「あなただけの色で、あなただけの世界を作る絵本」
今日の一冊目は、画集やポストカード、グッズも人気のヒグチユウコ氏の「ぬりえができる絵本=塗り絵本」。猫の姉弟が、色んな動物に会いながら姿形を変えていく、不思議な世界を巡る冒険が塗り絵になっています。食べられてしまいそうになったり、心細い気持ちになったり、ワクワクドキドキしながら1ページごとに自分の色をつけていくことができます。この絵本は猫だけじゃなく、たくさんの生き物が出てきます。ちょっとリアルに擬人化された動物たちがとっても魅力的! 読むだけじゃなくて、自分だけの絵本にカスタマイズできるのもステキ!プレゼントにもおすすめの一冊です。
「エドワードばっかり…ずるい!」
先日、地下通路で開催されていた絵本マルシェでたまたま手に取った一冊です。
人間でも展開できるはずのストーリーを、あえての猫に擬人化として描かれています。著者のフランツと絵を描いたアリキは夫婦で、この絵本を描いたそうです。(二人の描く世界には、この本の他にも擬人化された猫が登場するので、注目です!)
主人公のエリザベスは、風邪を引いた弟のエドワードが家族みんなに優しくされる一方で自分はほったらかしにされてしまい、どんどん嫉妬と羨望の気持ちを募らせていきます。単なる「かまってちゃん」ではなく、自分のことも気にかけてほしい…あの子だけズルい…自分も同じになれば、みんなに優しくしてもらえるかも…兄弟や姉妹がいる人は幼い頃、一度はそんなことを思ったことがあるのでは? そんな複雑な気持ちを、シンプルな文章とユニークなイラストで綴っています。
そしてこのタイトル、意訳を色々考えましたが『あたしも風邪を引きたいな!』『あたしのこともかまってよ!』…うーん、どれもしっくりこないので、やっぱり『びょうきになりたいな!』が一番的を得ていますね! 出版から30年以上経つ今、出版当時は生まれていなかったわたしにもすごいインパクトなのですから…このストレートすぎるセンス、最高です!(笑)
エドワードがうらやましくなったエリザベスがその後どうなったかは、ぜひみなさん自身でページをめくってみてくださいね。
「そうだ、ぼくはチャオがすきだ チャオのためになんかしてやりたい それができる気がする!」
最後にご紹介するのは、今春、IT'S DEMOなどの人気ショップでグッズのコラボ展開があったばかりのユニコ。このビジュアルが記憶に新しい人も多いのでは? 『ユニコ』はブラック・ジャックや鉄腕アトムなどを手がける巨匠、手塚治虫先生が描く作品の一つです。ユニコーンの男の子、主人公のユニコの他にも悪魔や美の女神ヴィーナスなど、ファンタジックな世界にさまざまなキャラクターが登場しますが、その中の一人(?)が、子猫のチャオです。
笑顔がキュートなチャオは、親切でお茶目で、ユニコを助けてくれるかわいい子猫。なんとユニコの魔法で人間の女の子に変身しちゃうのです。真面目で優等生タイプのユニコと、ちょっぴりおてんばなチャオはとってもいいコンビ! ぜひ、作中のかわいい仕草に注目して読んでみてくださいね。
手塚作品には他にも『W3』のボッコ隊長や『青いブリンク』、『ヴァンパイア』など、かわいいだけじゃなくて仕草や体つきもどことなく色気を匂わす、不思議な動物がたくさん登場します。(野原を駆ける一コマだけ出てくるウサギさんとかに至っても…)
だけど一番のオススメはやっぱり、幻想的な作風に魅力的なキャラクターがたくさんの、この『ユニコ』です。微笑んだユニコが表紙の単行本、手に取っただけでもワクワクしちゃいますね!