『彼方のアストラ』最終回までの面白さを全巻ネタバレ考察!伏線がすごい!

更新:2021.11.30

『彼方のアストラ』は過去にアニメ化もされ人気となった『SKET DANCE』の作者・篠原健太が描くSFサバイバルストーリーです。1巻からたくさんの伏線が仕込まれ、それが衝撃の真実とともに明らかになる展開は鳥肌もの。シリアスな場面だけでなく、コミカルな描写もあるためサクサクと読み進めることができます。 今回は『彼方のアストラ』を全巻詳しく紹介していきます!ネタバレを含むのでご注意ください。

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『彼方のアストラ』がすごい!最終回までの面白さを全巻(1〜5巻)ネタバレ考察!

『彼方のアストラ』は『SKET DANCE(スケットダンス)』の作者として知られる篠原健太による作品で、「少年ジャンプ+」にて連載されました。コミックスは全5巻が発売されており、2017年には第3回「次にくるマンガ大賞」webマンガ部門において第5位を獲得しました。

(『SKET DANCE(スケットダンス)』の見どころについては、<漫画「スケットダンス」神回ランキングベスト10!ギャグからお色気感動まで>で紹介しているので、気になる方はご覧ください!)

物語は、宇宙へ行くことが当たり前となった近未来の世界を舞台に、惑星キャンプに旅立つこととなった9人の高校生たちによってくり広げられるサバイバルものです。「SF」「近未来」「宇宙船」「冒険」などのワードにワクワクする人には、特におすすめの作品です。

サバイバルといってもシリアスな場面ばかりが続くのではなく、ギャグもたくさんあるため気軽に読むことができます。また、登場するキャラクターたちも非常に個性的で、すぐに物語の世界に入り込めるでしょう。

次からは、『彼方のアストラ』全5巻の内容を解説していきます!

惑星キャンプ→宇宙で遭難!?【1巻ネタバレ】

舞台となるのは、西暦2063年を迎えた近未来の世界。少女・アリエスは宇宙校から惑星マクパへの「惑星キャンプ」に出発しようとしていました。しかし、そのそそっかしい性格から、あっという間にひったくりにあってしまいます。それを助けてくれたのは、反重力シューズを履いたひとりの少年でした。

ケアード高校B5班の惑星キャンプに集まったのは、全部で9名の男女。メンバーが1人足りないことに気がついたアリエスでしたが、そこに最後の1人として現れたのは、さっきひったくりを捕まえてくれた少年・カナタでした。自分の夢は、恩人の遺志を継いで宇宙の探検家になることと語るカナタ。しかもいきなりB5班のキャプテンに立候補します。

著者
篠原 健太
出版日
2016-07-04

 

しかし、宇宙旅行を経て目的地の惑星マクパに到着したのもつかの間、一行の前に謎の球体が出現し、彼らは宇宙空間に投げ出されてしまいます。ひとまず近くにあった無人の宇宙船に避難してことなきを得ますが、コンピューターが計測した現在地は、マクパから5012光年も離れた宇宙の彼方だったのです。

眼下に広がる、生体反応のない惑星。しかも宇宙船に搭載されている通信機のパーツが失われていて、復旧ができません。楽しいものとなるはずだったキャンプから、一転して危機的状況に追い込まれた9人を待ち受けるものとは?

コミカルな導入部から始まった物語は、一瞬にして宇宙でのサバイバルストーリーに変貌し、読者を引き込んでいきます。しかしB5班のメンバーたちが険悪な雰囲気になることはなく、それぞれが得意な能力を発揮しながら困難を乗り越えていく展開が印象的です。

1巻では、天然な性格ながら映像記憶能力を持つアリエスと、実は十種競技の選手であるカナタが活躍します。また、無人船はカナタによって「アストラ号」と命名され、ここから新しい物語やタイトルそのものにもつながっていく予感が。

一行の前に現れる正体不明の球体やわざと壊された通信機など、次回以降へと繋がる謎もたくさん散りばめられており、これから一体彼らに何が起こるのか、期待させられます。 

 

惑星キャンプの真の目的とは?【2巻ネタバレ】

「誰が通信機を破壊した犯人なのか?」

 いろいろな可能性を考えるカナタは、メンバーたちをもう一度よく観察してみることにします。しかしその熱血漢な性格から「協力して無事に帰り着けばいい」という結論に達し、18日が過ぎました。

そんななか、ラファエリ家の養女で、キトリーの義理の妹であるフニシアは、児童養護施設に入った日の夜、園長とサングラスの男がこんなことを話しているのを聞いたといいます。 

 

「ビーゴ ニーレテ イッセーサ ショブン」
(『彼方のアストラ』2巻より引用)


それをカナタは「B5に入れて一斉殺処分」という意味ではないかと読み解きました。B5班のメンバーは意図的に選出され、そして宇宙で殺害されようとしているのでしょうか? 

そして一行が騒然とする中、突然ウォーターサーバーが爆発。宇宙船の壁に穴が開き、空気がもれ出してしまいます。そして宇宙船は、惑星シャムーアの重力に引かれて落下を始め……。

 

著者
篠原 健太
出版日
2016-11-04

 

常に全員で協力し、少しずつだが確実に仲良くなっていくメンバーたち。みんなが自分のできることを自覚し、夢を持ち始めていきます。

また、2巻では「B5班は殺処分するため選出されたメンバーなのか?」という疑惑が浮かび上がってきて、やや不穏な雰囲気に。

今回は、皮肉屋だが射撃の得意なウルガーと、有名な歌姫「ルーシー・ラム」の娘でありながら、自己表現を極限までおさえて育てられたユンファにスポットが当てられます。どちらも自分をあまり表現しないキャラクターですが、しっかり転機となる見せ場が作られていました。

特にそれまであまり目立たなかったユンファが、初めて自分を表現するシーンは印象的です。毒キノコの胞子に苦しめられるメンバーたちの窮地を歌で救い、歌が好きという気持ちを再認識したユンファ。顔を隠していた髪を切ってガラリとイメージチェンジし、夢を持ったことで自分の軸を取り戻したようにも見えます。

また、フニシアの好きなアニメのセリフで「了解」を意味する「アイ・イェー」が、彼らの合言葉に。B5班メンバーたちが絆を深めていく様子が読み手にも伝わってきて、サバイバルという深刻な状況にも関わらずどこかほほえましく感じられます。

 

もうひとつのアストラ号【3巻ネタバレ】

惑星マクパでのB5班の失踪事件は、連日メディアによって報道されていました。彼らが通うケアード高等学校では、教師たちによる会議がおこなわれています。教頭でウルガーの父親でもあるゲルト・ツヴァイクは、もはや生存の可能性がないとしてB5班の失踪宣告の手続きをすることを提案しました。

そんななか、B5班の9人は惑星アリスペードに滞在し、海水浴を楽しんでいました。アリスペードには水も食料も十分にあり、まるでリゾート地のようです。そんな開放的な気分からか、女子トークに花が咲くアリエス、キトリー、ユンファの3人。読者としてはとっくに気づいている方が多いでしょうが、アリエスはカナタを、キトリーはザックを意識していることがここで明かされます。 

著者
篠原 健太
出版日
2017-04-04

 

一方、ウルガーとともに釣りに出たルカ。ろくに返事をしないウルガーに対し、気にせず喋り続けますが、彼の苗字と父親の職業を知った瞬間、なぜか態度が豹変します。やがて彼は、他のメンバーたちの目の前でルカに銃を突きつけるのですが、ウルガーだけでなく、実はルカにも驚きの秘密があり……。

3巻は、その秘密やそれにまつわる陰謀から、ウルガーとルカの感情がぶつかりあいます。似た者同士なのに、もしくは似ているからか、激しく衝突するふたり。しかしウルガーはその後、少しずつですがルカに心を通わせるようになってきて、彼らの変化していく関係にジンとしてしまいます。

そしてB5班は「全員で」帰ろうという気持ちをより強くするのでした。

さらに、後半ではイケメンキャラ・シャルスの出生の秘密も語られます。出自が明かされ、彼がアリエスに妹の姿を重ね合わせていたことも判明。普段は惑星の動植物に対して変態的な興味を示して笑わせてくれるシャルスですが、アリエスを大事に思う姿には切なくさせられるものがあります。

そして、惑星イクリスの上空で航行不能になったアストラ号。もう帰ることはできないと絶望した一行でしたが、イクリスでもう一機のアストラ号を発見しました。これも誰かの陰謀のうちなのでしょうか? 怒涛の展開が続きます。

 

B5班メンバーが持つ驚愕の秘密とは?【4巻ネタバレ】

もうひとつのアストラ号の中を探検するB5班。内部はまるで廃墟のように壊れてぼろぼろになっていました。しかしそこでザックが、モニターに「助けて」というメッセージが残されているのを発見します。その部屋には、人口冬眠装置があり、中に一人の女性が。衰弱している彼女をB5班のメンバーたちは必死に救出しました。

女性の正体は、宇宙飛行士のポリーナ・リヴィンスカヤ。今や廃墟となった「アーク6号」の乗組員だといいます。アーク6号はアストラ号と同じく惑星イクリスに不時着した機体。しかしポリーナ以外の乗組員たちが惑星の生物たちにやられてしまったことから、彼女は一縷の望みをかけて人口冬眠装置に入ったのでした。

アリエスは機転をきかせて、アストラ号とアーク号の無傷のブロック同士をドッキングして直すことを提案。 一方、ユンファから現在の西暦を知らされたポリーナは激しく動揺します。 

「何も起きてないの 2063年には?」
 (『彼方のアストラ』4巻より引用)

著者
篠原 健太
出版日
2017-08-04

そんななか、ザックとキトリーが結婚を約束。実はザックも昔からキトリーのことが好きで、将来は結婚するのだと当たり前のように思っていたようです。クールな表情のまま「好き」と伝えるザックに、嬉しくて息も絶え絶えのキトリーがとても可愛らしく描かれています。さっそく「ダーリン」と呼びそうになるのも、また彼女らしさです。

そんな閑話休題の展開がありつつ、新しい事実も次々と明らかになります。なかでも最も大きな秘密は、B5班メンバーたちの出生ではないでしょうか。 キトリーと妹のフニシアが同一人物だと判明したことをきっかけに、それは全員が知るところとなりました。悲痛な生い立ちの共通点から集められ、現在の状況になるよう仕組まれた彼ら。

しかしカナタが、自分たちが家族だと断言したことから、B5班はより一層団結。しかしこの後、さらなるどんでん返しが待ち受けていました。ついに帰るべき地球の姿を捕らえることができたB5班ですが、地球を見た彼らの様子に、ポリーナは違和感を覚えて……。 

数々の伏線が回収!衝撃の最終回!【5巻ネタバレ】

ポリーナの知っている地球と、B5班メンバーたちのいう「母国」はまったく違っていました。彼らは「惑星アストラ」こそが自分たちの生まれた星だと言います。しかし、ポリーナが認識している事実と、彼らの話には微妙な食い違いが生じており、ポリーナは「歴史が分岐しているのでは?」と推測。もしそうだとすると、一体何のためなのでしょうか?

地球では、2057年に巨大隕石が衝突するとされています。そのため、別の惑星に移住しようという計画が持ち上がっていました。移住をするためには、身の回りのものを少しでも多く持っていかなければなりません。それを実現したのが、カナタたちを襲った謎の光の球体・人工ワームホール、そして移住先となった惑星こそ「惑星アストラ」だったのです。

著者
篠原 健太
出版日
2018-02-02

B5班がはじめて宇宙空間に投げ出された時に見た、生体反応のない氷の惑星。あれは隕石が衝突した後の地球の姿でした。何ともいえない空気の中、アストラ号は最後の惑星・ガレムに到着します。しかし探索の途中、またしても光の球体が。

通信機を壊し、自分たちを再び危険にさらす刺客。カナタは、この惑星ガレムで彼が抹殺を決行しようとしていると感じました。ウルガーが最も怪しいと感じていた彼は、罠を張って刺客をあぶり出す作戦を思いつきます。そして、ついに刺客の正体が明らかになり……。

最終巻では、ポリーナの視点から見たある事実を皮切りに、畳みかけるように伏線が回収されていきます。その事実にショックを受けるカナタたちですが、「自分たちの真実を自分たちの手でつかみにいく」という信念のもと、さらに団結します。

そのためには、全員が生きて母国に帰還することが絶対条件。例えそれが、自分たちに危害を加えようとした刺客であっても、です。もともとの出生に秘密があり、それゆえにどこか人間味のなかった彼らですが、「夢」という自我を得て成長したことが感じられます。

 


故郷の惑星で彼らを待ち受けているものは?衝撃のラストは、あなたの目で確かめてください。

 

 

『彼方のアストラ』は、後半からラストにかけての伏線回収が巧みな作品です。「あの場面もここに繋がっていたのか!」と思わず感心してしまうかも知れません。謎が交差するSFサバイバルストーリーを楽しんでください。SF漫画については、以下の記事でまとめています。よろしければご覧ください。

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