様々なきっかけをくれる抱きしめたい本【住岡梨奈】
何か行動を起こす時、無意識でも意識的でも、必ず“きっかけ”があると思います。今回は、自分が過ごしている時間ときちんと向き合おうと思った“きっかけ”、25歳までに一人でフィンランドへ行こうと思った“きっかけ”、私が電車を好きになった“きっかけ”の3本をお届けします!

私の“きっかけ”が誰かの新たな“きっかけ”になったらいいなと思います。

毎日をより良く過ごすきっかけ

著者
松浦弥太郎
出版日
2016-03-31
昨日よりも今日を、今日よりも明日を、より良く過ごしたいあなたへ。この本は、左のページにぐっとくる一文、右のページにはその解説というとてもシンプルな形式になっています。

一見、名言集のようにも思えるのですが、私は松浦弥太郎さん自身が普段大切にしていることを書き留めているノートを見させてもらっているような感覚になりました。タイトルにある“きほん”というのは、自分を貫こうとする時、いかに気持ち良く貫けるようにするか、そのための“心がけ(基準)”だと言えるでしょう。“きほん”をいつも自分の中に持つことで、精神的にも身体的にも豊かさを保つことができます。

今この文章を読んでくれているあなたも、是非この本を手に取って自分自身の“きほん”を書き出してみてほしいと思います。どんな小さなことでも良いのです。「姿勢良く」とか「丁寧な言葉遣いをする」など。きっと毎日を気持ち良く、より良く過ごす“きっかけ”を見つけられるはずです。

海外へ一人で飛び出すきっかけ

著者
群 ようこ
出版日
舞台はフィンランドのヘルシンキ。日本人女性が日本食の食堂を開くところから始まります。この小説は映画化もされており、原作同様ヘルシンキの柔らかな街並みや人々の穏やかな生活に、私は自然と引き込まれて行きました。

憧れが高じて行動に移すまで、さほど時間はかかりませんでした。本を読んで、映画を観て「行かなきゃ!」と思ったのです。その結果、私は自身初の海外一人旅にヘルシンキを選び、2年前の5月に見事実行してまいりました。

主人公がヘルシンキに来てから初めて出会う日本人女性で、ミドリという登場人物がいます。ミドリが日本から海外に行こうと思い立って、どの国に行くかを決めるシーンがとても斬新で衝撃を受けました。地図を広げて、目を瞑って、地図の上で指を回して、ここだ!と地図に指を指し「あ、フィンランドだ」といった風にミドリの行き先は決まったのです。

《目を瞑って選んだ国に行く》なんて私には考えられなかったのですが、行動を起こすためにはそのくらい勢いが大事なのだとそのシーンを読んで感じました。何がきっかけになるやら、わかりませんね。

【かもめ食堂】は私に海外へ一人で飛び出す“きっかけ”をくれました。かもめ食堂は実際に存在するお店なので興味のある方はぜひ行ってみてほしいです。フィンランド、ヘルシンキは初海外一人旅行にもオススメですよ。だって、私でも行けたのですから!

様々なものや人に出会うきっかけ

著者
坂 正博
出版日
2016-11-19
この本は少し図鑑に近いです。タイトル通り、日本全国の電車が大集合しています。最新版なので北陸新幹線や北海道新幹線もありますし、すでに引退した寝台列車なども載っています。

《○○開業を記念して新車両がデビュー!!》と紹介されている車両も多く、時代背景や歴史を振り返るのにも素晴らしい乗り物だなと改めて思います。そして、電車は移動手段としてだけでなく、それぞれの旅の思い出やその時の心情とも深く関わりを持っている乗り物なのです。

ページをめくりながら、普段何気なく乗っている電車の写真を見つけて「そうそうこの色!」とか「そういえば昔と比べてデザイン変わったかも?」とか、眺めているだけでもとてもわくわくします。

電車が年々モデルチェンジしていくのは、未来をつくる技術と利用者への思いやりや交通の便利さの追求だと思っています。その一方で、引退した電車も博物館などでとても大切にされていることを、この本で知ることができました。私はこんなにも愛されている乗り物が国内にとてもたくさんあるのだと感動してしまいました。

小さな部品も、大きな部品も、懸命に転がる車輪も、素敵なデザインも、たくさんの人が関わっていると思うと電車に乗るたびに感謝の気持ちでいっぱいになります。線路が延びるたびに会いに行ける人が増える、そんなところまで思い描いてしまいます。

様々なものや人に出会う“きっかけ”をくれる電車たち、どうもありがとう!!ということで、少々熱くなってしまいましたが伝わりましたでしょうか……最後まで読んでくれてありがとうございました(笑)。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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