「このライトノベルがすごい!」で複数回ランクインしている人気シリーズ。現実では引きこもりだけど天才的なゲーマー兄妹が、異世界でその能力を思う存分発揮して活躍するゲームファンタジー小説です。
インターネット上でささやかれている「都市伝説」の1つに、280以上のゲームで世界ランクの頂点を極め続けている「 」(くうはく)というゲーマーがいる、という噂がありました。
ゲームの開発者が身元をバラさないように「空白入力」して、それがそのまま様式美になったのだ、などいろいろな噂が飛び交ったものの、「 」(くうはく)と対戦した者は増える一方で、噂はどんどん広まっていきます。
そんな「 」(くうはく)の正体は、空(ソラ)と白(シロ)という引きこもりの兄妹でした。兄の空は18歳の無職、妹の白は11歳で不登校の小学生。「 」(くうはく)は、2人で1人のゲーマーだったのです。
ある日、連日徹夜でゲームに明け暮れていた2人の元に不思議なメールが届きます。そこには、謎のURLの添付と、こんな一文が記されていました。
「【君ら兄妹は、生まれた世界を間違えたと感じたことはないかい?】」(『ノーゲーム・ノーライフ』1巻より引用)」
- 著者
- ["榎宮 祐", "榎宮 祐"]
- 出版日
兄の空は無職で童貞、コミュニケーション障害で当然のようにモテない18才。妹の白(しろ)は、いじめられっ子で不登校、対人恐怖症の11才。2人揃って引きこもりのゲーム廃人ですが、その正体はネット上で都市伝説になるほどの天才ゲーマー「 」(くうはく)です。
そんな2人のもとに、ある日突然届いた謎のメール。添付されていたURLはチェスゲームのものでした。
当然、チェスの腕も立つ「 」(くうはく)にとっては、本来なら取るに足らないゲームになるはずでした。しかし謎の相手に対し、2人のゲームセンスを持ってしても6時間以上かかる苦戦を強いられてしまうのです。それでも何とか勝利を得た2人のもとに、再びメールが……。
「【おみごと。それほどまでの腕前、さぞ世界が生きにくくないかい?】」(『ノーゲーム・ノーライフ』1巻より引用)
その一文は、閉ざされていた2人の心に響きます。そして2人は、謎の対戦相手の手により「暴力や武力を一切禁じ、その代わり全ての決定にゲームの勝敗を用いるという盤上の世界(ディスボード)」に召喚されてしまうのでした。
まず目を引くのは、盤上の世界(ディスボード)の世界観です。ゲームに勝てば民も領土も奪えてしまう世界で、そこには唯一神テトが決めた「十の盟約」と呼ばれる絶対法則が存在します。この「盟約」に乗っ取り、この世界の住人達はゲームに全てを賭けているのです。
もちろん異世界という舞台で、現実と同じゲームをおこなうわけではありません。この世界には人類種(イマニティ)を始め、獣人種(ワービースト)や森精種(エルフ)なども存在しており、魔法や超能力を用いたゲームで対決することもあります。もちろん空や白は魔法など使えないので、そのぶん、知略策略を巡らせて戦っていくことになるのです。
1巻では、世界観の説明や、空と白をはじめとしたキャラクターの紹介が主ですが、ストーリーが進むと、国王を選定するためのチェス対決が始まります。縦横無尽に活躍する空と白の兄妹の活躍を、ぜひ手に取って見てみてください。
あらゆる全ての出来事がゲームによって決められる世界、盤上の世界(ディスボード)。そんな異世界に召喚された無敗のゲーマー「 」(くうはく)、すなわち空と白の兄妹は、そのゲームの腕であっという間に人類種(イマニティ)の王となっていました。
ある日、エルキア王国の首都エルキアにある城に暮らすようになった2人の元に、とある少女が勝負を挑みにきました。彼女の名前はステファニー・ドーラ、通称ステフ。先王の孫であるステフは、王となり日々ゲームと読書に明け暮れる「暴君」になった空に、自分が勝ったら「真人間になってもらう」ことを賭けさせようとするのですが……!?
- 著者
- 榎宮 祐
- 出版日
- 2012-09-20
空と白は人類種(イマニティ)最後の国であるエルキアの王となりますが、王になったからといって政務を行えるわけではありません。そんな2人に変わってエルキアの内政を担当しているのがステファニー・ドーラ、通称ステフという少女です。
先王の孫であるステフは政治について類まれな才能を持っている優秀な人類種ですが、一方でゲームの腕はからきしで、当然の如く、「 」(くうはく)には敵いません。そんなステフに空と白がちょっかいをかけて遊ぶので、ステフのいじられキャラが際立って魅力的に映るのです。
その後、ストーリーは天翼種(フリューゲル)のジブリールとしりとり対決をし、さらにその後は獣人種(ワービースト)の国・世界第三位の大国である東部連合へと乗り込んでいきます。次々に展開していくストーリーの勢いのまま、一気に読み終えてしまうでしょう。
読者の予想の範囲を超えた結末を迎えます。ぜひ手に取って意外なクライマックスを確かめてみてください。
エルキア王国の王――ひいては人類種の王となった空と、王女となった白。ある日、空は先王の孫であるステフと、ゲームに負けて「 」(くうはく)の所有物となったジブリール(天翼種の少女)とともに、「盟約」によって自分を女性化したいと言い出します。
しかし、いくらこの世界の絶対ルールである「盟約」であっても、実現できるものに限界がありました。そのことを知った空と白は、その限界がどのようなものか実験しようと、ステフの性格を「空化」してみよう! と提案します。
渋々その実験のためのチェスゲームに参加するステフ。わざと負けるまでもなくあっという間にゲームに負けたステフに現れた変化とは……!?
- 著者
- 榎宮 祐
- 出版日
- 2013-01-22
黒髪に黒い瞳をした空と、白髪と赤い瞳を持つ白。容姿のまったく違う2人は、実は血の繋がらない義兄妹でした。そんな2人の出会いが本巻の冒頭で描かれており、前巻までに空と白のキャラクターに魅せられている読者は、まずここで一気に引き込まれてしまうでしょう。
そんな2人をはじめ、人類種のステフや天翼種のジブリールなど、空の周りに登場するキャラクターはどれも魅力的です。天翼種(フリューゲル)とは、見た目はまるで天使のようですが、神を殺すことを目的に神によって作られた種族。ジブリールも、見た目は少女ですが、実は6407歳にもなるかつての「大戦」の時に作られた個体でした。
前巻までと同様、テンポのよいストーリーは先の展開を予想できず、ハラハラしながら読み進めることができます。作中で、「兄は奇抜で変則的な、妹には思い付きもしない戦略を次々と編み出し。妹は精密機械のような正確さと計算で、兄の組んだ戦略を兄の想像を超えてこなす」と表わされるような「 」(くうはく)の兄妹が、どのように大国を手に入れていくのか、ぜひ手に取って確かめてみてください。
獣人種(ワービースト)の国の首都・巫雁(かんながり)。そこの郊外にある獣人種の幼女・初瀬いづなの屋敷に、空と白は滞在していました。夜、みんなが寝静まったのを確認した空は、異世界に来てから2ヵ月強の間、ずっとしていなかった「毒素」を抜く行為をしようとしています。
「『変態と呼びたくば呼ぶがいい。もう限界――もといこれは崇高な行為だッ!!』」と、自分に言い聞かせた空でしたが、そこに突然、吸血種(ダンピール)のプラムが現れます。
他の種族から血、すなわち魂を奪うことで成長する吸血種ですが、「盟約」によって相手の許可がないと魂を摂取できないプラムは誰からも血をもらっていないのか、すっかり弱っていました。
噛みつかれる以外でプラムを生きながらえさせる方法は、唯一つ。それは彼女に体液を直接経口摂取させることで……!?
- 著者
- 榎宮祐
- 出版日
- 2013-06-22
空達の前に現れた吸血種(ダンピール)のプラムは、体液を「経口摂取」させるしかないと言われて空が興奮するほど可愛い見た目をした美少女……かと思いきや、実は男です。
吸血種は、「十の盟約」のうちの1つ、「この世界におけるあらゆる殺傷・戦争・略奪を禁ずる」のために、他種族から血を吸うことができなってしまった種族でした。
相手の許可を得れば大丈夫なのですが、吸血種に噛まれると「特殊な病気」を発症してしまうため、そんな許可を与える者はいません。結果、他種族からも「吸血種はとっくにのたれ死んでいるものだ」などと思われているほどでした。そんな吸血種を救うため、プラムは「 」(くうはく)に近付いてきたのです。
本巻に限らず、本シリーズのメインストーリーは、空と白の兄妹によるゲーム無双ですが、巻が増えストーリーが進むと、当然ヒロインキャラクターも増え、空のハーレム状態のようになっていきます。
メインはあくまで「兄妹がゲームで大暴れするストーリー」だといえるでしょう。しかし時には、冒頭のような18禁ギリギリの際どい新要素なども登場し、読者を楽しませてくれるのです。
ただ、本巻は、そのゲームの勝敗が次巻に持ち越しになっています。すぐにでも次が読みたくなってしまう終わり方なので、次巻と合わせて用意しておき、一気に読めるようにしておくのもいいかもしれません。
大国エルヴン・ガルド。それは世界最大の領土を持つ森精種(エルフ)の国。52の州のうちの1つ、ティルノーグ州・ロアミゲルに、州知事であるロン・バルテル卿の邸宅があります。その邸宅に、森精種の少女、フィール・ニルヴァレンがやってきました。
傲慢な性格のロン・バルテルは、魔法の腕が劣りニルヴァレン家の恥とまで呼ばれているフィールのことを見下し、彼女に勝負をしかけてきます。「盟約」に乗っ取ってロンがフィールに要求してきたのは、フィールの身柄と服従。一方、フィールは、自分達に関する忘却と協力を要求しました。
魔法の腕が直結するゲームでの勝負、それなりの術者であるロンが有利と思われましたが……!?
- 著者
- 榎宮 祐
- 出版日
- 2013-11-22
森精種(エルフ)であるフィール・ニルヴァレン、通称フィーは、高い魔法の力を持った少女です。少女といえるのは見た目だけで、実は52才。
森精種(エルフ)の国であるエルヴン・ガルドの名家の生まれですが、一族の中では「恥」と呼ばれるほど落ちこぼれだと思われています。しかし、その正体は、4つで一流と言われる魔法を6つも同時に使うことのできる六重術者で、空が一目置くほど頭脳明晰な森精種でした。
エルヴン・ガルドには奴隷制度があり、フィーもクラミー・ツェルという人類種の少女を隷属しています。しかし、フィーは奴隷制度に嫌気がさしており、クラミーのことを溺愛といっていいほど大切にしていました。時々その愛が暴走気味になってしまうこともあるなど、様々な顔を見せるキャラクターです。
そんなフィーとクラミーの暗躍も本巻の見どころの1つですが、メインは天翼種(フリューゲル)の空中都市アヴァント・ヘイムでの鬼ごっこです。ジブリールの姉を名乗るアズリールも登場し、そんな天翼種を相手に予想を超える手段で空と白が戦っていく様子は、もはや安定した面白さといえるでしょう。
空中都市の次は、海棲種(セーレーン)の国、海底都市オーシェンドでもゲームをくり広げます。空から海までどんどんと変わっていく場面に、途中で休むのも忘れて一気に読み終えてしまうこと間違いなしです。
絶対的な支配権を持つ唯一神・テトにより制定された「十の盟約」により、ゲームで全てが決まることを定められた盤上の世界(ディスボード)。
その世界にある人類種の国・エルキアは、「 」(くうはく)を王に迎えてからというもの、獣人種(ワービースト)の国・東部連合、海棲種(セーレーン)と吸血種(ダンピール)が共生する国・オーシェンド、天翼種(フリューゲル)の国・アヴァント・ヘイムの四種族三国を併合し、首都エルキアにも活気が戻りつつありました。
そんなエルキアの路地裏に、行き倒れている人類種(イマニティ)が1人。たまたま見つけた獣人種(ワービースト)の初瀬いづなに枝で突かれていたその人物は、実は姿を偽装したほぼ全知全能の神・テトでした。
いづなにおやつを分けてもらったテトはお礼にいづなとゲームをしながら、ある「語られることのない神話」を語り始め……。
- 著者
- 榎宮祐
- 出版日
- 2014-04-24
本巻は番外編巻です。6000年前の大戦時のことが描かれているので、当然、本来の主人公である空と白はほとんど登場しません。
サイドストーリーが語られ始め、本編が気になる読者たちはソワソワしはじめてしまうかもしれませんが、大戦中の人類種である空と良く似たリク、そして白と良く似た機鎧種(エクスマキナ)のシュヴィの2人を中心に描かれる濃厚な物語は、読んで損にはなりません。
大戦中の物語なので、本編では最も基本で重要な設定である「十の盟約」がまだ存在していません。そのため、本巻での戦いは本当の意味で生死を賭けた戦いになっているので、常に手に汗握る展開が続くのです。
次巻に続くということはなく、本巻で物語は完結しています。そのためテンポも良く、緊張感のあるシリアスな場面、お色気パート、笑えるシーンと泣けるシーンと最後まで飽きることなく一気に読み終えてしまうことでしょう。
番外編ということで、これを読まなかったからといって本編が分からなくなるということはありませんが、これまで散りばめられてきた伏線が回収されていたり、本編では描かれないキャラクターの魅力に気づかされたりするので、本巻もぜひチェックしてみてください。
かつて異種族が多いために争いの絶えなかった獣人種(ワービースト)の国において、神霊種(オールドデウス)をその身に宿した「巫女」は、国をまとめあげ、世界第3位の大国「東部連合」を築き上げました。
そんな「巫女」に勝負を挑むのは、空と白の兄妹をはじめとした、天翼種のジブリール、人類種のステフ、吸血種の少年プラムら7人の異種族。
位階序列一位の神霊種(オールドデウス)に勝負を挑むなどあり得ない行動の上、無意識のまま放った軽口で巫女をキレさせた空達の勝負の行方は……!?
- 著者
- 榎宮 祐
- 出版日
- 2015-07-24
ゲームのルールの隙を突いていくようなハラハラ感や、随所に盛り込まれている笑えるシーン、結末に続いていくシリアスな展開などは相変わらず目を離すことができず、最後までドキドキしたまま読ませてくれます。
本巻で空達が挑むゲームは、最初の頃の「しりとり」や「ジャンケン」などに比べると、かなり複雑なルールで展開されます。ルールの説明はされているので確認しながら読むことはもちろん可能ですが、多少わからないまま読み進めても面白いと思えるのが本巻のすごいところでもあるので、まずは一気に読んでみることをおすすめします。
位階序列一位の相手に挑んでいるだけあり、空達にもピンチが訪れますが、その結末は本巻だけでは終わりません。次巻に続く形で終わっていますので、ぜひ次巻と合わせて読んでみてください。
神霊種(オールドデウス)が作り出した「双六盤(ゲーム)」。空達と神霊種とのゲームは終盤戦へと差しかかっていましたが、その時、ジブリールが空達にある要求を突きつけてきます。
それは、かつてこの世界で起こった「大戦を模した“戦争シミュレーションゲーム」でした。風に吹かれただけで人類種は死んでしまような大戦で、人類がどう生き残ったのか……。
それと同じ状況のゲームで勝利をしなければならない空達にとって、このゲームまさに無理ゲー。しかも勝利したところで、空達が得られるものは「ジブリールの死」だけで……。
- 著者
- 榎宮 祐
- 出版日
- 2015-12-25
前巻から引き続き、神霊種(オールドデウス)が作り出した双六ゲーム、そして先の大戦を模したジブリールとの“戦争シミュレーションゲーム”がくり広げられました。しかし、このジブリール戦は割と前半で終わり、次に「世界大戦RTS」、「東部連合争奪FPS」と、本巻は大きなゲームが3つも掲載されています。
本巻は、今までに散りばめられていた伏線が気持ちいいほどに回収されていくのが特徴です。ゲームのレベルが上がることでルールが複雑になっていたり、プレイヤー自身が記憶を失っている設定があったりするので、しっかりとした読みごたえを感じられると思います。
また、序盤では空と白の主人公としての大活躍があったり、今まで以上の濃密なゲームシーンを読めたりと、ここまで本シリーズを読み進めてきた読者にとって魅力ある展開を楽しむことができます。考えながら読むことが好きな方には、特に楽しめる1冊です。
引きこもりで天才ゲーマーの兄妹・空と白。彼らが一切の武力を禁じられ、全てをゲームで決める世界、盤上の世界(ディスボード)へやってきてから数か月。
2人は、人類種最後の国であったエルキアの王となり、天翼種(フリューゲル)、獣人種(ワービースト)、海棲種(セーレーン)、吸血種(ダンピール)を次々にゲームで降し隷属化させていきます。隷属化といっても、2人は支配や搾取をおこなうことはなく、全てエルキアの傘下に入れ、エルキア王国もエルキア連邦と名を変え、史上初の多種族連邦国を作り出します。
しかし、そんな2人のいるエルキア城は、「休業中」の看板を掲げていました。内政を休業にしたまま空と白が取りかかっているのは、神霊種(オールドデウス)の帆楼(ほろう)をアイドルに育て上げること。
今のエルキアに必要なこと、それは人を惹きつけるカリスマ性だと言う空と白は、究極のアイドルとして帆楼を育てようとしていたのでした。しかし、空と白にはそれ以外にも何やら考えがある様子で……?
- 著者
- 出版日
- 2016-08-25
7巻と8巻では、ゲームのルールが複雑だったり、キャラクターの数や設定といった情報が溢れていたりと、少々苦労しながら読みこなしてきたかと思いますが、そんな神霊種とのゲームもひと段落し、再び読みやすい物語へと戻ってきています。
神霊種である帆楼をアイドルにするというアイドル育成ゲームのような楽しみもありますが、本巻の見どころは新キャラクター、イミルアインです。
イミルアインは空が名付けた名前で、正式にはアエルト・イミル・クラスタ・アインといいます。メイド服を着た少女の姿をしていますが、その正体は生物ではなく、機械で出来た体を持つ機鎧種(エクスマキナ)です。機械であるがゆえのイミルアインの心の切なさが丁寧に描かれており、思わず引き込まれてしまう方は多いでしょう。
また、本巻は番外編である6巻とも繋がる部分があるので、合わせて読むとさらに面白くなるかもしれません。頭に映像が浮かんでくるようなわかりやすい文章と、予想を超えてくる結末を、ぜひ手に取って楽しんでみてください。
人類最後の国エルキアの王となり、人類全権代理者となった天才ゲーマー兄弟の空と白……でしたが、その地位も内乱によって失ってしまっていました。
しかし、そんな状況でも当の2人は案外まったりで、薬屋を営みつつのんびりと暮らしていました。そんな2人の元にある手紙が届き……!?
- 著者
- 榎宮 祐
- 出版日
- 2018-02-24
前巻はサブキャラクター達にスポットを当てたショートストーリー集だったので空と白の話は少なめでしたが、本巻では話も本編に戻り、2人の活躍も楽しむことができます。ちなみに、8巻ではエルキアの内政を「休業中」にしてアイドルグループ・イミルアインを作ったりしていましたが、そのグループも本巻では登場するので、好きだった方は要チェックです。
また、本巻に新しく登場するヒロインもいます。名前はティル、「地精種(ドワーフ)」のロリッ娘でケモ耳な幼女です。空と白に手紙を送ってきたのも、この地精種でした。
ティルは、種族のなかでも落ちこぼれあつかいされている女の子で、本人もそのことにコンプレックスを抱いています。そんな彼女が空と関わることによって少しずつ変化していく様子は、どこか切なく共感する部分も多いかもしれません。
また、空を中心にしたハーレム、ちょいエロ、白の焼きもちなど笑える部分も盛りだくさん。共感したり感動したり笑ったり、いろいろな楽しみ方のできる1冊になっています。
盤上の世界(ディスボード)でのゲームは、魔法も、超能力の使用もアリ。そのどちらも使えない空ですが、チェスのようなゲームでは、盤上を記憶したり立ち会人を設置することで、限りなく対等に勝負できると考えていました。
しかし、本当にそうなのだろうかと考えた空は、検証するために自分の知る限り最も強い魔法使いであるフィールに、チェス勝負を提案します。フィールが勝てば、フィールも把握していないクラミーの恥ずかしいネタを提供する、空が勝ったら「フィー×クラ」のギリギリ健全な百合プレイを披露してもらうという条件の下で空とフィールの勝負は、苦戦ながらも空の勝利で終わりました。
勝ちはしたものの、フィールの複数の魔法の同時使用に苦しんだ空は、フィール以上の術者に興味を持ちます。空の疑問に答えたのは、ジブリール。
ジブリールは、かつての大戦末期には、「六重術者(ヘキサ・キャスター)であるフィールを超える「八重術者(オクタ・キャスター)」がいたと話します。その名前は、シンク・ニルヴァレン。フィールの祖先にあたる人物で……。
- 著者
- 榎宮 祐
- 出版日
- 2016-12-23
6巻の番外編に続き、先の大戦時に存在したというシンク・ニルヴァレンのお話を筆頭に、クラミーやジブリールの過去、空達とステフの話など、ショートストーリーをまとめた1冊になっています。
シンク・ニルヴァレンは、フィーの祖先であり、「八重術者(オクタ・キャスター)」と呼ばれる伝説的な能力を持った森精種(エルフ)です。そしてもう1人、「八重術者」だったと言われているのが「ニーナ・クライヴ」ですが、ジブリールは、「ニーナ」はシンクの偽名で、彼女達は同一人物ではないかと考えていました。
シンクは確かに「ニーナ」の名前を名乗っていましたが、本巻では、ニーナ・クライヴが実在する人物であることが明かされます。家事能力のないシンクのために何かと世話を焼く彼女を、シンクはとても大切に思っていました。2人の関係性は、フィーとクラミーと被るものがあり、フィーとクラミーが好きな読者にとって、たまらないエピソードとなっているでしょう。
サイドストーリー集ということ空と白の場面は少なくなっていますが、そのぶん脇キャラ達の活躍を読むことができます。キャラクターたちの知られざるエピソード満載の本巻を、ぜひ楽しんでください!
いかがでしたか? 生きる場所を失ってしまっていた兄妹が、異世界で最強主人公となり縦横無尽に活躍する様は、とても気持ち良く読むことができます。漫画化、テレビアニメ化などもされているので、それらと合わせて読むのとまた違う面白さを発見できるかもしれません。ぜひいろいろな楽しみ方を見つけてみてください。