アメリカで女性初の大統領就任という偉業を達成すべく日々奮闘するヒラリー・クリントン。そんな力強い彼女の考えや生き方をもっと知り、日々の生活において参考にすることができるような本をご紹介します。
ヒラリー・クリントン(本名ヒラリー・ロダム・クリントン)は第42代アメリカ大統領であるビル・クリントンを夫に持つアメリカ合衆国の民主党に所属する政治家です。
イリノイ州シカゴの平凡な衣料品店に生まれた彼女は、早くから政治に興味を持ち高校生のころにはすでに共和党員として活動し、大学を卒業するとともに弁護士として働く傍らも政治活動を続け、ついには上院議員に就任します。
彼女の政治信念は地位の低く見られている女性の立場を高め、LGBT*など性に対する様々な悩みを持つ人々への理解を深め、人がみな平等に生きていけるような社会を作るという信念のもとに政治活動を行っており、そんな彼女もまた女性としての様々な困難に直面します。
家庭をとるか仕事をとるかの選択、夫の浮気、女性の政治家としての限界。そんな問題をいくつも乗り越え、ついに彼女は女性初の大統領就任という大きな挑戦に挑みます。
今までではありえなかった常識という名の「ガラスの天井」。
そんな「ガラスの天井」を打ち破るべく日々奮闘するヒラリー・クリントンの生き方は、同じ女性の方たちだけではなく、ビジネスマンの方々や、企業を始めようと考えている方々にもその常識を打ち破る手助けとなってくれる事でしょう。
*LGBT……レズビアン・ゲイなど性的少数派の人を広く示した言葉
全米で160万部を突破するばかりか世界中で翻訳されて読まれているのがこの『リビング・ヒストリー ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』です。
芯の強い女性の象徴として名高いヒラリー・クリントンですが、そのイメージ通りこの本では彼女は一切の弱音を見せていません。父の死に直面した際にも彼女は彼女の生き方を見失わず更に前に進むことだけを考え、当時は全く注目されていなかった女性の人権に関する問題についても堂々と自らの意見を発し、行動します。
そんな強く見える彼女ですが、息子の誕生や夫の大統領就任時などはとても感動して延々と喜びを綴っており、ところどころに彼女の人間らしさが垣間見えてとても親しみを感じることが出来ます。
- 著者
- ヒラリー・ロダム・クリントン
- 出版日
- 2007-11-07
「私は生まれつきのファーストレディでもなければ上院議員でもない。」
(『リビング・ヒストリー上-ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』より引用)
この書き出しで始まるこの自伝では、アメリカの静かで平穏な街に生まれた彼女が幼いころから世間に対する様々な疑問を感じていながら、周囲の大人たちはあまり政治に関心を持っていないため、誰と話すことも聞くことも出来ず、自らで動き考え政治家としての彼女を自分で生み出していった話が綴られています。
世にいう優秀な家系で教育を受け政治家の道を用意されるでもなく、世襲として目指すのでもなく、まるで子供がパイロットになりたいという夢を語るように彼女は政治家になりたいと考え、ただの政治家の自伝という側面だけではなく、夢を追い求める少女の軌跡としての物語として楽しむことができます。
『ヒラリー・クリントンの言葉』では、彼女が政治家として、時には母として発言してきた様々な言葉が政治経済の分野から価値観や生き方の分野に到るまで16の項目に分けて紹介されています。
女性として初の大統領を目指す彼女に様々な価値観や常識が邪魔をしますが、そんな価値観や常識にとらわれず自らの考えを発し、目的に向かっていこうとする彼女の言葉はそのどれもが力強く、自信を無くした時や勇気が欲しい時にぜひ読んでほしい一冊です。
- 著者
- 出版日
- 2016-03-16
「アメリカ国民は毎日チャンピオンを必要としています。私は、そのチャンピオンになりたいのです。」
「われわれには向こう20か月やるべきことがたくさんある。女性大統領を見たくないか。」
(『ヒラリー・クリントンの言葉』より抜粋)
女性の政治に対する立場がまだまだ低い時代において、女性にはどうしても越えられない壁「ガラスの天井」と自ら例える女性の大統領への就任について彼女が大勢の聴衆の前で演説した言葉です。
一般常識の中で自らが出会ってきた女性としての様々な困難を打ち破るべく大統領への道を目指す彼女には立ち止まっている暇などありません。
そんな、時には優しく、時には力強く聴衆を惹きつける彼女の言葉の一つ一つは、私たちも直面するであろう仕事の問題や人間関係など様々な場面の「ガラスの天井」をともに打ち破る力になってくれるはずです。
『リビング・ヒストリー ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』が彼女の人生を綴った自伝であるとするならば、『ヒラリーの野望 その半生から政策まで』は、より詳しく彼女の「政治人生」を綴った伝記とみることができます。
彼女が政治家を志すことを決めた出会いや、政治家としての活動や信念。女性として、または弁護士としての幸せを捨ててまで政治家としての道を進んでいくべきかの葛藤など彼女の政治に対する出来事や考えがより詳しく書かれています。
いくつもの問題が生じながらも、何が何でも野望を達成しようと考える政略や信念は常に競争を強いられるビジネスマンにも読んでほしい内容です。
- 著者
- 三輪 裕範
- 出版日
- 2016-10-05
内容としては前述のとおり彼女の政治人生にスポットをあてたものなのですが、その分内容はとても濃く、政治の世界における見栄や汚い部分がありのまま描かれ、様々な策略が交錯し、まるで自分が当事者の一人であるかのように時には喜び、時には憤ってしまいます。
他にも、夫の浮気スキャンダル、ファーストレディ時代に受けた猛烈なバッシング、友人たちに裏切られて初の大統領選に落選した際のショックなどの部分は読んでいるだけで心が重くなってしまいますが、それでもそんな出来事を乗り越え、自らの信念を貫こうとする彼女の政治家としてのプライドは鬼気迫るものがあります。
彼女の歩んで来た道を垣間見ることで、私たちが達成しようと考える野望についての取り組み方が甘く、もっと本気で取り組まねばと考えさせられることでしょう。
『大統領への道ーヒラリー・ロダム・クリントンの野望』は2007年にヒラリー・クリントンが大統領への出馬を表明した際に彼女の半生や政治活動を紹介するためという側面を持ち出版された本です。
彼女の政治に対する取り組み方の世間一般での評価や、彼女の様々な発言についての解釈や意見などを著者の意見を交えて分かりやすく伝えてあります。また、彼女が問題定義している問題についても著者なりの説明を加え、本を通じてアメリカという国が直面している問題についても深く知ることができるでしょう。
彼女がどのような考えで政治活動を行い、なぜ大統領に就任したいのか?
そんな、ヒラリー・クリントンの考えや生き方を知るための入門編としてとても分かりやすくておすすめです。
- 著者
- ["ドン・ヴァン・ナッタ・ジュニア", "ジェフ・ガース"]
- 出版日
- 2008-01-26
この本の最大の特徴は、著者が冒頭であらかじめ伝えているように、ヒラリー・クリントンを擁護することなく、または批判することもなく、常に中立の立場で書かれている点です。
「私が述べた意見は他にも様々な意見があると思う。それは私以外の人が著作で述べるべきことである」
(『リビング・ヒストリー ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』より一部抜粋)
と自伝において彼女が述べている通り、もちろん彼女の主張には様々な意見があります。
この本はそんな彼女の発言に応答するように書かれており、彼女の誤った行いや改善点、問題点までもを題材にしているので、より深くヒラリーの人間性に触れることができるので、ヒラリー・クリントンという人間をもっと知りたいと思った方にはとても参考になる一冊です。
様々な困難を乗り越えながら、女性として前例のない大統領就任という偉業を達成するべく日々努力する生き方。そんなヒラリー・クリントンの力強い生き方や言葉は、現代社会で様々な問題に直面する私たちの「ガラスの天井」を打ち破る力となってくれるでしょう。