新沢としひこのおすすめ絵本5選!子どもの歌など手掛ける作詞家

更新:2021.4.5

作詞家、シンガーソングライターとしてマルチに活躍する絵本作家、新沢としひこの作品をご紹介します。作中の表現や発表形態にも注目してみてください。

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作詞家としても活躍する絵本作家、新沢としひこ

学生時代からライブハウスに出演するなど、精力的に音楽活動を続けていた新沢としひこ。保育士を経験した後、中川ひろたかと運命的な出逢いを果たし、新沢の作詞、中川の作曲で保育雑誌『月刊音楽広場』(現『月刊クーヨン』)にて歌の連載を始めます。小学校の音楽の教科書でも取り上げられた「世界中のこどもたちが」は、この連載から誕生した歌です。

1996年に発表されて以来、卒園シーズンの定番ソングとなっている「さよならぼくたちのようちえん」も新沢と中川のコンビによる楽曲。子育て世代のお父さん、お母さんは楽曲だけでも聴いたことがあるかもしれません。

音楽を主として活動してきた新沢ですが、1996年、中川との楽曲「にじ」を楽譜付きの絵本としてリリースし、絵本作家としてのデビューを飾ります。以降、絵本作家、児童文学作家としての活躍も始め、数多くの作品を発表してきました。

そんな新沢が手掛けた絵本は、自身の創作した歌詞に絵をつけた作品や、楽譜までつけた作品が多く、お話を読む絵本というよりは絵本の体裁をとった詩集か楽譜集と捉えた方がよい作品も多く出版されています。

絵本を通して音楽と触れ合える新沢としひこの絵本。今回はその中から5作品をご紹介します。

はじめましてのごあいさつ、ちゃんとできるかな?

はじめましての自己紹介。みんなちゃんとできるかな? ねこくん、ぞうさん、ピアノさん、みんなではじめましての自己紹介をします。新沢としひこが作詞作曲した「はじめまして」という歌の歌詞と、大和田美鈴の可愛らしい絵で子どもたちを釘付けにする絵本です。

楽譜まで付いているので、キーボードなどがあるご家庭では、読んで、歌ってと二度美味しい作品となっています。

著者
新沢 としひこ
出版日
2003-03-01

ただ読むだけでなく、歌いながら読めるというのは、子どもの興味を引きやすいでしょう。

歌詞が文になっているので、ただ読むだけでも、リズミカルに言葉がスッと頭に入ってきます。それが、楽譜に合わせて歌えばちゃんとした歌になるのですから、歌が大好きな子どもたちにとってはたまらないでしょう。

絵本を読むときも常に音楽を感じさせてくれる、新沢のミュージシャンとしての魅力がとても強く出た作品です。

音楽と絵が共演した、新沢としひこの絵本仕立ての楽譜集

本作は、厳密にいうと絵本ではありません。楽譜集に絵本作家である、ささめやゆきの絵がついたと言ったほうがしっくり来るかもしれません。

冒頭で中川ひろたかと新沢としひこが音楽でコラボレーションしていることを書きましたが、この作品では、その2人の名曲12曲を上田浩司がピアノアレンジ。ピアノソロ用の楽譜として刊行されました。

著者
["新沢 としひこ", "上田 浩司"]
出版日

もちろん、楽譜集ですからその楽譜がメインなわけですが、新沢の歌詞が描きだす情景には、絵本作家のタッチが実に良く合います。数多くの絵本を手掛けるささめやゆきの絵は、ピアノアレンジされた曲の雰囲気もしっかり捉えており、曲と詩と絵の素晴らしい三位一体を見せます。これは、普通の絵本では味わえない感動でしょう。

お子様と読むのにはやや向かない本ですが、新沢と中川コンビの楽曲を手軽に弾いてみたい方、その世界観をより楽しみたい方には自信を持っておすすめします。

新沢としひこと中川ひろたかの祈りがこもった名曲を写真絵本に

冒頭でも書きましたが、「世界中のこどもたちが」は、小学校の教科書にも載っているほど有名な曲です。子育て世代のお父さん、お母さんは、お子様の幼稚園、保育園でも聞いたことがあるかもしれません。

シンプルながら、子どもたちへの希望と深い愛情を歌ったこの歌をテーマにした写真集が本作です。

著者
新沢としひこ
出版日
2010-10-16

ある意味で、この作品は未来への「祈り」です。

本書に掲載されている子どもを被写体とした写真は、フィルターをかけることなく、ありのままの子どもたちの表情を切り取っています。見ているだけで微笑が漏れてしまうような、子どもたちの輝く表情ですが、それが当たり前であるのは平和があるからこそです。

「世界中の こどもたちが いちどに 泣いたら 空も 泣くだろう ラララ 海も 泣くだろう」
(作曲:中川ひろたか、作詞:新沢としひこ『世界中のこどもたちが』より引用)

この歌詞のように、世界のどこかでは、今この瞬間も、空すら泣くような紛争に巻き込まれ、泣いている子どもたちがいます。この写真集に収められた子どもたちの笑顔は、本当は尊いものなのです。

だからこそ、守っていきたい、この笑顔が当たり前である日々が、ずっとずっと続きますように。そしていつの日か、世界中のこどもたちが笑える日が来ますように……。そんな祈りが込められているのです。

子育てに行き詰った時や、辛くなった時に、ちょっと一休みして見て欲しい。そんな素敵な一冊です。

大島妙子の絵で送る、子どものありのままの姿を描いた絵本

みちるちゃんとさとるくんが、かばのブイブイの絵本をめぐって喧嘩を始めてしまいます。みちるちゃんが「ブイブイはわたしのともだち」だからと言って、さとるくんに絵本を見せてあげなかったからです。それを見ていたももこちゃんから鶴の一声。「ともだちのともだちはともだちなんだよ」

みちるちゃんとさとるくん、仲直りできたかな?

著者
新沢 としひこ
出版日
2002-02-01

今まで紹介した作品は、新沢の作詞家、シンガーソングライターとしての仕事から派生したような作品が多かったのですが、この作品は絵本作家としての姿が前面に出ている作品です。

独占欲が強く、友達まで独占しようとする子、確かにいますよね。みちるちゃんとさとるくんが、絵本の取り合いで喧嘩になった時、ももこちゃんの鶴の一声が響きます。「ともだちのともだちはともだち」、少し懐かしいフレーズですが、子どもたちにとって、その言葉は真理とも言えます。

不思議なもので、子どもたちは名前なんか知らなくても、いっしょに遊んで楽しければ、それだけで仲良しになってしまうものです。子どもたちの子どもたちらしさがギュッとつまったこの絵本。幼稚園や保育園に入り、お友達が増えだす頃に読んであげたい一冊ですね。

新沢、中川コンビの名曲をあべ弘士の絵に乗せて

暑い夏休み、汗だくになって走り回ったあの日。虫取りや魚釣り、自転車での小旅行。色んなことをして遊んで、色んなことに挑戦して、上手くいかずに失敗したこともたくさんあったけど、それも今は、キラキラ輝く大切な思い出となっていることでしょう。

「それはすばらしい夏のある日」は、子ども時代の夏休みを思い出し、誰もが「あった、あった」と共感してしまうような歌です。

その歌の歌詞を、『あらしのよるに』の絵を手がけたことでも有名なあべ弘士のイラストで絵本に仕上げたのが本作です。

著者
新沢 としひこ
出版日

本作で描かれている『それはすばらしい夏のある日』の歌詞は、読んでいる内にどんどん懐かしい子ども時代の夏休みのことが思い出されるような力があります。

暑くて、汗だくでハアハア言いながら、上手くいかなくても、失敗しても、とにかく楽しくてしょうがなかったあの頃。蝉の声や木陰の涼しさに思わず溜め息が漏れたこと、派手に転んで擦りむいて大泣きしたけど、何だか楽しくてしょうがなかったことなど、歌詞に無いことまで鮮明に思い出されませんか?

お子様に読んであげても、大人ほどの感動はないかもしれません。けれども、これからお子様の夏休みを迎えるお父さん、お母さんにぜひ読んでみていただきたい作品です。

新沢としひこは幅広い世代に共感を呼ぶ作詞家です。それは、音楽活動に限ったことでなく、絵本、書籍作品の面でも同じことがいえるのは、今回の記事でお分かりいただけるかと思います。

お子様といっしょに楽しむだけでなく、お父さん、お母さんの癒しになる作品も発表しています。この記事を機会に、彼の作品に触れていただけたら幸いです。

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