、拳銃を持たせて「悪」だと認識した者を殺してもいいという内容のものだったのです。

その任期は1月から1年間。執行人は犯罪ゼロの国になるための引き金になってほしいという意味で「トリガー」と名付けられました。

当初は熱に浮かされて画期的な法律に沸き立っていた国民ですが、トリガー個人の裁量に自分たちの命が委ねられるということに冷静になり、恐怖を覚えます。

著者
板倉 俊之
出版日
2012-08-29

東京都トリガー・三上【1巻ネタバレ注意】

電車内でも駅前のタクシーでも所構わず悪と認識した者を撃ち殺す、東京都のトリガー・三上。しかし彼は誰彼構わず殺すという訳ではなく、「悪」を裁くということからは踏み出しません。
 

法を裁く訳ではないので、例えば売春の現場を見ても素通り。彼なりのルールによって刑を執行しているのです。

殺伐とした生活を送る三上ですが、彼が唯一心安らげる場所が歌舞伎町にあるさびれた定食屋。幼い頃に母を亡くした彼ですが、ここのカレーに馴染みのない、そして憧れていた「おふくろの味」というものを感じていました。

実は以前はもう少し客足があったこの店。変わってしまったのは三上がトリガーとしてこの店で悪人を処刑したことが理由でした。

三上が「悪人」を殺した時、店のおかみさんは苦しそうな顔を見せます。彼はその表情を見て「なんでそんな顔すんだ 悪いのはこいつらだろ…」と不思議に思っていました。しかしそんな一件があってもおかみさんは彼を煙たがることなく、いつも笑顔で出迎えてくれるのです。

 

著者
板倉 俊之
出版日
2011-12-27

 

ある日、おかみさんは三上にこの店を畳もうと思っていることを打ち明けます。悪徳金融から借金した彼女は、店を売ったお金で新しく出直すことにしたと言うのです。

三上は自分を怖がらず、今まで変わらず接し続けてくれた彼女に何かお礼をしたいと考えますが、全く分かりません。そんなことを考えている時に悪徳金融の者たちが金を回収しにやってくるのです。

三上は黙って彼らの話を聞いていましたが、そのうちのひとりに絡まれると躊躇なく殺し、連れのもうひとりを脅して事務所まで連れていくように言います。

三上がこれからしようとしていることに気がついたおかみさんですが、彼をひきとめることができません。そして彼を見る表情は以前三上が定食屋で「悪人」を処刑した時と同じ、苦しそうなもので……。

おかみさんのために悪徳金融の事務所へと向かう三上ですが、果たしてそれを彼女は喜ぶのでしょうか?そして私怨によって「悪」以外を殺した三上は何か変化するのでしょうか?

 

静岡県トリガー・山崎重【1巻ネタバレ注意】

砂浜にタバコを捨てる若者を注意するゴミ拾い中の老人、それが静岡県のトリガー・山崎です。注意しても煙を吐きかけるような反発的な若者に、彼は躊躇なく引き金を引きます。

騒然とする浜辺ですが、近隣の住民は訳知り顔。母親は「マナーを守っていい子にしていたら打たれないわよー」と子供に言いつけます。

山崎はこの海辺の近くの山でペンションを営む人物。山でゴミ拾いをしている途中、注意した若者に突き飛ばされたはずみで妻が崖から落下し、亡くなってしまったことからゴミを拾わなず、注意してもきかない人々にトリガーとして刑を執行していました。

すべては生前に妻と約束した、生息域が狭くなって山頂でしか見られない「赤い鳥」をもう一度ふもとで見られるようにするという目標のため。彼の取り組みによって秋には山にゴミを捨てる者は激減しました。
山崎は妻の遺影にこう話しかけます。

「…ずいぶんこの辺りの自然はきれいになったよ
……お前が死んでから何の因果かトリガーに選ばれた瞬間……
ゴミのような人間をかたづけるのはわしの運命だと悟った……
…わしもそのゴミのような人間じゃが…」

1年という任期で自分の目標のために刑を執行してきた山崎でしたが、やはり殺人を犯しているということに罪悪感が拭えないのです。

しかし、彼にはまだやらなければいけない大仕事が残っています。それはこの街で産業廃棄物を不法投棄している工場。工場裏の森は周りと全く色が異なります。しかもこの工場は県も黙認している企業なのです。

地道に妻との約束のために工場に通う山崎。果たして彼は任期を満了して赤い鳥を見ることができるのでしょうか?

群馬県トリガー・永井悠紀夫【2巻ネタバレ注意】

2巻からご紹介したいトリガーは、気の弱い歴史教師の永井。生徒にも同僚にもバカにされ、表面上は流していますが、心の中では教育現場の未来を苛立ちながら憂いている人物でした。

しかしそれを言動に表せる訳ではなく、この現状に甘んじていました。しかしある日冴木が国王になったことをきっかけに軽い気持ちでトリガーの試験を受けてみます。

そしてなんとそのまま合格してしまうのです。

著者
板倉 俊之
出版日
2012-08-29

銃の使い方を習い、胸元にいつもそれを潜ませているものの、なかなか使えない永井。みんなにバカにされている自分を唯一教師として接してくれた女生徒を守ることができず、マネキンなら撃つことができるのに、と自分の不甲斐なさに涙します。

しかしある日、ついに永井は彼女をいじめた不良グループのメンバーたちをマネキンに見立て、射殺します。

そしてそこから撃ちたい人間をマネキンと思い、どんどん殺していき……。

序盤で自分が絶対的に正しいという権利を与えられたら、という質問をいたしましたが、彼はその力をうまく行使することができず、プレッシャーに

押しつぶされてしまった人物でした。おそらくほとんどの方は彼のようになってしまう可能性が高いのではないでしょうか。トリガーというものの重圧が感じられるエピソードでした。

富山県トリガー・加瀬智彦【2巻ネタバレ紹介】

美人の妻に可愛い盛りの息子と幸せに暮らすのが富山県のトリガー・加瀬智彦。わかりやすい正義感を持ち、普通の家庭を持ちながらも日常で人助けのためにその権力を行使する人物です。

しかしある日妻が難病に倒れてしまいます。普通の病院では直せないということで、「神の手」を持つと言われる白川という医者を頼り、彼女をその病院に移動させます。

そこから加瀬は普通の仕事をしながらトリガーとしての任務も遂行し、家庭もまわすと多忙を極めるようになるのでした。

著者
板倉 俊之
出版日
2012-08-29

妻は徐々に病状が良くなっているようで、加瀬は医者の白川に感謝しながらも、なかなかしてもらえない手術の日程を催促します。

しかし彼はなぜかまだできないとその予定を延ばすのですが……。

このあと加瀬は、白川が医者という立場、自分の才能を利用して、ある行動をしていることが、彼の部下の看護師から明かされます。

自分の正義感と、妻を治すために白川の行動を看過するかどうかの間で揺れ動く加瀬。

彼と、彼の妻の覚悟、最後の息子とのやりとりに泣けてしまいます。

愛知県トリガー・???【3巻ネタバレ注意】

3巻の最初のエピソードは愛知県の幼女殺害事件を取り巻くエピソード。読者の間でも評価が高い内容です。

大内雅人は5歳の娘を向井拓真という男に殺された父親です。彼の娘は車で誘拐され、向井の自宅に監禁、そのまま虐待される日々を過ごします。そして向井がそのことに飽きると、彼女は躊躇なく殺されてしまったのです。しかもその様子を5度もビデオに録られて。

著者
板倉 俊之
出版日
2013-05-29

そんななか配慮のない質問をするマスコミに、判決中に大内をからかうような態度をとる向井、彼の弁護人である毛利、さまざまな人物に大内は殺意を抱きます。

しかし今回の判決は、第一審からひるがえり、無罪。大内はさらに裁判官、法律、この判断をくだしたすべての者に殺意をいだくのですが……。

3巻でのエピソードは、トリガーが誰か分からない状態で進んでいきます。トリガーにまつわる人々からの目線で見るストーリーは、またひと味違った感想を感じさせられます。

千葉県・沢田隆則【4、5巻ネタバレ注意】

4巻から5巻に続くエピソードの主人公が沢田。彼は引きこもりの男で、向かいにあるマンションを覗くことを日課にしています。

ある日、そのマンションの603号室の男が千葉県のトリガーであるということに気づきます。それに気づいた沢田はその男の生活リズムを監視してすっかり把握。

自分の顔を彼そっくりに整形し、鍵を忘れたとマンションの守衛に言って自宅に侵入し、彼が帰宅後しばらく開かないクローゼットに身を隠し、シャワーを浴びている最中に本人を殺すのでした。

そしてそのあとは彼になりすまして権力を行使し、自分の好き放題し始めるのです。

著者
板倉 俊之
出版日
2014-03-29

手始めに本人ではないということに気づいたガールフレンドを殺し、そのあとはナンパした女性を銃でおどして犯し、暇な時は無差別に人々を殺して楽しむのでした。

しかしさすがにこれには国も黙ってはいません。冴木は沢田を始末することにするのですが……。

そのままストーリーはこの穴だらけともいえる国政を推し進めた冴木の決断が描かれるようになります。そして1巻から再び東京都のトリガー・三上も登場し、最終回ではふたりの関係性が明らかになります。

最後まで予想外の展開で読者を引き込んでくる本作。そのまさかの結末はぜひご自身の目でお確かめください!

漫画『トリガー』でそれぞれの生き様を見よ!その世界を覗いてみよう!

著者
板倉 俊之
出版日
2015-01-26

登場人物たちは三上のようにトリガーたちは自分の正義と悪、更に他人の正義と悪の間で揺れ動き、読者にもそのことをかんがえさせます。今回ご紹介した人物以外にも漫画オリジナルのキャラなどもおり、ご覧になっていただきたいエピソードがまだまだあります。

ぜひそれぞれの人物の正義を見て、それに対してのあなたなりの答えを見つけていただければと思います。ハードアクションなのに不思議と心に沁みる物語に引き込まれること間違いなしです!

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