おねショタ、それは禁断の言葉。架空の物語だから成立しても良い素敵なファンタジーです。あからさまにツボを狙ったものから、そうではないものまで、今回は幅広くおすすめの作品を選出しました。 スマホアプリで無料で読むことができる作品もあるので、そちらもどうぞ!
主人公の男子小学生、市川忍は姉の京子と2人で暮らしています。2人暮らしにそれなりの事情があっても、楽しい毎日。口にはせずとも、2人はお互いを思って支え合い、賑やかに食卓を囲みます。年の差姉弟の日常グルメ漫画です。
- 著者
- 恩田チロ 坂井音太
- 出版日
- 2015-06-19
本作は2014年から「別冊ヤングチャンピオン」で連載されている坂井音太原作、恩田チロ作画の漫画。
応援してくれる親類はいるものの、基本的には忍と京子の2人暮らし。両親はすでに他界していますが、彼らの生活に悲観的なところはありません。それは主に京子の危なっかしいまでの脳天気さに由来するのかも知れません。あるいはしっかり者の弟の気遣い。なんにせよ、忍と京子は本当の姉弟以上に仲良く暮らしています。
実は彼らに血の繋がりはありません。6年前に再婚した親の連れ子同士。もちろんそれは、彼ら自身も知っていることです。互いに意識して姉弟になったから、生まれながらのそれよりも強い絆で結ばれているのかも知れないですね。
忍は年齢のわりには大人びた男の子。カードゲームに興じるところなどは年齢相応に見えます。最近はどうやら発育のいい姉の過剰なスキンシップに悩んでいる様子。
一方の京子は奔放なお姉ちゃん。プロレス好きという渋い趣味が高じて、忍を技の実験台にするシーンが出てきます。姉とはいえ、綺麗な女性に密着されるのは年頃の少年としては、色々な意味で堪らないでしょう。
性格はあまり似ていない2人ですが、料理が得意というところが共通しています。姉弟は毎回腕を振い、美味しそうな料理を作ります。そして幸せそうな彼らの食事風景が描かれるのです。
血の繋がらないおねショタということで、思わずタイトルを深読みしてしまいますが……もしかするといつか禁断の関係に!?全編コメディタッチの飯テロ漫画なので、おそらくはミスリードを狙ったタイトルですが。
スポーツメーカーに勤める多和田聡子(たわださとこ)は、日々漫然と仕事をこなしていました。そんな会社帰り、聡子は薄暗い公園でサッカーの練習をする少年と出会います。少女と見紛うほど美しい少年、早見真修(はやみましゅう)。彼の努力する姿を見かねて、経験者の聡子は特訓に付き合うことに。
会社での鬱屈を重ねる聡子。複雑な家庭環境を滲ませる真修。事情を抱えたまま、2人はサッカーを通じて心を通わせていきます。2人の中で、次第に互いの存在が大きくなっていくのは自然な成り行きでした。
- 著者
- 高野 ひと深
- 出版日
- 2016-06-11
本作は2015年から「月刊アクション」で連載されている高野ひと深の作品です。30歳のアラサーOLと12歳小学生男子、年の差18歳という少し間違えば危険な組み合わせ。
聡子は当初、真修の置かれた状況に、過去の自分の姿を重ね合わせて見ていました。恵まれているとは言えない真修の家庭環境。最初に真修に差し伸べた手は、同情がきっかけの母性だったのでしょう。
幸い聡子は理性的な人物で、大人らしく何よりも自制に努めています。真修は偶然知り合った他人の子です。出来ることならこの子の人生を素晴らしいものにしてあげたい。決して汚してはいけない……と、この大人らしさが曲者。社会で生きていく上では必要なものですが、感情よりも理性が先立ち、本音を押し込めてしまう厄介な概念です。
反面、真修の感情表現はストレート。子どもなりに悩むことはあっても、聡子に対して芽生えた感情を素直に受け入れます。無邪気にサッカーに熱中するところがあるかと思えば、時折ハッとするような男の顔を見せて、聡子の内面をざわつかせます。
冴えないアラサー女子の元に訪れた、天使のような男の子との出会い。どこかで躓いて停滞していた聡子の人生に、真修という存在が風穴を空けました。一線を越えない、危うくて純粋な心の交流。その果てに彼らの幸せはあるのでしょうか?
1991年の東京。北海道から引っ越してきたばかりの坂口亜梨子(さかぐちありす)は、未だに学校に溶け込めずにいました。理由は彼女が新しい人付き合いに気後れしているのと、もう1つありました。彼女は動植物の声を聞くことが出来たのです。自然のない東京では植物の悲痛な声が多く、彼女はずっと郷愁の念に駆られていました。
ある日、東京で唯一亜梨子に絡んでくる小学生の少年、小林輪(こばやしりん)を彼女1人で預かることになりました。亜梨子に何かとイタズラを仕掛ける輪は、その日も懲りずに大暴れするのですが、そのやり取りの最中に誤ってベランダから落下してしまいます。輪は軽傷ではありましたが意識不明に。
責任を感じた亜梨子は回復するのを必死に祈ります。幸か不幸か祈りは届き、輪は前世の記憶と超能力を持って覚醒しました。そして亜梨子もまた、木蓮という名前の前世を持った超能力者であることがわかります。
彼らが前世の記憶と因縁を辿るうちに、とんでもない事態に……。
- 著者
- 日渡 早紀
- 出版日
本作は1986年から「花とゆめ」で連載されていた日渡早紀の作品。70年代から続くオカルトブームを再燃させた立役者で、そのブームとの相乗効果で当時の少年少女の間で爆発的な人気を誇りました。前世、転生、超能力といったキーワードが読者の心をガッチリ掴んだのです。
亜梨子と輪の関係を軸に展開していく物語。当初、異星人の転生者は7人いる、ということしかわかりませんでした。転生した者も、自覚はあっても記憶は朧気ではっきりしません。誰が誰になっているのか。果たして記憶を取り戻しているのか。
事実に戸惑う者、未来を信じる者がいれば、過去の恩讐に捕らわれる者もいます。そして協力する者や、暗躍する者も。謎が謎を呼び、ブームに乗ったストーリーはどんどん加熱していきました。
亜梨子は大人しく、内向的な少女です。自分に自信が持てず、前世の記憶に出てきた美女の木蓮だとは思えなくなっていきます。現在ほどサブカルやオタクに理解がなかった当時、オカルト好きの少年少女は日陰者という思いがあったことでしょう。そういった心象と、内気な亜梨子のキャラクターは非常にマッチしたと思われます。強く共感を得たことでしょう。
最初は亜梨子にとって厄介な悪ガキでしかなかった輪。力に覚醒してからは、亜梨子と結婚したいなどと口走るようになります。果たしてそれは彼の意志なのか、前世の記憶がそう言わせるのか。
亜梨子は女子高生ですが、輪はまだ小学生。覚醒後は悪ガキというよりも、もっと蠱惑的な、小悪魔のように振る舞うようになります。色々と計り知れない行動を取りますが、前世の因縁か亜梨子(木蓮)への想いは本物です。
輪に振り回される亜梨子。進んでいく仲間捜し。物語はやがて、地球の存亡へと関わっていきます。
真面目で素直な小学5年生、朱雀院ワタルは大手玩具メーカーの跡取り息子。何不自由ない生活。彼の目下の不満は、朱雀院家の使用人でワタル付きのメイド、ホカノの存在です。ことあるごとに、主に女性としての性質を利用してワタルをからかい倒すホカノ。ワタル少年の気苦労は絶えません。
メイドが苦手な主人と、主人をいじるのが生き甲斐のメイドによる、おねショタ日常ギャグ4コマ漫画です。
- 著者
- ヨウハ
- 出版日
- 2016-09-27
本作は2015年からウェブコミックサイト「GANMA!」で連載されているヨウハの作品。
主人公のワタルは成績優秀、スポーツ万能、おまけに社長子息という三拍子揃ったスーパー小学生です。しかし気取ったところはなく、誰とでも分け隔てなく接します。クラスでも何かと頼られる良い子。その分、人を信じすぎるきらいがあって、ホカノに付け入られるのですが。
ホカノはもう1人の主人公。美人でナイスバディのお姉さん。朱雀家の両親、ワタル以外には完璧な仕事の出来る使用人として通しており、その本性を知るのは限られた人間のみです。趣味はワタルをからかうことで、そのためにわざと無防備なだらしない格好で彼の前をうろつき、反応を見て楽しんだりしています。
もちろんワタルの性格の良さ、家柄で彼を狙う女子が少ないはずはありません。クラスメイトや幼馴染みが必死にアピールを試みますが、それは全てホカノがシャットアウト。あまつさえそれをネタに、女子やワタル本人をからかう材料にする始末。
ホカノが本心ではワタルをどう思っているかはわかりませんが、とにかく毎日イタズラしっぱなし。困り顔のワタルに思わず嗜虐心をそそられる作品です。
人類が地球を飛び出し、惑星間を行き来する未来。富裕層は機械の体で長寿を楽しみ、そうでない者達は苦しんで生きる時代です。主人公の星野鉄郎も苦しむ1人でした。ある日彼は、機械伯爵の人間狩りに遭い、たった1人の肉親である母親を失います。母親は鉄郎に、無料で機械の体をくれるアンドロメダの星を目指すよう言い残しました。
アンドロメダへ行くには、高額な切符の必要となる銀河鉄道に乗るしかありません。あてもなく銀河鉄道ステーションへ向かった鉄郎は、その途中で神秘的な美女、メーテルに助けられました。彼女もまたアンドロメダを目指しており、ある事情から同行者を求めていました。同行してくれるなら、銀河鉄道の無期限パスを分けてくれると彼女は言います。
こうしてメーテルとともにアンドロメダに向かうことになった鉄郎。銀河超特急999号に乗った彼らは、道中に立ち寄る星々で、無数の人間の複雑な人生に関わっていくこととなります。
- 著者
- 松本 零士
- 出版日
本作は1977年から「少年キング」に連載されていた松本零士の作品。アニメ、映画と様々な媒体でメディアミックスされた日本SFの金字塔です。公式な分類ではありませんが、ファンの間では1981年の同誌連載終了分までをアンドロメダ編と呼び、後年執筆された続編はエターナル編とされています。
主人公の鉄郎は未成熟の小柄な少年。対するメーテルは長身で年上の美女です。連載当時はもちろんおねショタの概念はありませんでしたが、時期的に考えれば先駆けと言っても良いでしょう。
松本零士による理想的な女性像、それがメーテルです。色気と影を漂わせる大人女性。全てを包み込む優しさと同時に、激昂する厳しい一面も備えています。極めて女性的でありながら、鉄郎に対して母性を感じさせる立ち振る舞い。本音を心の奥底に秘め、その正体は神秘というヴェールで覆われた謎多き存在でもあります。
対する鉄郎。母の遺言で機械の体を欲する彼にとってメーテルの提案はまさに渡りに船。彼女の正体については当初気にもしていません。ですが、銀河鉄道の旅を通して、数々な出来事や様々な人生観を間近で見て、経験して、少しずつ変化していきます。母の面影を感じさせるメーテルは、単なる同行者から特別な人に。
999号が立ち寄る、バラエティ豊かな惑星も魅力的です。鉄郎とメーテルの目を通して描かれる物語は普遍的なテーマを孕んでおり、今なお色褪せることはありません。果たして、そんな2人の旅の終着点、アンドロメダで待つものとは?
父親の突然の再婚によって、新たな家族と暮らすことになった小学生の田中翔太。会ったこともない新しい家族に対して不安を抱く暇もなく、新居に向かうことになりました。そこで出会ったのが、彼の義理の姉となる女子高生、かおるでした。
翔太はクール美人のかおるに一目惚れしてしまいます。父母は自分達だけでさっさと新婚旅行に出発し、子ども達は取り残されてしまいました。義姉といきなりの2人暮らし。無口で無愛想なかおるに、なんとかコミュニケーションを取ろうと翔太は四苦八苦します。
- 著者
- 市川なつを
- 出版日
- 2016-10-13
本作は2016年からウェブコミックサイト「COMICポラリス」で連載されている市川なつをの作品。子犬のような元気少年とクールビューティ少女の恋人未満ラブコメディです。
主人公の翔太は小学5年生。年齢よりも随分ませていて、一目惚れした姉のかおるに猛烈アタックを繰り返します。その都度、冷たくあしらわれますが、まったくめげません。その姿は、大好きな飼い主にまとわりついて飛び跳ねる飼い犬そのもの。そして、本人に自覚はありませんが、天然の女たらしなのです。同級生女子にモテているのに、気付く様子なし。
一方、周囲から「氷の女王」の異名を取る女子高生のかおる。心根の優しい真面目な性格なのは仲良しの友達だけが知っています。普段は対面を考えることがなく、仏頂面で付き合いにくく思われているようです。良く言えば裏表がなく、悪く言えば歯に衣着せない少女。片親暮らしが長いせいか、料理は上手です。
出会った当日から翔太はかおるに猛アプローチ。ぞんざいに扱われるのが逆にツボという彼には、マゾの素質が垣間見えます。かおるの言動がぶっきらぼうなのは、翔太が気に入らないからなのではなく、初めてのストレートな感情表現に戸惑っているため。2人暮らしを続けるうちに、氷の女王の冷えた心の壁もやがて溶け出していきます。
かおるは不意に柔らかな表情を見せるようになります。それを目にしては、大はしゃぎする翔太が実に微笑ましいです。そしてかおるも、そんな翔太を好ましく思っている様子。
家族未満から始まった2人の関係。翔太は父の再婚相手の義理の姉という壁にめげることなく果敢に挑んでいきます。頑張れ少年、道のりは遠いかも知れないが、思ったより険しくないぞ!と応援したくなってくるような作品です。
主人公の落合洸太はごくごく平凡な中学1年生の男子です。彼は父親の洋介と2人暮らしをしていましたが、突然洋介が急な出張で家を空けることになります。途方に暮れる洸太。そんな彼を見かねて声をかける者がいました。洸太が下校中に知り合った謎の女子高生、萩原なつきです。
なつきは強引に1人暮らしの世話すると宣言し、落合宅に上がり込んで居着いてしまいました。正体不明の年上のお姉さんとの同居生活。クラスの女子やなつきの姉妹まで巻き込んで、洸太の波瀾万丈の生活の幕開けが切って落とされました。
「ねえ、そのアイスちょーだい」(『あねどきっ』より引用)
- 著者
- 河下 水希
- 出版日
- 2009-12-04
本作は2009年から「週刊少年ジャンプ」に連載されていた河下水希の作品。河下の得意とする学園恋愛モノに、年の差要素、お姉さん属性を加えたラブコメディです。
洸太はどこにでもいそうな普通の少年。少し小柄なことや、上手く立ち回れない自分にコンプレックスを抱いています。なつきによって彼の日常生活は引っかき回されることになりますが、それがある種の荒療治となって、徐々に改善していくのです。
なつきは本作のメインヒロイン。河下作品では珍しいお姉さんキャラで、黒髪ロングの巨乳美少女。名前以外の素性がほとんどわかりません。洸太の世話をすると言ってからは、実際に何かと彼の世話を焼きますが、それが騒動になることもしばしば。天真爛漫で開けっぴろげ、加えて無防備なため、何度となく洸太はラッキースケベを体験することになります。
なつきはどうやら、なんらかの理由で家出をしているようですが……?
ただでさえ魅力的なお姉さんに構われる毎日なのに、何の因果か洸太の周りにはさらに女の子の気配が増えていきます。クラスのマドンナ、桜井奏(さくらいかなで)の注意を引いたり、なつきを連れ帰ろうとする妹のちあきが登場したり。ちあきに至っては、強情ななつきに折れて自分自身も落合宅に居候する有様です。
急に身近になった女性との関係にドギマギしつつも、その環境に順応していく洸太。やがてその心は、1人に対して向けられていきます。果たしてその運命の相手とは?
19世紀中央アジア。街に定住するエイホン家のカルルクの元に、山を隔てたハルガル家からアミルが嫁いで来ます。カルルクより8歳年上のアミルは、遊牧民出身で街生活こそ不慣れでしたが、家事一般万能の素晴らしい奥さんでした。
2人は少しずつ関係を深めていきましたが、平穏な時間は長く続きませんでした。ハルガルのお家事情によって、両家の姻戚関係が破棄されようとしていたのです。アミルを連れ戻そうとするハルガル家。対するエイホン家は、街ぐるみで新婚夫婦を守ろうとします。
- 著者
- 森 薫
- 出版日
- 2009-10-15
本作は2008年から「ハルタ(旧Fellows!)」で連載されている森薫の作品。カスピ海周辺の中央アジア、テュルク系文化の結婚模様を描いた珍しい時代漫画です。
アミルはとにかくなんでも出来る凄い女性です。料理は元より、テュルク文化で重視される裁縫も器用にこなし、遊牧民出身のため身体能力も抜群。馬で山野を駆け巡って、狩りをするのもお手の物。そう書くと粗雑のように思えますが、箱入りだったのかかなりのお嬢様気質で、時々天然が入りつつも一般常識もしっかり備えています。
作者曰く、好みの属性を思う存分ぶち込んだ結果だとか。
アミルは20歳で、現代日本から見れば充分大人の女性。夫のカルルクは彼女より8歳も年下で12歳、やや若すぎるようにも思えます。しかし、当時の社会では男女ともに10代前半で結婚するのが当たり前だったのです。
とはいえ、まだまだ人生経験の浅いカルルク。アミルにとっては頼れる旦那様というより、弟のような雰囲気です。しかし、成長期の少年らしく、目覚ましい速度でカルルクは成長していきます。
結婚の儀式で初めて出会った2人。当たり前の日常生活と、苦難の非日常を乗り越えて、その絆は固く結ばれていきます。お姉さん風の余裕があったアミルが、徐々にカルルクに惹かれ、結婚してから恋していく様子は、初々しくも微笑ましいものです。
本編中では何組もの夫婦の結婚模様が描かれますが、カルルクとアミルは主役級扱いのため、メインの出番以後も何度となくストーリー上で登場します。
倉田咲十子(くらたさとこ)は16歳の丸猫高等学校1年生。倉田家は元々企業経営をする社長一家でしたが、咲十子が幼い頃に会社は倒産、その後間もなく父親も亡くなってしまいました。以来、母子2人、寄り添って慎ましく暮らしています。
ある日、咲十子は奇妙な男の子と出会います。彼女の行く先々に現れて、なぜか手助けしてくれる少年。実は彼、和久寺風茉(わくでらふうま)は親が決めた咲十子の許婚だったのです。
咲十子は知らなかったのですが、母の三津子の勤務する派遣会社が倒産。倉田家は連帯保証人として1億円の借金を背負ってしまっていました。それを知った風茉は、借金の肩代わりを申し出ていたのです。母とともに和久寺の屋敷に身を寄せることになる咲十子。
突然現れた年下の許婚に戸惑いつつ、彼らの仲は少しずつ発展していきます。
- 著者
- 高尾 滋
- 出版日
本作は2000年から「花とゆめ」に連載されていた高尾滋の作品。度肝を抜く開幕から、驚くほどの純愛が展開される恋愛漫画です。
元社長令嬢でありながら、長い間の貧乏暮らし。屋敷から貧乏アパートに移り住んで早数年、今度は1億円の借金を負わされて、さらなる極貧に突入……かと思いきや、許婚に窮地を救われ、屋敷暮らしに返り咲き。咲十子の人生はこの時点で途轍もない波瀾万丈っぷりです。
咲十子は生来の性格なのか、元お嬢様ながら気取ったところはありません。むしろ、母性的で柔和な性格から人に好かれやすく、貧乏暮らしで培ったであろうポジティブシンキングが彼女の取り柄。高い家事スキルを持つ倹約家でもあります。家族を大事に想っており、亡き父の形見を今でも肌身離さず持っています。
風茉は若干10歳の和久寺財閥総帥。幼いながら、英才教育の賜物で勉学に経営に辣腕を揮う秀才です。その一方、子どもらしい経験が皆無。咲十子とは対称的にクールで知的、とても大人びた少年です。
許婚は親の取り決め。必ずしも子ども本人が従う必要はありません。恩を受けつつも、当初は消極的な咲十子。逆に、表面上冷静を装う風茉は、結婚に乗り気でした。許婚であることを知らなかったのは咲十子だけで、彼はずっと以前から彼女と会うことを楽しみにしていたのです。
生身の人間ですから、すれ違いや行き違い、言葉が足りないこともあるでしょう。咲十子と風茉は、そのどうしてもずれてしまう溝を、少しずつ少しずつ埋めていきます。心が洗われるようなピュアな恋愛が、本作に描かれているのです。
主人公の夕は14歳の少年。両親を亡くした天涯孤独の身です。身を寄せていた家のおじが入院したことで再び1人に。1人暮らしするに当たって準備を整えた彼は、立ち入りを禁じられた蔵を開けてしまいます。そこで夕は秘められた部屋を発見してしまいました。そして、この世のモノとは思えない冒涜的な存在と邂逅するのです。
長い髪をうねらせて、頭頂部に2本の角を生やした、姿形だけは妙齢の女性。彼女は自身を悪魔「千の仔孕む森の黒山羊」と名乗り、夕に契約を持ちかけて来ました。大事なものと引き替えに、如何なる願いも叶える契約。彼はこう答えました。
「僕の家族に――お姉ちゃんになってください」(『姉なるもの』より引用)
そうして願いを聞き入れた悪魔は「千夜」と名前を変え、夕のたった1人の家族となりました。
- 著者
- 飯田 ぽち。
- 出版日
- 2016-12-17
本作は2016年から「電撃G'sコミック」で連載されている飯田ぽち。の作品。当初は同作者が成人向け同人誌として発表されていたものでしたが、それが出版社の目に留まったのか商業作品として再スタート。同人版も引き続き発表されてるようですが、そちらは実質的なパラレルワールドであること、成人向け表現のある18禁作品であることをご注意ください。
破滅を予期させる不穏当な始まりですが、蓋を開ければ弟に甘々なお姉ちゃんっぷりが楽しめるハートフル作品となっています。時々冒涜的な何かが見え隠れしますが……。
神話やSF作品に詳しい方ならご存知かと思われますが、本作はH.P.ラヴクラフトという恐怖小説家が始めた創作世界「クトゥルフ神話」に関連する作品です。千の仔孕む森の黒山羊もその神話に登場する極めて強力な高位存在で、外なる神の1柱、豊穣の女神「シュブ=ニグラス」その人です。
夕と契約してからは千夜と名乗り、本来の神としての力を行使する時以外は、人間の姿形を取ります。人間態であっても人とは思えないような絶世の美女。その思考は人間を模してはいますが、基本的には理解不能な人外のロジックです。ただし、夕との契約を何よりも優先するので、夕にとって常に優しいお姉ちゃんであろうとします。
お姉ちゃんであろうとする過程でポカミスをしてしまうのはご愛敬。大抵はお話のオチになりますが、おぞましい力の一端が垣間見えるので笑えるのに笑ってる場合じゃないという不思議なコメディ漫画です。
一般向けに再構成されてるとはいえ、元が成人向けであることを思わせる描写も多々あり、色々な意味で夕も読者も、千夜にはドキドキさせられます。
美人で気立ても良いと評判の女子高生、加藤久美子。何を思い違えたのか、誰もが羨望する美少女が思い煩う相手は、なんと7歳年下の男の子でした。久美子が甲斐甲斐しく迫る意中の相手、池山真吾は正真正銘の小学4年生。世間的に見て不健全だとしても、久美子は諦めません。
久美子の友人の麻生啓子(まきけいこ)は、見かねて同年代の西崎を紹介します。しかし、そこへ割って入ってきた来たのは、あれだけ迷惑がっていた真吾。素直になれない少年ですが、この一件のおかげで晴れて両想いであることを確認出来ました。
- 著者
- 山田 南平
- 出版日
本作は1990年から「花とゆめ」で連載されていた山田南平の作品。元々は第1話に相当する「123cmのダンディ」から始まった「久美子&真吾」シリーズでしたが、「オトナになる方法」編が長く続いたため、単行本にまとめる際にタイトルがこちらに変更になったという経緯があります。
久美子は才色兼備の完璧な女子高生です。彼女が野良犬に襲われたところを、偶然通りかかった真吾に救われて一目惚れ。お嬢様なのか箱入り娘なのか、実はこれが彼女にとっての初恋。誰憚ることなく真吾を「王子様」と言い、初恋とは思えない情熱で小学生を追いかけ回します。
一途で盲目的な初恋の行動と言えば可愛らしいのですが、現実的に考えるとかなり危険な行動です。
真吾の方は、当初は久美子に連れない態度を取っていました。しかし、内心ではしっかり気にしていたようで、素直になれなかっただけでした。今で言うツンデレ。小学4年生とは思えないほどパワフルで短気なのです。言葉使いも荒く、喧嘩っ早いところには江戸っ子気質が見て取れます。
江戸っ子らしさは義理人情の面でも見て取れて、口にはしないものの常に久美子を大切に想っています。彼女が困っていれば、いついかなる時でも飛んで来て、相手が大人だろうと誰だろうと食ってかかる男気の持ち主。
物語開始早々、お互いの気持ちを確かめ合った2人ですが、そこではハッピーエンドになりません。7歳という年齢差ゆえにどうしても付いて回る諸問題が、彼らの前に立ち塞がります。年代の違い、性別の違い、その他の様々な困難。それらをともに乗り越えていく、ちょっと笑えてちょっと泣ける、純愛ラブロマンスです。
春原彩花(すのはらあやか)が管理人を努める「すのはら荘」は、女だらけの学生寮です。男らしくなりたいという希望を持った、女の子のような名前の椎名亜樹は、手違いですのはら荘に入寮してしまいます。
見た目は女の子にしか見えない亜樹。彼を男と知ってからも住人は気にせずスキンシップを繰り返し、亜樹少年の心労諸々は日に日に貯まっていきます。
- 著者
- ねこうめ
- 出版日
- 2015-06-22
本作は2014年から「まんが4コマぱれっと」に連載されている、ねこうめの作品。お姉さんだらけのハーレム4コマコメディで、少しエッチなシーンが多々登場します。
主人公の椎名亜樹は、名前からして女の子らしく、外見も可愛らしい少女にしか見えません。どうやら昔から実姉の玩具になっていたらしく、着せ替え人形のように遊ばれていたようです。そのことがトラウマになって、男扱いされないことがコンプレックスに。本人は上京を機に生まれ変わりたいと望んでいますが、今のところ上手く行っていません。
すのはら荘住人筆頭は管理人の彩花。性格や雰囲気だけでなく、体の各所も柔らかそうなナイスバディのお姉さん。住人との文字通りスキンシップを好み、亜樹も例外ではありません。嫌がるところが可愛いのか、あるいは単に好みなのか、彼への触れ合いはやや過剰気味。色々と思わせ振りな仕草を見せますが、果たして……?
他の住人は、亜樹と同じ棚町中学の上級生達です。生徒会長の小柄な雪本柚子、長身美人の副会長、月見里菫(やまなしすみれ)に表情の読みづらい書記の風見ゆり。
4人のお姉さんの中では、唯一柚子だけが亜樹を異性として見ていますが、表面上は隠し通しています。他3人は異性として意識していないどころか、意識的に女装させようと画策する者も……。
男の子扱いされない男の子、椎名亜樹の明日はどちらにあるでしょう。
4月に高校へ進学する主人公の須田源(すだげん)は、これを機に実家を出ることにしました。下宿先は幼い頃に預けられたこともある遠縁の古寺。何もない田舎でも、新生活に対する期待は膨らんでいきます。
そんな源を出迎えたのは、昔遊んだこともある、はとこの古寺澤知恩(こてらざわちおん)。見違えるほど豊満になった知恩に源はどぎまぎ。立ち寄る参拝者も減り、すっかり寂れたお寺には、今は知恩しか住んでいませんでした。
年上の女性である知恩を身近に感じながら、源の新生活が始まります。
- 著者
- オジロ マコト
- 出版日
- 2016-08-30
本作は2016年から「ビッグコミックスピリッツ」で連載されているオジロマコトの作品。同作者の代表作『富士山さんは思春期』と同じように、なんでもない日常の一時を切り取って描かれる、ゆるい漫画です。
源は高校1年生になったばかりの16歳。メインヒロインである知恩が19歳なのは良いとして、高校生をショタと称するのは若干無理があるでしょうか。本作に限っては年の差男女関係、ぐらいの意味合いで捉えて頂けると幸いです。
源は思春期の少年らしく斜に構えていて、少しばかり反抗的。可愛いというよりは、生意気さが目立つ年頃です。以前に寺で過ごしていた記憶は少しだけ残っていて、その時の無邪気な知恩と、現在の色香を感じさせる知恩の間とにギャップを覚えています。
古寺に住む古寺澤とは少しばかり直球過ぎる名前ですが、ともかく知恩が寺の管理をしています。他に祖母がいますが留守がちで、実質的に源とは2人暮らし。基本的には弟として接しています。
タイトルにも掲げられているだけあって、本作の特徴は知恩に尽きます。良い意味で今風ではなく、太めの眉毛に健康的な体つき。特にお尻の表現には並々ならぬ力が入っており、たびたび源の目を奪うことになります。しかも、落ち着いた大人の女性のような見た目に反して茶目っ気たっぷり。
田舎の寂れた様子にどこかノスタルジーを思わせる本作。源と知恩の友達以上、家族並、恋人未満な関係は読んでいて心地良く、疲れた時の一服の清涼剤となるでしょう。
ごく普通の地味め社会人、佐伯かづ子。彼女は二次元ショタをこよなく愛し、同人活動に励むオタク女子でした。近頃、そんなかづ子のオタクライフを脅かす影が、彼女の周りをうろつくようになりました。その名は愛川龍桜(あいかわりゅうおう)。11歳のリアルショタです。
かづ子はなぜか龍桜に気に入られたようで、どこへ行くにも後を付いてきます。このままでは大好きな同人活動に支障が出てしまう!まかり間違えば通報沙汰もあり得る……!オタク社会人かづ子とチビヤンキー龍桜の4コマ日常ギャグが繰り広げられます。
- 著者
- 星海 ユミ
- 出版日
- 2017-03-22
本作は2016年からウェブコミックサイト「ガンガンONLINE」および「pixivコミック」で連載されている星海ユミの作品。Twitter、pixivで公開されていた同名タイトルをリライトした漫画です。
おねショタのくくりでご紹介しますが、公式に本作はショタおねという扱いになっています。なぜなら、基本的にかづ子から龍桜に干渉することはありません。もっぱら龍桜の側からのアプローチばかりなのです。
かづ子は成人したオタク女子。ハンドルネームは「kz子」。清く正しい社会人らしく、モラルをきっちり守る大人です。二次元ショタがストライク。
ただし、現実と空想の線引きはしっかりしており、うろうろ付いて回る龍桜に対しても理性を保っています。一瞬タガが外れかけることもありますが。自分の行動が世間にどう思われるか理解して行動している、ある意味正しいオタク像。
ヤンキースタイルで、小学生ながらイケイケな龍桜。最近引っ越してきたばかりで周囲に知り合いがいません。そこでなぜか隣のかづ子に懐きました。かづ子にまとわりつくのはメンチを切っているわけではなく、彼なりの下手な愛情表現。
密かにかづ子に想いを寄せていますが、いかんせんぶっきらぼうで口下手なので一切伝わっていません。普段は威圧的ですが、嬉しい時(主にかづ子関連)は年相応のあどけなさが覗きます。実は彼は数年前、一時期かづ子に遊んでもらっていた少年。その時は風貌も違った上、名前も名乗らなかったのでかづ子自身はまったく気付いていません。
龍桜少年のかづ子への一途な恋心はその時から続いていて、見た目がいかついにも関わらずとても純情です。
果たして今後、かづ子のオタク活動はどうなるのか。龍桜の恋心は実るのでしょうか。そしてかづ子の社会的立場は最後まで守られるのでしょうか。冷や冷やニヤニヤしながら見守りましょう。
大学に進学した榊美麗(さかきみれい)は、同じ高校の演劇部出身の一ノ瀬野乃(いちのせのの)、桂木たかしと3人一緒に大学でも演劇に取り組みます。元々あった演劇部に満足出来なかった彼女達は、自分達で劇団「ならずもの」を旗揚げしてしまいました。
慣れない&常識外れな団員街頭募集で仲間が集まり、初公演は無事成功裏に終わります。その片付けの中、団員最年少の立花祐(たちばなゆう)は、美麗に思いのたけをぶつけるのでした。美麗はそれを受け入れ、2人は見事恋人同士となるのですが……。
- 著者
- 桐原 いづみ
- 出版日
- 2011-02-12
本作は2010年から「コミックハイ!」で連載されていた桐原いづみの作品です。かつて同誌で連載され、2007年にテレビアニメ化もされた演劇漫画『ひとひら』のスピンオフにして、正統続編とも言える1作です。
前作では麻井麦(あさいむぎ)を教え導き、時に対立した榊美麗が本作では主人公を務めます。『ひとひら』ではある意味主人公に立ちはだかるツンツンキャラだった彼女が、一変してデレデレした可愛いお姉さんになっているのが注目点です。
美麗は大学生ですが、お相手となる祐はまだ中学3年生。お互い思いやる気持ちはあるものの、年齢差と性格から来る物怖じのために、とても初々しいカップル像として描写されます。特に祐は年上の美麗の支えになりたい、と背伸びをしていて、読んでいるとその努力するところが愛おしく思えるでしょう。
『ひとひら』とは世界観や一部の登場人物を共有していますが、物語が連続しているわけではないので、あちらを未読の方もご安心下さい。知っていればより楽しく、知らなくても単独で楽しめる、年の差恋愛が描かれます。思わず赤面ものの群像劇ラブコメとなっています。
青田家と菜原家は家族ぐるみで仲の良いお隣さん同士です。青田冬果(とうか)と菜原菘(なずな)は高校も同じで、クラスも同じ。冬果の妹の環(たまき)と、菘の弟である蕗(ふき)も同じ小学校の同じクラスでした。
1日を終えた彼らがそれぞれの家に帰ると、4人は揃って同じスペースで寛ぎます。実は青田家と菜原家は地下で繋がっており、両親不在の両家は4人のシェアハウスだったのです。
- 著者
- シバ ユウスケ
- 出版日
- 2012-06-25
本作は2011年から「増刊ヤングガンガンビッグ」、「月刊ビッグガンガン」などで連載されていたシバユウスケの作品です。
2人の女子高生と2人の小学生、女3人と男1人の秘密の共同生活が繰り広げられていきます。非常に緩い空気の日常漫画で、基本的に1ページで1つのエピソードが描かれて、通常の漫画なのにどこか4コマ漫画のような雰囲気があります。
女性陣はツンツンでもしっかり者の冬果、性格も体格もゆるふわな菘、暴走気味のおませ少女環の3人です。紅一点ならぬ黒(?)一点な蕗は、女性陣の言動にいつも振り回されます。特に姉の菘には溺愛されています。彼にとって冬果は憧れの人のようですが、素直になりきれないあたりが小学生男子のいじらしさといったところでしょうか。
お隣さんなのに同居人、という謎かけのような設定。幼馴染みで気心の知れた4人が家族ごっこをするための方便ではあるのですが、一応こうなった経緯が本編では語られます。とはいえ、厳密なことはあまり気にせず、秘密を共有する4人の生活を微笑ましく覗き見るのが正しい本作の読み方でしょう。
あるところに、独り身の女性がいました。ある時、彼女が妙に家賃の安いアパートに引っ越してみると、そこには先客がいたのです。それは彼女以外には誰も見えない座敷童の男の子でした。先住権を主張する座敷童は今も女性に取り憑いていて……。
そう生徒に語ってみせる小学校教師のゆりえの自宅には、裸Yシャツの自称妖怪の正太が住み着いているのでした。何を隠そう、女性とはゆりえ自身のことだったのです。
- 著者
- 吉元 ますめ
- 出版日
本作は2010年から「月刊コミックフラッパー」で連載されていた吉本ますめの作品です。吉本はアニメ化もされた東北地方自虐コメディ『くまみこ』の作者です。
本作を一言で言えば、非常にストレートにアウトなショタコン向けのおねショタとなっています。座敷童の正太は女の子のように可愛らしいのに、なぜかダボダボのYシャツ1枚を愛用し、他は一切着用しないという侠気溢れる男の子です。Yシャツの下には何も着ていない、とはっきり明記されています。
もちろん全年齢対象なので、際どい部分で描写はされませんが、その分、ショタ初心者の方にはおすすめしやすいかも知れません。よくよく考えてみれば、正太という名前はゆりえが名付けたのですが、なかなか示唆的でもあります。
正太は妖怪だからか何かと騒ぎを起こすのですが、本音のところではゆりえとの同居生活を望んでいます。対するゆりえも小学校教師だけに面倒見も良く、まんざらでもない様子。
彼ら2人の生活には徐々に闖入者も増えていって、果たして平穏な同居生活はいつまで続くのでしょうか。それはそれとして、正太は性癖を刺激する萌え要素の塊なので、それを目当てに読んでみるのも良いでしょう。
大学生の公子は、学費のために短時間子どもの面倒を見るバイトを始めました。仕事内容は家事全般、そしてわがまま少年の晴人のお世話。この晴人は大人顔負けに口が達者で、それもそのはず、人気急上昇中の子役スターだったのです。テレビ越しに見せる演技の笑顔と、不機嫌で感情剥き出しの生の晴人。果たしてどちらが本当の彼なのか……(「やさしい晩ご飯」)
全8編の大人の女性と背伸びする少年の物語。
- 著者
- アンソロジー
- 出版日
本作は2017年に発売されたアンソロジーです。主に「月刊Comic ZERO-SUM」に掲載された短編の中で、おねショタのテーマに沿った作品がまとめられています。
作者も登場人物も展開もバラバラですが、共通する点が1つだけあります。それはどのお話に登場する少年も、精一杯生き生きとして描かれていること。精一杯加減は各人の尺度で異なりますが、短い人生で獲得したであろう感情の全てが表情に出てきます。その素敵な顔がお姉さんのハートを射止めるわけです。
未熟な少年に対して、それを受け止める側の女性は、精神的にも肉体的にも大人。理性的な大人なので、少年の真っ直ぐな視線を必ずしも受け止めるとは限りません。そしてそもそも、恋愛感情に至らない、あやふやでもやもやで、それでいてくすぐったいような恋愛未満の関係を描く短編も含まれています。
それでも強いて共通点を挙げるとすれば、それは彼女達だけが限られた少年の日のとびっきりの出来事を、いつまでも忘れずに覚えていることでしょうか。それは読者も同じ。少年達の姿が微笑ましく思えて、そしてエンドマーク後にはどんな成長を遂げるのかと気になってしまいます。
願わくば、彼らの行く末に幸多からんことを。
いかがでしたか?世に数ある年の差モノ。今回ご紹介した中に、あなたの琴線に触れる1作があれば、これ以上嬉しいことはありません。現実で実践すると色々問題が起こる恐れがあるので、そこだけはご注意ください。