岩館真理子のおすすめ漫画5選!幻想的な少女漫画を読もう

更新:2021.11.8

シリアスなものから、ユーモアな恋愛観を描いたものまで、様々なジャンルの作品を執筆している岩館真理子。そんな彼女のおすすめ漫画を5つご紹介いたします!

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「大人の少女まんが」という新しい形を作った漫画家、岩館真理子

岩館真理子は、北海道で1957年に生まれました。1973年『週刊マーガレット』に掲載された『落第します』でデビューし、その後も同誌では多くの作品を発表しています。

また月刊誌『ヤングユー』にて、『うちのママが言うことには』の連載を開始。この『うちのママがいうことには』は講談社漫画賞を受賞しました。ほかにも彼女の代表作として、『1月にはChristmas』や『アリスにお願い』などがあります。

作風は、大人の女性の等身大の恋愛を描いたものから、少女を主人公にした幻想的なものや、シリアスなものまで、幅広いものを執筆。繊細な感受性から生み出される独特の作品の世界観が淡麗な絵柄と相まって、多くの読者の支持を集めているのです。

批評家として知られる大塚英志は、岩館真理子を「大人の少女まんがという新しい形を作った漫画家」と評価していて、彼女が『ヤングユー』などの女性誌の発展に果たした役割は小さくないと指摘しています。

岩館真理子の代表作のひとつ

1991年に集英社『ヤングユー』で連載された作品です。

この作品は、5年前に川べりにあった小屋が土砂崩れにあい、その中にいた江利子という女の子が亡くなった事件を中心に描かれています。

事件の秘密を握っている江利子の友達の美奈子とアリス、そして亡くなった江利子。少女たちの思惑が絡んでぶつかりあい、恐ろしくも美しい物語です。

著者
岩館 真理子
出版日

 

本作は、独特の友人関係や、大人になりたいと思っているけどなりきれないなど、複雑な感情がある難しい年ごろの女の子たちを描いています。
 

女性であれば誰しも感じたことのある感情が描かれていて、読んでいて共感しつつも、もどかしくなるのではないでしょうか。単行本の柱で岩館真理子は、「13から16、7歳くらいの女の子が好き」と語っており、忠実にこの年ごろの女の子を描きながら、作品を作りあげています。

彼女が描く少女たちは美しく、またストーリーにはミステリー要素も混ざっているので、少女漫画が苦手な方でも抵抗なく読める作品になっています。

 

はかない女の子の物語

1983年に『週刊マーガレット』で連載され、1991年にアニメーション映像化された作品です。

この作品のアニメーション映像では、シンガーソングライターの岡崎律子が初めてアニメの主題歌を自分の声で歌っていて、瑞希の声を演じた声優の林原めぐみと出会うきっかけになった作品ともいわれています。

林原はそれまで明るい元気な役を演じることが多かったのですが、この作品でおとなしい女の子の役を演じたことにより、『新世紀エヴァンゲリオン』のクールな「綾波レイ」役に抜擢されるきっかけにもなりました。

著者
岩館 真理子
出版日

主人公の瑞希は、「12月が嫌い、誕生日が嫌い」と言い、どこかひねくれている22歳の女の子。彼女が大学生の順正の隣に引っ越してくるところから物語ははじまります。順正には世衣子という彼女がいますが、大きな家に1人で住むことになった瑞希のことを気にかけてしまうようになるのです。

様々なことに対して「嫌い」という瑞希は、とくに「クリスマスが嫌い」と口にしています。彼女はなぜ「クリスマスが嫌い」というようになったのか。そして、瑞希、順正、世衣子の関係はどうなっていくのでしょうか。

岩館真理子ワールド炸裂!

2007年に『ヤングユー』にて発表され、同誌では約6年ぶりの連載だったこともあり、反響が大きかった作品のひとつです。

1巻完結なので読みやすく、恋愛要素がありつつも、のほほんとお話が進んでいきます。

見上げてごらん

岩舘真理子
集英社

主人公は、北海道から1人で上京してきた女子大生の千里子。彼女の性格が、まさに田舎育ちと言っていいほどほのぼのとした雰囲気なんです。家族や友人に支えられ、大都会というの荒波に揉まれながら生活をしていきます。

背の高い男の子、高島も、彼女を支える存在です。ほのぼのとしながらもユーモラスなギャグ要素もある、岩館ワールド満載の一冊となっています。

岩館真理子の「月」をモチーフにした連作短編

本作は『モーニングマグナム増刊』で連載されたもの。岩館真理子の作品では珍しく、タイトルの由来がはっきりと語られています。

彼女いわく、「黒い雲が月を覆ってしまっても、月と雲の間にははるかな距離がある」とのことで、作中にも「月」のモチーフがくり返し登場します。

著者
岩館 真理子
出版日

物語の舞台はある1軒のコンビニエンスストア。1つの物語で1人ずつ、コンビニにやってくるお客さんが主人公となり、店員とのコミュニケーションで物語が進んでいきます。

ここで主人公となるのが、いつもの岩館作品に出てくるようなかわいい少女だけでなく、おばさんもいるんです。離婚して、娘とも離れて暮らすおばさんの姿には、切なさも感じます。

コンビニという日常風景のなかにあるひとりひとりの個性が面白く、店員とのやりとりはコミカルで心温まります。

岩館真理子が描くもどかしさ満載の恋物語

2001年から2004年まで『ヤングユー』で連載され、単行本では全4巻が発売されているコメディー漫画です。

旅行雑誌の編集部である赤井と、彼の元同僚の桃田の恋物語です。くっつきそうでくっつかない、すれ違いの多い2人の関係と、話が進むにつれて増えてくる個性豊かな登場人物が魅力的な作品となっています。

著者
岩館 真理子
出版日

とにかく赤井と桃田が「くっつきそうでくっつかない」のがもどかしい作品です。読者とおなじように、2人の周りの登場人物もやきもきしていて、彼らが2人をかき乱していくようすが滑稽です。赤井と桃田の恋の行方はどうなってしまうのでしょうか……。

ヒロイン桃田の天然っぷりにもぜひご注目を。

いかがでしたでしょうか?岩館真理子の作品は、複雑な人間模様のなかに、独特なユーモアや切なさ、そしてシリアスさを交えて作品を作り出しています。ぜひみなさんも気になった作品から読んでみてください。

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