命の大切さを学ぶ絵本おすすめ5選!読み聞かせにも最適

更新:2017.6.4 作成:2017.6.4

新しい命がやってくるとき、あるいは大切な命が去ってゆくとき、まだ小さな子どもにどう伝えればよいか悩んだことはありませんか?今回は、命とはどんなものかがわかり、その大切さが伝わる絵本を集めました。大人の心も整理され、癒される作品ばかりです。

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終わりがあるからこそ輝く「命の時間」が描かれる絵本

「今こうしている間も、たくさんのいのちがどこかで生まれ、どこかで終わりを迎えている。そして、いつもその真ん中に、生きてる時間が満ちている」(『いのちの時間―いのちの大切さをわかちあうために』より引用)

ゆっくりと100年以上生きる「木」にとっては、100年というのが「いのちの時間」であり、「うさぎ」などの小動物にとっての「いのちの時間」は1年足らず、花や果物にとっては……というように、蝶や鳥や魚や人間にいたるまでの、それぞれの「いのちの時間」を紹介する美しい絵本です。

著者
ブライアン メロニー
出版日
1998-11-25

もしも子どもから「生」と「死」について尋ねられたら、私たちはどのような説明ができるでしょう。もしも大切な人やペットを失ったら、いったいどんな言葉をかけてあげられるでしょう。そもそも私たち自身、しっくりくる答えを持っているでしょうか……?

この絵本は、実に緻密な美しい絵と分かりやすい言葉で、いろいろな生き物の「いのちの時間」を列挙していきます。生によって始まり、死によって終わる、いのちの時間。その時間が長いものも短いものも、それぞれに与えられた時間を精一杯生きていることを、淡々と紹介しているのです。

まるで今にも動き出しそうな生き生きと鮮やかな魚、あるいは、魂の抜け出た瞬間が見えるかのような翅(ハネ)のとれた蝶。繊細で写実的な絵とともに、それぞれの生と死を読んでいくにつれ、終わりがあるからこそ今が貴重なのだという理解が自然と胸のうちにかたまってきます。

「長くても短くても、いのちの時間にかわりはない。始まりがあって、終わりがある。その間には、いのちの時間が満ちている」(『いのちの時間―いのちの大切さをわかちあうために』より引用)

いのちとは何か?という難しい問題に、客観的かつ温かく、そして美しく答えてくれる「いのちの図鑑」のような絵本です。いつか子どもが生とは何か、死とはどんなものかと疑問を抱くとき、いっしょに読みたい貴重な一冊です。

見送る勇気、そして送り出す優しさが描かれる絵本

幼いネズミと年老いたゾウが、大きな木の下でいっしょに暮らしていました。ネズミは器用さをいかしてゾウを助け、ゾウは巨大な体でネズミを守り、互いに助け合って、楽しい毎日を送っています。

ところが、加齢とともにゾウは「ゾウのくに」への旅立ちを意識しはじめます。すでに家族や友人たちが暮らしている場所――死後の世界です。そんなゾウの話を、幼いネズミはとても受け入れることはできません。老いていくゾウの世話をいっそう頑張るのです。

しかしいくつもの季節がめぐるうち、ネズミの心は成長をとげていきます。ゾウに最期の時が近づいたとき、ネズミがとった行動は……?

著者
ローレンス ブルギニョン
出版日
2005-11-01

愛する人の死を受け入れることは、大人にとってもたやすいことではありません。ましてや幼い心には、死がどういうことか理解するのも難しいでしょう。幼いネズミも、大好きなゾウがいつかゾウのくに=象の墓場へ行くことを受け入れることができないのです。

子どもにとって、ネズミのまっすぐな気持ちは自然と共感できるものでしょう。一方、そんなネズミの心を受け止め、理解を強いることなく、老いと病を抱えて精一杯生きるゾウの姿は、大人の胸に深く訴えるものがあります。

残念なことに、時とともにゾウは弱っていきます。どんなにネズミが世話をしても、老いは止まらず病は重くなっていく……。幼い頃はゾウと一緒にいたい一心だったネズミですが、しだいに自分の思いだけでなく、ゾウの思いにも目を向けるようになっていきます。自分といっしょにいるためにゾウがどれほどの負担を背負っているのか、理解していくのです。

心の成長したネズミは辛い現実を受け入れ、大きな決断をします。老いと病からゾウを解き放つための行動を起こすのです。

「いまの時代、家族の病気や死について、子どもは会話の輪のなかにいれてもらえないため、一生のなかでとてもだいじな死について学び、心を成長させる機会を失っています。」(『だいじょうぶだよ、ゾウさん』帯より、訳者・柳田邦男の言葉を引用)

訳者の言葉にはっとした方も多いのではないでしょうか。私たちは「死」という自然の摂理から子どもを遠ざけ、自分たち自身も遠ざかっているように感じます。しかしいくら遠ざかろうにも、それは必ず誰のもとにも訪れるもの。大切な人の病や死について、子どもに語り、いっしょに受け入れるために、この一冊をおすすめします。

ようこそ赤ちゃん!宿ってから出会えるまでの軌跡をたどる絵本

赤ちゃんを待ち望んでいた6歳の女の子、まなかちゃんのお話です。彼女は七夕さまに、うちに赤ちゃんが来ますようにと願い事をします。すると願いが通じ、お母さんのお腹に赤ちゃんがやってきたのです。

大きくなっていくお母さんのお腹を、興味津々でわくわくしながら観察する彼女。まるで日記のような臨場感でお話は進みます。そしてついにやってきた出産の日、彼女は二人のお兄ちゃんとともにその瞬間に立ち会うことに――。

家族全員が見守り、待ち受けるなか、赤ちゃんが生まれてくるお話です。

著者
いとう えみこ
出版日

6歳のまなかちゃんの視点で語られるお話ですが、実話で、写真もすべて本物です。著者のいとうえみこが、自身の出産とそれを取り巻く家族の模様を言葉にし、夫である伊藤泰寛が写真を担当しています。新しい命を迎え入れる家族の貴重なドキュメンタリー作品といえるでしょう。

これからお兄ちゃん、お姉ちゃんになる子どもに、赤ちゃんが生まれるというのはどういうことかを伝える最適なテキストになることと思います。あるいは、きょうだいの有無に関わらず「あなたもこんなふうに待ち望まれて生まれてきたんだよ」と伝えるきっかけにもできる作品です。

自宅のお風呂での水中分娩に驚く方もいらっしゃると思いますが、むしろ子どもにとっては、病院のような異空間よりもずっと受け入れやすいシチュエーションかもしれません。赤ちゃんは異世界ではなく、お母さんのお腹から家に来るのだと、読んでしっくりくることでしょう。

あなたが私にくれたもの――消えることのないプレゼント

ある森にアナグマが暮らしていました。たいへん賢いので皆に頼られ、だれにでも優しいので皆から愛されています。年老いた彼は、間もなく自分に死が訪れることを予感していますが、おそれてはいません。残される友人が悲しまないようにと案じるのみです。

冬のはじまりのある夜、暖炉の前の揺り椅子で、彼は眠りにつき、それは永遠の眠りとなりました。アナグマの死を知って森は悲しみに包まれます。やがて冷たい雪が地面をおおいつくし、それぞれが喪失感や思い出を胸に家にこもり……。アナグマを失った森に、春は訪れるのでしょうか?

著者
スーザン・バーレイ
出版日

物語の軸であるアナグマは、肉体が消えても心が残ることを知っているので、死をおそれることなく受け入れます。あたたかく燃える暖炉のまえで食事をとり、友人たちへ手紙をしたため、お気に入りの揺り椅子でゆったりと最期を迎える……彼は素晴らしい夢をみながらこの世を去っていきます。

一方残された友人たちはそうはいきません。愛するアナグマを失って途方にくれ、悲しみに満たされます。おりしも雪が降り、彼らはそれぞれの家にこもってそれぞれの思い出と向き合うことになるのです。

冬が過ぎ、春の訪れとともに彼らはアナグマの思い出を語りあえるようになります。切り絵の得意なモグラに、ハサミの手ほどきをしてくれたのはアナグマでした。いつも素敵にネクタイを結んでいるキツネですが、きっかけは小さいころにアナグマが教えてくれたから。いまでは料理上手で知られるウサギが初めて作ったパンは、アナグマが教えてくれたものでした。アナグマの死は深い悲しみをもたらしましたが、それを癒し皆の気持ちを繋げたのも、アナグマの存在なのです。

ペンと水彩で描かれた味わい深い絵が、物語の世界観にぴたりとはまり、登場する動物たちの悲嘆や希望の息づかいが伝わってくるような絵本です。「大切な人の死」というテーマですが、絵の雰囲気と動物たちのキャラクターのおかげで重くなることなく、ほどよいしっとり感で語りかけてくれます。

まだ死の概念を知らない子どもには、大切な人の死をどのように伝えるべきか悩むところですが、この本が助けになることと思います。いっしょに読む大人自身にも、優しい癒しをもたらしてくれることでしょう。

「自分を守る力」が得られるハウツー絵本

もしもデパートで迷子になった時はどうすればいいのだろう?公園で知らないおじさんから声をかけられた時は何て答えればいいのだろう?

「デパート」「公園」「マンションの通路」「旅行先のホテル」「テレビ番組」「親戚の家」、6つの具体的なシチュエーションを例に、トラブルに巻き込まれた時に自分の身を守るためにはどんな行動をすればよいか、実践的に教えてくれる絵本です。

著者
ベティー ボガホールド
出版日
1999-01-25

残念なことに、子どもが被害者となる犯罪が存在します。できることなら24時間体制で守ってあげたいのが親心ですが、それができないのも現実です。子どもの成長とともに離れている時間は長くなり、子ども自身の世界も広がっていき、親の目が届かない場面が増えていきます。

誘拐や性被害などは想像したくないことですが、万が一に備えて、子ども自身に対処法を身につけさせておくことは価値のあることではないでしょうか。「気をつけてね」という言葉に込められたたくさん愛情は間違いなく伝わりますが、実際に何に気をつけるかというと、具体的に言わなければ子どもにはわからないことでしょう。「車に気をつけてね」は言いやすいけれど、では誘拐や性被害となるといったいどう伝えればよいのでしょうか?

この絵本は、カナダの小学校で副読本として使用されてきたものを日本版にしたものです。トラブルに遭遇したとき、誰に助けを求めるか、どこに逃げればよいかを、具体的なエピソードとして描いています。綺麗な水彩のイラストとわかりやすい言葉の絵本なので、「登場人物の〇〇ちゃんは、こういう場面で、こんなふうに切り抜けた」というふうに、同年代の子どもが登場する物語として印象に残るでしょう。

またこの絵本は、「子ども自身が自分の身を守る方法」ばかりでなく、「大人はどう対処すべきか」ということも具体的に示してくれます。いっしょに読むことによって、子どもを守るためには日ごろどのような態度で接すればよいかわかってくるのです。著者ベティー・ボガホールドは、絵本の終わりに保護者へのメッセージを記しています。

「ふだん、大人のいいつけを守りなさい、人を信じなさいと子どもたちにいっていることは、悪意を持つ大人から利用されやすい状況を作っていることにもなるのです。この本の目的は、子どもたちに誘拐や性被害があることを知らせ、いざというとき自分で判断し、危険な状態から逃げる力をつけるということです」(『とにかくさけんでにげるんだ』「おうちのかたへ」より引用)

自分を守る力をつけるために、おすすめの絵本です。

命とはなにか?死とはなにか?自分を守るにはどうすればよいか?――大切なことだけれど、子どもに説明するのはとても難しい事柄ですよね。美しい絵や写真とやさしい言葉で、絵本という形をとっているからこそ子どもにも伝わりやすい、5作品をご紹介しました。いっしょに読むことで大人の心も癒されることを願っています。