美しい音楽、素敵な言葉、多くの素晴らしい経験を通じて、お母さんからおなかの赤ちゃんへと穏やかな心が伝わる素敵なコミュニケーション、それが胎教です。絵本の読み聞かせもその中の1つ。2人が幸せに包まれる、胎教におすすめの絵本をご紹介します。
赤ちゃんの誕生をみんなで待ち望み、そして健やかな成長を願う。そんな優しい気持ちにあふれたジリアンシールズの『みんなであなたをまっていた』は、淡くやわらかな絵と美しい言葉で描かれた絵本です。
「みんなであなたを まっていたとき くうきはすんで かがやいていました」(『みんなであなたをまっていた』より引用)
絵本の最初に出てくるこの言葉には、赤ちゃんを包み込む全てのものが、希望に満ち、温かく静かで澄みきっている様子が感じられます。
あなたもぜひ、この愛にあふれる美しい言葉を、赤ちゃんと共に味わってみてください。あなたの穏やかな気持ちが、赤ちゃんに伝わるはずです。
- 著者
- ジリアン シールズ
- 出版日
赤ちゃんの誕生を待つうさぎたちは、みんな穏やかな表情をしています。この絵本の優しい絵と温かく美しい言葉は、赤ちゃんの誕生を待つ全てのお母さんの心を、穏やかものに導いてくれるでしょう。
お兄ちゃんもお姉ちゃんも、人形やおもちゃも、みんなが赤ちゃんの誕生を心待ちにしていました。赤ちゃん誕生の嬉しい知らせを聞いて会いに来てくれたのは、ばあば、じいじといったお客様たち。
楽しいお祝いの後には、みんなとさよならしなければいけないけれど、わが子はここにいてくれます。愛おしいわが子が胸の中にいてくれる喜び、さよならの後にも自分が一人きりにならない安心感。
この感情は、初めて赤ちゃんを出産するお母さんなら特に、深く感じることかも知れません。
自分の傍を離れずに、ずっと一緒にいてくれる小さな存在に気が付いたとき、精一杯この大切な子を育てあげようと感じるでしょう。
赤ちゃんがおなかにいる時も、そしてぜひ誕生してからも、この絵本を読んであげてください。どれだけあなたを待っていたのかしっかりと伝わると、赤ちゃんも幸せに包まれるでしょう。
「あのひ、わたしはあなたのちいさなゆびをかぞえ、そのいっぽんいっぽんにキスをした。」(『ちいさなあなたへ』より引用)
この優しく柔らかな文章から始まるアリスン・マギーの『ちいさなあなたへ』は、赤ちゃんを授かったお母さんが穏やかに娘の成長を見守り、そしてその娘も母親になり年老いていく、という命の繋がりが、優しい水彩画と動きのある文章で丁寧に描かれています。
自分を育ててくれた母の気持ちに思いを馳せ、そしてこれから生まれてくる自分の赤ちゃんに思いを馳せ、自分が預かる命の重みや温かさに心が震える物語です。
- 著者
- アリスン・マギー
- 出版日
- 2008-03-06
いつもお母さんと一緒だった小さな赤ちゃんも、いつの間にか「こども」になり、お母さんから離れてたくさんの経験をします。
それは1人「ひんやりとすきとおったみずうみ」の中へ飛び込むような新しい世界への挑戦かもしれないし、「めまいがするほどたかくまで」大げさに自分を突き動かして、自分がどこまでできるのかを知りたいという衝動かもしれない。
小さな小さな赤ちゃんが成長をし、自分の人生を生きるようになり、そして大人になっていく。今、あなたが温かい手で優しく包み込むその存在も、あなた自身も、同じだったのです。
赤ちゃんを授かってから、親の気持ちに気が付く人は多いと思います。この本を読むと、自分のことを育ててくれた人たちの顔を思い出さずにはいられません。
おなかに宿る命をきっかけにして、今までの幸せと、自分を守り育ててくれた人たちへの感謝を感じることでしょう。
文字が感情を持つかのように動きを持ち、水彩画で描かれた女性たちの髪も、風をまといふわりと揺れています。絵本の中にも、そこに命があることを気づかされる瞬間です。
お母さんが好きだった薄紫色の花。庭で花をつけ、お部屋でも飾り、「ちいさなあなた」との思い出と共にあった花。その花を年老いた「あなた」も自分の傍に飾り、お母さんを思うのでしょう。
命も思いも繋がっていくということを、しっかりと感じられる、胎教におすすめの作品です。
「ボク」から「ママ」に語り掛けるたくさんの言葉は、芯があって強い意志にあふれた、たくましい言葉。
おなかの中にいる時の記憶や、前に生きていた時の記憶がしっかりと残る魂の言葉を、大好きなママへと語り掛けてくれます。葉祥明の『おなかの赤ちゃんとお話ししようよ』は、胎教のための絵本として人気の作品です。
ママのこえを聞きたい、という愛しいわが子。この絵本を読んであなたの声を赤ちゃんに届けてあげてください。おなかの赤ちゃんには、お母さんの声がしっかりと聴こえていますよ。
- 著者
- 葉 祥明
- 出版日
この作品では「ボク」が、お母さんにしてほしいこと、してほしくないこと、これからの人生のこと、今まで何度も巡り会ってきたこと、たくさんの感謝の気持ちなどを、あふれるようなたくさんの言葉で、お母さんに語り掛けてきます。大好きなお母さんとお話がしたくてたまらなかった、というように。
「ママ」は多くは語らず、「ボク」に優しく語り掛けます。赤ちゃんが生まれてきたら、次にたくさんの言葉をかけるのはきっとお母さん。だから今回は、聞き役に回ったのかもしれませんね。
それに、今はおなかに入ったり出たりをしている赤ちゃんの魂も、出産が近くなると、おなかに入ったきりになるそうです。そして生まれると、おなかの中にいたときのことを、忘れることになっているのだとか……。だから今はその愛おしい声を聴いておきたいと思ったのかもしれません。
おなかの中で、誰よりも近くに結びついている愛しいわが子。自分を母として選んでくれた運命の人。そんな大切な存在からの魂のメッセージです。
声を出して読んだら、涙が流れてしまうかもしれません。けれども勇気を出して、きちんと声で伝えましょう。
赤ちゃんは優しいあなたの声を聴きたいと、きっと思ってくれていますよ。
素敵な贈り物をありがとう、とお空に向かって笑顔でお話している子どもたち。神様からいただいた「おくりもの」のお礼を言っているんですね。
赤ちゃんが生まれた時に、神様がそれぞれの赤ちゃんに贈り物をくださる、というストーリーの、ひぐちみちこの『かみさまからのおくりもの』は、可愛らしい切り絵で描かれた、愛情にあふれた絵本です。
あなたの赤ちゃんにはどんな贈り物が届くでしょう。きっと赤ちゃんにぴったりの、素晴らしいものに違いありませんよ。
- 著者
- ひぐち みちこ
- 出版日
神様がくださる贈り物は、赤ちゃん一人ひとり違います。赤ちゃんにも個性があって、みんなそれぞれ違う子どもに成長するように。
ほっぺたの赤い赤ちゃんには「よくわらう」、大きい赤ちゃんには「ちからもち」、泣いている赤ちゃんには「うたがすき」。赤ちゃんの頃のちょっとした特徴が、子どもになって素敵な才能として開花する時がやってきます。
赤ちゃんが成長して、その個性が少しずつ目立ち始めた時、愛おしく感じながらもどうしても周りと比べてしまう、そんな時があるかもしれません。
でもその時にはぜひ思い出して欲しいです。赤ちゃんには本来持って生まれてきた個性があるということを。そしていただいた「おくりもの」は、比べるものではなく、大切にするものだということを。
天使が届けてくれる「おくりもの」はその大きさも形も、どれとして同じものはありません。あなたの赤ちゃんに届く贈り物が何なのか、想像しながら読んでみるのも楽しい絵本です。
エリという彫刻家の造った木の小人たちは、朝から晩までお互いにシールを貼り合うことしかしていませんでした。
「だめじるしのシール」ばかり貼られてしまう小人のパンチネロ。次第に自信を失ってしまいますが、作り主であるエリの言葉に、少しずつ自分を信じる心が芽生えてきます。
マックス・ルケードの『たいせつなきみ』は、親としてぜひ子どもに伝えたい、心からの気持ちが詰まった作品ではないでしょうか。みんな自分が愛されている存在だと気がつくことができる、そんな素敵な物語です。
- 著者
- マックス・ルケード
- 出版日
- 1998-10-05
どんな人でも、周りからどう思われているのか、他人からの評価を考えて悩んでしまうことはあると思います。自分のおなかの中の赤ちゃんが、生まれてきて成長して穏やかな毎日が送れるようにと願うことは、親として当然の気持ちですね。
けれども、赤ちゃんもいつまでも赤ちゃんのままではありません。この木彫りの小人たちのように、作り主の手から離れて、それぞれの時間を生きる日が来るのです。
そんな時に、愛しいわが子が自信を無くして傷ついてしまったら、自分のことを「だめじるしのシール」ばかり貼られる人間だと思ってしまったら、救いの手を差し伸べることができるのは、親であるあなたなのかもしれません。
だって、子どものことを一番に考えて、誰よりも深く愛し、大切だと思っているのは、あなたなのですから。
たくさんの「だめじるしのシール」を貼られてしまったパンチネロ。その気持ちを少しずつ癒していくエリ。時間はかかるかもしれないけれど、きっと必ず、パンチネロがエリの愛情を深く感じとれる日がやってくるでしょう。
赤ちゃんがおなかの中にいてくれるこの穏やかな時間に、どうか優しく伝えてあげて欲しいです。どれだけあなたを愛しているか、大切に思っているか、そして心から大好きだということを。赤ちゃんにも必ず伝わります。
赤ちゃんの心を穏やかにするのは、あなたのその優しい声です。何度でも何度でも、愛していることを伝えてあげてくださいね。
絵本を手に取り、優しく穏やかな声でおなかの赤ちゃんに語り掛ける時、あなたの心は幸せに満ちているでしょう。その優しい声で赤ちゃんは癒され、生まれてきてからもあなたへ深い愛着を抱くはずです。
胎教といっても、難しく感じることはありません。あなたの心が優しくなれる美しい言葉に触れ、温かくやわらかな絵に癒されるだけでいいのです。ご紹介した絵本を通じて、おなかの赤ちゃんにあなたの優しい心が伝わりますように。