文芸

石坂洋次郎のおすすめ作品5選! 映画・ドラマ化された『青い山脈』他

更新:2017.7.4 作成:2017.7.4

石坂洋次郎は青森県出身の日本の作家です。数多くの小説を手がけ、また作品は映画化も多くされています。今回はそんな石坂洋次郎の本を5冊ご紹介します。

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石坂洋次郎とは?

小説家である石坂洋次郎は1900年に青森県弘前市代官町で生まれました。慶應義塾大学国文科を卒業しています。その後、青森県で高校、中学の教諭を経験しました。その時の教え子であったジャーナリストのむのたけじは、石坂は教室で人を解放させるあたたかな雰囲気を持っていたと言います。

戦後に『青い山脈』を新聞に掲載すると、たちまち大ブームになり映画化されました。石坂は数多くの映画化、ドラマ化作品を持つので「百万人の作家」と呼ばれているほどです。

何度も映画化された、石坂洋次郎の大人気作品『青い山脈』

これまでの封建的な伝統を重んじた女子高校を舞台に男女交際をめぐる物語です。伝統に立ち向かっていく主人公の寺沢新子がいきいきと書かれています。

この小説には2組の男女が登場しますが、そのうちの1組が寺沢新子と希望大学に合格するため浪人をしている金谷六助、もう片方が寺沢新子の担任である島崎雪子と学校医の沼田玉雄。

寺沢新子に反感を持つ学生が彼女宛に送った偽のラブレターが、いつしか街を揺るがす大事件にまで発展してしまい……。
著者
石坂 洋次郎
出版日
上にも書きましたが、この作品は1949年、57年、63年、75年、88年と5回にわたり映画化されるほどのベストセラーです。幅広い年齢の方がこの映画に親しまれ、愛されてきた作品となっています。

この作品では男女交際のあり方をめぐって、先生と生徒が激しい議論を交わします。この時代はお見合い結婚が当たり前だったので教師は古い固定観念にとらわれ、清く正しくただ相手を素直に愛したい生徒達をどうにか丸く収めようと両者は激しくぶつかり合うのです。

この小説では自分とはちがう考えを持った人間達に真っ向から立ち向かい、自分たちの手で新しい時代を作ろうと奮起する姿を感じることが出来ます。読者に勇気を与えてくれる、そんな作品です。

偶然かそれとも必然か『陽のあたる坂道』

この作品の主人公である倉本たか子は、陽のあたる坂道にある田代家の娘の家庭教師となります。たか子は時が経つにつれ田代家との仲を深めていきました。ある時、田代雄吉にたか子が住んでいるアパートの隣の住人である信次と、田代家の息子である民夫がとても似ていると言われます。

その後信次と民夫は異母兄弟であることがわかってから、物語は突然急展開し始めて……。
著者
石坂 洋次郎
出版日
この小説では個性豊かな登場人物が生き生きと描かれているのが魅力の一つになっています。そしてストーリーの構成がとても濃密なのです。二つが合わさったこの作品は石坂洋次郎の最高傑作とも呼び声高いです。

なんといってもこの小説の最大の魅力は、登場人物のセリフがとても自然で生き生きしてる点になります。石坂洋次郎の作品は多数映画化されている、と冒頭で述べましたが、映画の脚本家は彼の書くセリフはとても自然であるため、映画にそのまま使えると太鼓判を押しています。

もちろん、『陽のあたる坂道』でも主演の石原裕次郎と北原美枝が、小説に出てくるセリフをそっくりそのまま話している場面があり、そこの点に注目しながら映画を見るのも一つの楽しみ方でしょう。

この小説では登場人物が人にはいえないような秘密を抱え、そのことに対してもがき苦しみますが、それでも前を向こうと奮闘します。あなたは今、何かに苦しんでいますか? 重荷を誰にもいえず抱え込んでいませんか? ぜひ、この小説を読んで登場人物から前を向く力をもらってはいかがでしょうか。

田舎町で教師として奮闘する青年を描いた『何処へ』

都会で生まれ育った新任教師、伊能琢磨が田舎に赴任します。彼は都会の高潔さ、知的社会をそこに根付かせようとしますが、生徒や父母、同僚である教師に振り回され、なかなかうまくいきません。しかし彼はそこで諦めるのではなく、先駆者というものはいつもこういうものであるとめげずに田舎に住む人間達に向かっています。

そんな人間関係の中で紆余曲折しながらも教師として成長していく伊能の姿を描いた作品です。
著者
石坂 洋次郎
出版日
この作品も上の二作と同様に1964年に映像化されています。独特のユーモアが溢れた作品となっており、庶民派な物語だといえるでしょう。先生という、どの年齢の方にも馴染みのある職業の人物を取り入れ、内容も何歳になっても悩むような、躓いてしまうような事柄を扱っています。

あなたの周りにもこんな人いませんか?自分の持っている理想のラインにみんなを上げようと努力する人。人は一つの目標のため、特に理想を実現するためならば一生懸命に取り組むことができるのでしょう。

その中で成長し、嬉しいことも経験し、また苦しみや悲しみもしるのです。いろんな人との関わりを持つことである男が成長していく物語となっています。

石坂洋次郎の短編集。大人の恋を描く『霧の中の少女』

この本は短編小説です。今回は表題作である「霧の中の少女」をご紹介します。

ある時、金井妙子は姉・金井由子宛に届いた手紙を由子が不在なのをいいことに勝手に読んでしまいます。その手紙には上村英吉という男からのもので、今旅の途中なので家に泊まらせてもらえないかという内容のものでした。

妙子は両親を頑張って説得しようと試みますが両親はなかなか承諾してくれません。すると、祖母が両親に彼は由子の将来の婿だから泊めてやれと助言します。英吉は泊まることになり、そこから妙子、由子、英吉の3人の距離は急速に縮まるのですが……。
著者
石坂 洋次郎
出版日
1959-10-25
「霧の中の少女」では当時の男女観がうかがえるでしょう。上に記した3人は、みんなで仲良くお風呂に入ります。この時代は旅先での温泉でも混浴が多かったのです。

この作品は上にも記した通り、短編集となっていて内容としては、「人生」「女同士」「若い娘」「くちづけ」「危険な年齢」「霧の中の少女」「冬山の幻想」「婦人靴」「青い芽」「乳母車」が含まれています。いずれにも、思春期特有の危うい強さが滲み出ています。

自分が成長し、大人になって当たり前だと思っていたことも、ふと昔の自分を思い返してみるとそうではないと気づくことはありませんか? ぜひこの作品を読んで、昔の思い出を呼び起こしてみてください。

困難の先に見える景色とは?『山のかなたに』

この作品の主人公は、母と共に洋裁塾を経営する井上美佐子、高校の物理化学の教師・上島健太郎の2人です。高校では、不良気取りの学生が後輩を従え乱暴を働いています。ですが、上島はそんな学生に対し「生徒達は自分達でその過ちに気づかなければ意味がない」と言って消極的な態度を取り、自分から積極的に生徒に関わろうとしません。

そんな中、国語教諭の山崎から美佐子へ宛てたラブレターを預かっていた美佐子の弟が、不良学生にそのラブレターを取られてしまったことが発端となり事件が起こり……。
著者
石坂 洋次郎
出版日
この作品のテーマの中心は恋愛と性になっていますが、性はあくまでも結婚や出産といったものを指します。あくまで人間の本能的な部分よりも理性的な部分を大きく取り上げた物語といえるのではないでしょうか。

この作品を読むことによっていつの時代でも人の価値観を変えるということは、相互に認め合い、許しあうことであり、またそれに伴う勇気を持つことがとても大事だと学ぶことができます。

苦手なものに対して、努力して立ち向かうことってとても怖いですよね。ですが、その怖い気持ちをぐっと我慢して立ち向かったからこそ、山のかなたに美しい景色が見えるのでしょう。

ここまで石坂洋次郎の5作品を見てきましたがいかがだったでしょうか? 彼の作品はみずみずしい恋愛ものが多く、そのみずみずしさは変わらず映画の中にも残っています。小説や映画、どちらか片方だけでなく、小説の内容を踏まえながら映画も見るのもまた楽しみの一つと言えるでしょう。