松本侑子の著書おすすめ5選!彼女が翻訳を手がけた『赤毛のアン』も紹介

更新:2021.11.7

松本侑子のおすすめ作品を5つご紹介します。松本侑子を語る上で欠かせない『赤毛のアン』、それに続く『誰も知らない赤毛のアン』、実話に基づく小説『みすゞと雅輔』、『恋の蛍』、そして痛快な性恋愛を語る『性遍歴』。どれも見落とせません。

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小説・エッセイ・翻訳まで手がける作家、松本侑子

松本侑子は日本の小説家であり、エッセイスト、翻訳家としても活動しています。小説家となる以前はテレビ朝日の報道制作部に勤め、ニュースステーションのキャスターやリポーターとして活躍していました。

1987年に『拒食症の明けない夜明け』ですばる文学賞を受賞、本作がベストセラーとなります。これを機に、1988年にはテレビ朝日を辞め、本業作家となることを決意しました。

その後も2010年に『恋の蛍』で新田次郎文学賞を受賞するなど活躍を続けています。小説やエッセイを書くとともに、海外小説の翻訳家としても評価が高く、「赤毛のアン」シリーズの翻訳も手掛けました。『赤毛のアン』では、英米文学からの引用を解き明かした訳注を付けており、さらに原作により沿って読めるようになっています。

その他、社会的活動にも注力しており、湾岸戦争に対する反対運動や夫婦別姓制度への賛同など、幅広く活動している作家です。

松本侑子が訳した不朽の名作『赤毛のアン』

舞台は1897年のカナダ、プリンスエドワード島の町アボンリー。その町にあるグリーンゲイブルズ家を中心に起こった物語です。その家には女嫌いで寡黙なマシューと、しっかりもののマリラという老兄妹が住んでいました。

手伝いに男の子を引き取るつもりが、手違いでグリーンゲイブルズ家にきてしまったのが、赤毛の女の子アンです。アンは慣れない環境で苦しみながらも、立派に成長していきます。カナダが舞台の心温まる物語を松本侑子が詳細に訳した作品です。

著者
ルーシー・モード・モンゴメリ
出版日
2000-05-19

モンゴメリ作の世界的名著、『赤毛のアン』を松本侑子が詳細な訳注付きで翻訳したのが本作です。巻末にはカナダの政治や歴史の紹介、アンとカスパート兄弟が過ごした生活様式について、郷土料理や服飾文化について、さらには物語の中で幾度となく登場する聖書の引用についてなど約90ページを割いて詳細に説明しています。

また、冒頭にはモンゴメリの生家、ゆかりの地など写真や肖像、巻末には膨大な、引用された英文詩のリストまでもが付いているのです。今までに読んだ『赤毛のアン』の何倍も物語の世界を味わうことができる作品に仕上がっています。

今まで『赤毛のアン』を読んだことがある方にも、初めて読むという方にもぜひ物語だけでなく、訳注や付録まで詳細に読んでみてほしい作品です。

赤毛のアンを深く味わう『誰も知らない「赤毛のアン」-背景を探る』

世界的名著、『赤毛のアン』を背景からさらに深く掘り下げた作品です。元気はつらつ、好奇心旺盛で頭脳も優秀な少女アン・シャリーの裏に潜む思いとはどんなものなのでしょうか。作者であるモンゴメリ自身の人生や挫折、絶望が作品の中にも映しだされています。

時代背景はもちろん、社会的要因、錯書のモンゴメリの人生など、物語の表面だけではなく、その裏の裏まで丁寧に解釈します。「赤毛のアン」シリーズファン必見の一冊です。

著者
松本 侑子
出版日
2000-06-01

松本侑子が引用や詳細部分にもこだわって翻訳した『赤毛のアン』執筆後、さらに踏み込んで『赤毛のアン』の世界を語った一冊です。『赤毛のアン』を新訳した松本侑子だからこその深い視点で丁寧に分析しています。

松本侑子の新訳『赤毛のアン』で解き明かされたのは、英米文学から引用された文達でした。『新訳 赤毛のアン』で深めた背景分析をさらに深めたこの『誰も知らない赤毛のアン』は新訳を読んだあとにすぐにでも手に取りたくなる一冊です。

松本侑子による画期的な分析に、もう一度『赤毛のアン』を読み直したくなってしまうことでしょう。

金子みすゞを弟の視点から描く『みすゞと雅輔』

ものがたりは一通の電報から始まります。それは日本人なら誰もが知っている詩家、金子みすゞの死を実の弟、上山雅輔に知らせたものでした。

ものがたりはそこから大正4年までさかのぼり、テル(金子みすゞの本名)の人生を弟・雅輔の視点から描いていきます。時代に逆らいながら自身の思いを貫き続ける金子みすゞはどのような姉であったのでしょうか。2人のやりとりからその関係性が徐々に見えてきます。

著者
松本 侑子
出版日
2017-03-03

「私と小鳥と鈴と」をはじめとして、「こだまでしょうか」、「大漁」などの作品を残した金子みすゞ。日本人ならば誰もが一度は耳にしたことがある詩を作った金子みすゞの生涯を彼女の実の弟・上山雅輔の日記を頼りに松本侑子が読み説いていきます。

大正・昭和という波乱の時代を生き抜き、心震える詩を残した金子みすゞの人生とはどのようなものだったのでしょうか。そして、どうして金子みすゞは自殺してしまったのでしょうか。弟の目を通した視点で、新たに分析しています。

弟の視点で描かれる金子みすゞは、今までの姿とはまた少し異なった姿が浮かびあがってくることでしょう。その生きざまは、現代の私たちにも、感銘深いものです。

熱烈な恋物語『恋の蛍ー山崎富栄と太宰治』

太宰治との熱烈な恋の果てに、彼とともに入水自殺をした山崎富栄の生涯を描いた小説です。山崎富栄は日本で初めて美容学校を設立した父を持ち、令嬢として何不自由なく過ごしていました。しかし、そんな彼女の人生に困難が襲ってきます。

商社マンと結婚し、幸せになったかの彼女の人生でしたが、戦争を機に代わってしまうのでした。その後、太宰治と死ぬ気の恋愛をする彼女。太宰ファンも必見の一冊です。

著者
松本 侑子
出版日
2012-05-10

松本侑子が太宰治生誕100年を記念して執筆したのが、山崎富栄と太宰の大恋愛を描いた『恋の蛍 柳崎富栄と太宰治』です。山崎といえば、太宰と心中をした女性として知られていますが、その評価は決して良いというわけではありませんでした。

本作以前、山崎はふしだらな女、といった虚像で語られることが多かったです。しかし、本作においては、彼女の出生にまでさかのぼって「山崎富栄とはどのような女性だったのか」を描いています。

そんな山崎の本当の姿を、松本侑子は当時を生きた人々への取材を基に記しました。松本の取材力と執筆力が発揮された作品です。

隠れた現実を松本侑子が伝える『性遍歴』

喜びと快楽を与え、息もつけないほどに欲望と愛情がほとばしる。そんな性体験を通し、一人の女性が成長していく様を描く作品です。隠されがちな、でも人間にとって欠かせない性についてリアリティを持って語っています。

男女のノーマルな性だけではなく、レズビアン、女装者の恋愛など、本作ではセクシャルマイノリティの恋愛にも焦点を当てた性恋愛の物語です。

著者
松本 侑子
出版日

本作は松本侑子の信念や大事にしたいことがよくわかる作品です。性とは画すべきものではなく、男性にとっても、女性にとっても、セクシャルマイノリティの人にとっても重要だという思いが伝わってきます。

性遍歴というと、一個人の男性遍歴を想像してしまうかもしれません。しかしそうではなく、女性として向き合うべき性の姿をリアリティを持って描いているのが本作です。

女性が性について書くことはあまり多くない中、性に関する小説『性遍歴』を書いた松本侑子。本作だけでなく、特に若者にむけた性に関するエッセイ集『愛と性と美学』も注目です。

今回は松本侑子の著作を5つご紹介してきました。それぞれ個性のある作品ばかりです。ぜひ、興味を持ったものから読み始めてみてくださいね。

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