フレーベル館が出版する絵本おすすめ5選!やなせたかしなど名作も

更新:2017.6.18

フレーベル館はやなせたかしの「アンパンマン」シリーズで有名ですが、それだけじゃありません。今回は、そんなフレーベル館の絵本をご紹介します。

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フレーベル館は「アンパンマン」や「ウォーリーをさがせ!」だけじゃない!

フレーベル館といえば、やなせたかしの「アンパンマン」シリーズが有名ですが、「ウォーリーをさがせ!」シリーズ、幼稚園や保育園で定期購読する月刊保育絵本「キンダーブック」などでもお馴染みの出版社です。

でも、他にもいい絵本をたくさん出しています。

今回は、名作いっぱい、フレーベル館が出版する絵本の紹介です。

著者本人が出世作と語る作品

いつも震えているからブルブルと名づけられたみなしごのライオン。そのブルブルを育てることになった雌犬のムクムク。ムクムクに育てられ、優しく、立派に育ったブルブルは、都会の動物園へもらわれていくことになり、母子は離れ離れに。

サーカスで活躍するブルブルは、毎晩、ムクムクのことを思い出します。ある夜、ムクムクの子守唄を遠くに聞いたブルブルは、檻を抜け出し、その唄の聞こえる方へと必死に走ります。

「真夜中に脱走したライオン」に、街は大騒ぎ。

町外れの丘の上、年老いて今にも死にそうなムクムクと再会したブルブル。そんな二人を待っていたのは……。

著者
やなせ たかし
出版日

やなせたかしに、「ぼくの出世作があるとすれば、それはこの『やさしいライオン』だと思う」と言わせているのが本作で、この作品が売れたことにより、やなせたかしの絵本作家としての人生が本格的にスタートしました。

やなせたかしは、実は大人向けのナンセンス漫画家として活躍されていた方で、現在の「アンパンマン」の印象からは遠くかけ離れた作品を描いていました。しかし、ストーリー漫画が主流になりつつある時代、漫画家としての仕事が減る一方、舞台美術、放送作家など、漫画以外の仕事が増えていったといいます。

『やさしいライオン』が生まれたのもそんな頃で、初出は1967年。ラジオドラマとして制作されたのが最初でした。後に、縁あって手塚治虫のアニメ映画の製作に参加し、お礼として『やさしいライオン』をアニメ化してもらいます。

まだ絵本作家ではなく、ナンセンス漫画家であることを引き摺っていた頃に、絵本としてまとめた作品。という背景を踏まえた上で見直すと、純粋な親子の絆の裏で描かれる非情で理不尽で厳しい現実、どこか子供向けと言い切れない独特な影を感じる画風など、一部で「大人の絵本だ」と言われる由縁も納得できる気がします。

結末に至る展開に、涙する人も多い本作。ぜひ、ご自分の目で結末を確認してください。

読んだら、ほんわかあたたかい気持ちになります

「しーっ、しずかに してくださーい」

「なぜかって いうとね……」

次々に登場する動物たちが、音を立てそうな子を注意して、「なぜかって いうとね……」と耳打ちして……。

単純な繰り返しなんだけれど、その耳触りの良い言葉とリズムが非常に心地好く、温もりある画風も相まって、読んでいるだけで、なんだか穏やかな気持ちになってきます。

著者
たしろ ちさと
出版日
2012-12-01

たしろちさとは2001年にデビューした作家で、『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』で2011年に日本絵本賞を受賞しています。

ページを次々とめくりたくなる好奇心を刺激する構成や、0~2歳児向けということで、少ない言葉ながら短い物語をちゃんと回しきっているのは見事です。

ちょっと間違えば鋭い語感になりかねない「静かにして下さい」という言葉を、雰囲気で包み込んで柔らかいニュアンスに仕立てている点も素晴らしい。

お子様に読んであげれば、一緒に優しい気持ちになれること間違い無しの一冊です。

先生、大人げありません!

ま~るいメガネにお団子ヘア、そして厳しく口が悪い……『アルプスの少女ハイジ』に登場するロッテンマイヤー先生を髣髴とさせるけど、子どもたちより子どもっぽいところが憎めない。そんな「つんつくせんせい」が人気のシリーズの第一作です。

週に一度、子どもたちを引率して動物園へ行くつんつくせんせい。しかし、動物園の動物たちからは、つんつくせんせいは嫌われています。なぜなら、パンダ以外の動物を褒めてあげないからです。

動物たちは、そんなせんせいに不満が爆発。何とかして仕返ししようと、パンダとバクの入れ替わり作戦を思いつきますが……

著者
たかどの ほうこ
出版日
1998-09-01

つんつくせんせい、すごいです。実生活で、我が子の幼稚園の担任がつんつくせんせいのような人になったら、担任を変わってらう署名活動を始めそうなほど最悪な印象からのスタートです。

だって、動物相手にいちゃもんに近い悪口を言って回ったあげく、パンダだけえこひいきするんですから、子どもにそんなことされやしないかと思ったら、「まぁ、悪い先生ね」なんて読みながら呟いてしまいそうになります。

それが、後半の怒涛の展開を経てバタンキューと倒れた後、せんせいの言葉は一変します。

「こんなに おもしろかったのって
 うまれて はじめて!」
 どうぶつの みんな、ありがとう!
 これからは なかよくしてね!」
 (『つんつくせんせいどうぶつえんにいく』より引用)

何というコペルニクス的転回! 思わず「どの口でおっしゃってやがりますか!?」と訊き返したくなる掌返しです。

でも、そこが良いんです。口は悪いけど、思ったことを素直に言い、良いと感じたら良いと評価する。つんつくせんせいは、一番子どもに近い感性を持ったせんせいなのかもしれません。

楽しいお話の絵本をお探しでしたら、おすすめの一冊です。

偉大な絵本作家の作品を名訳で魅せる一冊

スプーン、ひなぎく、雨……様々なものを詩的な文章で表現しながら、それがそれであるために大切なことは何かを語りかけてくれます。

レナード・ワイスガードの絵は少し寂しさを感じる風合いですが、マーガレット・ワイズ・ブラウンの詩的表現と、うちだややこの名訳によって、絵本からほんのりと温もりを感じるような構成になっています。

詳しい内容は、あえて書きません。ぜひ、実際に触れて、この本に込められた愛情を感じてください。

著者
マーガレット・ワイズ ブラウン
出版日

絵を担当しているレナード・ワイスガードは、マーガレットの作品を20作以上担当し、名コンビとして知られています。

マーガレット・ワイズ・ブラウンは、とても繊細に言葉を選び、丁寧に文を組み立てていたのでしょう。詩的な文は、まるで旋律を刻み込んだ楽譜のような美しさです。そんな素晴らしい原語版ですから、翻訳しただけで魅力がごっそりと削がれそうなものですが、うちだややこの名訳が新たな魅力となって余りある補完を成し遂げています。

子どものための絵本ですから、本文にはひらがなとカタカナしか使っていません。でも、それが妙に元の文章とマッチして、優しく語りかけるような文体に仕上がっています。マーガレットのように、言葉の響きが与える影響まで考えて、一つ一つ、じっくり選び抜いていったのでしょう。

以前ご紹介した『おおきくなるっていうことは』のように、大切な節目で読み返したくなる、そんな素敵な絵本です。

作家ではなく、デザイナーだから成し得た傑作

子どもへのプレゼントを抱え、家路を急ぐお父さんですが、途中で車が故障してしまい……。

登場するたくさんの乗り物に、着々と変化する家までの距離や時間。そういった物語を構成するすべてに触れて楽しむことのできるこの本は、単純な仕掛けなれど、ありふれた仕掛け絵本とは一線を画す、「お話に触れる」絵本なのです。

この絵本の著者ブルーノ・ムナーリは、芸術家にしてデザイナーが本業でした。『Let's Play』、『じぶんだけの いろ』をご紹介したレオ・レオニとも、芸術家として交流がありました。

そんな彼が絵本を作ったのは、5歳の息子のプレゼントに、ちょうど良いものがなかったからで、「無いなら自分で作ってしまえ」と作った10冊の絵本の2巻目が本作になります。

著者
ブルーノ ムナーリ
出版日

このムナーリのしかけ絵本、特筆すべきはそのシンプルさで、難しいしかけは一切使っていません。

そもそも、しかけ絵本という形態をとったのも、当時のイタリアでは、小さな子どもの本といえど大部分を文章が占め、申し訳程度の僅かな挿絵で構成された「読み物」が中心だったことへのアンチテーゼでした。

もっとわかりやすく、小さな子が見て、触れて、楽しめる、おもちゃんのような絵本……それが、愛する我が子の為にムナーリが求めた絵本でした。

ムナーリは、この10冊のしかけ絵本を創るにあたり、デザイナーとしての感性をフルに発揮します。

絵と文という、絵本を構成する要素だけでは伝えきれない情報を、以下にわかりやすく子どもに伝えるか……使用する紙を変えて手触りに変化を出したり、紙のサイズを変えて距離や時間を表現したり、絵本の常識を覆しつつ、必要最小限の仕掛けで「絵本」から伝えられる情報を極大にする試みが繰り返されます。

実際、手にとってみると驚かれると思います。ここまでページ毎の紙のサイズがバラバラな絵本も、そうそうありません。翻訳が谷川俊太郎という、これまたビッグネームなのですが、やはりこの絵本の魅力は、触れることにあると断言できます。

どうぞ、実際に手にとって、触れてみてください。

「アンパンマン」という、あまりにも有名なキャラクターを使い、国内ではディズニーやサンリオに比肩するほどのキャラクタービジネスを展開するフレーベル館ですが、それだけの事業を展開できる出版社だからこそ、素晴らしい絵本も出せるのです。

最後にご紹介したムナーリのしかけ絵本は、本来イタリアでの国内生産が原則であり、元の装丁はペーパーバックでした。それを、日本の市場で出すために、安全で丈夫なハードカバーに変更し、価格を抑えるために日本と中国で生産できるよう、繰り返し品質見本を製作し、根気よく交渉を続けました。結果、正式な許諾を得て、世界で唯一、ハードカバーのムナーリの絵本を出版する権利を獲得したのです。

顧客のことを第一に考え、装丁にこだわれるのも、企業としての資本力あってこそ。フレーベル館は、絵本に対する情熱あふれる出版社なのです。