藤本ひとみのおすすめ文庫小説5選!西洋史を扱った傑作多数!

更新:2021.11.7

漫画、小説に留まらずアニメ化や舞台化まで果たす藤本ひとみ作品の中で、最もおすすめする5冊を厳選してみました。どれか1冊でも読んでしまえば他のものも読みたくなる、そんな魅力的な藤本作品をぜひ手に取ってみてください。きっと抜け出せなくなるはずです。

ブックカルテ リンク

藤本ひとみとは

藤本ひとみは1951年生まれ、長野県飯田市出身の女性作家です。

高校卒業後、12年間国家公務員として厚生省で働いていた経歴を持ちます。公務員の仕事をしながら漫画を書き始め、1984年にコバルト・ノベル大賞を受賞。1992年からは西洋史をベースにした歴史小説や、犯罪心理小説なども手掛けるようになりました。

1992年に刊行された『ブルボンの封印』は大ヒット作となり、それからも「鑑定医シャルル」シリーズや『ジャンヌダルクの生涯』など、次々とヒット作を飛ばしていきます。

また藤本ひとみは本名ですが、王領寺静と言うペンネームでもファンタジー系の作品を書いており、「異次元騎士カズマ」シリーズなどの人気作があります。

その他にも漫画の原作や原案を手掛けたり児童文庫を出版したりしているので、こちらから名前を聞いた事がある人もいるかもしれません。

藤本ひとみが描く、ユダヤ青年の宿命と友情の物語

舞台は1700年代のヨーロッパです。ユダヤ人の居住地区で産まれ育った少年エリヤーフーは、ある事件の後自らの宗教を捨てることに。そして名前も変えて別人になり、外の世界へと旅立っていくのです。

キリスト教に改宗したエリヤーフーは、自らの主君であるフランツの妻、ハプスブルク家のマリア・テレジアと恋に落ちてしまいます。王位継承をめぐる争いに巻き込まれながらも、一途に前を向き続けるエリヤーフーは逞しく成長していきます。

著者
藤本 ひとみ
出版日

フランツやマリア・テレジアなど実在していた他のキャラクターと共に、激動の時代を駆け抜けていく主人公のエリヤーフーが生き生きと表現されています。

ユダヤ人の迫害や差別など、史実を元に詳しく書き連ねられた内容は一見難しそうですが、怒涛のように次々と起きる事柄は読みやすく、かつ的確に表現されています。歴史に詳しくない方にも、その複雑な情景を思い描かせる藤本の手腕により、ページをめくる手を止められなくなるはずです。

もちろん歴史に詳しい読者はさらに深く読み込んで、この世界に浸ることができる作品になっています。

藤本ひとみの代表作

フランスの政治家マザランが、ルイ13世の遺言に従いある屋敷に向かっていた途中、事故を起こしてしまいます。その時に出会った赤ちゃんを連れ、到着した屋敷にいたのは、ジェームズという少年でした。

マザランが出会った赤ちゃんは、肩にあった刻印からマリエールと名付けられます。ジェームズとマリエールの2人の子供は成長し、お互いに恋心を抱くように。しかし自分の出生を知るため、彼らはそれぞれ旅に出ることになりました。マリエールはその旅先で、ジェームズそっくりのルイ14世と出会い、2人の男性の間で揺れ動くのです。

著者
藤本 ひとみ
出版日

本作は、フランスで語り継がれる鉄仮面伝説とルイ14世双子説を、藤本ひとみが新たに解釈したものです。

1600年代のフランスが舞台にされ、恋愛、嫉妬、策略、争いなど様々な要素が詰め込まれた、展開の激しい内容となっています。

深いキャラクター設定や場面の情景などが繊細に描かれていて、中盤からクライマックスへの流れは、息もつかせない程の怒涛の勢い。あっという間に読み切ってしまいます。藤本ひとみを一躍有名にした本作をぜひ読んでみて下さい。

フランス革命時、黙殺されたストーリーを藤本ひとみが破る

1789年に起きたフランス革命と、その時に実際に発生したヴァンデの反乱をテーマにした歴史小説です。

革命と言う大義名分の陰で起きる様々な思惑と、それにより平凡な日々が失われてしまう人々の様子が描かれています。

フランス革命史上最大の大量虐殺と、友情......。誰もが知っている歴史に隠された暗黙の部分を、藤本ひとみが鮮やかに暴き出す衝撃の作品です。

著者
藤本 ひとみ
出版日

フランス革命のさなか、ヴァンデ地方を中心にカトリック王党派の人々がヴァンデ戦争を起こします。

友人である二コラとアンリは、それぞれ革命軍側と反革命軍側として戦争の中へ身を投じていきます。激動の政治に巻き込まれた2人が、自らのプライドと宿命をかけて対立していくのです。

誰もが一度は聞いたことのあるフランス革命の陰で、実際はどのような事が起きていたのか。情景が思い浮かぶほどの筆致で描かれた藤本ひとみの力作です。

華美に彩られたフィレンツェで起きた、16年間の謎とは

今もなお名を残しているレオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は老いのため、もう先は長くないと自覚していました。そこで、ずっと隠してきたフィレンツェでの空白の16年間のできごとを弟子に告白するのです。

しかしそれは、神への冒涜であると、ダ・ヴィンチは言いました。

著者
藤本 ひとみ
出版日

本作の主人公として描かれている画家のアンジェラは、メディチ家で出会った美しい少年を絵にしたいと思います。そしてその願いはやがて恋心へと変わっていくのです。

1460年、メディチ家の支配下に置かれていたフィレンツェで、ダ・ヴィンチは実際に画家として活動をしていました。本作の内容は殆どが史実通りになっていて、歴史の本の中でしか見ることのできない彼らを、生き生きとした姿で感じることができます。

陰謀と策略の渦巻くメディチ家の栄華を華々しく書き上げ、展開する恋の行方は切なく描かれています。歴史小説であり、恋の物語でもある一冊です。

藤本ひとみが描き出す凄惨な連続殺人事件

県憲兵隊に所属するアニエスは、最近起きた連続殺人事件を解決するために、鑑定医であるシャルル・ドゥ・アルディを尋ねてパリまでやってきました。

そこで待っていたのはプラチナブロンドの長い髪にソバージュをかけた、美しい人。2人はそれぞれの持ち味をいかしながら、事件解決へと奔走します。

著者
藤本 ひとみ
出版日

本作は鑑定医「シャルル」シリーズの1作目で、藤本が書く「漫画家マリナ」シリーズと共通するキャラクター、シャルルが事件解決に挑みます。

頑固でマジメなアニエスと、人嫌いな鑑定医シャルルのやり取りは痛快ですが、内容はグロテスクな描写も多く、ミステリー要素の強い作品になっています。

犯罪心理学の観点から犯人を絞っていくシャルルの理論は、とても興味深いものがありますし、交わりそうで交わらない2人の恋の行方も気になる一冊です。

読者の心を掴んで離さない藤本ひとみの世界観は、独特でありながらも万人に受け入れられるストーリーとキャラクターにより、いつも生き生きとしています。

難しい歴史の世界を分かりやすく表現する文章力で、大人から子供まで楽しめるものばかりです。1冊読んでしまうと他の本も手に取ってしまいたくなる藤本ひとみワールドに魅了されてください。

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