「涼宮ハルヒ」シリーズの魅力を順番にネタバレ紹介!

更新:2021.11.6

ライトノベルの大人気シリーズ「涼宮ハルヒ」。読者に若い世代の多いラノベですが、読者の親世代の方も読んで面白いと感じるのも、このシリーズの特徴です。作りこまれた設定と魅力あるキャラクターの「涼宮ハルヒ」シリーズを、第1巻からご紹介します。

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「涼宮ハルヒ」シリーズとは

「ビミョーに非日常系学園ストーリー」と銘打たれたライトノベル作品で、シリーズ1作目となる『涼宮ハルヒの憂鬱』がスニーカー大賞で大賞を受賞した後、2005年には「このライトノベルがすごい!」で第1位を獲得するなど、人気シリーズとなりました。

ごく普通の男子高校生であるキョンを取り囲むのは、荒唐無稽なヒロイン・涼宮ハルヒと、「SOS団」という部活の部員達。「SOS団」は、宇宙人や超能力者を探して一緒に遊びたいという目的のもとにハルヒが自ら作った部活なのですが、様々な経緯から入部した(させられた)部員達が、実は宇宙人や超能力者だったのです。

涼宮ハルヒを中心とした周りに、主人公が振り回されながらドタバタと進んでいく物語は、数あるライトノベルの中でもトップクラスの絶大な人気を誇るものとなりました。ライトノベル好きはもちろん、これからライトノベルを読んでみようという方も、ぜひ押さえておきたいシリーズです。

涼宮ハルヒとの出会いが描かれる第1作

高校に入学したキョンは、クラスの自己紹介で、突然、「東中学出身、涼宮ハルヒ。(中略)ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」と発表したハルヒに目を奪われます。

自己紹介の発言のみならず、その後も奇妙な言動ですっかり目立つ存在になってしまったハルヒでしたが、ある日、キョンはふとした拍子にハルヒに声をかけてしまいます。それをきっかけに、ハルヒと交流を持つようになったキョンは、破天荒なハルヒに振り回されるようになり……!?

著者
["谷川 流", "いとう のいぢ"]
出版日

高校に入学した主人公・キョンと、入学直後の自己紹介で破天荒な発言をした涼宮ハルヒが出会うところから物語は始まります。常々、日常に退屈をしていたハルヒは、宇宙人や未来人などの存在と出会うべく、グラウンドに絵を描くなどの奇行を繰り返していたため、周りからは浮いた存在でした。

そんなハルヒに、キョンはひょんなことから声をかけてしまったことがきっかけで、ハルヒの立ち上げた部活「SOS団」に入部させられることになってしまいます。「SOS」とはすなわち、「世界を・大いに盛り上げる・涼宮ハルヒの団」という意味で、その目的は、宇宙人や未来人達を探し出し一緒に遊ぶことでした。

ハルヒは、キョンの他に、いつも本を読んでいる長門有希(ながとゆき)、小柄でマスコット的な上級生の朝比奈みくる(あさひなみくる)、イエスマンでイケメンの古泉一樹(こいずみいつき)を、ほとんど無理やりSOS団に入部させます。ですが、その3人こそ、実は宇宙人に未来人、そして超能力者だったのです。

そんな3人がハルヒのもとに集ったのも、ハルヒ自身が、自分の望みを具現化して世界を作り変えてしまうという神にも似た力を持っていたからでした。しかし、ハルヒ自身はそんな力を自分が持っているとは思ってもおらず、そのことを知っているのはハルヒ以外のSOS団だけです。

そんなメンバーの日常がまともな日常になるわけでもなく、キョン達は非日常に巻き込まれていきます。キャラクターの個性が十分に活かされたストーリーは軽快に読み進めることができるでしょう。

スニーカー大賞受賞作であり、シリーズがヒットするきっかけにもなった第1巻なので、涼宮ハルヒシリーズを読むにはまず本作を手に取るのが一番です。

キャラクラー達の個性が光る第2作

季節は芸術の秋。体育祭で部活対抗リレーに参加したSOS団は、本当の意味で人間離れした長門有希のおかげで、見事トップでゴールをしましました。

そして、キョン達の学校では体育祭の後に文化祭があるようで、キョンとハルヒのクラスでも出し物をすることになります。やる気満々のハルヒでしたが、クラスの出し物は、アンケート企画という楽をしたいと直球で言っているような手抜きのものに決まってしまいました。

もちろんそれでは満足できないハルヒは、SOS団で自主制作映画を作り、文化祭で上映会をすると言い出すのですが……!?

著者
谷川 流
出版日
2003-09-01

前作『涼宮ハルヒの憂鬱』から半年後が舞台になっています。前作に比べるとそれぞれのキャラクターの個性が強調されており、特にハルヒの破天荒っぷりとワガママがかなり増して描かれているので、少し驚く方もいらっしゃるかもしれません。同時に、映画の主演女優というポジションもあり、ハルヒに振り回されっぱなしのみくるの印象も強くなっています。

一方で、主人公であるキョンのツッコミもしっかり書き込まれており、周囲を振り回しまくるハルヒの手綱を良い具合に引き締めてくれています。ただ、全体的には映画撮影の描写が多くをしめているので、前作に比べると展開やテンポに単調さを感じる方もいるかもしれません。

しかし、本作では有希、みくる、一樹のそれぞれの立場か考え方、目的などが垣間見られるところがあります。今後のシリーズを見据えての伏線でもあるので、続けてシリーズを楽しむためにもチェックをしておきたい第2巻です。

1巻と2巻の間に起きた事件を描いた短編集

1学期もそろそろ終わる6月のある放課後。SOS団のアジト(文芸部部室)で、涼宮ハルヒは高らかにSOS団の野球大会参加を宣言しました。ハルヒが持ってきたのは、市内で行われるというアマチュアの野球大会のチラシで、この大会で活躍してSOS団の名を知らしめようというのが、ハルヒの言い分です。

しかし、本当のところ、ハルヒは単純に目立つ大会なのであれば何でもよく、もっと単純にいえば、ただ退屈だったから参加しようと思っただけなのでした。キョンもそんなハルヒの提案を、宇宙人や未確認生物を捕獲しようと提案されるよりもマシだと思い、参加することにしたのですが、そんな期待も見事に裏切られて……!?

著者
谷川 流
出版日
2003-12-01

前作(2巻)は高校入学からの半年後を舞台にした物語でしたが、本作(3巻)は、1学期の終わりから夏休みが舞台。つまり3巻は、時系列的には1巻と2巻の間の出来事で、その間にSOS団が遭遇した4つの出来事を描いた短編集になっています。

収録作品は、表題作である「涼宮ハルヒの退屈」をはじめ、七夕の日、キョンがみくると一緒に3年前へ行くことになる「笹の葉ラプソディ」、喜緑江美里が行方不明になったコンピ研(コンピューター研究会)の部長を探して欲しいとやってくる「ミステリックサイン」、そしてSOS団が無人島の別荘へ夏合宿へ行く「孤島症候群」の話の4作品。

中でも、シリーズ4巻目の「涼宮ハルヒの消失」に関わってくる内容になっている「笹の葉ラプソディ」は必読です。

後の伏線となっている部分もありますが、本編が進むというよりもSOS団の短いエピソードを詰め合わせた短編集という形なので、前作までにSOS団のキャラクターにハマった方には嬉しい巻と言えるでしょう。反対に、早く本編を読み進めたい! と言う方は、後回しにしても本編がわからなくなるようなことはありません。とはいえ、短編集ならではのテンポの良さもあり一気に読むことができるので、ぜひ気軽な気持ちで手に取ってみてください。

シリーズ中で1、2を争う人気作

12月18日。いつものように登校したキョンでしたが、いつもと同じはずのクラスは何か様子が違いました。そこにいるはずのハルヒの姿がなかったのです。しかもただいないだけでなく、涼宮ハルヒという存在そのものが消えてしまっていました。

しかも、変化はそれだけではなく、みくるはキョンと面識がなかったことになっていたうえ、未来人ではなくただの一般人になっていたり、一樹は所属クラスであった9組ごと消えてしまっていたりと、世界がまるで改変されてしまっていたのです。しかし、何故かキョンの記憶だけは元通り残っていて……。

著者
谷川 流
出版日
2004-07-01

本作は12月18日から25日が舞台で、時系列的には2巻の後の話になります。シリーズの中でも人気の高い巻で、映画化もされているので映像をきっかけに原作である本作を手に取るというのも良いかもしれません。

有希が話の中心になるので、長門有希が好きな方は何回でも読み直したくなる物語です。この物語での有希は宇宙人ではない普通の女子高生で、そんな有希がキョンと出会い恋心を抱いてしまうような展開を予感させつつ、一方でキョンも、それまでどこか一線を引いて周りを見ていた印象のあるところが少しずつ変わっていく姿が描かれており、2人の揺れ動く気持ちが切なく、読んでいてときめきを感じる方も多いでしょう。

それまでその存在感で周囲を巻き込み、振り回していたハルヒが、この物語では世界が改変されているために少し後ろへ引いた感じになっているのも、本作の見どころです。それまで、良くも悪くもハルヒの存在感に振り回されていた読者も、キョンと一緒にその存在を見つめ直すことができる構成は、読み終わった後にスッキリとした読後感を与えてくれます。

前作(3巻)に収録されている「笹の葉ラプソディ」に繋がる部分もあるので、合わせて読むとさらに驚きや発見を見つけることもできるでしょう。涼宮ハルヒシリーズの中でも1、2を争う人気作なので、このシリーズを読むなら確実に押さえておきたい1冊です。

コンピ研も登場! 夏秋冬のエピソード集

夏合宿も終わり、キョンは残りの夏休みをSOS団のメンバーとは離れ、平和に過ごしていました。しかし、そろそろ夏休みも後半という頃、突然ハルヒからSOS団のメンバーに集合するように連絡がきます。

久しぶりに集まったSOS団のメンバーに、ハルヒは夏休みを満喫する! と宣言をし、花火大会に肝試し、夏祭り、昆虫採集など、翌日からの過密スケジュールを発表するのですが、何故かキョンはその光景に妙な既視感を覚えました。

その後、いったん解散したSOS団でしたが、今度はみくるに呼び出されます。合流してみると、そこには一樹と有希も一緒にいて、キョンは3人から夏休みが終わらないと告げられて……。

著者
谷川 流
出版日
2004-10-01

3巻に収録されている夏合宿の後の話である「エンドレスエイト」、文化祭が終わった後、かつてSOS団にコンピューターを奪われたコンピ研(コンピューター研究会)が、コンピューターの返還をかけて自作PCゲームで勝負をしかけてくる「射手座の日」、キョン達の上級生でハルヒと妙に気が合っている鶴屋さんの別荘へ遊びに行ったSOS団が不可思議な出来事に遭遇する「雪山症候群」の3編が収録されています。

それぞれの時系列は、「エンドレスエイト」は3巻の後の話、「射手座の日」は2巻の後、「雪山症候群」は4巻の後の話です。

3編の物語からなる短編集ですが、前作(4巻)に引き続き長門有希が活躍する場面が多くあるので、有希ファンには嬉しい巻です。

SFエンタメとしてはもちろん、「雪山症候群」では謎解き要素も入り込んできて、ちょっとしたミステリー小説を読んでいる感じも味わえます。また、「射手座の日」では、SOS団と対決するコンピューター研究会のキャラクター達も活躍するので、SOS団メインの他のエピソードとはまた違う面白さを感じられるエピソードになっています。

前作の勢いのまま面白さを継続しているので、4巻、5巻と合わせて一気読みするのもいいかもしれません。

SOS団による映画の詳細がわかる

秋、キョン達の通う学校では文化祭が開催されていました。文化祭で上映するための映画を徹夜で編集していたキョンは、「一人でじっとしている時間も必要だよな」という考えから、軽音部と一般参加のバンドによるステージ発表を見に、体育館へ行くことにします。

気晴らし気分ですっかりリラックスしていたキョンでしたが、ステージの上に現れたのは何とバニーガール姿のハルヒ。そして一足遅れてやってきたのはエレキギターを抱えた有希です。その姿にキョンが呆気に取られているうちに、バニーガール姿のハルヒが歌い始めて……!?

著者
谷川 流
出版日
2005-03-31

2巻で文化祭上映するために映画を自主制作したSOS団でしたが、「ライブアライブ」は文化祭当日、徹夜明けのキョンが思いがけずステージで歌うハルヒを見かけたところから始まる物語、「朝比奈ミクルの冒険 episode00」は自主制作した映画そのものの話で、2巻での映画撮影風景と多くリンクしているのが特徴です。

他に、キョンがいきなり中学時代のクラスメイトから愛しているという電話を受ける「ヒトメボレLOVER」、冬休みに鶴屋さんの別荘で開催された推理ゲーム「猫はどこに行った?」、年を超えた1月、キョンが文芸部の部室にいるみくると遭遇する「朝比奈みくるの憂鬱」の5編が収録されています。

2巻でSOS団が撮影していた映画がその後一体どうなったのか気になっていた方もいらっしゃるかもしれませんが、その答えがこの回に描かれています。文化祭で上映されたことはもちろん、どんな映画になったのかも「朝比奈ミクルの冒険 episode00」で描かれているのも嬉しいところです。

他にも、「ヒトメボレLOVER」では有希、「朝比奈みくるの憂鬱」ではみくると、SOS団のメンバーがそれぞれメインになって描かれており、各キャラクターの個性をより知ることができる1冊になっています。

みくるがメインヒロインになる唯一の長編

ある日の放課後、キョンがいつものようにSOS団の部室に行ったキョンは、そこで何故か用具入れに入っているみくるを発見します。みくるの謎の行動を不思議に思うキョンでしたが、みくるはキョンも用具入れに隠れさせました。すると、外から物音が聞こえ、部室に誰かが入ってくるのがわかりました。こっそり覗き見てみると、それはなんとみくる。

驚いているキョンに、用具入れの中のみくるは、自分はキョンに言われて8日後の未来からやってきたのだと説明します。そんなことを言われても、もちろん今のキョンには訳がわかりません。それでもキョンは、何をしていいかもわからないままみくると一緒に行動することになるのですが……。

著者
谷川 流
出版日
2005-08-31

涼宮ハルヒシリーズの長編ものの中では、唯一みくるがメインヒロインとして活躍する話です。時系列的には三学期で、前作(6巻)収録の「朝比奈みくるの憂鬱」の後になります。

シリーズの大筋を読み解いていくためには重要な長編ものとなっており、全体を通して後の伏線が散りばめられており、今後の物語への期待へと繋げてくれています。また、初読ではそういった伏線は予想でしか読めませんが、後に続く物語を読んだ後に再読すると、また面白い一面を発見できるかもしれません。

分量はかなり多く、読み応えはたっぷり。しかし、最後までテンポの良い会話や描写で飽きることなく読ませてくれるのは、涼宮ハルヒシリーズを通しての特徴と言えるでしょう。

本作はみくるがメインヒロインとなっているので、みくるが好きな方にとってはさらに面白く読むことができます。前後に繋がる涼宮ハルヒシリーズの重要部分の巻なので、ぜひじっくりと読んでみてください。

SOS団アジトの危機!? 生徒会長も登場!!

三学期に入り、相変わらず文芸部の部室をアジトにしていたSOS団でしたが、ある日、生徒会長から有希が呼び出しを受けました。何事かと思いながらも生徒会室へ行くと、そこで生徒会長から文芸部の廃止を告げられてしまいます。確かに文芸部は、部員が有希1人で、部室もいまやSOS団の部室となっており、廃部になってもおかしくありません。

しかし、文芸部がなくなってしまえば、SOS団もアジトを失ってしまうことになります。怒ったハルヒが生徒会室に乗り込み抗議をすると、生徒会長は存続の条件として、文芸部らしく会誌を作り、指定の期日までに指定の部数を配布すること告げます。ハルヒ達は、アジトを守るために条件をクリアしようと活動し始めますが……!?

著者
谷川 流
出版日
2006-04-28

「編集長★一直線!」の他、入学から1年経ち浮いていたハルヒもそこそこクラスに馴染み始めた頃にクラスメイトから飼い犬の様子がおかしいと相談を受ける「ワンダリング・シャドウ」の2編が収録されています。時系列的には、前作(7巻)に続き、三学期から3月にかけての話です。

「編集長★一直線」の見どころは、やはり会誌を作るためにSOS団のメンバーがそれぞれ小説を書くところでしょう。各メンバーの書いた小説はちゃんと作中に書かれているので、読者も劇中劇的に楽しむことができます。いずれもメンバーの個性が光りつつ、中にはハルヒの横やりがきっちりと入っており、第8作までシリーズを楽しんできた読者にとっては、楽しめるポイントになっています。

シリーズもだいぶ長くなってきており、内容的にはややそれまでと被ってしまう印象もあるのですが、物語の舞台が三学期と、シリーズの中ではこの時点(8巻)で一番新しくなっていることもあり、第1作である「憂鬱」と比べ、キャラクター達の成長が垣間見れるのは、長編シリーズならではの楽しみと言えるでしょう。新鮮さよりも安定した面白さを期待できる1冊です。

分裂する大長編物語の始まり

春休みを終え、キョンを始めSOS団のメンバーもそれぞれ無事に進級、キョンとハルヒは再び同じクラスで相変わらずの日々を過ごしています。

そんな中、古泉は1人神人狩りに奮闘していました。その原因は、ハルヒの精神が不安定なためらしいのですが、キョンにはハルヒはいつも通りにしか見えません。しかし古泉は、ハルヒが不安定なのはキョンに原因があると言うのですが……!?

著者
谷川 流
出版日
2007-03-31

ここまでの巻は、それぞれ1巻から順番に素直に時間が進むわけではなく、時間を行ったり来たりしながら描かれていましたが、本作ではいよいよ入学から1年経ち、SOS団のメンバーも進級を果たしました。それまでの間あちこちに散りばめられていた伏線が、この巻で回収されているものも多く、読み進めるうちに過去の巻を読み直してみたくなることもあるかもしれません。

タイトル通り、ストーリーは途中で「α」と「β」の2つの時系列に分裂していきます。「α」の時系列ではSOS団のメンバーが平和的に過ごしている一方、「β」ではSOS団が襲撃を受けたりと不穏な展開をしていきます。読み応えはたっぷりなので、シリーズ長編ものとして期待通りの面白さを提供してくれるでしょう。

ただ、分裂するストーリーに加え、次作へと繋がっていく伏線がたくさんある流れは、今後への期待と同時に読んでいる時点では訳がわからないものでもあるので、混乱してしまうこともあるかもしれません。

本作はもともと、次作である「涼宮ハルヒの驚愕」と合わせて前編後編作になる予定でしたが、後に「驚愕」が前後編になったので、本作は前中後の前編に当たることになりました。そういうこともあり、本作のラストは、いわゆる「続く」形になっているので、ラストの結末で一気に読みたいという方は、ぜひ次作の「驚愕」を準備してから一気に楽しんでみてください。

キャラクター総登場! 分裂する物語の完結

「α」の時系列では、SOS団は新たな部員獲得を目指し、新入生勧誘に動いています。一方、「β」では、不思議探索のパトロールに出ていた有希が具合を悪くし、倒れてしまいました。その連絡を受けたハルヒは、SOS団のメンバーと共に有希のマンションへ行き、看病をすることにします。

病んで弱っている有希を前に、自らの手で有希を治すと決意したキョンはハルヒ達と別れ、マンションを飛び出しました。そして、目当ての人物を線路の向こうに見つけたキョンがしたこととは……?

著者
谷川 流
出版日
2011-06-15

前作「涼宮ハルヒの分裂」で、文字通り「α」と「β」の時系列に分裂したストーリーは、そのまま本作「涼宮ハルヒの驚愕」へと続いています、「驚愕」は前編後編と分かれているので、前作と合わせると、前中後編の中後編にあたり、全編は4章から、後編は7章から始まっています。

本作は、古泉が活躍する話でもあり、彼が好きな方にとっては見どころ満載と言えるでしょう。また、ここまでの長いシリーズの中で登場したキャラクターが総登場する巻でもあり、分量の多さはもちろんのこと、これまで全ての巻を読んでいる方にとってはかなり読み応えを感じるかもしれません。

「α」では、SOS団に新団員候補のキャラクターが現れ、比較的平和なストーリーが繰り広げられるのに対し、「β」は不穏な空気が全面に出ており、最後までハラハラしながら読むことができます。何より、どうして時系列が分裂しているのか、それらが繋がった時、キャラクターに訪れる変化はどんなものなのか、2つの時系列が収束し再び1つになっていくラストはハラハラものなので、ぜひ手に取って確認してみてください。

いかがでしたか? 数あるライトノベルの中でも大人気作として名高い涼宮ハルヒシリーズ。人気があるということはそれだけ多くの人に受け入れられているということなので、ライトノベルを読んだことのない方の最初のラノベとしても良いかもしれません。特に第1作はラストもきれいにまとまっているので、まずは1巻だけでもぜひ読んでみてください。

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