男性を虜にするゆるい絵柄、女性をときめかせる日常ストーリーやラブコメ、2つを兼ね揃えた作品を繰り出す漫画家、クール教信者をご存知ですか?名前だけでなく、その出自も独特です。今回はそんなクール教信者のおすすめ漫画をご紹介致します。
クール教信者はウェブ漫画や雑誌で連載していますが、ネット掲示板2ちゃんねるで自身の絵を投稿していたのがはじまりでした。当時掲示板で載せていた漫画が『回転寿司屋のバイトのVIPPER』という『旦那が何を言っているかわからない件』の前身となる作品です。
その後、自身のサイトで『旦那が何を言っているかわからない件』を掲載するようになり、一迅社から書籍化されることになりました。
自身のサイトだけでなく、ニコニコ静画やpixiv、ウェブ漫画サイト、雑誌など、幅広い媒体から作品を発信しています。根強い人気はこのように多方面からさまざまなファンがついたことによるものでしょう。
クール教信者の作品の特徴は、同一筆者の他作品のキャラクターが再度登場することがある点でしょう。ファンにはたまらない演出です。絵柄は可愛らしく、女の子はロリキャラが多いです。ストーリーもそれに似合う日常系ラブコメディが多い傾向があります。4コマ漫画でまとめることが大抵で、4コマで話を完結させることもあれば何コマか使用してストーリーを作ることもあります。
4コマ漫画ゆえのテンポのよさ、そして複数作品を同時に連載するという器用さと発想力という、ファンの心を掴んで離さないクール教信者の漫画家としての実力も確かなものといえるでしょう。
2013年から『月刊アクション』で連載されている、既刊6巻(2017年7月時点)の作品です。2017年1月にはテレビアニメ化もされました。
システムエンジニアとして働いている独身女性・小林さんは、酔っぱらった勢いでたどり着いた山でなんとトールという名前のドラゴンと出会います。愚痴を言い合い意気投合したため、行き場がないというトールを家に招いてしまいました。ドラゴンとメイド服の女の子の2つの姿に変われるトールは、小林さんの家に住み込みでお世話を始めることになったのです。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2014-05-10
一般人とドラゴンの共同生活という不思議な話なわけですが、やはり常識が異なるため一筋縄ではいきません。洗濯をするにも殺菌能力があるといってトールの唾液で済ませようとしたり、雨が降りそうだからといって空に向かって火を吐いたり、日常漫画でありながらファンタジー要素も楽しめます。
なによりトールの言動がいちいち可愛いのです。メイド服であることはさながら、小林さんのことが大好きで、いつも一生懸命な姿には癒されます。 とはいえ本当はドラゴンなわけで、さらっと自分の実力について「終末をもたらす程度には……」と言うほどです。恐ろしいはずのドラゴンの性格がここまで可愛いと、ギャップ萌えが止まりませんね!
クール教信者自身のサイトおよびpixivで連載していた4コマ漫画の、既刊5巻(2017年7月時点)の作品です。2014年、2015年にはテレビアニメ化もされました。 物語は25歳会社員のカオルと、その旦那である23歳のはじめを中心にして進んでいきます。はじめはネット掲示板2ちゃんねるを楽しみ、漫画やアニメが好きな典型的なオタクです。まとめサイトの管理人として働いています。 対してカオルのほうはごく普通な女性です。はじめが使用するネット用語にも疎く、夫が興奮していたりオタク用語を使ったりしている姿にタジタジ。そんな一見不釣り合いな夫婦とその周りの人々による、ゆるい日常が紡ぐコメディ漫画です。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2011-12-29
はじめの口調はいわゆる「VIPPER」と呼ばれる一部の2ちゃんねらーと同一のものです。出会いは以前のバイト先、まとめサイトの管理人として稼ぎはしているものの、普通のサラリーマンとは程遠い存在です。
あんなオタクのどこがよかったのか、となにかとカオルは聞かれます。彼女の心には「オタクなところ以外」という回答が……。
カオルにとってはじめの隣は大変居心地がよいものなのです。普段は目つきが悪いカオルですが、はじめの寝顔を見てほほ笑むシーンや、自分を好きになってくれたことに対する嬉しさをナレーションするシーンが見られます。まさしく平凡でありながら女性としての幸せを見出した日々といえるでしょう。こういった日常に憧れを抱く女性は少なくないはずです。
はじめの言動に振り回されるカオルのギャグシーンも見どころ。笑いあり、ジーンとくる場面ありの、心に安らぎを与えてくれる作品です。
同作家による『旦那が何を言っているかわからない件』の登場人物が主人公であり、『ピーチボーイリバーサイド』とも密接な関係がある作品です。 本作は『旦那が何を言っているかわからない件』の主人公カオルの友人・樹瀬リノと、その旦那であるプロボクサー・樹瀬(木村)望の2人の過去の話を描いています。 大学時代に出会った二人、気弱な望に対し、見た目は幼女のお金持ちお嬢様リノはいちいちつっかかります。ところが、リノが望に一目ぼれをしたり、ひょんなことから彼女になったと勘違いしたり、二人のドギマギした日常が始まったのです。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2014-11-05
本作の一番のポイントはやはりリノのキャラクターです。見た目は小学生でありながら偉そうな口ぶり、しかし望を意識するようになってからはふとした瞬間に乙女な顔つきを見せます。ツンデレっぽい口調になるのも男性読者にとっては口元が緩むポイントなのではないでしょうか。
後述の『おじょじょじょ』にもいえることですが、クール教信者はお金持ちの家で育った少女の気難しさゆえに一人になりがちな性格を描くのが大変上手です。これまで友達ができなかったようなお嬢様に素敵な異性があらわれ、それを暖かく見守るメイドの様子も一興あります。
実は出会った当初は望が大学1年生、リノが大学3年生なわけですが、どういうわけかお互い居心地の良さを感じています。早く付き合ってしまえ!と読んでいて思うでしょうが、穏やかで鈍感な望と照れたり怒ったりを繰り返すリノのじれったいやり取りこそ本作の面白さとなっているのでしょう。
本作だけでも十分楽しめる要素満載です。ですが本作をより味わうため、クール教信者にハマったかたは、『旦那が何を言っているかわからない件』と『ピーチボーイリバーサイド』を読んでから本作を読むことをオススメします。
『電撃コミックスNEXT』から出版された、全2巻の作品です。 関西弁を使う京は、入学式で一言も喋らずプラカードで対話する女子・真と出会います。0~10までのプラカードをどこかしらに隠し持っている真。一見変わった子ですが、褒められたり仲間内に入れてもらえたりすると嬉しがる普通の女の子です。喜び方はプレカードで10点を表示するという奇妙な点はありますが……。
真に興味を持ち始めた京は友達になろうと呼びかけます。すると真は10点のプラカードを示してくれました。友達からはじまり、物語が進むにつれて友達以上の感情を抱きはじめ……。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2016-02-26
積極的な性格をしている京と、ムスッとした顔をしながらプラカードで反応をしめすだけの真の対比が面白く、その様子は大変可愛らしいです。京がいったことに対して数字を提示し、だんだんと京がその意図を汲めるようになる過程も見どころです。
真はこれまで上手く人付き合いができず、それによって喋らなくなってしまった子です。しかし、顔を火照らせたり涙目になったり、京の言葉に心を突き動かされている様子が分かる振る舞いをします。そんな真の素直な様子と絵柄には、思わずその場にいたら抱きしめたくなるような愛らしさが見えるんです。物語が進むにつれて、互いに相手への気持ちが強くなります。百合展開になるのか、それとも……。2巻完結なので気軽に目の保養ができる作品です。
web漫画サイトの『ライフ』で連載されている作品であり、既刊3巻(2017年7月時点)の作品です。 令嬢ゆえの高飛車な性格からなかなか友達ができない地獄巡春は、転校した先で出会った変なクラスメイト・川柳徒然に何かと構うようになります。
身長170cmあってスタイルのよい春と、身長140cmしかない無口な徒然。不釣り合いに思われながらも、春からの不器用な告白の末に2人は付き合うことになります。
これまでの高飛車な性格が丸くなったことで春には新しい友達ができたり、春にプロポーズして断られた英国貴族が転入してきたり、徒然の出生には恐るべき秘密があったり……。2人の行く恋路はどうやら普通の道ではなさそうです。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2013-09-06
付き合う前までのストーリーの見どころは、なんといっても春の挙動不審さです。徒然は常にぼーっとしていたり雲を眺めていたりする変人なので、接点を作るにも一苦労します。
消しゴムをかしてあげるときも高圧的、しかし徒然は特に目立った反応はしません。お弁当を忘れた徒然に、令嬢である春が庶民にお似合いと言わんばかりに菓子パンを与えるも、周囲にはわざわざ購買からパンを買ってきていたことがばれていたり……よい意味で滑稽なシーンが盛りだくさんです。
好きな人と接する際にぎこちなくなってしまった経験は多くの人があるでしょう。春の様子を見て共感するのも良し、さすがにここまでの苦行は強いられなかったと自身の思い出を振り返るのも良し、いろんな見方で楽しめます。
付き合うようになってからの春の変化、徒然の今まで見えなかった人間らしさなど、物語が進むにつれてさらに魅力が増えていきます。クール教信者らしい、キャラクターのいじらしさとコメディが十二分に楽しめる、比較的新しい作品です。
インターネット出身の漫画家であるゆえに、自由度の高い作品が多いです。1作読んでみれば貴方自身が作者の信者になってしまうかもしれませんよ。