『合法都市』最終巻の内容をネタバレ!

更新:2020.12.17

企業の権力が肥大化し、そこの社員であれば全てが合法とされるようになったという設定のバイオレンス漫画。奇抜な設定と魅力たっぷりのキャラに引き込まれるおすすめ作品です。今回はそんな本作の魅力をご紹介!ネタバレありなのでご注意を。

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『合法都市』はまず設定に引き込まれる!

 

合法都市でまず始めに惹きつけられるのが、その設定。現実に存在しそうだけれど絶対にありえないという、フィクションとして優秀なものに仕上がっています。

舞台は大規模な油田が発見された、日本の寂れた地方都市。その発見者で大金を手にした盤流は、巨大な石油会社「バンリュー石油」を立ち上げ、権力を拡大。その都市を「盤流市」と名付けるまでになりました。

そこは閑散とした面影はどこへやら、オイルマネーの恩恵を受けて24時間ネオンがきらめく町となります。いつしか秩序を乱す者はバンリュー石油の社員たちによって制裁が加えられ、その町は彼らによって支配されるようになっていくのです。

そしてバンリュー石油で働く者ならば何でも許されるという風潮が当たり前になり、その特徴をなぞってそこは「合法都市」と呼ばれるようになります……。

 

著者
東條 仁
出版日
2009-04-17

バイオレンスシーンのスピード感がすごい!

著者
東條 仁
出版日
2009-07-17

 

全てのことが合法となった都市ということで、容赦なく人が殺されていく本作。店が立ち並ぶ普通の商店街でも殺人が当たり前になり、事の詳細を知らずとも住民はとにかくバンリュー石油の者に味方します。

そしてそんな狂った町のなか、何でもありでくり広げられる戦闘シーンは迫力満点。そしてリアルなところも魅力のひとつです。銃によって次々と人が撃たれて流れる血。肉弾戦の衝撃感。それらがスピード感あるコマ割り、効果によって見事に表現されているのです。

そして攻め込まれている方の逃げ方も、またリアル。血のりが詰められた偽の銃は気絶するようにできていることや、ナイフに対抗する際には手に服を巻きつけるなど、細かいところまでリアルに設定されています。

手裏剣のように細かいナイフを使いこなす者や、刀であっという間に敵にトドメをさしてしまう者など、武器のバリエーションが多く、それらの道具が好きな方にもおすすめです。

追う方も追われる方も見事な戦い方、そして様々な武器を駆使して戦うので、飽きる事なくどんどん読み進められるスピード感があります。

 

主人公・遠藤の過去に泣ける!

 

彼のキャラクターが渋いところも、本作の魅力のひとつ。もともとは合法都市の外からきた潜入捜査官である彼は、愛する婚約者をバンリュー石油に殺され、同じく警察官だった彼女の代わりに合法都市に潜入しに来たのです。

しかしバンリュー石油に入社する予定だった寺沢という男に裏切られ、殺されそうなった遠藤は、はずみで彼を殺してしまいます。それから遠藤は整形をし、寺沢として生きていくことを決意。その後バンリュー石油の警備二課に配属されたのでした。

彼は弟思いの優しい兄。物語の始まりも、彼との再会から始まります。しかし目的のためなら汚いこともしてきた自分を見せたくないと思った遠藤は、弟に正体を明かさずに彼の前から去っていきます。

そんな過去があるものの、弟のことがいつも心の中にあり、時たま敵相手でも優しい兄としての面を見せてしまうことがあるのです。

ある日盤流市にやってきたのは、借金を背負った者たちを追ってきた回収屋の兄弟。この町では借金の回収は違法行為なので、彼らのもとに遠藤が向かいます。

正体を見破られたふたりは抵抗しようとしますが、遠藤の見事な銃さばきと身のこなしであっという間にやられてしまいます。しかし殺されそうになったところで弟分が涙を流しながら「にっ…にいちゃん 助けて」と言うのを聞いて、彼は自分の弟のことを思い出すのです。

いじめられてばかりだった弟をいつも彼が助けにいったこと、ずっと守ってやると約束したこと……。

そして彼はそのふたりを殺さずに、町の外へと逃します。足を怪我した兄貴分を背負ってどうしたらいいのだと泣きべそをかく弟分の男に、こう言うのです。

「兄弟だろ 今度はお前がおぶってやれ!」
(『合法都市』より引用)

権力がモノをいうこの町で、自分の首を締め、命とりともなるであろう優しさを持ったまま戦い続ける遠藤。追い詰められた状況でも「正しい」判断ができる彼は、まさに主人公と呼びたくなるようなかっこよさを持ったキャラクターです。

 

適役・盤流源一郎に惹きつけられる!

 

「ワシが来いと言ったらたとえ成層圏にいても2秒で飛んで来い!」「ワシが晴れと言ったら地球の裏側まで全部晴れだ!」などとジャイアン発言をかましまくる天性の俺様リーダー・盤流。彼は寺沢の適役ではありますが、彼なりの正義を貫いてここまで来た人物です。

ある時子供10人に爆弾をつけて閉じこもった男が、人質を引き換えに地下銀行の自分の講座に20億円を振り込むよう言ってきます。

それに対して盤流は「あんな小銭で子供が救えるくらいなら安いもンだ」と豪語して気象衛星を売っぱらってしまおうとするのです。人命を何よりも優先しようとする姿には惚れてしまいそうになるものがあります。

しかし自分ルールを押し通し、それに反発するものには容赦ない対応をする面もある盤流。犯人の裏の作戦を嗅ぎ取ってアドバイスをしようとする寺沢に、彼は一応話は聞くものの、「そうかわかった オーイ誰か!コイツをクビにしろ!」と言うのです。

その理由は「ワシはこの町の神だ。神に逆らえば地獄行きと相場は決まってんだよ!」というもの。何でもありの合法都市のトップらしいハチャメチャな発言です。

しかしまたしてもその恐ろしいイメージは覆され、その子供たちが解放されたあとは隊員たちに戦勝会で大盤振る舞いをしながらも、戦士した家族には直接会いに行ったり、人質に取られた子供達の心のケアを手配したりするなど、人情味溢れた対応をするのです。

冷酷で王様気質の面も、人に優しく思いやり溢れた面もどちらも持つという、上手いアメとムチの使いよう。その温度差につい読んでいるこちらまで困惑させられてしまいます。徐々に彼を恨んでいた寺沢さえも惹きつけていくというリーダーとして最強の資質を持つ人物が盤流なのです。

 

『合法都市』最終巻をネタバレ!

著者
東條 仁
出版日

ある日テレビで突然始まった、盤流に対する激しいバッシング。国民の不満がついに爆発したのでした。しかし盤流は、パイプラインをストップさせると、逆に国民たちを脅すのです。

なぜ急にバッシングが始まったのか。それは、このテレビ放送が始まる前に町を去った、21人の男女が関係しているようでした。そして、その全員がある人物と繋がっていたようなのです。

一体何が起ころうとしているのか、そして、その人物とは誰なのか。ぜひ、ご自身の目でお確かめください。

その他にも、子供を人質にとったバスジャック事件など、本巻でも迫力満点のアクションが楽しめます。

『合法都市』を読もう!

著者
東條 仁
出版日
2009-04-17

盤流というひとりの人間が正義となる町で孤独に戦うヒーローの姿を描いたバイオレンス漫画『合法都市』。手に汗握る展開と魅力的なキャラクターたちに引き込まれること間違いなしのおすすめ漫画です!

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