高田崇史のおすすめ小説5選!歴史とミステリーを掛け合わせて描く作家

更新:2017.7.13

多数の人気シリーズ作を発表し、歴史とミステリーを合わせた独自の作風が、高い評価を受けている高田崇史。斬新なスタイルは海外評価も高いのが特徴です。英語版の著作を発表するなど、小説家として様々な試みを実践している、第一線の人物でしょう。

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歴史とミステリーを独自の作風で描きだす小説家高田崇史

高田崇史は、歴史小説や時代小説のスタイルを取り入れながら、ミステリーの世界観を構築していく、独自のスタイルが人気の小説家です。歴史小説に多い「史実上に潜む謎を解き明かしていく」というタイプの小説ではなく、あくまで伝統的とされる様々な慣習や、これまでは到底謎だととらえてこられなかった物事をピックアップし、謎めいた事件や出来事に仕立てていきます。

読者の想像のはるか上をいき、かねてからの常識を打ち破り、新たな解釈や歴史観を再構築していく作風が、多くのファンの獲得に繋がっているのです。

非常にユーモラスな作風も特徴で、登場人物のネーミングに、作品の垣根を飛び越えて統一感を持たせるなど、ファンが嬉しい作中サービスが盛んなのも高田崇史作品の特徴と言えます。歴史に関する造詣は非常に深く、これまで一般的とされてきた歴史上の人物の新たな分析や、そこから新たに構築された斬新な世界観なども魅力です。

また、高田崇史はデビュー作である代表作「QED」シリーズをはじめとして、パズル好きにはたまらない「千葉千波の事件日記」シリーズや、アニメ映画化もされた「鬼神伝」シリーズに、日本中を舞台にした本格推理小説の「カンナ」シリーズなど、多数のシリーズ作品を抱えています。その他「時の時空」シリーズや「麿の酩酊事件簿」シリーズ、「毒草師」シリーズも高評価です。

高田崇史のデビューのきっかけは、1998年のメフィスト賞の受賞でした。同賞やレーベルで活躍する小説家同士での交流にも積極的で、清涼院流水による「The BBB」プロジェクトにも参加し、英語による著作を世に送り出すなど、チャレンジも多いです。そんな稀代の小説家・高田崇史のおすすめ作品を、ピックアップして紹介していきましょう。

将門の怨念が再来?現代で巻き起こる歴史的事件の真相

東京・大手町にある将門の首塚は、触った人に恐ろしい呪いが降りかかると言われています。ある日、噂の首塚が破壊され、男性の生首が転がっている、という事件がおきました。一方、京都・宇治川には、首なしの胴体だけの遺体が放置されており、かつて将門の晒し首が空を飛んだという、歴史的な伝説が繰り返されたと話題になります。

将門の怨霊エピソードは、歴史ファンの多くが知る有名な話のひとつです。そのエピソードが現代によみがえったようにして、新たな謎が次々に巻き起こります。高田崇史懇親の長編推理作品で、読み応えもばっちりでしょう。

著者
高田 崇史
出版日
2017-02-22

首塚に放置された生首に、首なし死体など、ショッキングな出来事から、ストーリーが転がるように急展開されていきます。一連の事件が、歴史上あまりに有名な将門のエピソードに絡められていることから、捜査にあたる刑事たちの戸惑いや恐怖の描写が非常にリアルで、読者にもひしひしと伝わるでしょう。

歴史に深く関係した作品ではありますが、舞台は現代であり、謎解きをするのも、刑事や大学生など、どこか馴染のある登場人物たちです。そのため、歴史小説があまり得意ではない人や、初めて高田作品を手に取る人でも、登場人物たちのおかげで読みやすい仕上がりとなっています。

人気シリーズの一作目!連続失踪事件に迫る

高田崇史の抱える「毒草師」シリーズの第一作目です。主人公の毒草師・御名形史紋と、編集者の西田真規が、連続失踪事件の謎に立ち向かっていく、ストーリーになっています。

鬼田山家という有名な名家で、施錠されているはずの離れから、次々と家人が失踪してしまうという、不可解な事件が発生。密室の謎が迫る中、長男が何者かの手により、毒殺されてしまいます。毒と薬のスペシャリストである御名形が立ち向う事件の真相は、驚くべきものでした。

著者
高田 崇史
出版日
2010-08-12

実は、本作の主人公である御名形は、高田崇史の人気シリーズである「QED」シリーズのサブキャラクターです。しかし、本作ひとつで楽しめるように徹底した流れになっていますから、「QED」シリーズを手にとったことがない人でも、本格推理を楽しむことができますよ。

本作は『伊勢物語』になぞらえられ、物語が展開されていきます。「QED」シリーズ同様、その全貌を知らなくても問題はありませんが、『伊勢物語』の流れが本作の展開に巧みに組み込まれていますので、前もって『伊勢物語』の知識を仕入れておいたり、思い出したりしておければ、本作をより一層楽しめることでしょう。

舞台は鎌倉!日常的怨霊の謎がテーマのシリーズ作品

高田崇史による「時の時空シリーズ」の第一作目です。源義綱の傍流・清和源氏の末裔である辻曲家は、代々尼や巫女などを多数輩出してきた、特殊な力を持った家系でした。そんな辻曲家の次女・摩季が、意識不明となって由比ヶ浜で見つかったことから、物語が始まります。

事件と同じころ、鎌倉幕府の二代目将軍・頼家の遺跡が荒らされていたことも明らかになりました。辻曲家の長男・陽一は、生まれながらに強い霊感を受け継いでおり、この二つの謎めいた事件に、怨霊の関与を感じ始め、独自に調査を開始します。歴史の間に潜む、怪しげな陰謀が次々明らかになっていくストーリーです。

著者
高田 崇史
出版日
2014-03-06

鎌倉時代の歴史の謎に、現代の事件が絡み合っていく、高田崇史ならではの作風が炸裂する一作です。シリーズ一作目ということもあり、勢いのある筆運びを感じることが出来るでしょう。神話や神社をモチーフとして取り上げ、闇に葬られた鎌倉の陰謀を、当時の風景が思い浮かぶほど鮮明に表現されています。

歴史と推理はもちろんのこと、伝奇小説のスタイルを感じさせると共に、大人向けのファンタジー要素も詰まった一冊です。

推理サスペンスとしての迫力を保ちながらも、アクションシーンも多く、メリハリのあるストーリー展開だと言えます。鎌倉の観光地を一度でも訪れたことがある人は、見たことのある風景が取り上げられているかもしれません。

軍神と崇められた男……これ一冊でどこまでも楽しめる

かつて、その圧倒的な実力と、どこまでも雄々しい生き様から、軍神として崇められていた楠木正成。舞台となる現代では、特攻隊の生き残りであり歴史研究者でもある修吉が、正成の死に関係する謎を明らかにしていきます。しかし、その驚愕の事実を解明した瞬間、修吉は謎の秘密結社の手で瀕死に陥らされてしまうのでした。

物語は、修吉の命を救うため、孫の瑠璃が奔走することで進んでいきます。彼女に協力するのは、同級生で小説家の京一郎。南北朝時代から現代までの時を超え、歴史の狭間に隠された謎が、徐々に解き明かされていく、衝撃の一作です。

著者
高田 崇史
出版日
2016-03-15

シリーズ作品が圧倒的に多い高田崇史作品の中で、本作はこれ一冊で楽しめるので、気軽に手に取ることができます。

更に、主人公たちが事件解決のために用いるアイテムや手法も、誰にとってもごくありふれたものであり、とても身近な感覚を抱かせてくれるでしょう。このようなポイントからも、初めて高田作品を手に取る人にも向いていると言えます。コンパクトながら、読み応えもある、理想的な作品です。

また、本作では、南北朝時代と現代のリンクを楽しめる一方で、東京と愛媛という、離れた土地を結ぶ展開も堪能することができます。史跡や歴史から伺い知る、衝撃の事実の行く末を味わってください。

酔うほどに冴える酩酊推理?これまでにない探偵作品

「麿の酩酊事件簿シリーズ」の第一作目です。主人公は、勧修寺家の跡継ぎである文麿。名家の当主にして、ベンチャー企業のオーナーとしても活躍している独身貴族です。理不尽な家訓にのっとり、素敵な結婚相手を探していますが、なかなかうまくいきません。

ピアノや茶道、ビリヤードやバーテンダーなど、多様な実力を持った女性たちと出会っていくものの、謎めいた事件に巻き込まれたり、女性が殺人事件に深く関わってしまったりして、文麿の人生は前途多難です。酔えば酔うほど推理が冴え渡っていく文麿ですが、無事に悲願を遂げることが出来るのでしょうか?

著者
高田 崇史
出版日

マニアックな謎が張り巡らされており、推理ものとしても緻密で、非常にクオリティが高い一作となっています。更に、ただミステリーを読み解くだけではなく、結婚相手探しに奔走する文麿の、肝心なところで空回ってしまう人間味も、愛すべきポイントでしょう。「見合い厳禁・手助け無用・独力発掘・自力本願」という家訓に振り回される彼のキャラクターは、自然と応援したくなります。

短編の連作でストーリーが展開されていくため、ひとつひとつの物語が読み解きやすいのも特徴です。主人公の別パターンの人格も、愛嬌があって魅力的に描かれています。日常シーンとマニアックな推理のメリハリもある上質な推理小説シリーズですので、是非手にとってほしいと思います。

いかがでしたか?高田崇史の作品は、歴史とミステリーを絡ませた、圧倒的な世界観が特徴です。シリーズ作品をはじめとして、どれも魅力的な作品ばかりですから、気になった人はぜひ手にとってみくてださい。

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