漫画『僕のヒーローアカデミア』の魅力にキャラから迫る!【ネタバレ注意】

更新:2021.11.7

これが次世代少年漫画の王道!「週刊少年ジャンプ」で大人気連載中の話題作、ヒーローが実在する超人社会を描いた若者の成長譚『僕のヒーローアカデミア』。アニメも好評放送中のこの人気作の魅力を、登場キャラを交えてたっぷりご紹介したいと思います。

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漫画『僕のヒーローアカデミア』の魅力を本気でネタバレ紹介!

著者
堀越 耕平
出版日
2014-11-04

あなたには「なりたい自分」がありますか? 特別な1人になりたいと思ったことはありませんか? 勉強、スポーツ、地位、名誉……他人より優れた力を持ちたいと思ったことは?

『僕のヒーローアカデミア』主人公の緑谷出久(みどりやいずく)、通称デクも人並みに、いや人並み以上に特別な存在に憧れる少年です。その特別な存在とは「ヒーロー」。困った人の元に駆けつけて、問題をすぐさま解決する正義の味方。現実でも小さな子供が特撮番組に影響されて憧れるものですが、デクの場合は違います。

本作の世界には、ヒーローがれっきとした職業として実在するのです。

世界総人口の約8割が、なんらかの超常能力を持つ世界。人が日常生活を送るのと同じレベルで火を吹き、雷を起こし、空を飛ぶのが当たり前となっています。

そういった超常能力のことを作中では“個性”と呼びます。そこに住む者達にとっては、超常現象のある非日常が日常なのです。その他は現実社会と大差ありません。残念なことに現実と同様、犯罪も起こります。ただし、現実と違って“個性”を用いた犯罪です。

弱い能力なら警察でも問題ありませんが、中には手に負えない強力な“個性”を持った犯罪者も現れます。そういった犯罪者を「ヴィラン(敵)」と言いますが、そんなヴィランに対抗するのがこの世界のヒーローです。

本作で最も特筆すべきなのは、そのような超能力を持った超人や、正義の味方であるヒーローが日常に当たり前に存在するという点でしょう。特別な能力が特別ではない世界。作中では超人ではない方が珍しい、という逆転現象まで起こっています。現実とよく似た世界、社会に、“個性”という要素が加わるだけで、こんなにも劇的に変わるというのが面白い!

そんな一風変わった世界観でありながら、ジャンプ漫画の王道「友情・努力・勝利」をしっかり踏襲。それでいて逆境を機転で切り抜ける知略の面もあり、登場人物が“個性”を駆使するだけあって実に個性的。

『僕のヒーローアカデミア』は個性豊かなデク達ヒーローの卵が、ヒーロー育成校「雄英高等学校」に通って切磋琢磨しながら職業ヒーローを目指し、社会の敵ヴィランに立ち向かう物語です。そんな本作の魅力の一端を、キャラの側面からご紹介したいと思います。

『僕のヒーローアカデミア』あらすじ

著者
堀越 耕平
出版日
2015-01-05

世の中のほとんど全ての人が“個性”と呼ばれる超能力を持った超人中心の社会。そこには社会からはみ出して“個性”を悪用する犯罪者ヴィランと、“個性”を用いてそれを取り締まるヒーローがいました。

超人社会にあって珍しく力を持たない“無個性”の少年、緑谷出久。通称デク。彼はそれでも「平和の象徴」と賞賛される最強のヒーロー、オールマイトに憧れています。

中学3年生のある日、進路を前にした彼は憧れの人、オールマイトと運命の出会いを果たします。“無個性”にヒーローは勤まらない、と厳しくも現実的にデクを諭すオールマイト。しかしオールマイトはその直後に遭遇したヴィラン事件で考えを改めます。

中学生を人質を取った凶悪なヴィラン。自身の活動限界のためにオールマイトですら他のヒーロー任せにしようとした時、デクは「無個性」であるにも関わらず、自分の命さえ省みずに人助けに飛び出しました。その姿に心打たれたオールマイトは、活動限界を超えてヴィランを退治。事件後、デクにこう告げます。

「君はヒーローになれる」(『僕のヒーローアカデミア』より引用)

こうして認められたデクは、厳しい特訓の末にオールマイトの“個性”である「ワン・フォー・オール」を譲り受けます。そして彼は日本有数のヒーローの学舎、国立雄英(ゆうえい)高等学校ヒーロー科に入学。彼の夢である、最高のヒーローを目指すことになります。

正義に燃える若者がヒーローを目指す一方で、社会のはみ出し者達は着々とその邪悪な勢力を伸ばしていました。ヒーローを打倒し、社会の価値観の転覆を狙うヴィラン連合の暗躍……。

超人社会の行方やいかに?

イチから上を目指す超地味な努力型主人公【緑谷出久】

イチから上を目指す超地味な努力型主人公【緑谷出久】

出典:『僕のヒーローアカデミア』1巻

派手な“個性”ばかりの個性派登場人物の中にあって、当初は唯一“無個性”だった少年、デクこと緑谷出久。身長も低く、髪もぼさぼさ、冴えない顔をした普通の少年です。時々「ナード(Nerd)」とも呼ばれますが、これは日本で言う「オタク」に相当するアメリカの俗語。やや内向的でヒーローオタク気質だからでしょうか。

“個性”だらけの超人社会、個性的キャラの中で埋没しそうなデクですが、その無個性、没個性っぷりがかえって彼を目立たせます。

デクは“個性”を持たない、ヒーローにはなれない運命の少年でした。けれど、彼には正しくヒーローの資質が備わっていました。脇目も振らず、がむしゃらに誰かを助けることの出来る精神。考えるよりも先に手を差し伸べる行動力。皮肉にも、彼は最もヒーロー適性のある少年でもありました。

「君が、救けを求める顔してた」

「余計なお世話はヒーローの本質なんだって」(『僕のヒーローアカデミア』より引用)

いつか自分も最高のヒーローになりたい、とオールマイトに憧れていたデク。しかし、どれだけ憧れても“無個性”では“個性”を駆使するヴィランに対抗出来るわけもなく、彼の夢は絶望的でした。オールマイトとの出会いはまさに人生の岐路。君はヒーローになれる、と自分の最も憧れる人に、自分が最もかけてもらいたかった一言を言ってもらえたデク。

“個性”とはある種の先天的才能で、どれだけ頑張っても、どれだけ望んでも原則として得られるものではありません。その常識を覆したのが、オールマイトの能力「ワン・フォー・オール」です。

アレクサンドル・デュマの『三銃士』に出てくる有名な一節「1人はみんなのために。みんなは1人のために」に由来するワン・フォー・オール。その特性は“個性”の譲渡。自らの力を他者に与える能力です。空を裂き、地を揺らし、天高くジャンプする無双の怪力。そのオールマイトの圧倒的パワーを、デクはそっくりそのまま渡されたのです。

その拳は岩をも砕き、単なるデコピンでさえ、風圧で人体を吹き飛ばすほどの凄まじい威力。

もちろん、普通の少年だったデクが急にそんなパワーを扱えるはずがありません。高校入学前に急ピッチでワン・フォー・オールを受け入れる体力作りをしたとはいえ、まだまだオールマイトのように使いこなすにはほど遠いです。無理に力を使うと、体が能力に耐えきれず自壊してしまいます。腕や指が折れていくのは見ていて痛々しいほど。

出典:『僕のヒーローアカデミア』9巻

ワン・フォー・オールは最強ヒーローであるオールマイトのパワーなだけあって強力な反面、デメリットも重い諸刃の剣。それでも、雄英高校での戦闘訓練や、突発的なヴィラン襲撃においてデクの活躍する様子が存分に描かれます。

“無個性”でもヒーローに憧れ続けていたデクは、幼い頃からヒーローの活躍と能力を細かく分析する癖がありました。そのため豊富な戦闘知識を持っており、加えて鋭い観察眼、分析力も備えています。それらは戦闘において、不完全なワン・フォー・オールを補う絶大な武器にも。

幾多の訓練、実戦を経てデクは成長し、譲り受けた力を少しずつ自分のものとしていきます。そしてオールマイトの師匠に当たるグラントリノの指導を受けた彼は、能力の方向性を見定めて、体が壊れないギリギリの出力で全身を覆う「ワン・フォー・オール フルカウル」を体得。

さらにオールマイトの真似ではない、彼独自の試行錯誤でキック技主体の「ワン・フォー・オール フルカウル シュートスタイル」を編み出すに至りました。力の酷使によって後遺症の残る腕を庇うための、デクなりの工夫で生まれた技です。

“無個性”であるがゆえに“個性”を強く求めた少年。「持たざる者」だった彼は、今、着実に真のヒーローへと成長しています。真摯に励むその姿には感動を呼び起こされます。

画風が違う!? 強すぎるヒーロー【オールマイト】

画風が違う!? 強すぎるヒーロー【オールマイト】

出典:『僕のヒーローアカデミア』2巻

「私が来た!!」(『僕のヒーローアカデミア』より引用)

曰く、No.1ヒーロー。曰く、平和の象徴。名実ともに最高の人気ヒーロー、それがオールマイトです。常に独特な陰影を背負う大柄、ムキムキのマッチョマン。アメリカ人というわけではなく日本人なのですが、なぜかアメリカンなノリ。アメコミと聞いて思い浮かべるイメージそのままの異色の画風で、作中でもたびたびメタ発言で言及されます。

平和の象徴の呼び名に相応しい体現者であろうとし、自らの存在自体を犯罪に対する抑止力として振る舞います。その存在感は絶大で、オールマイト以前と以後で犯罪発生件数が劇的に違うとか。対外的には決して弱音を吐かない完成されたヒーロー。

アメコミ風の強面ですが、どんな時でも笑顔を絶やしません。その常に浮かべる笑顔は、被害者に大きな安心を、ヴィランには恐ろしいプレッシャーを与えます。そしてまた、後に語る本心によると、それは挫けそうになる自分を鼓舞するためのものでもあるそうです。

どんな時でも笑顔で人を救う、そんな力強い頼もしい姿にデクは憧れたのです。

デクの雄英入学後は、同校の教師として赴任。普段のヒーロー活動時には見られないような、お茶目で愉快な一面がたびたび登場します。そのせいか一部では、オールマイトこそ本作の真のヒロインと見る向きもあるとかないとか……?

デクが受け継いだワン・フォー・オールの先代所持者にして、8代目継承者。デクとは異なり、能力を100%使用可能。全てが規格外の圧倒的なパワーであらゆる障害、ヴィランをねじ伏せます。

本名は八木俊典(やぎとしのり)。その正体は痩せ細って、骨の浮き出た骸骨のような男。ワン・フォー・オール発動中のマッチョマンの容姿を「マッスルフォーム」、本来の姿を「トゥルーフォーム」と称しています。

出典:『僕のヒーローアカデミア』3巻

作中では詳しく語られていませんが、恐らく元々はマッスルフォームが本来の姿だったのではないでしょうか。劇中時間にして5年前、ある強大なヴィランと死闘を繰り広げた結果、その時に負った重傷の後遺症として、現在のトゥルーフォームのような虚弱体質になったようです。

能力を100%使用可能と先述しましたが、それは時間限定。後遺症による弊害で、1日に3時間だけという限度があります。そしてさらに、無茶な活動を続けたこと、ワン・フォー・オールを譲渡したことなどから、さらに限界は短くなっています。

社会に与える影響を考慮して、オールマイトのトゥルーフォームや活動時間に関しては国家レベルの機密事項となっています。知っているのはデクを含めたごく僅かな人物のみ。

そして遂には、宿命の巨悪を討つために全身全霊を使い果たし、オールマイトは現役ヒーローの座を引退することになります。その喪失感と衝撃は、作中の社会だけでなく読者にも襲いかかりました。

『僕のヒーローアカデミア』には「受け継ぐ」というテーマが隠されているように思えます。個性を委譲するというワン・フォー・オールをはじめとして、偉大な先達に倣って成長するヒーロー志望の少年少女の姿。

そしてその「受け継ぐ」テーマの象徴的出来事として、作中最強とされるオールマイトの表舞台からの退場が描かれたのでしょう。あまりにも偉大すぎる存在の空白は不安感を呼び起こしますが、それを埋めることが出来る後継者が育つ、という期待感もあります。旧世代が役目を終えて退いてこそ、新たな次世代が育つのです。

爆発個性が炸裂する独善的俺様ライバル【爆豪勝己】

爆発個性が炸裂する独善的俺様ライバル【爆豪勝己】

出典:『僕のヒーローアカデミア』2巻

斜に構えた言動、釣り上がった凶悪な目付き。粗野かつ粗暴。チンピラを絵に描いたような彼こそ、爆豪勝己(ばくごうかつき)。これでも立派なヒーロー志望。

デクとは幼馴染みで、作中の描写からすると小学校に上がる前からの付き合い。デクからは「かっちゃん」と呼ばれています。昔から爆豪はガキ大将気質でしたが、当時2人の仲は良好でした。しかし、ある時期から急に爆豪の態度が硬化していきました。

それは“個性”の診断結果が出たこと。この世界では予防接種などと同じレベルで、幼少時に“個性”適性検査のようなものがされるようなのですが、その結果で爆豪の天才的能力が判明しました。両親を除いた周囲から持て囃されて、爆豪はあっさり増長。自我の育ちきってない子供のため、仕方ないことなのですが。

自身を特別な存在として優越感を抱くようになります。一方、同じ検査で“無個性”と診断されたデクを見下すように。以降、中学校までデクのことをいじめるように。

そんないじめっ子といじめられっ子の関係に変化が生じたのは、中学3年生の進路時期。デクがオールマイトに見初められたあの事件です。事件でヴィランの人質となったのは、誰あろう爆豪でした。誰も助けてくれようとしない中、唯一“無個性”と見下していたデクに救いの手を差し伸べられた爆豪の中で、何かが変わりました。

デクに助けられそうになった、という事実を不名誉に思い、普段の彼に対する態度はさらに苛烈になりましたが。

爆豪の“個性”は「爆破」です。ダイナマイトの原料である、ニトログリセリンのような性質の汗を出し、それを使って爆発を起こす“個性”。非常に強力で攻撃的な能力で、雄英入学前からプロのヒーローレベルと称されていました。

特注のヒーローコスチュームによって汗を貯めたり、爆発に指向性を持たせることで意外とテクニカルな戦闘を行います。猛獣のような性格が祟って、短気で考えなしと思われがちですが、実は相手の弱点を的確に見極める頭脳派。連続爆破で突進を加速したり、空中で任意の方向に爆破を行うことで軌道変更をするなど、接近向きの能力ながら機動性抜群。

他にも超指向性の遠距離攻撃、音と光を炸裂させて相手を一時的に麻痺させるなど、攻撃方法は多種多彩です。

「どんだけピンチでも、最後は絶対勝つんだよなあ!!」(『僕のヒーローアカデミア』より引用) 

出典:『僕のヒーローアカデミア』10巻

雄英一般入試では上位の成績、ヒーローのエリート養成のヒーロー科の中でさらにエリートクラスとも言われる1-A組の中でもトップクラスの実力者。その性格から内外でヴィランと陰口を叩かれますが、それでも爆豪は心の底ではオールマイトを慕い、彼を越えるヒーローを標榜しています。

“無個性”と思っていたデクが、自分の憧れでもあるオールマイトと同質の“個性”を発揮し、時には彼を打ち負かすほどの実力を付けていることを歯痒く思っています。当初は狂犬のようにライバル心剥き出しでデクに対抗していましたが、現在は様々な出来事を乗り越えて、徐々に変化が大きくなってきているようです。

「負けた方がマシだなんて――……君が言うなよ!」(『僕のヒーローアカデミア』より引用)

これは今までにない強敵を前にして、挫けそうになった爆豪を叱咤するデクの言葉です。いじめられいても、ずっと身近で爆豪のことを見ていたデクは、ひょっとすると爆豪自身よりも爆豪のことを理解しているのかも知れません。誰よりもヒーローに惹かれ、強くあることを望み、勝利に貪欲な自我。

爆豪はデクとは根本的にヒーローのあり方が違うキャラですが、わだかまりを越えて一皮剥ければ、彼は彼なりに一本芯の通った力強いヒーローとなることでしょう。

No.1を宿命付けられた熱き氷の天才【轟焦凍】

No.1を宿命付けられた熱き氷の天才【轟焦凍】

出典:『僕のヒーローアカデミア』5巻

左右で色の違うオッドアイ、髪の右半分が白髪で左半分が赤い髪をした少年、轟焦凍(とどろきしょうと)。今期の雄英高校で数少ない推薦で入学した特待生の1人で、その“個性”は右半身で冷気を操り、左半身で炎を燃やすという「半冷半燃」。容姿から能力まで、徹底的に非対称です。

作中屈指の超強力“個性”で、ビルを丸ごと凍結させたり、巨大な炎の渦を作ったりと、広範囲の制圧力では並ぶ者なしの実力者です。その反面、能力が強すぎるために攻撃は大雑把で大振りになりがち。小回りが利かないという弱点があります。彼が窮地に陥る時は、大抵その隙を突かれて懐に入られる場面ばかりです。

その理由は彼の出自にあります。焦凍の父親はエンデヴァーというプロヒーロー。史上最多の事件解決数を誇り、オールマイトに次ぐ人気と実力の「No.2ヒーロー」です。エンデヴァーは自身ではどうあってもオールマイトを越えられないと悟り、それでもオールマイトを凌ぐためにある策を討ちました。

それは「個性婚」と呼ばれる政略結婚。超人社会の黎明期に問題視された、強い“個性”をかけ合わせることで、より強い“個性”を意図的に生み出そうという試みです。現在では個人の人格を無視した行為として強く忌避されているはずですが、オールマイト越えという妄執に取り憑かれたエンデヴァーはその禁忌を破ったのです。

その結果、「失敗作」と断じられた3人の姉兄の次に生まれたのが焦凍です。父の炎と、母の氷の“個性”を強く受け継いだ生まれながらの天才。エンデヴァーは焦凍を「最高傑作」と呼びました。

子供の生まれを喜ぶ親の言動とはとても思えません。そこから察することが出来る通り、焦凍はNo.2ヒーローの跡取りにして天才的“個性”の持ち主ですが、その半生は決して恵まれたものではありませんでした。

父親にはオールマイトを越えるために訓練を強要され、愛する母には左半身が父親に似てきたことから嫌悪感を抱かれてしまったのです。そして焦凍は、精神を病んだ母の手によって、今でも残る火傷を左顔面に負わされました。

そういった経緯から、焦凍は母を追い込んだエンデヴァーを憎んでおり、強く反発しています。戦闘訓練でも不意に遭遇した実戦でも、父に由来する炎の“個性”を極力封印しており、母親の氷の“個性”だけでエンデヴァーを見返すと心に誓っているのです。父親を否定して、なおかつヒーローのトップになることが彼の望みでした。

その心境が大きく変化したのが、雄英高校名物「雄英体育祭」でのこと。体育祭のフィナーレを飾る決勝トーナメント戦でデクと焦凍が激突しました。その際、意図的に能力を封印している焦凍をデクが喝破したのです。

「君の! 力じゃないか!!」(『僕のヒーローアカデミア』より引用)

出典:『僕のヒーローアカデミア』5巻

父親なんて関係ない。自分が持っているのは自分の力。体育祭は参加者全員が全身全霊を振り絞っているのに、全力を出さないのは失礼だと。この一言が焦凍のこだわりを見事に吹き飛ばしました。

以降、焦凍はエンデヴァーへのわだかまりはそのままに、自らの炎の力を忌避することなく発揮していくようになります。火傷の一件以来、負担になるからと焦凍の方から避けて疎遠になっていた母親との関係も修復。しがらみからも解き放たれ、彼が本来目指していた、誰からも慕われる理想のヒーローを目指すようになります。

まだ気持ちの整理は完全ではないものの、デクの影響で焦凍もまた確実に正しいヒーローへの道を歩んでいるようです。デク、爆豪、焦凍の3人が一人前になった時、彼らはオールマイト全盛時代よりも強固な三本柱のヒーローとして名を馳せるのではないでしょうか。

“個性”的なクラスメイト達! ヒーローの卵【雄英1-A】

著者
堀越 耕平
出版日
2015-06-04

ここまでは主役級で、特にヒーローを目指す過去の原点を「オリジン」として本編で公開されたキャラを中心に紹介してきました。ここではデクや爆豪、焦凍と机を並べてヒーローを目指すクラスメイトにスポットを当てたいと思います。ちなみにオリジンとはアメコミでよく使われる言葉で、出生の秘密だったりヒーロー活動の動機を描く物語のこと。

既にお気付きかも知れませんが、本作に登場するキャラのほとんどは名前が“個性”と性格に直結しています。ヴィラン退治から救助活動まで、なんでもこなせるオールマイティーのオールマイト。爆破の“個性”で勝ち気な爆豪勝己(己に勝つという名前が彼の行く末を示唆してるようにも)。冷気で、あるいは熱波で轟音轟く冷凍と炎熱の轟焦凍。

『僕のヒーローアカデミア』メインヒロイン【麗日お茶子】

『僕のヒーローアカデミア』メインヒロイン【麗日お茶子】

出典:『僕のヒーローアカデミア』3巻

それを踏まえて、まずは麗日お茶子(うららかおちゃこ)から。本作のメインヒロインに相当する関西弁訛りの少女です。名前の示す通り、明るく朗らかで思いやりのある性格。お茶の要素については……地味とか渋い好みということでしょうか。よくわかりません。ちなみに彼女の出身地とされる三重県は全国で3位のお茶の産地だそうです。

デクとは雄英の入試で出会い、実技試験中に助けられた経緯から彼には好意的。能力は「無重力」で、自身を含めて、触れた対象にかかる重力の無効化。使いすぎると疲労して嘔吐するのが欠点。戦闘に向かない“個性”ながら、体育祭では能力を駆使して爆豪と真っ向勝負を繰り広げました。これは彼女の芯の強さが窺えるエピソードでもあります。

クソ真面目な委員長【飯田天哉】

クソ真面目な委員長【飯田天哉】

出典:『僕のヒーローアカデミア』1巻

次に飯田天哉(いいだてんや)。名前の由来は足の速いことで知られる仏の「韋駄天」でしょう。“個性”はエンジンで、ふくらはぎに備わったエンジン状の器官で素早く走行することが可能。ただし一直線に走ることは出来ても、曲がることが難しい様子。

その一直線の走りさながらに、実直を絵に描いたような性格。良く言えば真面目、悪く言えば型通りと言ったところ。合理的な判断力には優れますが、やや柔軟性に乏しい部分が見受けられます。雄英入試でデクとは出会っていますが、そこでのデクの行動に対する印象は最悪。後に誤解は解け(ある意味別の誤解をし)、デクには一目置くようになりました。

そんな飯田の兄の天晴(てんせい)もプロのヒーロー。インゲニウムという名前で活動しています。飯田は兄を尊敬し、慕っており、インゲニウムのようなヒーローを目指していました。本編中、そのインゲニウムの身に起こった事件が彼にも襲いかかることに……。

人気の女性キャラ【蛙吹梅雨】

人気の女性キャラ【蛙吹梅雨】

出典:『僕のヒーローアカデミア』2巻

そして「梅雨ちゃんと呼んで」が口癖(?)な蛙吹梅雨(あすいつゆ)。気に入った人物には人懐っこく接する、気配りの出来る少女です。本編中に登場する女性キャラでもトップクラスの人気を誇ります。その人気振りを示すかのように、中学生時代の様子が番外編として描かれたことも。主要人物を除けば、過去編が描かれたのは唯一彼女だけです。

ボリュームのあるロングの黒髪に、猫背。顔はどことなくデフォルメされた蛙のよう。そんな彼女を誰が言い始めたのか、ヒロインとかけて「ケロイン」と呼ぶファンもいるようです。“個性”は見た目通り「蛙」。蛙のように伸びる舌、強靱な足腰から繰り出される蛙のようなジャンプ力、蛙のような手足の吸着力。

他にも微弱な毒を分泌したり、胃を吐き出したりも出来るとか。蛙に可能なことはおおよそ可能な様子。派手さはないものの、非常に強力な“個性”。彼女の万能な蛙っぽい能力から連想されるのは、アメコミでも指折りの有名ヒーロー「あなたの親愛なる隣人」スパイダーマンでしょうか。

ヒーロー科1年A組総勢20名

ヒーロー科1年A組総勢20名

出典:『僕のヒーローアカデミア』3巻

知識として知っている無機物ならなんでも作れる反則級の“個性”の持ち主、八百万百(やおよろずもも)。爆豪の喧嘩友達(?)で爆破に耐える強靱な“個性”の切島鋭児郎(きりしまえいじろう)。粘着性のボールを頭から生み出すという、一風変わった癖の強い“個性”を持った1-Aのスケベ要員、峰田実(みねたみのる)等々……。

ヒーロー科1年A組総勢20名。彼らに加えて、虎視眈々とA組を付け狙うB組の面々や、サポート科や普通科の生徒達。個性的過ぎてとても全員書き切れません。本編では脇を固めるキャラが多いですが、いずれ彼らにまつわる話、彼らにスポットを当てたエピソードも描かれることでしょう。その時が来れば、また別の形で記事としてまとめられればと思います。

人気も実力のうち! 子供達の憧れる職業【プロヒーロー】

著者
堀越 耕平
出版日
2015-11-04

『僕のヒーローアカデミア』と題している作品だけあって、基本はヒーロー科で学ぶヒーロー志望の生徒がメイン。ですが、この世界にはきちんと、専門性の高いプロフェッショナルな職業として勤めるヒーロー達がいます。ここでは本編と関連したプロヒーローを取り上げたいと思います。

1-A担任【イレイザーヘッド】

1-A担任【イレイザーヘッド】

出典:『僕のヒーローアカデミア』1巻

「イレイザーヘッド」こと相澤消太(あいざわしょうた)は、現役ヒーローであると同時に雄英高校1-A担任です。一見してその言動は合理的で、ともすれば冷酷な印象を受けますが、それはヒーローとしての現実を知ることからくる厳しさ。現実は決して夢物語の甘い世界ではないと知っているので、授業を通してふるいにかけるのが彼の優しさなのです。

極端なまでにメディア露出を嫌っているために知名度はありませんが、実力は超一流。その“個性”である「抹消」は、相澤が能力発動中に視界に入れた人間の“個性”を無効化するというもの。この世界のヒーローもヴィランも、全てが“個性”を使用して戦うことを考えると、その“個性”無効化が如何に強力かがわかるでしょう。

ただし、無効化が発揮されるのはあくまで視界に収めている間だけ。目を閉じれば「抹消」が解除されてしまいます。人間がまばたきを必要とする以上、避けられない欠点です。また、この能力のせいで相澤の目はドライアイになっており、いつも充血しています。

デクの第二の師【グラントリノ】

デクの第二の師【グラントリノ】

出典:『僕のヒーローアカデミア』6巻

デクの第二の師(相澤をカウントすると第三でしょうか?)「グラントリノ」。オールマイトの師匠にして、デクから見て先々代ワン・フォー・オールの盟友でもあるヒーローです。一線を退いた今では想像も出来ませんが、ヒーロー黎明期に活動していた大ベテラン。

巨漢でいつも笑顔を絶やさないオールマイトをして、恐怖に震えさせる傑物。どんなスーパーマンでも教えを受けた先生は怖いのでしょう。雄英体育祭の映像でデクがワン・フォー・オールを受け継いだことを見抜き、指導するため実地職場体験先として彼の受け入れを打診しました。

見た目は極めて小柄な皺だらけの老人ですが、恐ろしい速度、機動力で相手を翻弄します。その“個性”は足から取り込んだ空気を噴出する「ジェット」。現役時代と異なり肉体はかなり衰えたようですが、それでも驚異的な身体能力を誇ります。

本作はアメコミ以外に映画『スター・ウォーズ』のオマージュが地名など随所に見られますが、グラントリノはずばり、ルーク・スカイウォーカーの師匠、マスター・ヨーダがモチーフになっていると思われます。

轟焦凍の父にしてNo.2ヒーロー【エンデヴァー】

轟焦凍の父にしてNo.2ヒーロー【エンデヴァー】

出典:『僕のヒーローアカデミア』7巻

「エンデヴァー」こと轟炎司(えんじ)。轟焦凍の実の父親です。焦凍の項目でも少し触れましたが、彼はオールマイトの人気に隠れがちな二番手。炎を操ることにかけては最強の“個性”ながら、常にオールマイトに劣る地位に甘んじています。

怪力という単純ながら応用範囲の広いオールマイトと違って、エンデヴァーの燃焼能力はどうしてもヴィラン退治に偏るのではないでしょうか。そうなると単純な実力はともかく、人気の面で一歩後れを取るのは仕方ないことかも知れません。

エンデヴァーが個性婚をする上で、オールマイトを越えるヒーローの能力に氷の“個性”を選んだのは、消火活動や救助の足場作りに氷結が役立つことを見込んだためとも考えられます。

子である焦凍の方はデクの影響で変わり始めましたが、親であるエンデヴァーの方がどうでしょうか……?

飯田天哉の兄【インゲニウム】

飯田天哉の兄【インゲニウム】

出典:『僕のヒーローアカデミア』2巻

そして「インゲニウム」こと飯田天晴。天哉の兄です。本編に頻繁に出てくることはありませんが、天哉の憧れの人として言及されたり、ストーリーの転換点で重要な役割を担う人物。

“個性”は天哉と似ていますが、足と違って腕にエンジンがあるようです。彼は自分に出来ることの限界を知っており、それをカバーするためにたくさんの相棒(サイドキック)を雇用しています。良くも悪くも、超人社会における職業ヒーローを代表するヒーローと言えるでしょう。

彼のヒーロー活動時の様子は、後述するスピンオフ作品『ヴィジランテ ―僕のヒーローアカデミアILLEGALS―』にてその一部が描写されています。

光あるところ闇あり。悪の組織【ヴィラン連合】

光あるところ闇あり。悪の組織【ヴィラン連合】

出典:『僕のヒーローアカデミア』9巻

ヒーローが魅力的なら、それと敵対する悪役、ヴィランもヒーローの魅力を受け止められるほど強くなければ名作とは呼べません。本作世界で犯罪行為を起こすヴィランは、“個性”管理社会に馴染めず、暴発してしまった単独犯ないし少数の複数犯が主なようです。

しかし、そんな社会の裏側で、人知れず根を張る者達がいました。平和の象徴オールマイト打倒を標榜する、その名を「ヴィラン連合」。超人社会の転覆を狙う秘密組織です。その存在は公には知られておらず、実態が不透明な謎の組織。本編には幾度か出てきているものの、オールマイト抹殺によってヒーローが幅を利かせる世の中に波紋を広げるということ以外、詳しい目的は不明です。

ヴィラン連合のリーダー格【死柄木弔】

ヴィラン連合のリーダー格【死柄木弔】

出典:『僕のヒーローアカデミア』2巻

ヴィラン連合のリーダー格とされているのが死柄木弔(しがらきとむら)。全身に奇妙な手のひらを身に付けた青年です。病的なまでに痩せており、露出の少ない肌はとても荒れている様子。“個性”は非常に破壊的で、手で触れた物体を崩壊させるという能力。物体の強度、材質に関係なく破壊する恐るべき力です。

飽きっぽい子供のような性格で、目的のために手段を選ばない、倫理感の欠如したサイコパス。自らを思想犯とうそぶくものの、対峙したオールマイトからは即座に嘘だと見抜かれました。

「先生」と呼ぶ人物を慕っており、その関係はデクとオールマイトのそれとも似ているようです。そして死柄木が憎むオールマイト、彼自身もオールマイトと何か関わりがあるようですが……?

黒幕【オール・フォー・ワン】

黒幕【オール・フォー・ワン】

出典:『僕のヒーローアカデミア』10巻

実は死柄木はただの傀儡に過ぎず、裏で糸を引いているのは「オール・フォー・ワン」と呼ばれる人物。男性であること以外の一切が謎に包まれたヴィラン連合の真の黒幕。超人社会の黎明期から成長を止めて生き長らえており、密かに社会を蝕む巨悪です。

ワン・フォー・オールと似た語感の「オール・フォー・ワン」。みんなは1人のために。正義の側に立ち、人々のために戦う能力、ワン・フォー・オールの対となる能力です。ワン・フォー・オールが「他者に与える」能力だとすれば、オール・フォー・ワンは「他者から奪う」能力。

そもそも元を辿れば、ワン・フォー・オールは「オール・フォー・ワン」から派生した能力なのです。当時、裏社会に君臨していた「オール・フォー・ワン」は、ある目的から実の弟に「力をストックする個性」を与えました。それが弟の本来の能力「個性を譲渡する個性」と融合したのですが、弟は「オール・フォー・ワン」の方針に従わず、彼の悪事を打倒する道を歩み始めました。こうしてワン・フォー・オールが生まれたのです。

即ち、ワン・フォー・オールの継承者は「オール・フォー・ワン」と戦う運命にあるということ。本編の5年前、オールマイトに重傷を負わせたのもこの「オール・フォー・ワン」の仕業。

果たしてデクは、オールマイトは、「オール・フォー・ワン」の目論見を止められるのでしょうか。

ヒーロー殺し【ステイン】

ヒーロー殺し【ステイン】

出典:『僕のヒーローアカデミア』6巻

厳密にはヴィラン連合ではありませんが、「ヒーロー殺し」ステインもここでご紹介しておきます。ヒーロー超人社会に、ヴィラン連合に先んじて一石を投じたアンチヒーローです。

極論すれば、ステインの行動は極端な正義信仰と言えます。本編では「英雄回帰」とも。ヒーローとは見返りを求めず、自己犠牲を厭わず人々を救う存在でなければならない。職業ヒーローとは、本来のヒーロー像に相反するもの。

ステインはその過激な思想の下、とんでもない凶行に及びます。それはヒーローの粛正。彼の価値観にそぐわないヒーローを偽物と断じて襲い、殺害、あるいは再起不能に追い込んだのです。

「ヒーロー殺し」を成した“個性”は「凝血」。対象の血を取り込むことで、相手の体の自由を奪うという能力です。血液をまず手にしなければならないという、非常に尖った使いにくい“個性”のはずなのですが、ステイン自身の驚異的身体能力によってそれが達成されます。自身は生身のまま、“個性”を発動した相手と互角以上に戦う凄まじいヴィランです。

そんな彼の理想のヒーローはオールマイトであり、正義とは完全に正反対ではありますが、ステインもまたオールマイトの信奉者なのです。大変危険ですが、人によっては共感してしまう思想でもあります。事実、彼の事件は大きな波紋となり、ステインのフォロワーがヴィラン連合に続々と参画を果たしました。

ステイン事件の余波と、ヴィラン連合の水面下の活動。それらがいずれ大きなうねりとなって社会に襲いかかることでしょう。

まだまだ広がる『僕のヒーローアカデミア』ワールド!【スピンオフ】

「ヒロアカ」は2017年現在2本のスピンオフ作品が連載されています。本編をパロった4コマ漫画『僕のヒーローアカデミア すまっしゅ!!』。そしてもう1つ、本編とは時間軸を異にする外伝「ヴィジランテ」です。

ここでは特に「ヴィジランテ」についてご紹介したいと思います。「ヴィジランテ」とは自警団を意味する英語。ついでに「ILLEGAL」とは違法、非合法です。「ヴィジランテ」はヒーロー社会で非合法活動する者達の物語なのです。本編がヒーロー社会の光の面なら、スピンオフは光の側面に出来た影の面と言ったところ(闇の面はヴィランですね)。

ヒーローが社会平和に貢献していると言っても、それは目立つ範囲でのこと。どれだけ厳しく取り締まっても、小さな不正行為、物陰に隠れた“個性”の犯罪は見逃されてしまいます。そういったヒーローの死角を自発的に補い、自分も犯罪スレスレで巨悪ならぬ小悪と戦う者がいました。広義ではヴィランと同列に扱われる、自警活動をする善意の者達。

『僕のヒーローアカデミア』本編はアメコミに多大にインスパイアされた作品ですが、この「ヴィジランテ」も同様。「ヴィジランテ」あるいは「自警団もの」というのは、アメコミのヒーロー漫画の1ジャンル。有名なのは『ウォッチメン』でしょうか。体制に寄らず、独自に私刑を加えるヒーローの話が大多数です。

そんな本作の主人公となるのはコーイチこと、灰廻航一(はいまわりこういち)。大学デビューに失敗し、暗い青春を送る大学生です。かつてはヒーロー、特にオールマイトに憧れたこともありましたが、「滑走」という地面を滑るだけの“個性”のために断念しました。超人社会に順応して暮らす平凡な青年。 

出典:『ヴィジランテ ―僕のヒーローアカデミアILLEGALS―』1巻

そんな彼の唯一の趣味は、人目を忍んで“個性”を存分に揮う――慈善事業。道に迷った人を見付けては滑走で駆けつけて案内し、落とし物した人あればすぐさま拾って滑走で届けてあげる。誰が呼んだか彼の名前は「親切マン」。

彼の生活は、非合法に自警団活動を続ける謎の男、ナックルダスターと出会ったことで一変。忘れていたヒーローを志す心が揺り動かされ、というかなし崩し的に彼に協力することに。そこにコーイチに助けられた地下アイドル少女、ポップ☆ステップも加わり、暗い灰色だったコーイチの身辺が一気に賑やかになっていきます。

ポップ☆ステップは置いておくとして、コーイチとナックルダスターは『僕のヒーローアカデミア』本編の人物と対になるキャラとして描かれます。コーイチは「オールマイトに出会うことなく成長したデク」。ナックルダスターは「社会的正義ではなく、自己正義の体現者としてのオールマイト」。

「ヴィジランテ」を構成するのは、本編を描く上でありそうでなかった要素。本編で描かれなかった「可能性」です。「ヴィジランテ」原作担当を担当する古橋秀之はベテラン作家で、単に超人社会の「スキマ産業」として読むだけでも「ヴィジランテ」は楽しめることでしょう。

他にも、本編で見覚えのある、あのヒーローやこのヒーローが多数ゲスト出演。相澤の顔に傷がなかったり、インゲニウムが健在でしかも飯田天哉が幼いらしいという描写から考えて、「ヴィジランテ」は『僕のヒーローアカデミア』本編の数年前の出来事のようです。

オールマイト全盛期で、ヴィランの犯罪が減少傾向にあった時代。そんな世界で行われる自警団活動とは、一体どんなものなのでしょうか? ヒーローに見付かることなく、徐々に社会を蝕む悪を彼らは退治出来るのでしょうか?

本編に登場するヒーローが出てくるとあって、合わせて読めば楽しさが倍増すること間違いなしです。「ヴィジランテ」は「ジャンプGIGA」と「少年ジャンプ+」で連載中。「少年ジャンプ+」では話数限定で無料配信されているので、気になった方は是非一度ご覧下さい。

いかがでしたか? ネタバレ込みの記事なので、ご覧になっているのは読者の方ばかりかと思いますが、この記事を通して新たな発見をしていただければ幸いです。勢いの止まらない『僕のヒーローアカデミア』を今後も楽しみに見守っていきましょう。

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