思春期のまだ不安定な心の叫びを音楽に乗せてスピード感満載で描いた漫画、『覆面系ノイズ』。アニメ化や、中条あやみ、志尊淳、小関雄太らで実写映画化など、その人気ぶりがメディアミックスからも分かる人気作です。 男女ともに可愛く、芯のある格好よさも兼ね備えている胸キュンなキャラクターたちが魅力のひとつということで、今回はそんな『覆面系ノイズ』の魅力を主要キャラクターからご紹介!15巻までの全巻のストーリーもあわせて解説しますので、本作の魅力をキャラ、ストーリーからご覧ください! ネタバレを含みますので、気になる方は無料で読めるスマホアプリからご覧ください。
女子だけではなく、男子をも虜にし始めている福山リョウコの漫画『覆面系ノイズ』、2017年には実写映画が公開されました。
幼いころ歌うことが大好きだった主人公のニノは、幼馴染のモモといつも一緒にいました。しかし、ある日モモの両親の離婚がきっかけで離れ離れになってしまいます。ニノは、突然いなくなってしまったモモへの感情を吐き出すために訪れた海で、ユズという少年と出会いました。
そしてユズの作曲した曲をニノが口ずさんだことがきっかけで、毎週のように2人は会うようになります。しかしユズもまた、突然ニノの前からいなくなってしまい……。
モモもユズも、それぞれニノと「いつの日か歌声を目印にニノを見つけ出す」という約束をしました。そして高校生になり、ニノはユズと再会し、彼が参加しているバンドin NO hurry to shout、通称イノハリのボーカルになります。
そして偶然にもニノと同じ高校に通っていたモモは、作曲家として活動中。そんな彼らがバンドで音楽を奏でながら、三角関係を展開していく恋愛漫画です。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2013-10-18
2017年4月からアニメ放送もされていた『覆面系ノイズ』、なぜここまで注目されているのでしょうか。
その答えのひとつは、個性派のキャラクターたちに夢中になってしまうということでしょう。どのキャラクターたちも個性的で、ほっとけない存在なのです。
そんな魅力あふれる『覆面系ノイズ』の主要キャラクターたち、そしてストーリー全巻の見所をご紹介します。恋愛も音楽も楽しめる本作の面白さをぜひ体感してみてください!
主人公のニノ(有栖川仁乃)は、常にマスクを着用している高校1年生。人気急上昇中のin NO hurry to shoutのボーカルとギターを担当するアリスという一面も持っています。
ニノは幼いころから歌が大好きで、喧嘩の多い家庭環境からの不安もお隣に住んでいるモモと歌うことで解消していました。最初は友情だった気持ちが、徐々に初恋へと変わっていきます。
ある日、ふたりで花火を見にいった時、モモは「もし会えなくなっても いつかお前の歌を目印にして会えたらいいよな」と呟きます。
しかしその言葉を残し、突然モモは引っ越してしまうのです。
モモがいなくなってから、ニノは感情が高鳴ると叫びださずにはいられないようになってしまいました。そのためマスクを常用し、その暴力的ともいえる気持ちを押し殺しています。
初恋の相手モモへの想いと、ユズからの想いを抱えながらバンドに対して本気で取り組んでいくニノに、読者の感情も爆発してしまいそうになるはずです。ニノは、モモに好きな人がいると知ってin NO hurry to shoutでも歌えなくなってしまうような繊細な一面があり、その様子がとにかく可愛く、彼女の恋を応援したくなってしまいます。
ちなみにアニメ版ではニノの声を早見沙織が担当。in NO hurry to shoutでのボーカルシーンでは、多くの視聴者が最高だったと称賛の声をあげているほど、評価されています。
幼いころに父親を飛行機事故で亡くしているユズ(杠花奏)は、その事故と、あることが原因で歌うことができません。しかし音楽が好きで、その気持ちをあきらめきれなかった彼は、作曲の道へ。
そして幼い頃、モモと別れて不安定だった時期のニノに出会い、彼女の歌声に惹かれていきました。
高校1年生になったユズは、in NO hurry to shoutのギタリストであり、全ての楽曲の作曲を手がけている実力者でもあります。
身長にコンプレックスを持っていて、いつも身長を伸ばすために牛乳を飲んでいたり、コーヒーが苦手だったりと可愛い一面も持ち合わせています。
ユズは音楽が大好きで軽音楽部にも所属していますが、母親からは音楽に関わる全てのことを禁止されています。そのため、活動ができるのは家以外での時間に限られています。しかも彼の母親は、ユズのスマホなどを毎日チェックしているほどの徹底ぶりなので、ごくわずかな時間をぬって作曲活動をしているのです。
ニノの気持ちがモモに向いているのをわかっていながらも、「何度失恋しても、アリス(ニノ)を笑顔にしたい」と友達のフリをしながら思いを育む姿に、読者の多くが虜になっています。
ちなみにニノのことをアリスと呼んでいいのは、彼いわく自分だけ。最初はそんな風にいいながらもどうでもいいけど、と付け足すなど、気持ちが強すぎるゆえに自分でも手に負えなくて困惑している姿にきゅんとしてしまいます。
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作曲家の桐生桃として高校1年生でありながらも活躍しているモモ(榊桃)。幼いころに両親の離婚がきっかけでニノの前から姿を消したモモは、彼女のために作った楽曲を金のために売ってしまった自分に嫌悪感を抱き、ニノを避けるようにしています。
しかもその楽曲が思いも寄らずヒットになり、彼は徐々に売れっ子として業界での地位を築いていったのでした。それが成功すればするほど、モモの複雑な思いは膨らんでいきます。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2014-06-20
そしてその複雑な思いは思いもよらぬ方向に。ニノやユズが参加するイノハリのライバルバンドであるSILENT BLACK KITTYにベースとして参加することにするのです。
本当はニノに、自分が作った楽曲を歌ってほしいと願っているのに、なかなか正直になれません。強がっているようにも見えますが、ここぞというところで男を魅せる彼に読者は虜になってしまいます。
そんな彼は、見た目もかっこよく二枚目のキャラクターなのに、ダジャレを愛してる一面も。それがなかなかの寒さで、逆に顔がほころんでしまいます。こんなギャップもモモの魅力のひとつなのではないでしょうか。
ニノやユズが参加するバンドin NO hurry shoutのベースを担当しているハルヨシ(悠埜佳斗)は、軽音楽部の部長も務めています。
ハルヨシはオネエ言葉を話すキャラクターなのですが、恋愛対象は女性。SILENT BLACK KITTYのボーカルをつとめている深桜に想いを寄せています。しかし恋愛が絡むと極めてダサくなってしまう一面があり、そんなところも彼の魅力なのかもしれません。
彼は当初、in NO hurry to shoutにニノが入ることを受け入れることができませんでした。しかし次第に彼女の歌声に魅了され、メンバーとして認めるようになります。
また、ユズに対して改めて音楽に取り組むように仕向けた張本人でもあります。ハルヨシがいなかったら、この『覆面系ノイズ』は始まらないと言っても過言ではないほど、重要人物なのです。
元々in NO hurry to shoutに参加していてた深桜(珠久里深桜)。ニノの入部当初は口パクの彼女に声を当てていた、影のボーカルとして活動していました。現在はモモが参加するバンドSILENT BLACK KITTYのボーカルとして活動しています。
ユズに対して一途な片思いをずっと続けていましたが、なんとか彼を忘れようとし、ハルヨシと付き合うことになります。次第にハルヨシのことを意識するようになっていくのですが、この先の展開はぜひ作品で。
ニノ、ユズ、モモが物語のメインになっているものの、深桜も負けず劣らず読者から人気のあるキャラクターです。アニメ版では高垣彩陽が声を担当していて、彼女の歌声もかなり評価されています。
クロ(黒瀬歩)は関西弁を使うドラマー。黒猫のような帽子を被っていて、容姿もとても整っています。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2015-07-17
メインストーリーでは彼の過去の恋愛について少し触れられる機会がありました。
実はもともとは彼の兄がメンバーに楽器を与えたことから始まったイノハリ。そんな恩がある存在なのですが、クロは兄の婚約者である羽依に密かに思いを寄せていました。
しかしある日、彼は気持ちを隠しきれず、ある行動に出てしまいます。
そこから実家にはいられなくなったクロ。現在はハルヨシの家で生活をしています。
彼の切ない過去についてはぜひ本編で。気持ちが抑えきれなくなっての行動に胸キュンすること間違いなしです。
ニノとモモ、ユズたちの由比ヶ浜を起点とする過去の話、それから6年後の高校での生活からスタートした『覆面系ノイズ』。1巻では今後のニノとユズの複雑な関係性を象徴するかのような印象的なシーンがあります。
それは新入生歓迎会でのこと。部活紹介の本番直前にも関わらず、深桜がいなくなってしまいます。
それはユズがニノを遠ざけながらも彼女とのセッションで今までにないほどの笑顔を見せていたから。彼に思いを寄せる深桜は耐えきれずにそこから逃げ出してしまったのです。
そのセッションで今まで会えなかったニノへの思いを断ち切ろうと無理をすることをやめた様子のユズ。
それぞれの思いが交錯します。
しかし今はとにかく舞台に立つボーカルが必要。ハルヨシは不本意だと言いながらもニノにボーカルを頼みます。ユズと歌う楽しさを再び感じた彼女はイエスと即答しました。
これからまたユズと一緒に音楽をつくるチャンスがあるのだと胸を高鳴らせるニノですが、軽音部の前に合唱部がキラキラ星を歌っているのを聞いて凍りつきます。
それはモモとの思い出の曲。またしても感情が暴走してしまい、ニノはその興奮のままステージで歌い出します。
いきなりの歌い始めに、荒削りで暴走しているかのような歌声。しかし会場は不思議な熱を帯び、盛り上がっていきます。
ユズはそんなニノの暴走をどこか冷静に見ながらこう思うのです。
「嫉妬と憧憬と独占欲で 体がちぎれそうになる
この声は 僕のものだ ずっと
僕だけのものだ」(『覆面系ノイズ』1巻より引用)
しかしニノは、モモとの幼き頃を思い出しながら歌っています。
「私の声は ずっと モモだけのものだから」(『覆面系ノイズ』1巻より引用)
ふたりのすれ違ってしまう強い思いを音楽にのせながら表現したこのシーン。どちらの気持ちも痛いほど伝わってくる、この作品を象徴するシーンです。
飛行機の事故によって歌えなくなったということでしたが、ハルヨシとクロの会話でさらにもうひとつのことが原因だったことが明らかになります。
ニノとユズが一緒にいた時に、ふたりはハルヨシ先輩のある言葉を耳にしてしまいます。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2014-02-20
「アタシやっぱり納得いかないわ
ユズが歌えなくなったのは有栖川仁乃のせいなのに(中略)
だって6年前あの子の為に歌ったりしなければ
また歌える様になってたかもしれないのに」(『覆面系ノイズ』2巻より引用)
ニノは逃げるようにその場を去る彼のあとを追います。不安げにする彼女に、ユズはこう言います。
「う そ だよ ハルヨシの言ったこと
うそだから
全然…うたえるし」(『覆面系ノイズ』2巻より引用)
しかしニノは幼い頃、絶対に歌わなかった彼が、ニノの感情が暴走しそうになった時に彼女を止めようとして歌ったことを思い出していました。
そして一緒に歌った次の週から彼がいなくなったことも。
しかしユズは「うたえるよ 見ててよ!!」と言って、音にならない歌を歌います。彼のその空気のような声を聴きながら、自分のせいなのだと涙を浮かべるニノ。しかしユズは彼女に必死にこう言うのです。
「ちがう アリスのせいじゃない
僕はきみにそんな顔してほしくて あのときうたったんじゃない
僕はただ きみにずっとうたっててほしかったんだ
だから 絶対 気にしないで
絶対に 絶対に 気にしないで
きみは 歌って…!」(『覆面系ノイズ』2巻より引用)
彼の必死の言葉を聴き、そのまま涙を流しながら歌を歌うニノ。ユズは幼い頃に「みつけた 僕の声」と言ったのは、そんな思いも込められていたのです。
「初めて会った時から
ずっと 焦がれてた
きみの声が 僕の口からつむがれたらって」(『覆面系ノイズ』2巻より引用)
今後自分の歌声がでなくなったとしても、アリスの声に惚れ込み、それを守りたいと思ったユズ。ニノの人柄ももちろんそうだと思いますが、彼女の才能、歌声に彼はどうしようもなく惚れ込んでいたのです。
しかしどれだけニノへの思いが強くとも、彼女もまたモモへの捨てきれない強い思いをずっと持っています。このあと、ニノのそんな思いを理解しながらも後押しし、それでいて自分のバンドのボーカルとして彼女との関係性を続けようとするユズの様子もまた切ない。
そちらも名シーンですので、ぜひ作品でご覧ください。
また、ついにモモとニノの再会シーンも登場。見所満載の2巻です!
オーディションの審査員と受験者という構図で再会したニノとモモ。しかし彼女は彼に冷たくあしらわれてしまいます。
そして3巻では実は同じ学校に通っていたふたりがついに面と向かってあの日の別れについて話します。
言いたいことが山ほどあるのに、言葉にできないニノ。モモからは「もう俺に話しかけるな」とまで言われたのに、こんなに近くにいたということだけで嬉しくて仕方ありません。
そんな恋する乙女な横顔を隣でみているしかないユズ。
モモはその再会のせいでスランプに。しかしある女性にアドバイスされる形でニノともう一度向き合う決意をします。
そこで彼がニノに告白したことは、あまりにも残酷なものでした。
「…6年前 黙っていなくなって…悪かった(中略)
…あと…俺
6年前 ニノのことが好きだった」(『覆面系ノイズ』3巻より引用)
やっと言えた、とひとりごちるモモですが、ニノは嬉しかった再会から突然の告白に頭がついていきません。「まって 私は 今も」と言葉にならない思いがのどに詰まっている間に、モモはこう続けるのです。
「今 好きな人が…シャクだけど
背中押してくれたんだ」(『覆面系ノイズ』3巻より引用)
それを聞き、ニノは幼い頃の様にキラキラ星をうたい、こう言います。
「私も6年前 モモのことが好きだった」(『覆面系ノイズ』3巻より引用)
彼女ははじめて彼に嘘をついたのです。
その帰り道、明日からもう話さないんだからいいじゃないか、とニノはモモと手を繋ぎます。そして歌いながら一緒に帰り道を歩くのでした。
暴走する思いを隠すためにマスクを常につけているほどのニノが、この失恋の痛みに平常でいられるわけもなく。練習の時に泣きじゃくる彼女に、ユズはあることをするのですが……。
再会したモモに思い人がおり、同棲していることまで知ってしまったニノ。彼への思いを断ち切るために彼女の恋心を象徴するかのようなギターを捨てようとします。
しかし、それを手にとって浮かんでくるのはモモのために練習し、ユズにその思いを後押ししてもらった日々。
ニノはその思いを乗り越えてすべて自分の糧にする道を選びます。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2014-10-20
しかし、いざモモが転校するということを知ると、やはり冷静ではいられなくなります。
ふたりは廊下ですれ違いざま、お互いの顔を見ずに会話をします。
ニノの声をユズに奪われたと感じているモモは、彼女に「本気であのクソバンドでやってくつもりか」と聞きます。
ニノはモモの言葉を否定し、イノハリを侮辱しないでと口で言いながらも、それでもすべてはモモのためだったという矛盾した思いを胸に抱えたまま彼と喧嘩のような会話をします。
彼女は「私は今 イノハリのためにしかうたいたくないの」と言いながらも心でこう考えます。
「モモをふりむかせるために
モモに聴かせるために
モモに届けるためにうたってるの」(『覆面系ノイズ』4巻より引用)
気持ちに嘘をついたあの日から、ニノは彼に思ってもないことを言わなくてはならないようになってしまったのです。モモが好きだからという思いだけでやってきたのに、なぜ彼と対立することになるのか、と悩むニノ。
そのまま別れようとする彼女の腕を、モモがとっさに掴みます。
しかしすぐにハッとし、彼は「とっとと行け どこへでも」と吐き捨てたのでした。
お互いが過去の思い出を過去として、新しい道へ進むべきだと思っているのに、まだ幼い頃の自分の声がそれを止めようとします。切ない。
4巻ではこの他にもハルヨシの口から語られるイノハリ結成秘話も収録。可愛すぎるふたり、特にユズがニノに恋い焦がれる様子は幼さが混じってさらに萌えるものとなっているのでそちらもぜひ。
今までのニノの音楽活動はモモへの気持ちがすべてだったと言っても過言ではありませんでしたが、今回、初めてユズの言葉がニノの行動に変化をもたらします。
彼女が自分から言ったのは、今ユズがつくっている曲の作詞をしたいということ。ユズはOKを出しますが、冷静に聞けるか心配になります。目の前でモモへの思いを凝縮した言葉が自分のメロディにのって流されるとなればそれはとても苦しいものでしょう。
しかし、ニノが歌ったのはユズへの思いでした。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2015-01-20
それはいつも通りの激情にあふれたものでしたが、そこに優しさが加わった今までにない彼女の表現でした。
その発端は気が抜けるものでしたが、彼女のユズへの感謝の気持ちが感じられます。
そしてその新曲をひっさげて向かったのはロックホライズン。国内で最高峰の邦楽フェスと言われるイベントです。
そしていよいよ本番。イノハリの舞台は他のステージと比べると小規模なものですが、お客さんは満員。ニノは裏手に出て緊張をほぐそうとしますが、そこにモモがやってくるのです。
モモは6年前のように何も言わずに消えるのは御免だから、と言いながら彼女を抱きしめます。
「ニノ 今度こそ本当にさよならだ」(『覆面系ノイズ』5巻より引用)
実はモモが彼女を遠ざけていたのは5巻で明かされるある事情があったのです。
ニノは彼を止めようとしますが、舞台ではお客さんが待っています。しかし、かつての自分の声を目印にしてまた会おうというモモの言葉を思い出し、最高の歌を歌うことで彼を足止めしてやるのだと思い直します。
そのあとのライブシーンは圧巻。ここまでで感情移入している読者なら泣いてしまうほどの熱気、ニノの切ない思いが表現されています。
さまざまなイレギュラーを今までの絆から乗り越えていく様もスリル満点。まさにライブ感を楽しめる展開です。これはぜひ作品で読んでほしい。本当に、圧巻の一言です。
ついに深桜に思いを打ち明けたハルヨシ先輩。もう、最高に男前です。というか見ようによってはウダウダ悩んでいるモモとユズよりもよっぽど行動力があるし、肉食系でかっこいい。
ちなみにハルヨシと深桜の見せ場は2回あるのでお見逃しなく。いいですか、2回です。どちらも最高に胸キュンしてしまいます。
さて、主要人物たちの三角関係についてですが、6巻で大きな流れが!ついにニノがユズに少し気持ちを傾けます。
それはイノハリの事務所でのこと。最近様子のおかしいユズの様子をマネージャーに聞きにいった時、新人の女性がデビュー曲がチェシャ作曲だと喜んでいるのを聞いてしまいます。
チェシャはイノハリ活動時のユズの愛称。翌日、ニノは彼に「イノハリ以外に曲を書くの?」と聞きます。
はぐらかそうとするユズ。ニノは「私には関係ない ユズが倒れようと ユズが誰に曲を書こうと私には 関係ない 関係ない 関係ないのに」と考えながら、こう言います。
「いや
ユズの曲を私以外の子がうたうのは 嫌
ユズの曲をうたうのは 私だけじゃなきゃ 嫌」(『覆面系ノイズ』6巻より引用)
そう言って泣いてしまうのです。
「ユズの音はぜんぶ 私のものよ…」(『覆面系ノイズ』6巻より引用)
そしてそのあとのユズの言葉、表情がもう、男!
今までただのチビまつ毛だと思っていたことを許してほしい。ハルヨシ先輩にも負けないほどのイケメンっぷりです。
イケメンだらけとなった6巻。ドキドキしっぱなしです。
6巻でユズの曲への独占欲を見せたニノですが、7巻ではまたモモにも影響され、成長をとげます。
それは前巻からモモがニノに頼んでいたあるお願い。いきなりニノたちの前から消えたモモの行方は誰も知らなかったのですが、ユズにだけ連絡が入ったのです。
モモがユズにお願いしたのは、自分の曲を音におこしてほしいということ。
彼はニノのための曲ではないと言いますが、もちろんそれは隠しきれません。せっぱ詰まった様子でお願いするモモの声を聞き、ユズはOKします。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2015-10-20
そのあとユズは軽音部のライブを利用して、自分のバラードとモモが作詞したバラードを連続でアリスに歌わせ、彼女がどちらを選ぶかを見届けようとしました。
ロックホライズンのあとから不調のニノ。ユズの歌でも集中力が途切れそうになりますが、どうにか途中で集中をとりもどします。それはユズへの気持ち、彼の音があったからこそでした。
そしてそこでまた新たな表情を見せ、ユズはいつか彼女が自分の手には負えなくなるのではないかと思います。
そして次はモモの曲。取り戻した集中力で、挑戦状のような難しい曲を歌うニノ。今の自分以上の実力を見せなければ、この曲には見合わないと感じ、焦ります。と、そこであることに気づいてしまいました。
今歌っている曲の間奏が、かつてモモが歌っていた旋律と同じものだったのです。
そしてユズの曲ではないかもしれないと気づいた時、混乱しながらもニノは自分の殻を破るのです。
丸々1巻を軽音部のライブにさいた7巻。それでも中だるみしないほどの迫力があります。
果たしてニノのこの成長が今後どういう意味を持ってくるのか、期待です。
今回ももちろんニノとユズ、モモの見所があるのですが、今回は深桜!彼女の頑張り、そして揺れる女心の切なさ、可愛さをご紹介させていただきます。
今までずっと自分の歌声の向こうにニノを見ていたことに気づいていた深桜。彼がもう絶対に自分を自分として見てくれることはないだろうと諦めていたからこそ、ハルヨシの告白を受け入れたのでした。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2016-01-20
しかし8巻では、ロックホライズンの深桜の様子を見て、ユズがぽろりとこんな言葉をこぼすのです。
「すごい…綺麗だ…
…深桜 こんな声持ってたんだ…
全然 知らなかっー」(『覆面系ノイズ』8巻より引用)
ユズは横で深桜が涙を流していることに気づきます。彼女は彼の言葉にこう返します。
「『アリス』じゃない深桜を…
みてくれた…」(『覆面系ノイズ』8巻より引用)
そしてそのままユズにキスしてしまうのです。
とっさに我に返って部屋を出る深桜。出口でふたりのやりとりが終わるのを待っていたのはハルヨシでした。
彼は何も言わずに彼女の唇を拭きます。そして硬い表情のまま、こう言うのです。
「…今までのアタシだったら
深桜『頑張ったね』って笑ってたと思う
でももうそういうのやめたから」(『覆面系ノイズ』8巻より引用)
ハルヨシ、イケメン……。
しかもこのあと彼を傷つけてしまった深桜が別れを告げるのですが、そこでの対応も神。深桜がそこでハルヨシを結局無下にできない気持ちも分かります。
とにかく普段からのギャップが素晴らしいハルヨシの神対応。ぜひ作品でキュンキュンしちゃってください。
恋愛展開も見所の本作ですが、9巻では音楽漫画としての熱さが全面に出てきたように感じられました。それはモモと母親との決別から始まります。
そもそもモモがニノを遠ざけていた理由は母親でした。過去に夜逃げしなければならなくなったモモの家族。その時から彼と母親の関係は冷え切っていました。
そしてモモが稼ぐようになってからはニノへ干渉をすると脅して金をせびるようになっていた母親。今回またいなくなったのも、母親がニノが芸能活動をしていると知ったせいでした。
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しかし今回、モモのマネージャーが彼と母親との間をとりもち、彼はついに自由を手に入れられます。
今まで縛られてきた家からもすんなりと出られ、彼は黒猫の活動拠点に戻ります。
「出していい 弾いていい 叫んでいい
ニノに 好きだと 言ってもいいんだ」(『覆面系ノイズ』9巻より引用)
そしてそこから今度はお互いに純粋に音楽で競う流れになっていくのです。
この間は彼らの成長が感じられます。
イノハリのツアーも始まり、ニノの恋心にも変化が見られ、と今回も盛りだくさん。モモの前進によって爽やかになっていくストーリーをぜひ体感してみてください。
爽やかな展開になってきた9巻。10巻ではついにユズがニノに思いを告げ、物語がどんどん展開していきます。
きっかけは前巻で突発的に声が出なくなってしまったユズが「いい加減気づけよ!」と言ったことから。彼はモモの助けも借りながらツアー初日を終え、その熱を帯びたまま彼女に思いを告げます。
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ニノは彼の言おうとしていることに気づきながらも言わないで、と願い、その言葉を聞いた後は顔を真っ赤にして何も言えなくなってしまいます。
そんないいところをハルヨシ先輩が妨害。ユズが声のことを言ってなかったことも悪いのですが。そして彼は明日の夕方に由比ヶ浜にきてほしい、とニノを誘いました。
そこでの会話は甘くなってもいいはずなのにギャグ展開。お互いが慣れていない様子につい笑ってしまいます。
しかし最後のユズの言葉は泣きそうになってしまいます。それでも彼女をあきらめない覚悟をさらに強めた彼の様子に感動です。
そしてそのあとはモモとニノの見せ場も。ついに彼女がモモのお母さんと対面してしまうのです。
今までモモに守られてきた形だったニノですが、そこではモモの心を彼女が守ります。
そしてそのあとのモモの言葉は胸キュン。ニノでなくとも好きになってしまうのが当然なイケメン展開です。
ユズにモモ、それぞれが自分の気持ちを押しつける必要なくニノへアプローチするようになった展開はかなりの見もの!どちらを選ぶのか、まだまだ注目です!
10巻ではさまざまな困難を経てツアーを無事成功させたイノハリ。そこで聴いているモモへの気持ちをのせて歌いきったニノに、ユズは「これできみの声はモモだけのものになった」と言います。
しかしそこでニノは「私の声は ユズだけのものよ」と考えてしまうのです。モモがいなかった間にここまで連れてきてくれたのは、ユズだったから。
今、確かに彼女が辛くなった時に拠り所としていたのはユズの曲でした。
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そんなユズの曲を歌う彼女のもとへ、モモがやってきます。彼は彼女を由比ヶ浜に誘います。
そしてそこで、彼女への本当の気持ちを打ち明けるのです。
しかし、モモへの気持ちが強ければ強いほど、苦しいと感じ、歌いたくなるのはユズの曲。そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、モモはニノの携帯にユズからの着信がきたのを見て、彼女にそのままキスをしてしまいます。
「…順番 間違った 嬉しくて」(『覆面系ノイズ』11巻より引用)
そして何度もニノの名前を呼ぶのです。
6年越しのニノの思いが叶った瞬間。しかしそれは同時に、ユズの願いが叶わなかった瞬間でもありました。
ハルヨシと深桜もついにお互いの思いを確かめ、黒も思い人にもう一度気持ちを伝え、とユズがかわいそうではありますが、円満展開。
かと思いきや、彼には何やら考えがあるよう。しかもニノのことをまだ諦めていないとモモに宣言し……。
恋愛展開が落ち着いたところですが、前巻でモモに宣戦布告をしながらも、ユズは彼らの前からいったん姿を消します。
モモとのラブラブな日々を経て、幸せオーラ満開のニノ。しかし自分の声に以前のような勢いがなくなってしまったことを感じます。
その原因が何か分からないニノ。モヤモヤとした日々を過ごしますが、あることに気づいてしまいます。
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それはユズと、モモのこと。
声が出なくなった原因のひとつはユズにもあるものの、もうひとつはモモに思いが届いてしまったことだと思い当たるのです。
それまでの彼女はモモへの渇望をエネルギーとして成長してきました。しかしここにきて彼と思いが通じてしまったことで、よくない安定を享受してしまったことに気づくのです。
表現がマイナスの感情を糧にして行われることは現実でもよくあること。恋愛が成就してしまったからこその悩みはとてもリアルですね。
そして彼女がそれに気づいた時にユズがまた彼女の前に現れ……。
今まではモモが絶対王者のようなポジションでしたが、最近はユズがヒーローのようですね。
こちらも恋愛展開が大詰めになってきた人物のクロは、モモにユズへのニノの気持ちは恋愛ではないと言いますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
最新13巻では、東京セーリングを目前に控えていながら調子が上がらないでいるニノと、彼女のために夜更かしをしながら曲作りをするモモを中心に話が進んでいきます。
ニノは、深桜の歌声を聞いて過去に語り合った日のことを思い出します。そして、モモの元に駆け寄って、話を切り出すのです……。
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伝えたのは、今まで1度も言えていなかった、「すき」という言葉でした。
ニノとモモは付き合ってはいるものの、どこか不安定な関係が続いていました。しかしやっと気持ちを伝えることができ、これで物語は良い方向へと進んでいくはず……
と思いますが、ユズの気持ちは変わらずニノに向いているのです。時には「別れた方がいいんじゃないか?」と言ってしまうことも。3人の関係はこの先どうなるのでしょうか。
イノハリが出演しているトーキョーセーリングのライブは終盤に近づいていました。ニノには限界の色が見えはじめ、締めに向かうなかで流れ出す「消失の青」。これは、ユズが父の亡骸に再会したときに書き上げた曲でした。声の出ないユズですが、この曲はニノとハモるように別パートも作られていました。
お客さんにもニノの声の限界が伝わりはじめるなか、ユズが突然口元の包帯を外します。予想外の展開に観客も関係者も騒ぎ出すのですが、肝心の声はまったく出ていません。ですが、このときのユズの気持ちをくみ取り、ニノはさらに声を張り上げていくのです。
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迎える最後の曲。しかし、ニノは固まって歌えなくなってしまいました。舞台袖ではモモが見つめています。彼女の様子を見かねた彼は、ステージ上の彼女に近寄り、声をかけるのです。
このときにモモが言ったのは「別れよう」という言葉でした。そのおかげもあり、ニノは再び歌えるように。
皮肉にも、そんな言葉が彼女を奮い立たせたのです。このライブは大盛況のうちに終了してよかったのですが、その後ユズはニノとモモが別れたことを知らず、曲が書けない状態が続きます。
ニノは再びモモから離され、ユズは悲しい感情に落ちるニノを追いかけ、複雑に絡み合う想い。14巻では、モモと母親のお話も収録されています。それぞれが内に秘める想いを抱えながら、決着点を探っていきます。
アニメのタイアップで同じだった人気バンド「ガールレス」のボーカル、蜜にツインボーカルとしてステージに出ないか、と誘われるニノ。14巻では、ライブ終盤に声が出なくなってしまうなど不調が続いていた彼女でしたが、新たなステップを踏み出すべく、出演することになります。
イノハリとは客層がやや異なり、ニノは歌う前から不安でいっぱいでした。いざステージに立つと、蜜の歌声に圧倒され、振り落とされそうになってしまいます。観客席から見ていたユズやモモたちも、ニノが心配でヒヤヒヤしながら見ていましたが、蜜に負けじと声を張り上げていきます。
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ガールレスとのコラボを経てニノは、人気バンドの真似をしてもお客さんには全部伝わってしまう、ひたすらにステージに立って、この熱量を体に染み込ませていくだけだ、ということを学ぶのです。
14巻でモモと別れてから、皮肉にもぐんぐん成長していくニノ。お互い両思いにもかかわらず、一途に夢を追うための苦渋の決断でした。
ステージ上で歌うニノは、ユズを想っているようだったという蜜の発言も気になるところ。心に引っかかりを覚えたままの3人の関係は、どこへ向かっていくのでしょうか。
『覆面系ノイズ』は魅力あふれる登場人物ばかり。ニノ、モモ、ユズの3人を筆頭に、彼らを取り巻くバンドメンバーにも素晴らしいキャラクターが集まっています。もちろんストーリー展開も凄まじく、続きがすぐに気になってしまう物語となっているので、ぜひ読んでみてくださいね。