愛すべきモンスターたちとともに、クリエイティブな夏を

更新:2021.12.13

夏がやってきました! お子さんがおられる方にとって夏休みといえば、楽しい反面、子ども達との時間をどう過ごそうか、悩ましい季節とも言えるのではないでしょうか? 友人で俳優の屋敷紘子ちゃんがちょこっと出てるらしい、ゴジラの新作映画が公開されるのもありまして、個人的にこの夏おすすめなのが、親子でモンスターにちなんだ図画工作を楽しむことです。モンスターは空想上の存在でありつつ、あくまで生物として描かれます。ご紹介する本を参考に、机上に色々なオリジナルモンスターを出現させてみてはいかがでしょうか?

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1日1体、モンスターの顔を作って遊ぼう!

絵本作家tupera tuperaさんによる人気シリーズ『かおノート』の第3弾、『かおノート モンスター』。この本は、本文も表紙と同じように、1ページに1つ、様々なモンスターの顔が画面いっぱいに描かれているのですが、それらが全部、福笑いの顔みたいに“のっぺらぼう”なのです。

巻末に付属されている顔パーツのシールや、何か自分で用意した素材を使ったり、あるいは書き込んだりして、モンスターの顔を自由に作って遊ぶためのドリルのような絵本。パラパラめくっていくと、中にはサボテンとかドリアン、パンプキンの写真なども紛れていて、なるほどモンスターに見立てて遊ぶにはよいモチーフだなあと思います。

ボリュームたっぷり、52種類も作れるので、夏休み中毎日1つずつ作ってもまだ余るほど。夏休みの宿題ドリルがこれだったら…促されずともサクサク進むんでしょうね(笑)

著者
tupera tupera
出版日
2015-12-10

粘土遊びしたくなる、ピュアな佇まいのモンスター達。

子どもの頃は、絵を描くより粘土遊びが好きだったなあ! とおっしゃる方は、『新世紀モンスター』をご覧になると、眠っていた童心や創作意欲を掻き立てられるかもしれません。

自閉症のハンディキャップを持つ斉木雄太さんは子供の頃から創作活動をされており、そのモチーフの多くが怪獣やエイリアンといったモンスター。色鮮やかで愛嬌のあるモンスター達は、どれも彼が思い描いたものを自分の手で形にしたもの。写真は岩本竜典さんによるものです。どれも街中で撮影されており、指の動きを写し取ったような独特のフォルムのモンスター達が、リアルな風景の中にいることで、ありのままを望むピュアな心を与えられたかのような印象に仕上がっています。

近く新刊発行予定があり、7月22日からはペーターズギャラリーで斉木雄太さんの個展が開催されるとのことですので、東京近郊にお住いの方は、親子でお出かけになってみてはいかがでしょうかか?

著者
斉木雄太
出版日
2014-08-28

モンスターを創ることになった、プロの仕事とは?

プロのクリエイター集団が、「モンスターを創る」となった場合、どのようにして形にしてゆくのでしょうか。『ジ・アート・オブ・モンスターズ・インク』を読めば、その現場でのやりとりを垣間見ることができます。ピクサーが映画『モンスターズ・インク』の製作を行った際に、そのスタッフが試作した多くのアイデア・スケッチ・アートをまとめた画集です。映画の世界観を際立たせるためのインスピレーションやエッセンスとしての役目を果たすに留まったものがほとんどであるにもかかわらず、見ごたえのある画集に仕上がっています。

モンスターが暮らす街・メインキャラ・働く会社(工場)・魅力的な脇役。4つのテーマでまとめられた試作の数々から浮かび上がるのは、関わるクリエイター達の自由闊達なブレインストーミングによって、あの世界観を導き出した足どりです。物語の基礎部分をとことんまで補強する姿勢と、それを叶える想像力。ピクサーがヒットメーカーである所以を証明する1冊です。
 

著者
["ジョン ラセター", "ピート ドクター"]
出版日

モンスターが登場する民話に親しもう

モンスターの概念の礎となっているであろう、海外の民話をいくつか紹介したものが『怪物の本』です。モンスターの基本条件とは、巨大で、人に恐怖を与える容姿をしていて、実体を伴っていること。架空の存在だけれど、生身であることが大前提なんだそうです。この本では、それらの特徴を挙げた上で「怪物というものは、何かしら哀れみを誘う」と総括しています。

自ら望んで怪物になったわけでないから、たいていの怪物は容姿に反して優しい心を持っている。そうでない少数の心底残酷で恐ろしい怪物が、そこに紛れているのだ。この観点から選ばれた12の民話が楽しめます。伝承地域は欧米からアフリカまでと、なかなかバリエーションにも富んでいます。日本図書館協会・全国学校図書館協議会の選定図書にもなっていますので、夏休みの読書感想文などに活用されてみてはいかがでしょうか。
 

著者
ルース マニング=サンダーズ
出版日
2013-09-01

どこかヘンテコリンだったり憎めなかったりする、愛すべきモンスターたち。
彼らとの時間が、皆さまの夏休みをクリエイティブに演出する一助となりますように。

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