漫画『はいからさんが通る』の登場人物は女子より男子の方が上品だった!?

更新:2021.11.25

言わずと知れた名作少女漫画『はいからさんが通る』。2017年にアニメ映画化される作品です。実は本作は女性キャラの癖が強く、男性キャラの方が上品だということを知っていましたか?今回はそんな登場人物たち、ストーリーの見所をご紹介します!

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漫画『はいからさんが通る』の魅力を登場人物と見所からネタバレ紹介!

著者
大和 和紀
出版日
2016-12-13

大正時代のモダンガールと陸軍少尉の恋愛を描いた『はいからさんが通る』。本作の魅力はドラマチックな展開ではあるものの決して暗くはないストーリーです。

時代背景的に戦争の影があったり、関東大震災があったりしますが、あくまでこれは展開の一部。本作の魅力は明るく快活な主人公・紅緒と周囲のキャラクターが織りなす日常のドタバタなのです。

そんな登場人物が魅力的な『はいからさんが通る』ですが、実はキャラ設定が男子の方が上品。女子が破天荒な人が多い作品なのです。今回はそんな本作のストーリーの見所、登場人物、をご紹介します!

『はいからさんが通る』は激動の大正ロマンを描く!【あらすじ】

舞台は大正時代の日本。モダンガールと呼ばれる先鋭的な考え方、身なりをした花村紅緒が主人公です。

彼女は跳ねっ返りのじゃじゃ馬娘。木に登る、お酒に酔ってべろんべろんになるなど、当時の女性には考えられないような振る舞いで周囲を驚かせます。

そんな紅緒はある日、許嫁だとして伊集院忍という男性を紹介されます。彼に何か惹かれるものを感じながらも、素直になれない彼女はさまざまな騒動を巻き起こしてそれに抵抗します。

しかし日を追うごとに、徐々にお互いの思いが通じ合うようになり、晴れて両思いとなります。幸せな日々を過ごすふたり。

ところがその仲を裂くのが戦争という時代の流れでした。忍は戦場へ向かい、それからしばらくして紅緒は彼が戦死したという知らせを受けます。

悲嘆にくれる紅緒でしたが、上司の青江冬星によって何とか日々を過ごしていました。

と、そこに忍に瓜二つのロシアから亡命してきたというミハイロフ侯爵が現れ……。

コミック版では全8巻、文庫版では全4巻で描かれる壮大な大正ロマンラブストーリーです。

『はいからさんが通る』の見所をネタバレ紹介!紅緒のはちゃめちゃっぷり!

著者
大和 和紀
出版日
2016-12-13

本作での見所のひとつが何と言っても紅緒のはちゃめちゃさ。現代の私たちでも彼女のひどさに驚かされるくらいですので、これが大正だったら頭のおかしい人と見られても仕方ないのでは、と思ってしまうところがあります。

特にひどいのが酒癖。彼女自身は美味しそうに飲むのですが、その量が半端ではない。結局は周囲の言葉もお構いなしにどんどん飲んでしまい、さまざまなトラブルを引き起こすのです。

女の子なんだからもう少し大人しくしていれば、とも思えるのですが、そこが彼女のいいところ。

こんな酒乱という特徴も含め、自分の意のままに道を進んでいく紅緒の様子に元気付けられるのも確か。

彼女の主人公らしい前向きさとはちゃめちゃっぷりがこの物語を明るくしています。

『はいからさんが通る』の見所をネタバレ紹介!ドラマチックな時代に翻弄される恋

著者
大和 和紀
出版日
2017-01-13

 

本作は紅緒のキャラクターが中和してくれているとはいえ、時代背景的にシビアな雰囲気があります。第一次大戦と第二次大戦の束の間の平和な時期ではありますが、日露戦争のあとのシベリア出兵が物語に暗い影を落としているのです。

日本は7万人以上もの兵を戦場に送り、約3000〜5000人もの命が犠牲になったと言われるこの出来事。物語でもその残酷さを感じ取ることができます。

このように人の命が国の命令ひとつで失われてしまう可能性がある時代だからこそ、紅緒の明るさ、そして彼女と忍の恋愛模様が引き立つのです。

また徐々にふたりが互いに惹かれあっていく日常展開、いっときの平和を享受していた場面から、戦中の激動の展開へのギャップも見事。どんどんストーリーに引き込まれていく要因になっています。

戦争のことを知るのは怖くて気が重い側面もあるかと思いますが、このように物語として触れることで歴史に興味を持つ、歴にに触れる良いきっかけにもなるのではないでしょうか。

 

登場人物1:大正時代のモガのイメージをつくった!【花村紅緒】

著者
大和 和紀
出版日
2017-01-13

おてんばでいつでも明るい、The!少女漫画の主人公という性格の紅緒。彼女は大正時代ののモダンガール(モガ)のイメージをつくったと言っても過言ではない、時代のアイコンのようなキャラクターです。

えび茶色のミモレ丈の袴、ハーフブーツに頭のリボンといういでたちで、当時では珍しかった自転車を乗りこなす彼女。絵柄は古い本作ですが、紅緒たちのファッションは今でもおしゃれに映るモダンさがあります。

そして彼女のキャラクターを語る上で外せないのが酒乱で喧嘩っぱやいということ。性格は明るく快活でまさにヒロインという感じですが、すぐ手が出て、しかも17歳で酒乱とはなかなか珍しい設定です。

王道なのに無軌道、そんなハチャメチャぶりに引き込まれるヒロインが紅緒です。

登場人物2:ハイスペックな少尉様!【伊集院忍】

著者
大和 和紀
出版日
2017-02-13


若くして陸軍の少尉であり、社交界の花としてモテモテな忍。伊集院伯爵の息子とドイツ出身の女性との間に生まれたハーフということで見目麗しい容姿です。

登場の序盤からピンチの時に紅緒を必ず救ってくれる、これこそまさにThe!少女漫画のヒーローという人物です。同じく王道のようで実はそこから外れた性格を持ち合わせているの紅緒に対し、彼は王道を完璧に地でいきます。

整った顔立ちで社交界でも噂される存在ではあるものの男らしいところもあり、戦場では部下のために命を投げ出すという一面もあるのです。そしてそのせいで悲しい運命に巻き込まれていくことになります。

どちらかというと紅緒よりも上品さがあり、それでいて男らしい気骨も持ち合わせたヒーローが忍です。

登場人物3:毛量がすごいw美男子編集長【青江冬星】

著者
大和 和紀
出版日
2017-02-13


紅緒が勤めることになる出版社・冗談社の社長と編集長を兼任している冬星(とうせい)。紅緒が青ざめるほどの美男子で、カールした綺麗な髪の毛が特徴です。

彼はとにかく毛量がすごい。辛い生い立ちから自分の容姿を嫌っているのですが、その理由から顔を髪で隠しています。ある顔のアップのコマでは2/3が髪の毛で占められているほど。

そんなともすればギャグになりそうなキャラクターですが、冬星はかなり上品な人物です。母の元恋人との間に生まれたという複雑な生い立ちから繊細な性格の彼。

紅緒のことを想うようになりますが、彼女が行方不明になってしまった忍に未だ惹かれていることを知ると彼を忘れられるまで待とうと決めるのです。無理やり奪おうとしないところに性格の良さを感じさせられます。

毛量がすごい、上品美男子が冬星なのです。

登場人物4:忘れられない元夫に似ている忍を我がものに……【ラリサ】

著者
大和 和紀
出版日
2017-03-13


物語の終盤に出てくる、イライラしてしまう役どころのラリサ。行方不明で戦死扱いとされていた忍が記憶喪失になっているのをいいことに、瓜二つの死んでしまった元夫の代わりとして一緒に生活させます。

とにかくその様子にイライラさせられるのです。紅緒がカラリと明るい正のパワーを持っているのに対して、ラリサは死期が近いこともあり、どこか粘着質。強すぎる好きな人への執着には、冬星を見習ってほしいと感じさせられるものがあります。

最終的には憎めない人物になるのですが、それまでのラリサの様子にはモヤモヤ。ストーリーのキーパーソンですが、複雑な気持ちにさせられるキャラクターです。

『はいからさんが通る』の魅力を原作漫画で楽しもう!

著者
大和 和紀
出版日
2017-03-13


ストーリーで重要となってくる登場人物たちを紹介しましたが、まだまだこれはほんの一部。まだまだ魅力的な登場人物たちがいます。ぜひ作品で彼らに会いにいってみてください!

 

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