肉食のティラノサウルスを中心に恐竜たちの交流を描いた「ティラノサウルス」シリーズは、母と子の愛情や恐竜同士の友情を描いた物語です。今回はちょっぴり切ない運命と登場人物の優しい心がしっかりと描かれていて、心が温まる人気の5冊をご紹介します。
大昔のこと。火山が噴火したちょうどその時、広い平原でアンキロサウルスの赤ちゃんが産まれます。一人ぼっちの赤ちゃんが泣きながら歩いていると目の前にティラノサウルスが……。
美味しそうなアンキロサウルスを前によだれを垂らすティラノサウルスと、「おとうさーん!」とティラノサウルスにしがみつく勘違い甚だしいアンキロサウルスの赤ちゃん。肉食のティラノサウルスと草食のアンキロサウルスとの父子生活、スタートです!
- 著者
- 宮西 達也
- 出版日
火山の噴火、それに伴う地震が頻繁に起こる恐竜たちが住む世界を描く「ティラノサウルス」シリーズ1冊目です。
肉食のティラノサウルスの目の前に、美味しそうなごちそう"アンキロサウルスの赤ちゃん"が歩いてきます。なんとラッキーなティラノサウルス!と思いきや、無邪気なアンキロサウルスに"お父さん"と慕われてしまい、面倒を見る羽目に。自分の名前を"ウマソウ"だと勘違いするアンキロサウルスとのやり取りには、思わずクスッと笑ってしまうことでしょう。
「早くお父さんみたいになりたい」とティラノサウルスに憧れる"ウマソウ"と、その期待に答えたくて一生懸命生きる術を教えるティラノサウルスの姿は、理想的な父と息子のようです。最後、"ウマソウ"の将来を願ってアンキロサウルスの群れに帰すティラノサウルスの姿には、感動させられますよ。
この物語には赤い木の実が出てきます。赤い木の実は「ティラノサウルス」シリーズの重要な登場キャラとなりますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
今回の主人公はプテラノドンの赤ちゃん。お父さんとお母さんは大切な我が子に、強くて優しい子になるようたくさんのことを教えたあと、一人立ちをさせるべく旅立ちます。
知らぬ間に一人ぼっちになってしまったプテラノドンの前に現れたのは、暴れん坊で恐ろしいというティラノサウルス。襲われそうになったその時、ティラノサウルスは火山の噴火で怪我をしてしまい……。
母の教えは「どんな人でも困っていたら助ける」。さぁどうする?
- 著者
- 宮西 達也
- 出版日
この物語はプテラノドン一家の目線、特にプテラノドンの子を中心としてストーリーが展開します。親子の辛い別れの後、やってきたのはお馴染み、ちょっと間抜け面が愛らしい"ティラノサウルス"。「ティラノサウルス」シリーズを読んでいる方にはワクワクする登場シーンです。
プテラノドン一家の教えは「どんな人でも困っていたら助ける」こと。例え狂暴なティラノサウルス相手でも、心優しいプテラノドンの子はけがの手当てをし、看病を続けます。その看病の受け手となるティラノサウルスの言動も、相手に対する思いやりが溢れていてとても心がほんわかしてくるでしょう。
相手を思ったことによる勘違いから来る別れ。本当はお互いの正体に気付いていて、それでも仲良くしたかった2人の思いには、涙が出そうになります。今後一緒にはいられませんが、2人はすでに友達ですね。
どんな相手にも優しくするプテラノドンから勇気と優しさが学べる1冊です。
心優しいマイアサウラのお母さんとそのお母さんに育てられたティラノサウルスの子どもを描いた物語。
林の中で見つけた卵を、自分の子と同じように大切に育んだマイアサウラのお母さん。卵からは、天敵であるティラノサウルスの赤ちゃんが産まれてきます。
マイアサウラのお母さんの取った行動とは?ティラノサウルスの運命は?
- 著者
- 宮西 達也
- 出版日
自分たちの天敵であるティラノサウルスの子どもをお母さんは、一度は手放そうと試みます。しかし一度母性を持ってしまった赤ちゃんを手放すことができません。
実の子どもと自分自身を守らなければいけない、という気持ちとの葛藤は読んでいてもとても苦しいです。しかし、お母さんはその子供を一緒に育てる覚悟をします。母親の優しさだけでなく、強さをも感じるシーンです。お母さんが名付けた"ハート"という名前には、母親の愛情がたっぷりと込められていますね。
すくすくとお母さんの思いに応えて優しく力持ちに育つハート。しかし、成長したハートに自分が何者であるのかに気づく瞬間はやってきます。実の父親との再会、育ての親との別れ、一緒に生きていくことはできませんが、お母さんの愛情が着実にティラノサウルスに実っている証が、多数見受けられる感動の1冊です。
「あなたが どこにいても いつまでも あなたを あいしてる。ずっと ずっと あいしてる」
(『あなたをずっとずっとあいしてる』本文より引用)
なかなか面と向かって伝えることはありませんが、この本にのせてあなたも伝えてみませんか?
波打ち際にある赤い実を取りに来たスピノサウルスの子ども。そして、その子どもを狙うティラノサウルスは、地震によって分断してしまった島にたった2人で取り残されてしまいます。スピノサウルスに懇願されて、島での生活を始める2人。
2人の関係は色々な話を交わすことにより、深い友情で結ばれていきます。そんなある日、再度地震が起こり陸に戻れるチャンスが!大切な友達のためにティラノサウルスは大胆な行動に……。
- 著者
- 宮西達也
- 出版日
- 2009-11-19
地震が起きなければ「食べるものと食べられるもの」という関係だったティラノサウルスとスピノサウルス。この2人の関係は地震で孤島に取り残されることにより、180度変化します。
魚を獲ること。高いところにある赤い実を取ること。弱く小さいものを守ること。言葉で温かい気持ちを与えること。相手のために自分にできることをすることをする、という思いやりの心で、2人の絆は深まります。大袈裟な行動は必要ありませんね。
しかし、涙が出るような悲しい結末が2人を待ち受けています。お互いの「であえてよかった」という言葉はお互いの友情、そして自分が存在した証になる最高の賛辞でしょう。
出会えてよかったと思える人があなたにはいるでしょうか。少し切ない友情物語、ぜひ2人になった気持ちで読んでみてくださいね。
山の上にある赤い実がなる木の下で、ティラノサウルスとゴルゴサウルスがケンカを始めます。お互い一歩も引かない互角の勝負。そんな中、隣の山の大噴火によってまわりの岩が崩れ、高い高い山の山頂に取り残されるティラノサウルスとゴルゴサウルス、そして赤い実がなる木。
雨の日も嵐の日も敵が来た日も助け合いながら過ごす2人と1本。しかし何度も訪れる危機に限界が来て……。お互いを守ろうと必死の2人と1本の結末は?
- 著者
- 宮西 達也
- 出版日
- 2015-03-18
「ティラノサウルス」シリーズに欠かせない"赤い実のなる木"が今まで以上に重要な役割を果たす物語です。
力も互角で良きライバルのティラノサウルスとゴルゴサウルス。山の上に取り残されたことによって、2人の関係は"ライバル"から"かけがえのない友達"へと変貌を遂げることとなります。ピンチにはお互いに助け合い、食べ物を分け合う2人の友情には見習うべき思いやりがいっぱいです。
そんな思いやり溢れる2人の優しさは、赤い実のなる木にも向けられます。2人の優しさには心が温かくなりますよ。
一方、この物語の赤い実のなる木は2人の為に実を落としたり、落ちそうになる2人を引っ張ったり、2人のクッションとなったり、大活躍です。他のシリーズでもわざと……?と思わず他の物語をも読み返したくなる1冊です。
恐竜たちが織り成す友情・愛情を描く「ティラノサウルス」シリーズの中から、特に人気の高い5冊をご紹介しました。このシリーズには、肉食で強者の恐竜と、草食で弱者の恐竜が登場します。自分の特性、運命を受け入れながらお互いを思いやる恐竜たちの姿には、私たち人間が学ばねばならないところがたくさんあることでしょう。チャーミングで思わず笑みのこぼれてしまう絵と共に、あなたも恐竜の世界を満喫してみてくださいね。