良書の多い「翻訳ビジネス書」。だけど高くて、なかなか手に取りづらいですよね。 ところが、時おり、それら翻訳ビジネス書が安く手に入る「割引フェア」が行われます。年に何回かはこういうフェアがあるのですが、うっかりしていると気づかずに過ごしてしまうもの。 今回、6月23日(木)までの期間限定で【最大50%OFF】の翻訳ビジネス書フェアが行われている(!)と耳にしましたので、このなかでも「読むべきオススメの本」を選び紹介することにしました。テーマは「経済学の視点を身につけられる本」です。
ここ5年間の「ビジネス書大賞」大賞作品をみると、『HARD THINGS』(2016)、『ZEROto ONE』(2015)、『WORK SHIFT』(2013)と3年分は翻訳ビジネス書。この例に限らず、「翻訳ビジネス書」には、良書が多いものです。
一方で、一冊一冊の値段が高くて、気軽に買いづらいのが悩みどころです。ところが、時おり、それら翻訳ビジネス書が安く手に入るときがあることをご存知ですか? それは、出版社や書店が力を入れて【割引】フェアをやるときです。年に何回かはこういうフェアがあるのですが、うっかりしていると気づかずに過ごしてしまうもの。
今回、6月23日(木)までの期間限定で、【最大50%OFF】の翻訳ビジネス書フェアが行われると耳にしましたので、ホンシェルジュ編集部のビジネス班は、このなかでもさらに「読むべきオススメの本」を選び、紹介することにしました。
今回のテーマは「経済学の視点を身につけられる本」。定番からややニッチまで、一度は読んでおきたい経済学書をピックアップしています。
読みたいと思っていたけれど、手が出なかった、という人は、この機に、再検討をしてみるのはいかがでしょうか。
世界で読まれるビジネス書(翻訳書)特集
http://honto.jp/cp/ebook/2016/translation-business?eu_hb_bizb03_004
- 著者
- マリナ アドシェイド
- 出版日
- 2014-12-19
刺激的なタイトルですが、まじめな本です。
「婚活では写りのよい写真を使った方がいい」「金持ちは貧乏よりモテる」「若者の草食化はスマホが原因」など、それらしい、なんとなく正しそうな意見が世の中にはあふれています。しかし、それらの意見は何を根拠にしているのでしょうか。
おそらくは、有識者やマスメディアの経験による「意見」が、「事実」のように語られてしまっているだけなのでしょう。このようなそれらしい「意見」に対し、本書では経済学的なアプローチで、データに基づいて、予想と異なる「事実」を示していきます。
例えば、男子学生が多いキャンパスと、女子学生が多いキャンパス。どちらの方が「女性の性の乱れ」が大きいと思いますか。学内の性の乱れは自分の娘にとってマイナスだと思う親は、どちらの大学に娘を通わせるほうがよいのでしょうか。
なんとなく、たくさんの男子学生の中にいる女子学生のほうが、「貞操の危機」を感じそうです。しかし、経済学が出す答えは、実は全く逆。データは、女子学生が多いキャンパスのほうが性の乱れがあることを示すのです。
この結果を経済学的に解釈すると、納得できる論理が見えてきます。女子学生が多いキャンパスのほうが、(限られた)魅力的な男性をめぐる競争が激しくなるために、リスク(セックス)をとる競争相手が増え、セックスの値打ちが下がり、買い手市場になっていくと考えられます。
同様に、「婚活で写りのよい写真は逆効果」、「金持ちのイケメンより貧乏なイケメンの方がモテる」、「草食化は、大学の学費と関係する」など、それらしい「意見」と対照的な結果が次々と示されます。
個々の事象の示唆と、それを導く論理的なアプローチも興味深いのですが、なにより、安易な個人の「意見」に流されない「考え方」を学ぶことができる点で優れた書です。
- 著者
- ジェームズ・J・ヘックマン
- 出版日
- 2015-06-19
前書は「恋愛」に関する書でしたが、「教育」も、「なんとなく正しそうな意見」があふれる世界です。
本書はタイトルのとおり、幼少期の教育の効果を、経済学的に検証した書です。「幼少期には積極的に教育するべき!」というのは、なんとなく正しいと思えますが、では「幼少期に適切な教育をしないと、どうなるの?」、「早い時期に教育することで、(そうでない時と比べて)人生はどう変わるの?」というところまで突っ込んで答えられる人は、多くないのではないでしょうか。
本書では、なぜ幼少期の教育が一番大事なのかという疑問に、投資対効果、効率性という観点から根拠を示しながら説いていて、示唆に富んでいます。
一例をあげると、1962年からミシガン州で、低所得のアフリカ系58世帯の子供を対象に実施された研究があります。幼児に対して就学前教育を30週間続けたグループとそうでないグループに分け、その幼児たちを40歳まで追跡調査した研究です。
教育内容や結果の詳細は本書に譲りますが、最終的な追跡調査では、「就学前教育を受けた子供は、受けなかった子供よりも学力検査の成績がよく、学歴が高く、収入が多く、持ち家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率が低い」という結果がでました。また投資対効果に換算すると、就学前教育を受けた子供の利益(費用1ドル当たりの年間利益)の率は6%から10%と見積もられたとのことです。
またこの本は、自身の主張を一方的に展開するだけではなく、その主張に対する各所からの反論を紹介し、さらに再反論するという構成をしています。そのため、読者がニュートラルに考察するうえでも参考になるでしょう。
教育業に関わる人や、子どもの教育に関心のある親はもちろん、思い込みに走らず論理的な検証の思考をもつためにも、多くのビジネスパーソンに勧められる本です。
- 著者
- スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー
- 出版日
- 2007-04-27
身近なテーマに対して経済学的見地から考える、というアプローチのはしりがこの本でしょう。タイトルを耳にした、あるいは、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
本書では、「銃とプールと危ないのはどちらか」、「力士は八百長なんてしないのか」、「麻薬の売人はなぜいつまでも母親と住んでいるのか」など興味深い問題を提起し、それら問題に対して豊富な統計データから答えを示していきます。なによりも、経済学の基礎となる「インセンティブの概念」を明らかにする、分かりやすい本です。
最初の単行本は2006年に翻訳されましたが、その後に「犬のウンコ、臓器売買、脱税」などの「もっとヤバい話題」を110ページ追加した増補改訂版が出ました。それが本書です。アメリカに経済学ブームを巻き起こし、400万部のベストセラーとなった本書は、まだ読んだことがないのなら一度は読んでおいた方がいい!と思えます。
なお、本書に続き、『超ヤバい経済学』『ヤバすぎる経済学』という続編も出しているほか、『ヤバい経営学』『ヤバい統計学』『ヤバい社会学』など他の学問(?)シリーズも出しているので、興味がある人はそちらに手を広げてもよいかもしれません。まぁ、ちょっと味を占めて出版しすぎな感もありますけれど。少なくとも一番初めにでた本書は、一読を勧めます。
そのほか、『フォーブス』誌で「世界で最も影響力のある経済学者」に選ばれた行動経済学者による著書『その問題、経済学で解決できます。』や、「学生が選ぶ講義が上手な教師」1位の著者が記した『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門』(ミクロ編、マクロ編)もフェアで並べられているようです。これらは私自身がまだ読んでいないのでお勧めできるか分からないのですが、気になる方は見てみてください。
世界で読まれるビジネス書(翻訳書)特集
http://honto.jp/cp/ebook/2016/translation-business?eu_hb_bizb03_004
それでは。
「経済学」関連書以外にもオススメな本がありましたら、また紹介いたします。
年間8万冊もの新刊が発行される書籍業界ですが、過去の本にも見逃せない本は多くあります。限られた時間を「アタリ」の本に費やせるよう、その一助となりたく思っております。
ホンシェルジュ編集部ビジネス班でした。