おーなり由子のおすすめ絵本5選!心に響く作品たち

更新:2021.12.21

おーなり由子の絵本は、子ども向けの作品だけではありません。赤ちゃんとお母さんが楽しめる絵本もあれば、子育ての希望が詰まった本、大人の胸にこそ染み入る本もあるのです。ここでは、読み終わった後に心に響く幸せを残す絵本をご紹介します。

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大人の心を動かす、おーなり由子の絵本

1965年生まれのおーなり由子は、漫画家を出発点とした絵本作家です。当時の小~高校生に人気だった少女漫画雑誌『りぼんオリジナル』に、1982年「路地裏の風景」が掲載され、漫画家としての活動を開始します。その後4作の漫画をリリースしますが、1992年以降は活動の中心を絵本へと移すのです。

おーなり由子が描く絵本のイラストとお話は、どれもふわっとした世界観で優しいストーリーです。赤ちゃんもおかあさんも、恋人たちも風景も、どれもふんわりと描かれていて、漫画家時代のイラストとはずいぶん異なります。そのストーリーは子どもたちが楽しめるだけではなく、大人の心に余韻をもたらす作品が多いことも特徴的です。

そのふわっとした感じは歌でも表現されています。NHKの人気子ども番組「おかあさんといっしょ」では、2010年の「あめふりりんちゃん」をはじめ、「リンゴントウ」や「ハオハオ」などの作詞やイラストを手掛けました。どれも耳に残る、子どもたちに人気の可愛らしい歌です。

赤ちゃんとのスキンシップが楽しい音の絵本

はたこうしろうがイラストを担当した「あかちゃんとのあそびえほん」シリーズは、夫婦合作で作られています。これは二人にとって初めての赤ちゃん向けの絵本で、その1作目となるのが赤ちゃんと音遊びを楽しむ絵本『ぶう ぶう ぶう』、夫婦の子育て体験から生まれたお話です。

絵本の中では、赤ちゃんとお母さんが唇で「ぶう」という音を出して遊んでいます。お母さんが赤ちゃんに唇をつけて「ぶう」という音を出したり、ゾウが大きな「ぶう」を出したり、車が「ぶっぶうー」と走ったり……。親子でスキンシップをしながら読むと、いっそう楽しめる絵本です。

著者
["おーなり 由子", "はた こうしろう"]
出版日
2013-09-21

「ぶう」「ぶっぶうー」「ぶぶう」という音が、声に出すととても愉快に響きます。赤ちゃんが自然に発する喃語のような、簡単な言葉ばかりです。

登場人物は柔らかい頬っぺたが可愛い赤ちゃんと、優しそうな若いお母さんです。おーなり由子のご主人であるはた こうしろうが、二人をとても幸せそうに描いています。この本を手に取る人にも、まるでその幸せがじんわりと伝わってきそうな素敵なイラストです。

お母さんと赤ちゃんがスキンシップをしながら「ぶう」と唇を尖らしたり、お腹や手に「ぶう」と息を吹きかけて笑いあっています。読みながらお子さんたちにも同じようにしてあげたら、きっとくすぐったくてゲラゲラ笑うかもしれません。絵本の中のお母さんと赤ちゃん同様に、幸せな時間を楽しんでください。

赤ちゃんがニコニコ笑顔になる遊びの絵本

この本は、はたこうしろうとの夫婦合作「あかちゃんとのあそびえほん」シリーズの4作目になります。ハイハイで進んだりトコトコと歩いたりする赤ちゃんが、黄色い靴下と「まてまてまてー!」と追いかけっこをするお話です。

はじめは黄色い靴下が赤ちゃんを「まてまてー」と追いかけていきます。でも、追いかけっこの途中からは、赤ちゃんの方が「まてまてー」と靴下を追いかけていくのです。

赤ちゃんの表情がとても可愛らしくで描かれていて、簡単な小道具でも赤ちゃんとたっぷり遊べるのだな、と新米お母さんたちに新しいヒントをくれるような絵本です。

著者
["おーなり 由子", "はた こうしろう"]
出版日
2016-06-16

ハイハイが上手になり、少し歩けるようになった頃の赤ちゃんたちって、靴下をはかせようとするとトットコ逃げてしまいますよね?「まてまてまてー!」と赤ちゃんを実際に追いかけたことがあるお母さんたちも多いのではないでしょうか。『まてまてさん』はそんな月例の赤ちゃんたちにピッタリな遊びの絵本です。

靴下と追いかけっこをしていると、途中で赤ちゃんが靴下を追いこし、赤ちゃんが「まてまてー」と靴下を追いかけます。赤ちゃんはずっとクスクスと笑ってるような可愛い笑顔です。次に赤ちゃんに靴下を履かせるときに「まてまてー」とお母さんがしてあげたら、赤ちゃんはニコニコして靴下との追いかけっこ遊びに夢中になるでしょう。

赤ちゃんは単純なリズム遊びやスキンシップが大好きです。身近な小道具で「まてまてさん」のような追いかけっこをしたり、コチョコチョとくすぐったり、ギューッと抱きしめてあげたり……。新米のお母さんたちへ、豊かな育児へのヒントもくれる絵本です。

世界中のお母さんたちに読んで欲しい、希望が詰まった本

「わたしが かなしいとき あかちゃんが わらう」……。赤ちゃんを抱っこしたお母さんが、ふとした瞬間や悲しいニュースから、この世界や未来に対し不安を抱きます。「世界は どしゃぶりのように感じられ 未来は どこまでも はいいろの雲で いっぱいで」暗い雨がずっと続くかのように思えるのです。

お母さんが不安なときも、赤ちゃんは笑っています。まるで輝きながら湧き出す泉のように、不思議な強さに満ちている赤ちゃんたちの手に触れると、不安だったお母さんの胸にも光が溢れ出すのです。子どもたちから「うれしいこと、ここにたくさんあるよ!」と教えられ、お母さんの心は希望で満たされます。

著者
おーなり 由子
出版日
2014-10-18

子どもたちが「これから生きていく世界を ひどいと 決めつけないでよ!」「ぼくらを よわいと 決めつけないでよ!」「ぼくらは 生きたい 愛したい、いっぱいあそびたい!」という言葉が、全てのお母さんの胸に響くでしょう。

誰もが子育てに不安を感じ、悩み、心配になり、落ち込むこともあるものです。そんなときに、子どもたちは金色に輝く泉のように、生命力を溢れさせて今を生きています。新しい世界の幕は開いたばかりであるのだと、子どもたちにはたくさんの希望が詰まっているのだと、この本は教えてくれます。そしてお母さんの抱っこや胸の中やつないだ手があるから安心で、子どもたちもうれしいのだと言っているのです。

金色に輝く子どもの命を抱きしめて、絵本のお母さんはどんどん幸せな表情に変わっていきます。子どもたちの笑顔に、お母さんたちも癒され救われるくだりは、誰もが共感できるところでしょう。

最後のページでは、小さくぷっくりとしたあかちゃんの手をお母さんがそっと握りしめています。お母さんを抱きしめてくれる小さな手に、うれしいことが全部ここにあるよ、というラストは感動的です。子どもたちにも、そのお母さんたちにも希望が溢れ、みんな幸せになってほしいと願わずにはいられません。

自分が話すことばの色と形を考えさせられる本

「もしも話すことばが目に見えたら、どんな形をしているだろう?」と読む人の心へ質問を投げかけます。いま話をしたことばは、どのような色と形で相手にとらえられるのだろうか?ことばに色や形があったなら見分けがついて、人を傷つけることや誤解もなくなるのだろうか?と、読者の胸に問いかけるのです。

美しいことばは 花の形?声によって色が変わるとしたら、静かな声なら青い花?やさしい声はさくら色?話すたびに尖った針が発射され、相手に刺さるのが見えたとしたら……?パステルと水彩画で描かれたようなふんわりと色鮮やかで美しいイラストも、読む人の心に染み入ります。

著者
おーなり 由子
出版日
2013-07-26

おーなり由子が得意とする、ふわっとした優しい世界観で描き出した、ことばについての絵本です。もしも話すことばが目に見えたとしたら、私が話していることばはどんな形でどんな色をしているのだろう?と問われます。ことばの向こうにある気持ちにも、気が付くことができていただろうかと問われるのです。

美しく幻想的なイラストに、とつとつと語りかけるような詩が胸に響きます。他者との関りが密になり、様々な問題を抱え始める小学校高学年の子どもたちに読んで欲しい絵本ですし、毎日をあっという間のスピードで過ごしている大人たちにも、読んで欲しい絵本です。

もしことばに形があれば、思いもよらないことばが相手に刺さるのを見るかもしれない、厳しく傷つけるようなことばでも、大事な忠告だと見分けがつくなら素直に受け取ることができるかもしれない、黙っているということばの向こうには、豊かな森が広がっているかもしれない……。という部分には、誰もが自分を省みる機会を与えられます。

「たいせつなひとに 花のようなことばをとどけることが できますように」……。

この本を読んだ私たちも、そう願わずにはいられません。ひとつひとつのことばや人との関りを大切にすることを思い出させ、ちょっと立ち止まって考えるように促すような美しい絵本です。

恋人と一緒に読みたい、大人の絵本

2匹の犬が恋人同士として描かれていて、「もしも~だったら、あなたはどうする?」という質問に答えていく、たわいのないやりとりが続きます。

「もしも明日で世界がなくなってしまうとしたら?」あなただったら恋人の質問になんと答えますか?

幸せな二人の姿に、この絵本を読む人たちの心もほんわりとして、この絵本のような二人になりたいと思うでしょう。結婚のお祝いに親友へプレゼントしたらとても喜ばれそうな絵本です。

著者
おーなり 由子
出版日

優しいタッチの絵にお互いのことを一番に想う答えが続き、読む人たちを幸せにさせます。一般的に絵本は、子供向け、というイメージがあるかと思いますが、ぜひ大人に読んで欲しい作品です。こんな質問は恥ずかしくてきけない、と思うかもしれませんが、こうやって答えてくれたら幸せだなあ、と純粋に思うこともできます。

愛し合う二人でいるから「なんにも こわくないみたい」「なんにも こわくないよ」と言うことができるのです。恋人になったばかりの二人や、結婚式を挙げたばかりの二人なら、大いに賛同できるお話かもしれません。もう何年も前に結ばれて、パートナーと家族としての愛情を育んできている人たちなら、昔を思い出し温かい気持ちになるでしょう。まだ特別な誰かを探し求めている人ならば、こんな素敵なパートナーを、と願うことでしょう。

可愛い2匹が、可愛い質問を繰り返し、愛し合う幸せをいっぱい噛みしめている『幸福な質問』。それを読む人も、幸せな時間のおすそ分けを受け取ることができるのです。

おーなり由子独特のタッチの優しい絵は、詩のような文章との相乗効果をもたらし、心の奥にジーンと響いてくるのです。赤ちゃんとお母さんの絵本としてだけではなく、大人の女性が好んで読む絵本作家としても人気があることが頷けます。どれも短いストーリーの絵本なので、眠る前の癒しの時間にもおすすめです。ここでご紹介した絵本から、「ことばとは?」「愛とは?」という問いかけに貴方が立ち止まり、人としてますます魅力的になる、きっかけ作りとなりますように……。

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