福音館書店で出版された、長年愛され続けている絵本おすすめ10選!

更新:2021.12.21

福音館書店出版のおすすめロングセラー10選。親子2世代に渡って愛読している、というご家庭も多いのではないでしょうか。はじめてでも、何度目でも新たな発見や感動がある名作揃い。自分が子どもだった頃の思い出も一緒に読み聞かせてあげてはいかがですか?

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福音館書店の名作、五味太郎の楽しい絵本

『きんぎょが にげた』は、逃げた金魚がどこに行ったか探す、楽しい絵探し絵本です。

「きんぎょがにげた」と毎回繰り返されるフレーズは、子どもへのやさしい語りかけになっていて、読み聞かせにも最適です。

著者
五味 太郎
出版日
1982-08-31

水槽から飛び出して逃げた金魚。さてどこへ行った?カーテンの模様の中にこっそり隠れています。かと思うとカーテンから飛び出し、「こんどはどこへ?」植木鉢の中でお花に変身。見つけた、と思いきやすぐにまたどこかへ逃げてしまうので困ったものです。

瓶の中の飴ちゃんのひとつだったり、フルーツ盛り合わせのいちごに紛れていたり、大人でも見つけるのがだんだんと難しくなっていきます。三面鏡の前に隠れている場面では、映し出されている姿の方が本物かとうっかり騙されそうです。

最後は大量の金魚の中から一匹を探し出さなくてはいけないので、細かな違いに敏感なお子さんのほうが見つけるのが早いかもしれません。

金魚さんどこかな~?先に見つけてずるーい!なんて親子で盛り上がれるはず。もちろん、お話がまだ出来なくても、指差しができるお子さんでしたら十分一緒に楽しめるオススメの一冊ですので、ぜひ手にとってみてくださいね。

隠れんぼがしたくなる絵本

『うずらちゃんのかくれんぼ』は、うずらちゃんとひよこちゃんが隠れんぼするお話。

うずらちゃんとひよこちゃんがじゃんけんぽんをします。そして、うずらちゃんが先に隠れることに。どこに行った?とよく目を凝らすと、似た柄の斑点模様のお花に隠れています。しかし、上手く隠れていたのに、飛んできた蜂にびっくりして飛び出し見つかってしまいました。

著者
きもと ももこ
出版日
1994-02-25

こんどはひよこちゃんの番。よく似た形のひょうたんにまぎれて隠れましたが、大きな風に煽られ落ちて見つかってしまいます。

次はうずらちゃんですが、さてさてどこに?上手に模様を使って隠れていますが、わかるかな?最後にはおばけみたいな大きな影がやってきて……うずらちゃんとひよこちゃんは一体どうなってしまうのでしょう。

あー面白かった、また遊ぼ!と言う、うずらちゃんとひよこちゃん。この2匹のように純真だった子ども時代を大人は思い出せますし、今度お友達と隠れんぼしよう、と子供たちはワクワクできる、とっても可愛い絵本です。

福音館書店の名作絵本といえばこれ!

『ぐりとぐら』はお料理好きの野ネズミのぐりとぐらが、森で見つけた大きなたまごでカステラを作るお話です。

「ぼくらの なまえは ぐりとぐら このよで いちばん すきなのは おりょうりすること たべること ぐりぐら ぐりぐら」(『ぐりとぐら』より引用)

冒頭から楽しくリズム感があり、頭に焼き付いて離れなくなるでしょう。ついついメロディーを付けて歌いたくなるフレーズです。

著者
なかがわ りえこ
出版日
1967-01-20

いつも仲良しのぐりとぐら。森でどんぐり拾いをしていると、目の前に大きなたまごを発見します。何が出来るだろう?お月さまぐらいの目玉焼き?ベッドよりふわふわの玉子焼き?そうだ、カステラを作ろう!と2匹は思いつきました。

しかし玉子が大きすぎて担げません。転がそうにも割れそうで心配。そこで2匹は考えて、道具をここに持ってくればいい、と家に道具を取りに帰ります。

たまごを割るもの一苦労。ぐりはげんこつで割ろうとし、なんて硬いんだ、と涙を流して飛び上がります。ぐらは石で割れば、とアドバイス。フライパンを温めるための薪を集めたり、石で竈を作ったり。2匹は協力してせっせと準備をします。

材料を流し入れてフタをし、後は待つだけ。その匂いにつられて森の動物達がやってきます。「かすてらづくりの ぐりとぐら けちじゃないよ ぐりとぐら ごちそうするから まっていて」と歌う頃にはお鍋の周りはありとあらゆる動物達でいっぱいに。

さあ、できたころだ、とぐらがおなべのフタを取ると、それはそれは美味しそうな黄色いカステラがふんわり!ほのかにきつね色に焦げ目もつき、大成功。みんなで分け合って食べている挿絵は、なんとも幸せな気持ちにさせてくれます。

さて、残ったたまごの殻でぐりとぐらは何を作ったでしょうか?

協力しあう楽しさ、知恵の大切さ、自分の喜びをみんなで分け合うことの幸せ、そんなことを自然に伝えてくれるこの物語はやはり永遠の名作ではないでしょうか。

大切な人に、気持ちを伝えたくなる物語

『しろいうさぎとくろいうさぎ』は、黒いうさぎが白いうさぎとずっと一緒にいたいと願うお話。

白いうさぎと黒いうさぎはいつも一緒です。毎日仲良く一緒に遊んでいました。ところが、ある日、黒いうさぎは突然悲しそうな顔をして動かなくなります。それからは毎日のように、悲しい顔をして黙り込むようになるのです。大好きな馬跳び遊びの最中でも、野原でのかけっこでも、泉で水を飲んでいる時でさえも。

著者
ガース・ウイリアムズ
出版日
1965-06-01

「どうしたの?」と白いうさぎが心配して聞いても「ちょっと考えていたんだ」と黒いうさぎは答え続けるだけ。そして長い間そんな状態が続いたある日、初めて黒いうさぎは心の内を打ち明けるのです。

「どうしたの?」しろいうさぎが ききました。
「うん、ぼく、ちょっと かんがえていたんだ。」と、くろいうさぎは こたえました。
「さっきから、なにを そんなに かんがえているの?」
しろいうさぎは ききました。
「ぼく、ねがいごとを しているんだよ。」
黒いうさぎが いいました。
「いつも いつも、いつまでも、きみといっしょに いられますようにってさ」(『しろいうさぎとくろいうさぎ』より引用)

お互いにびっくりして耳をピンと立て目を丸くして固まっている姿のイラストが、2匹の気持ちをとてもよく表していて胸を打たれる場面です。

いままで当たり前だと思っていた目の前の相手がとても大切な存在だと気づいた時。そんな気持ちをどうやって伝えたら良いか、なかなか言葉にならないもどかしさ。そしてその気持を伝える勇気を持つこと。この作品には、そういったことが温かく優しい絵から伝わってきます。

淡い恋の関係だけでなく、家族であってもお友達であっても、君は大事な存在なんだよと伝えたいのにどう伝えていいかわからない、という時が人生にはあるでしょう。そんな時にこのお話を思い出せば、勇気が出るかもしれません。ぜひ親子で読んでみてくださいね。

野菜嫌いな子も、お豆が身近に感じられる物語

『そらまめくんのベッド』は、自分のふわふわのベッドを大事にしているそら豆の坊やが主人公です。そんな彼の持っているベットを、周りのお豆たちは羨んでいます。

そらまめくんのベッドは綿のように柔らかい自慢のベッド。枝豆くんが、ぼくにも寝かせて、と頼みます。しかし、宝物だからダメ、とそらまめくんは言うのです。グリーンピースの兄弟、さやえんどう、ピーナッツ、誰であっても絶対に貸そうとしません。

著者
なかや みわ
出版日
1999-09-30

ある日、そらまめくんのベッドが突然消えてしまいます。ぼくたちに貸してくれないからバチが当たったのさ、とみんなは言いました。そうは言うものの、そらまめくんが可哀想だ、と皆んなは自分達のベッドを貸してあげます。ところが、枝豆くんのは小さすぎ、グリーンピース兄弟のは長すぎ、さやえんどうはうすすぎ、ピーナッツくんのは硬すぎなのです。

やはり自分のベッドが一番、とそら豆くんはベッドを探す旅に出ます。すると、大きなうずらがどっかりと自分のベッドにのっているのを発見しました。しかもベッドの中には鳥の卵が!いったいどうなってしまうのでしょう?

意固地だったそらまめくんが、まわりのお豆たちの温かい友情とうずらの親子との関わりで成長していく様は、こだわりの強い時期のお子さんを育てているお母さんにとってのヒントとなるかもしれません。

また、食育を意識しなくても、読んでいるだけでお豆に詳しくなり、親しみを持てるようになるお話でもあります。ふわふわベッドのそら豆。ぺらぺらのさやえんどう。硬い殻のピーナッツ。それぞれのお豆のリアルな質感が描かれた挿絵を見ていると、いろんな種類のお豆を食べてみたくなります。お豆嫌いなお子さんに興味を持たせる効果もありそうなオススメの一冊です。

ことばの数珠つなぎが楽しい絵本

『おおきなかぶ』はなかなか抜けない大きなカブを家族総出で力を合わせて引っこ抜くお話です。

おじいさんがカブを植えました。大きなカブになあれ、と祈って育てたら、びっくりするほどの大きさに!おじいさんがカブをひっぱりますが、カブはなかなか抜けません。そこで、おばあさんを呼んできます。

著者
A.トルストイ
出版日
1966-06-20

おばあさんもカブをひっぱりますが、それでもカブは抜けません。そこで孫娘を呼んできて……とどんどんひっぱる人数が増えてきますが、それでもカブは抜けないのです。

孫娘がおばあさんをひっぱって、おばあさんがおじいさんをひっぱって、と前のお話に付け加えてどんどん文章が長くなっていくのも面白いところ。記憶を試されているようでもあり、舌がもつれそうな長い文を間違えずに言えるとかなりの達成感です。次はだれが増えるのかな、というワクワクする気持ちを親子で味わえるでしょう。お遊戯会などで発表したというお子さんもいるかもしれません。

結局「とうとう かぶは ぬけました」となるのは、最後に助けに来たネズミのおかげ。そんな小さな力で?という展開の意外性もこのお話の人気の秘密でしょうか。

他の翻訳バージョンや違うイラストのものもたくさん出ていますので、読み比べするのも楽しい一冊です。

時計を初めて学ぶ子どもにわかりやすいお話

『とけいのほん』は、針ののっぽとちびが旅をしながら時計の読み方を教えてくれるお話。

「ちびが とけいを つくる
1 2 3 4 5 6 
7 8 9 10 11 12
いちばん てっぺんは12
いちばんしたは 6」(『とけいのほん 1』より)

このように、大人は当たり前すぎて思いつかないような基本の基本からやさしく教えてくれます。

著者
まつい のりこ
出版日
1993-03-15

今何時?と知りたい時にはちびを見る。ちびの頭にある数字が時間だよ、と練習した後、お花の時計はどんぐりたちに運ばれお散歩へとでかけます。

「いっしょにみんなで でかけよう どんどんあるくと とけいもすすむ」(『とけいのほん 1』より)

目には見えない時間の感覚を子どもの身近なお散歩を通してわかりやすく説明。のっぽがぐるりとひとまわり、もとの所へ戻ったら、一時間。このように、大人でもなるほど!と思える説明です。

時間が読めるようになったら、どんぐりたちとはお別れ。今度はひかりのぼうやたちと旅に出ます。のっぽが6にいる時は「はん」と言うんだよ、と練習します。さてお昼寝したくなっちゃった、今何時?3時半?4時半?とクイズ形式で楽しませながら、いつの間にか時計が読めるようにサポートしてくれるのです。

時計に興味があってもなくても、読み終わったら、親子で「今何時?」と時計をみる機会が増えるでしょう。入学進学前のプレゼントにも喜ばれる絵本、ぜひ手にとってみてください。

香りまで感じられるような、不思議な絵本

『はなをくんくん』は冬眠から覚めた動物達が鼻をくんくんさせて春の香りを見つけるお話。

雪の中でくまが眠っています。白黒のモノトーンの優しいタッチのイラストがもこもこした毛並みの暖かさと、ひんやりとした雪の冷たさを見事に感じさせてくれます。

著者
ルース・クラウス
出版日
1967-03-20

カタツムリは木のうろの中で冬眠。リスは木の中、山ネズミは地面の中。見開きのページいっぱいにすやすやと眠っている動物達がたくさん描かれ、そこにしんしんと降り続く真っ白な雪は静寂を表しています。

そんな中、突然たくさんの野ネズミ達が穴から駆け出し、鼻をくんくん。くまも、りすも、鼻をくんくんしています。眠そうな目の山ネズミがたくさん、それぞれの穴から顔を出している様がとても可愛くてたまりません。

冬眠から目覚めた動物たちは、まだ雪が積もる山を鼻をくんくんさせながら同じ方向へと駆け降りていき、ある場所で輪になって驚き、喜び、飛び上がり、踊ります。

「ゆきのなかに おはなが ひとつ さいてるぞ!」(『はなをくんくん』より)

最後のこのページのお花の花びらだけが黄色に塗られています。2cmほどの小さな花なのに一番大きく感じられるでしょう。そして、その香りまで漂ってきそうです。どんな香り?甘い?強い?爽やか?とお子さんと一緒にぜひ想像を膨らませながら読んでみてください。

子供時代に様々な五感の感覚を体験することが大切、とよく言われますが、視覚という感覚を使いながら嗅覚を研ぎ澄ますこともダブルで意識させられる、とても不思議な、そして素敵な絵本です。

せなけいこの代表作!

『ねないこだれだ』は、夜中遅くまで起きている子がお化けに連れて行かれてしまうお話です。

夜中の時計が、ボンボンボンと鳴り……こんな時間に起きているのは誰だ?

真っ暗闇の中に光るのは、左右の色が緑と黄色と異なる目。著者のせなけいこはちぎり絵で、この暗闇の怪しげな雰囲気を表現しています。目の下に紙の繊維がモケモケと残っていて、余計に怖さを感じるのです。

著者
せな けいこ
出版日
1969-11-20

夜中に起きているのは、猫、ふくろう、ねずみ、どろぼう……そして赤い口を大きく開けたおばけ!おばけが指差すの先には「あれ あれ あれれ……」と、まだ起きている子どもたちまで。

「よなかに あそぶこは おばけに おなり
おばけの せかいへ とんでゆけ
おばけに なって とんでいけ」(『ねないこだれだ』より)

とおばけに手を引かれ、夜空の彼方へ連れて行かれてしまうのです。

怖くてすぐ寝る子になるか、面白がってお化け読んで~とますます寝ない子になるか。どちらにしろ、子どもの心に残る名作。親子それぞれの楽しみ方で読んで欲しい絵本です。

福音館書店の世界傑作絵本シリーズより

『てぶくろ ウクライナ民話』は、おじいさんが森で落とした手袋にいろいろな動物達が入ってお家にしようとするお話。

おじいさんが森で手袋を片方落としてしまいます。寒い冬の日、最初に暖かそうな手袋の中に入ったのはねずみでした。その次にきたのは蛙がやってきて、一緒に入れてもらいます。こんな風に、食いしん坊ねずみ、ぴょんぴょんがえるから始まり、早足うさぎ、おしゃれぎつね、灰色おおかみ……と仲間が増えていくのです。

著者
出版日
1965-11-01

手袋にそんなにたくさん入るはずがない、なんて大人の理論は、ここでは一旦置いておきましょう。はしご、ベランダ、雪よけ屋根、小窓、と手袋はどんどん増強増築されて、動物たちは仲良くぬくぬくと過ごしています。雪国の手袋なだけあって、内側の毛皮がものすごく分厚くてふわふわ。本当に気持ちよさそうです。

ねずみとキツネ、うさぎとキツネ、の同居は大丈夫かしら、なんて無粋な心配も必要ありません。満員なのに、大きなクマでさえも「はしっこだけなら」と受け入れている大らかな動物達。冬の厳しさの中、助け合って生きている人々の温かさの現れでもあるのでしょうか。

寒い冬に心もあたたまるやさしいお話。それぞれの動物たちのセリフ回しが性格や個性を際立たせるスパイスとなっていて、声音を変えながら読むと、読んでいる方が楽しくてハマってしまうそんな名作です。

自分も読み聞かせてもらった、という方も多い名作揃いです。大人になって読み返してみると、懐かしさがこみ上げてきたり、あるいはこんなお話だったんだ、と違う視点からの発見があったりと、ちっとも退屈させません。読み聞かせと共に自分の子どものころの思い出を伝えて感動を共有できるのも、ロングセラーならでは。あなたの家族にぴったりの特別な一冊が見つかりましたか?

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