『クマのパディントン』のシリーズからおすすめの絵本&児童書5選

更新:2021.12.21

世界中で愛されている「クマのパディントン」は、ロンドンに住むモフモフのクマさんです。青いコートに赤い帽子がトレードマークの可愛いパディントン。たくさんの物語の中から、小さなお子さんから高学年まで楽しめる本をご紹介します。

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ブラウン一家と出会う、はじめての絵本『クマのパディントン』

ブラウンさんと奥さんが、クマのパディントンと初めて出会い家に連れて帰るまでのお話です。駅に娘のジュディを迎えに行った二人は、荷物預かり所に小さな毛むくじゃらのクマが座っているのを見つけ話しかけます。するとクマは、ペルーからマーマレードを食べながらこっそり列車に乗ってきたと言うのです。

「どうぞこのクマの面倒をみてやってください。お願いします。」という札を首にかけているクマを、置いていくわけにはいきません。ブラウンさんたちは、駅で出会った記念に「パディントン」という駅名と同じ名前を付け、クマを家に連れて帰ることにします。

著者
マイケル ボンド
出版日

世界中で有名なクマ、パディントンの登場を可愛いイラストで描いた絵本です。イギリス・ロンドンが舞台のお話で、何事にも動じないブラウンさんと優しい奥さん、活発な子どもたちの姿が絵本からあふれ出してきます。お風呂でも赤い帽子をかぶったままのパディントンがとってもキュート!こんなクマさんが家にいたらいいな、と思わずにはいられません。

読み聞かせには少し長いお話ですが、パディントンがケーキのクリームでベトベトになったり、お風呂で溺れそうになったりするストーリーは愉快で、子どもたちも夢中になって最後まで飽きずに楽しめます。騒ぎをおこしてはいけないと思い、小さな声で助けを呼ぶだなんて、随分紳士的なクマです。

お風呂上がりのパディントンはフサフサの毛がモフモフとしていて、触ってみたくなります。素敵な花柄の椅子に腰かけ、身の上話をしている途中で眠ってしまうところは最高に可愛いイラストです。眠ってしまったパディントンの話の続きが何だったのかは、とても気になるところですけれど。

パディントンがマーマレード色の石で素敵な庭を作る絵本

パディントンはブラウンさんの家で幸せに暮らしています。ある日、自分の庭を小さく区切ってくれたブラウンさんから、自分の庭を造るように言われたパディントンは大喜びです。ブラウン一家が熱心に手入れをしている庭は静かで、立派な木や花が咲いています。

ブラウンさんの子どもたち、娘のジュディと息子のジョナサンは、花を植えたり石を並べたりしてそれぞれの庭造りにとりかかっていますが、パディントンにはどうしたら良いかわかりません。近所へ庭を観察しに行く途中、市場で庭造りの本を買いそれを参考にするのですが……。

マーマレード色の石で飾られたパディントンが作った庭は、「全国にわの日コンクール」で金メダルを受賞します。さて、どうやってそんなに素敵な石を手に入れたのでしょう?パディントンのドタバタと周囲の人たちの温かい人柄が、読者の胸をホンワリさせる絵本です。

著者
マイケル ボンド
出版日

生まれ育ったペルーを離れ、ブラウンさんの家で暮らし始めたパディントンはとても幸せです。自分の部屋が持てて、寝心地の良いベッドがあり、マーマレードが毎日食べられて……。ブラウンさんとパディントンの出会い『クマのパディントン』を読んだお子さんたちなら、満足そうな姿のパディントンを見て嬉しくなるでしょう。

今度のパディントンは、市場や工事現場で騒ぎを起こします。市場で見つけた「にわをつくるなら」という本に書かれているとおりに、どんな庭にしたいかを想像して目を閉じたまま歩き電柱とぶつかったり、高い所から庭を見てみようと工事現場に入り来み、足場の梯子を上ってしまったりするのです。

置いていたマーマレードの上にコンクリートを流しこまれたと勘違いしたパディントンに頼まれ、工事のおじさんたちは作ったばかりのセメントの固まりを壊してあげます。「金色の、たいせつなビン」という言葉に、まさかマーマレードが入っていたとは思わないおじさんたちのズッコケ具合も愉快です。

割り壊したセメントにマーマレードがこぼれ、偶然オレンジ色の石ができます。工事のおじさんたちには価値がなくなってしまった石ですが、これがパディントンにはぴったりの庭造りの材料になるのです。思いがけず金賞を受賞したマーマレード色のパディントンの庭を、見てみたくなります。

小学生からは、お話がたっぷり詰まった児童書で『くまのパディントン』を楽んで!

前掲の絵本『クマのパディントン』同様に、パディントンがブラウンさんと駅で出会うストーリーから始まります。8つの楽しいお話が詰まっていて、漢字には読み仮名もふられているので小学生でも読みこなすことができるでしょう。ただし、こちらの挿絵は白黒で、あの赤い帽子に青いコートの可愛いクマのイラストが見れないことは残念ですが……。

ペルーから来たパディントンはとても礼儀正しいクマです。いつでも真面目にやっているのですが、菓子パン1つ食べるのにカフェのテーブルを滅茶滅茶にしてしまったり、お風呂を泡と水だらけにしたり、駅のエスカレーターを止めて大騒ぎを起こしたりと、あれこれトラブルを巻き起こします。そんなパディントンに振り回されながら、温かく見守るブラウン家の人々も素敵です。

著者
マイケル ボンド
出版日
2002-06-20

パディントンが巻き起こす、ドタバタの連続が楽しい本です。絵本よりも深くブラウン一家との関りを知ることができ、愛らしいパディントンの愉快な姿が想像の中に広がります。

何をするにも礼儀正しく真面目なパディントンが、人間の社会で生活をするには「初めて」がたくさんです。初めてのお風呂にエスカレーター、地下鉄やデパート、劇場での観劇やお誕生日会での手品など、どれもふざけているわけではないのに、おかしなトラブルを起こしてしまいます。「ぼく、またへましちゃったみたいなんだ」と言ってしょんぼりしているパディントンに、読者は思わずクスクスと笑ってしまうでしょう。

ロンドンのパディントン駅でブラウン一家に出会ったことが「パディントン」という名前の由来であったことや、ブラウンさんの奥さんがデパートで買ってくれたコートこそ、パディントンといえば思い浮かぶ、あの青いダッフルコートと黄色いレインコートだったりと、ファンなら知っておきたいお話が満載です。是非とも、この1作目の『くまのパディントン』から読み始めることをおすすめします。

夏からクリスマスまでの愛情豊かなお話『パディントンのクリスマス』

夏の暑い日に、家族写真を撮ろうと思いついたパディントンの失敗からお話が始まります。別の日には家族全員が外出中に、部屋を改装しようとして入口のドアを塞いで壁紙を貼ってしまい、秋にはカボチャ泥棒を捕まえる探偵となり、間違ってお巡りさんを捕まえてしまうドタバタ騒ぎが続くのです。相変わらず、何一つとしてパディントンの計画通りには進みません。

一緒に暮らすうちに、ブラウンさんの奥さんと家政婦のバードさんには、パディントンが何か計画をしているときがわかるようになります。いつも「何かおかしなことをしている」と思われてしまうのです。そんなパディントンですが、ブラウン一家はもちろん、近所のポートベロ通り商店街の人たちからも愛されていて、素敵なクリスマスを迎えます。

著者
マイケル ボンド
出版日
2002-11-20

『パディントンのクリスマス』は、パディントンシリーズの2巻目に当たり、パディントンとブラウン一家の夏~クリスマスにかけた7つのストーリーで構成されています。どのお話でも、真面目で礼儀正しいパディントンが、思いもかけないトラブルを相変わらず起こしてしまうのです。慣れない人間社会で奮闘しているパディントンの姿がとても愉快でほのぼのと書かれています。

「パディントンがいなくなれば、うちはもううちじゃなくなるような気がするわ。」とブラウンさんの奥さんは言い、マーマレードの瓶を戸棚に切らしたことがない家政婦のバードさんは、普段は小言も多いのですが実はパディントンを良く理解してくれています。骨董屋のグルーバーさんはパディントンの茶飲み友達で、何かにつけて良いアドバイスをたくさんくれるのです。パディントンの周りには、心温かい人たちの愛情が溢れています。

そしてパディントン自身も大好きな人たちが喜ぶ、心がこもった贈り物をクリスマスにプレゼントをします。イギリスのクリスマスの描写とともに映像のように心に浮かんでくるシーンです。バードさんが言う「お前はただの小さいクマかもしれないけれど、行く先々に後を残すわね。」とは、まさにその通り!読者の心にも素敵なクリスマスを残していきます。

ブラウン一家の夏休み『パディントン フランスへ』

ブラウン一家と家政婦のバードは、パディントンを連れて夏休みをフランスで過ごす計画を立てます。初めての旅行に、地図と旅行日程係を務めることになったパディントン。彼が巻き起こすドタバタはまだまだ続きます。

仲良しのグルーバーさんからフランス語会話の本を借りたパディントンが、ベレー帽を被ってフランス語の練習をしていると、町の人たちに「クマの玉ねぎ売り」に間違われます。旅行前にお金を下ろそうとして銀行へ行きますが、なぜか消防車やパトカーを呼んでしまい、またもや大騒ぎが勃発するのです。パディントンたちの休暇はいったいどうなるのでしょう?愉快なお話が続き、あっという間に物語へ引き込まれていきます。

著者
マイケル ボンド
出版日
2003-06-20

旅行日程係に任命されて張り切るパディントンですが、出発前からあらゆる場所で騒ぎを起こしてしまいます。それでも、バードさんが「クマはコマらない」と言うとおり、周囲の助けや幸運でなんとかうまく切り抜けていくのです。

パディントンのおかしな活躍は、フランス到着後もとどまることを知りません。エスカルゴで料理を作ったり、楽隊に参加してお祭りを盛り上げたり、自転車競技のツールドフランスにまで参加をし、入賞を果たしたりするのです。いつものようにドタバタ騒動が楽しくてワクワクさせられますが、パディントンのことを「クマのムッシュウ」とよぶパン屋のデュポンさんとの新たな友情も、心が和むお話です。

フランスでの休暇から帰国するときには、街の人々がパディントンたちにお別れを言いに来てくれます。「みんな遅かれ早かれおしまいになるのね。」「楽しければ楽しいほど、終わりの来るのが早い気がする。」と言うブラウンさんの奥さんの言葉どおり、パディントンのフランスでの冒険は終了しますが、これからもきっと彼の周りには色々なことが起きるでしょう。

1958年にイギリスの作家、マイケル・ボンドによって生み出されたパディントンは、時代を超え世界中で愛されている物語です。絵本ではパディントンのトレードマークである青いダッフルコートに赤い帽子や、夏の黄色いレインコート姿を可愛らしいイラストで見ることができますし、児童書では短編集でパディントンのドタバタ騒ぎをたっぷり楽しめます。くまのプーさんよりも賢く、おさるのジョージよりもおっちょこちょいなパディントンのことを好きにならないわけがなく、誰もがシリーズ全部を読んでみたくなるでしょう。

ロンドンのパディントン駅にはパディントン・ベアーの銅像があるそうです。もしかしたら、そこで礼儀正しいモフモフのくまさんに貴方も会えるかもしれません。もし一緒に連れて帰るなら、戸棚にマーマレードを切らしてはダメですよ。

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