『ぞうくんのさんぽ』は定番の人気絵本!続編も合わせてご紹介

更新:2021.12.21

長年多くのファンに愛され、絵本だけでなく人形劇やお遊戯会の演目としても愛されている『ぞうくんのさんぽ』。その世界はほんわかしていて、心がくすぐったくなるような小さなワクワクとドキドキが詰まっています。今回は続編も合わせてご紹介します。

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愉快な仲間が増えていく『ぞうくんのさんぽ』

ゾウ君が散歩に出かけると、お友達のカバ君に会います。ゾウ君はカバ君を散歩に誘いますが、カバ君は、ゾウ君が背中に乗せてくれるなら一緒に行くよと言うのです。

カバ君を乗せたゾウ君が散歩を続けると、お友達のワニ君に出会います。力持ちのゾウ君は、ワニ君を乗せて散歩を続け、そのあとお友達のカメ君も乗せ、ついには重みに耐えきれなくなってしまうのです。そして最後はお友達全員が水の中にドボンと落っこちてしまいます。

落っこちてしまってどうなったかと言うと……お友達はみんな水が大好きな生き物だったので、お散歩は中断。水の中で楽しく遊ぶことになりました。

著者
["なかの ひろたか", "なかの まさたか"]
出版日
2006-05-20

ゾウ君の頭の上にお友達が乗っている表紙の絵は「これから何が起きるんだろう?」と子どものワクワクする気持ちを呼び覚まします。

ワニやカバはちょっと怖い生き物というイメージがあるかもしれませんが、この絵本に描かれている動物はどれも柔らかな丸みを帯びていて、とても優しそうな表情を見せてくれるのです。

難しい言葉や長い文章は出てこないので、1歳頃から読み聞かせてあげられるこの絵本。のんびりしたペースで散歩の仲間を増やしていくゾウ君に誰もが愛着を感じるのではないでしょうか。ゾウ君の表情が、友達を乗せるたびに少し苦しそうなものに変わるのも見逃せません。

カメ君が頭に乗った途端、グラっとなってみんなで水の中にダイブします。その瞬間の子ども達の興奮は最高潮に達することでしょう。大勢の子どもが集まる読み聞かせ会などでぜひとも読んであげたい1冊です。

友達って支えあい『ぞうくんの あめふりさんぽ』

今度のゾウ君は、雨の中をお散歩します。ゾウ君が雨の中を行くと、水の中から顔を出すお友達のカバ君に出会います。ゾウ君がカバ君をお散歩に誘うと、カバ君は水の中を散歩しようと言うのです。

ゾウ君は困ってしまいました。ゾウ君は水の中をお散歩したことがなかったからです。でも、カバ君がゾウ君を背中に乗せてくれると言うので、2匹は水の中を散歩し始めます。

ゾウ君たちは水の中を進み、そこで、お友達のワニ君とカメ君に出会います。ワニ君もカメ君も、カバ君と同じ、水の中では力持ちです。水が深くなるにつれ、カバ君の下でワニ君がみんなを支え、ワニ君の下でカメ君がみんなを支えようとしますが……さすがに小さなカメ君にはみんなを支えきれず、倒れてしまいます。

泳げないゾウ君はどうなってしまうのかと思いきや、ぷっかりと水の上に浮き上がることが出来ました。しかもそれだけではなく、両手両足を器用に動かして泳ぐことが出来たのです。

著者
なかの ひろたか
出版日
2006-05-20

陸地を行く『ぞうくんのさんぽ』を読んだことがある人は、この物語の展開に感心するかもしれません。今度の表紙は水の中で、ゾウ君がお友達に支えられているではありませんか。

お友達はこうして支えあって、助けあうことが大切だと、この絵本は教えてくれます。小さなカメ君が大きなお友達を背中に乗せようとするシーンは、何事もチャレンジしてみようという教訓を子ども達に与えてくれるのではないでしょうか。

ゾウ君が水の中に投げ出されてしまうシーンではどうなることかと思いますが、次のページで浮かび上がったゾウ君が泳ぎ出すと、読んでいる人達は大笑いするかもしれませんね。

雨の日は外で遊ぶことも出来ないし、いつもより暗い空に気持ちまでふさぎ込んでしまうことがあります。でも、この絵本を読んでから外に行けば、雨の日の散歩が何倍も楽しいものに変わることでしょう。

短くてわかりやすい言い回しの絵本なので、ひらがなを覚えたての子どもが自分で読むのにも適しています。これほどワクワクするストーリーなら、子どもも進んで手に取って読むのではないでしょうか。

天気の違いが楽しめる『ぞうくんのおおかぜさんぽ』

強い風が吹きすさぶ日も、ゾウ君はご機嫌です。晴れでも雨でもお散歩に行くゾウ君。大きな体が飛ばされるなんて思いもしないのか、ご機嫌で散歩に出かけます。

散歩を始めると、お友達のカバ君に会いたくなるゾウ君。カバ君がいつもいる池に行っても、カバ君の姿は見えません。しかし間もなく、大風に飛ばされてコロコロと転がってくるカバ君の姿が!

ゾウ君はその大きな体で、転がってくるカバ君を受け止めてあげます。しかし、ワニ君とカメ君まで転がってくると、さすがのゾウ君も抱えきれずにざっぱーん! 水の中にみんな仲良く落っこちてしまうのです。

水の中に落ちても、お友達はみんなご機嫌です。愛くるしい動物たちの姿は読み手を自然な笑顔に導いてくれます。

著者
なかのひろたか
出版日
2010-04-15

表紙の絵の大きなゾウ君と、小さなカメ君が向いあう姿が愛らしいですね。この絵本は、強い風に吹き飛ばされていくゾウ君やお友達の姿がとても可愛らしく描かれています。

どんなに大きく強いゾウ君も、たくさんのお友達みんなを支えることはできません。みんなと一緒に風に飛ばされてしまったらおしまいというわけではなく、どんな状況も受け入れるゾウ君が頼もしくも感じられます。ゴロゴロと転がっていく動物たちを見ていると肩の力が抜けて、癒しを感じられることでしょう。

文章が少ないので、文字が読めない赤ちゃんにもきっと楽しんでもらえると思います。大人からしてみれば、こんなに強い風が吹いているなら大人しくしていればいいのにと思うかも知れません。でも、風が吹いていようが、友達が転がってこようが、散歩を続けるゾウ君のマイペースな姿に親しみや愛着がわいてくるから不思議です。

どんなお天気でも散歩を楽しむゾウ君とお友達、素敵でしたね。どの絵本もおすすめですが、どうせならシリーズ作全部をまとめて読んでみることをおすすめします。天気によってお友達の登場の仕方にバリエーションがあって、その違いを楽しむことも出来ます。

子どもに絵本を読み聞かせるのが初めてだったり、絵本を読み聞かせるのは苦手かもしれないと思う人でも、定番のこの絵本なら子どもの反応に一喜一憂せずに自信をもって読み聞かせてあげられることでしょう。

どの絵本も挿絵は柔らかいタッチで描かれ、大変な目に合っている動物たちの表情はそれほど硬いものではありません。どんなことも受け入れる寛容さを見ていると、読んでいる方まで癒される。そんな絵本をぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか。

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