小説『ゴブリンスレイヤー』の魅力を全巻ネタバレ紹介!アニメ2期決定!

更新:2021.11.28

最弱といわれるモンスター、ゴブリン。しかしひとたび群れを成せば、村を壊滅させることすらある残忍な存在です。主人公はゴブリンに故郷を奪われた寡黙な凡人。黙々とゴブリンを倒す男のハードボイルドなダークファンタジー、ここに推参!漫画作品がスマホアプリで無料で読めます!

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小説『ゴブリンスレイヤー』の魅力を6巻まで全巻ネタバレ紹介!【アニメ化】

インターネット小説から人気に火が付き、書籍化された『ゴブリンスレイヤー』。初刊の刊行前に漫画化が決定されるなど、発売前から期待を寄せられてきたファンタジー小説です。

また、その期待にこたえるかのように、初刊発売数日で重版が決定するにとどまらず「このライトノベルがすごい!2017」の新作部門で1位となっており、オンラインの読者のみならず、紙媒体を主とする読者層からも支持されている作品です。

「ゴブリンスレイヤー」とは、モンスターである「ゴブリン」(小鬼)を狩る冒険者を意味します。モンスターの中でも一番弱いとされるゴブリンですが、それが群れをなすとなると話は別です。

この小説では残虐で力の限りに暴れるゴブリンを倒し続ける主人公のゴブリンスレイヤーと、彼を取り巻く冒険者たちの活躍が描かれます。

ちなみに本作はアニメ化が決定しており、それぞれの声優は、ゴブリンスレイヤーを梅原裕一郎、女神官を小倉唯、妖精弓手を東山奈央、牛飼娘を井口裕香、受付嬢を内田真礼らが演じます。この世界観がどう動いていくのかも楽しみですね!

ちなみに漫画作品がスマホアプリで無料で読めるので、気になった方はそちらもどうぞ!

著者
["蝸牛 くも", "黒瀬 浩介"]
出版日
2016-09-13
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1巻:村の救世主、彼の名はゴブリンスレイヤー

事件は駆け出しの冒険者たちと共にゴブリン狩りに出た女神官の危機から始まります。この女神官はまだ15歳の少女であり、独り立ちするために冒険者の道を選んだといえど、神殿で育った世間知らずのひよっこです。

これまで神殿で平和に暮らしてきた少女は怖いもの知らず。最弱のモンスターくらい軽々と倒せると言わんばかりにゴブリンに立ち向かい、仲間ともども壊滅状態に陥るのです。

絶体絶命。もはやこれまでと思われたところへ現れたのが、主人公であるゴブリンスレイヤーでした。

「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」(『ゴブリンスレイヤー』1巻より引用)

著者
蝸牛 くも
出版日
2016-02-13

1巻の魅力は主人公のキャラクターにあります。彼は普段から薄汚れた鉄兜を着用しており、素顔を他者に見せることはほとんどありません。さらに口数の少ないことも相まって他者と慣れあうこともしません。

しかし、彼はゴブリンを殲滅することだけを目標としており、日々確実にゴブリンを倒し、被害者を助けてゆきます。毎日ひたすら同じことを繰り返すことに対する苦痛や虚無感を抱いたことのある人ほど、彼の行動に驚かされることでしょう。

戦闘シーンではそんな主人公の寡黙な強さが、ゴブリンの起こす事件の残虐さと相まって引き立ちます。血塗られたハードな男の勇姿に引き込まれる一冊です。

2巻:世界は救わなくても、救えるものがある

主人公であるゴブリンスレイヤーに届いた一つの依頼。それは、神の都といわれる水の街に出没するゴブリンを討伐してほしいというものでした。

街を救ってほしい、と依頼する水の街の大司教に、ゴブリンスレイヤーは答えます。

「救えるかどうかは、わからん。だが、ゴブリンどもは殺そう」(『ゴブリンスレイヤー』2巻より引用)

かくして、水の街の地下迷宮へと足を踏み入れることになったのです。

著者
蝸牛 くも
出版日
2016-05-13

2巻の魅力は、一匹狼だった主人公が周りの仲間たちと協力してゴブリン退治を挑むようになったところと、その仲間たちのやりとりにあります。まず、一番多く主人公に関わるのが1巻で主人公に助けられた女神官です。

女神官は彼と共にゴブリン退治をするうちに、ゴブリンとあれば倒さずにはいられない主人公のあしらい方を会得します。

そして、その後ろで口げんかをしているのが見た目年齢17歳ほどのエルフ(妖精弓手)と精霊使いのおじいちゃんドワーフ(鉱人道士)です。そんな中で、唯一の常識人ともいえるリザードマンの神官(蜥蜴僧侶)がメンバーをまとめ上げます。

もっとも、2巻の魅力はそれだけではありません。今回のヒロインは水の街の美しき盲目の大司教。彼女は「剣の乙女」と呼ばれる10年前に魔王を倒した冒険者の一人でありながら、ゴブリンに凌辱された挙句に両目を焼かれた過去を持ちます。

そんなゴブリンを過度に恐れ、夢でうなされるほどのトラウマを抱いている剣の乙女に主人公がかける頼もしい一言はまさにハードボイルド。手持ちの武器を最大限に利用して戦うことも含め、主人公の格好良さが堪能できる一冊です。

3巻:日常を裏側で守る人間がいるということ

秋と言えば収穫祭。主人公たちが身を置く辺境の街では、収穫祭を間近に控え、住民たちも浮かれた様子です。

しかし、主人公はお祭りがあろうとなかろうとゴブリンを退治することしか考えておらず、女性たちがお祭りデートに誘ってもいまいちピンと来ません。そんな主人公を周りが若干強引に遊びに連れ出すのです。

果たしてゴブリンスレイヤーは平穏なデートを楽しむことが出来るのでしょうか……。

著者
蝸牛 くも
出版日
2016-09-14

もともと、ゴブリンは子ども程度の身体能力と知力しかない存在です。しかし、子どもの思考回路によって行動する生き物ほど残酷な存在はないでしょう。

さらに、その子どもが生物としての本能に忠実であればあるほど、行動は残虐なものとなるのです。その残虐さの前には、ルールや正当性は無価値でしかありません。そしてそれはゴブリンたちの後ろで糸を引く存在があればなおさらです。

お祭り気分の街の破壊をもくろむダークエルフに、統率者を得たことでパワーアップしたゴブリンたち。しかし、主人公もただ手をこまねいていたわけではありません。

ゴブリンたちの動きに違和感を覚えていた主人公は襲撃に備えて罠を張っていたのです。お祭りの裏側で、ゴブリンスレイヤーは毒矢にナイフといった暗殺に使われそうな道具も活用しつつゴブリンを倒していきます。

そんな3巻のピックアップヒロインは主人公の幼馴染である牧場主の娘(牛飼い娘)と冒険者組合の事務所の受付嬢です。二人からお祭りデートに誘われた主人公は、午前は牛飼い娘、午後は受付嬢とデートします。

昔に故郷をゴブリンに襲われたことでゴブリンを殺すことしか考えられなくなった主人公が周りの人々の力によって少しずつ普通の人間らしい日常を取り入れていく……。そんな姿は微笑ましさを感じさせます。

4巻:彼に出会う前と、彼に出会った後と

4巻はゴブリンスレイヤーではなく、周りの人々が主人公となっている短編集です。ゴブリンスレイヤーと出会う前のエルフとドワーフの話や、牛飼い娘と女神官が二人で出かける話など、主にゴブリンから離れた日常が描かれます。

本作は主人公がゴブリン退治一筋のせいでゴブリン関連に世界観が偏りがちです。しかしこの短編集によって全体的な世界観や、それぞれの種族の生き方、共存について語られることで、面白さの幅が広がる一冊となっています。

著者
蝸牛くも
出版日
2017-01-13

4巻でのおすすめは酒場に出入りするようになった主人公に料理を食べさせようと悪戦苦闘する女給の話です。ここでのポイントは、主人公が酒場に行っても料理を口にすることはないということにあります。

それはなぜか。その答えは主人公がゴブリン退治から帰ったときに食べる、牛飼い娘の作る手作りシチューの存在にあります。そのシチューは主人公の姉のレシピで作られるもので、ゴブリンのせいで故郷を失った主人公にとって特別なものなのです。

日常をそのまま表したようなシチュー。それを口にする瞬間の幸せのために他では料理を食べないという主人公がなんとも魅力的に描かれています。

他にも、受付嬢と妖精弓手が下着を選びに行く話や、主人公が男連中のみで魔のひそむ塔へ冒険に行く話など、短編が10篇おさめられた読み応え抜群の一冊です。

5巻:未知の敵なれど、答えは一つ

2巻で読者の心を揺さぶった剣の乙女からの手紙。そこには、ゴブリン退治中に消息を絶った「令嬢剣士」を探してほしいとの依頼が書かれていました。主人公たち一行はいつも通り出来る限りの準備をし、雪山へと足を運びます。

しかし、そこで待ち受けていたのは想定外の現実でした。なんと、雪山にいたのは「学習するゴブリン」だったのです。

主人公たちの行動を覚え、対策を練り、新たな手法で襲い掛かってくるゴブリンたち。それらを倒すには、その群を一発で仕留めて学習させないか、学習の結果を超える攻撃を繰り出すしかありません。

主人公たちの共同戦線は果たして実を結ぶのか……。

著者
蝸牛 くも
出版日
2017-05-13

5巻の魅力はなんといっても、自分よりも強い敵に対してどう立ち向かい、勝利を得るかといった知能戦にあります。そして、冬山の洞窟や砦といった冒険にはうってつけの舞台で繰り広げられる作戦に胸が高鳴ります。

もっとも、主人公たちの作戦が完全にうまくいくわけではありません。兵糧攻め作戦は準備ミスにより自分たちの首を絞めることになり、魔法の武器はゴブリンに奪われ主人公たちに逆風が襲い掛かります。

これらの苦境の原因は救出対象の令嬢剣士にあるのですが、ゴブリンスレイヤーも女神官も、誰ひとりとして令嬢剣士を見捨てることはありません。そんな主人公たちの人間力や、逆境でも必ず勝つんだという意思の強さは必見です。

6巻:ゴブリンスレイヤー、女神官たちの成長

6巻は春になり、それぞれのギルドに新米冒険者たちが参加希望でやってくる中で、ゴブリンだけを殺したいという少年が現れ……というところから始まります。

ゴブリンや女神官が新人教育にいそしむことで、自分と向き合うことになり、新人も熟練も「成長」がテーマとなる内容でした。

冒頭に登場する今回の新キャラは、実は1巻でゴブリンに襲われた魔術師少女の弟。彼女は、ゴブリンスレイヤーと女神官が出会うきっかけになったあの事件に関わる者だったという、何とも数奇で切ない設定です。

しかしこの弟が、かなりの曲者。唱えられる呪文が火球だけで、それも1回だけ。しかも教わる者であるにも関わらず、なかなか偉そうな性格で、つい読んでいてイライラするほどなのです。

著者
蝸牛 くも
出版日
2017-09-14

しかしまだ実力が伴わない新米には厳しい現実。激しい戦いを通し、新米冒険者は成長します。そして当初とは思い描いていた方向とは異なるものの、自分らしく進む道があるのだと気づき、その方向へと進んでいくのでした。

そして自分と同じような苦しい気持ちを抱える彼を見守る中で、ゴブリンスレイヤーも徐々に人間らしい顔をのぞかせるように。ただ、彼はなかなか変わりたいけれど、変わりきれません。

彼は「冒険者」ではなく、「ゴブリンスレイヤー」なのです。その言葉の意味、彼の葛藤がまた物語を魅力的にしていきます。

その途中で男3人だけで飲みにいき、夢を語るシーンもあるのですが、こちらもかなりの胸熱な展開なのでお見逃しなく。

そして過去のクエストでの失敗を引きずっていた女神官もかなり頑張ります。彼女もまた、自分らしい成長をしようと思うことができ、新たな道を歩むこととなります。

また、少し登場する勇者一行の展開もお見逃しなく。本筋との絡みはもう少しあとになりそうです。

7巻:エルフの里でゴブリン退治!

7巻は妖精弓手が姉が結婚するという手紙を受け取ったところからスタート。一同はいつもお留守番の牛飼娘と受付嬢も加え、旅に出ます。

そんな7巻、ヒロイン勢揃いでエルフの里にいくという、パッと聞いた感じではウハウハでファンタジーな概要なのですが、今までよりもゴブリン退治の描写がきつくなっております。ちゃんとハードボイルド。

著者
蝸牛 くも
出版日
2018-03-14

それもそのはず、今回のゴブリンたちはゴブリンスレイヤーを、仲間やふるさと、姉というトラウマワードを使いまくって揺さぶってくるから。わざとかというくらいです。

ゴブリンスレイヤーの地雷原を踏み倒したゴブリン達は、生きたまま串刺し、圧搾機にかけられる、呪いで痛みつけられるなど、と読んでいて辛くなるような様々な方法で殺されていきます。

しかしその描写がすさまじいほどに、ゴブリンスレイヤーの姉への思いが伝わってくるようでもあります。

彼は彼女が死んでしまった原因を自分にあると考えており、生きながらも自責の念に駆られているように見えるのです。だからこそ妖精弓手の姉を守り、彼女の結婚式を成功させるというのは、単純に仕事だからというだけではない気持ちがあるのでしょう。

こんな描写がしっかりとあるので、ただグロいだけのストーリーではなくて読み応えがあるんですよね。

しかし今回気になったのが、組織化され、どんどん強くなっていっているゴブリンたち。今後この描写がどんな伏線になってくるのか、今後の展開も楽しみです!

著者
["蝸牛 くも", "黒瀬 浩介"]
出版日
2016-09-13
マンガUP!で無料で読んでみる

アニメ『ゴブリンスレエイヤー』第2期の制作が決定!

2021年1月31日に行われた生配信のイベントで、アニメ『ゴブリンスレイヤー』の2期制作が発表されました。

著者・蝸牛くもは、「二期はゴブリンが出たのでゴブリンスレイヤーがゴブリン退治をする話になるかと思います。」とコメント。どのような2期になるのか楽しみですね。

イベントでは制作発表PVも公開されましたので、あわせてご覧ください。

また2021年4月28日に第1シーズンのBlu-rayボックスの発売も決定。映像と音声特典を再収録やキャラクター原案・神奈月昇が描き下ろしのボックスイラストなどファンにはたまらない特典もついてきます。2期放送前に振り返ってみるのはいかがでしょうか。

詳細な情報は、TVアニメ「ゴブリンスレイヤー」公式サイトをご覧ください。

参照記事:アニメ『ゴブリンスレイヤー』2期、『ダンまち』4期制作決定。GA文庫&GAノベル7作品のアニメプロジェクトが一挙発表


ダークで残虐な描写の多い『ゴブリンスレイヤー』。しかし主人公の一歩一歩進み続ける強さは読む者に勇気を与えます。『ゴブリンスレイヤー』6巻は2017年9月発売予定です。

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