4人の登場人物によってくり広げられる体入れ替わり系の少女漫画。可愛らしい絵柄とは異なり、サスペンスのような雰囲気も漂う異色作。宝島社「このマンガがすごい!2016」5位にランクイン、2018年にはドラマ化もされました。 3巻で完結するには惜しいくらい、ストーリーに引き込まれていく本作。この記事では、本作の魅力や最終回までの見所をご紹介します。ネタバレを含みますので、苦手なかたはご注意ください。気になった方は、無料で読めるスマホアプリがあるので、まずはそちらから読んでみるのもおすすめです。
登場人物が個性豊かで人間味溢れるストーリーが魅力的な本作。
主な登場人物は4人です。容姿端麗な女子高生・小日向あゆみと、同じクラスのいわゆるブスな海根然子の2人。男子は、あゆみの彼氏のしろちゃんこと水本公史郎と、イケメンで彼の親友の火賀。4人それぞれが別々の思いを抱えながら進んでいくストーリーが読者をひきつけます。
ありそうでなかった設定となっている本作。入れ替わり系の話は珍しくありませんが、登場人物によって作為的に入れ替えられ、主人公が苦しむ物語はなかなか新鮮です。見た目が変わるだけで世界がこんなにも変わるんだということを考えさせられるでしょう。
本作は2018年にNetflixにて実写ドラマ化もされました。ジャニーズWESTの重岡大毅、同じくジャニーズWESTの神山智洋がヒーロー役を、清原果耶、富田望生がヒロイン役を演じます。放送終了後も数ヶ月はTOP表示されたり、海外からも反響があったようです。
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- 著者
- 川端 志季
- 出版日
- 2015-02-25
主人公は、最近しろちゃんという彼氏ができたばかりの小日向あゆみ。初デートの待ち合わせ中、同じクラスの海根然子から突然電話がかかってきます。
「私… これから死ぬから…」
(『宇宙を駆けるよだか』より引用)
自殺予告に驚愕し、助けに行こうとするあゆみですが、彼女の自殺現場を目撃してしまいます。しかし海根然子は生きていました。そしてなんと……あゆみと海根然子の体が入れ替わっていたのでした。
こうして体が入れ替わってしまったあゆみは、彼氏のしろちゃんだけでなく友達や家族を然子に奪われ、自分は醜い容姿で生きていかなければならず苦しむことになるのです。
海根然子の姿になってしまったあゆみははたして元の姿に戻ることができるのでしょうか……。
しろちゃんの親友である火賀は、あゆみと海根然子が入れ替わっていることに一番初めに気づきます。こうして然子と入れ替わってしまったあゆみは、火賀と一緒に元に戻る方法を探すことに。
2人は、入れ替わり経験者のデータを集めているという宇金真緒という人に出会い、自殺をして入れ替わるには以下の方法でなければならないと聞きます。
「赤月の日に行うこと、
なりたい相手にみられていること、
かならず死ぬことの三つ。」
(『宇宙を駆けるよだか』より引用)
しかし同じ事を繰り返しても元には戻ることはできず、どちらかが死んでしまうということを二人は知ります。
- 著者
- 川端 志季
- 出版日
- 2015-02-25
二度と元には戻れないかもしれない、と打ちひしがれていたあゆみに火賀が泣きながらこう言いました。
「戻らなくていい、お前がどんな姿だっていいんだ」
(『宇宙を駆けるよだか』より引用)
見た目ではなく、あくまでも中身を大事にし、悲劇のヒロインを支えようとする火賀。このようなシーンから、他の登場人物にはない彼特有の人の良さを感じられるでしょう。物語の序盤で悲観的な内容が続いてきた中、彼の言葉に救われるシーンが何度もあります。
登場人物の言葉は胸にぐっとくるものがあり、読者まで勇気づけられるようです。特別深い意味の言葉が使われているわけではなく、素直でまっすぐな気持ちを伝える言葉が印象的。登場人物のセリフ一つひとつに注目して読んでみてください。
あゆみと火賀の関係が学校で怪しまれてきて、そのことでいじられるようになってきました。そんな時、火賀は海根然子(中身はあゆみ)のことを一番かわいいと思っていると公開告白してしまいます!
このような出来事があったため、機嫌が悪くなる海根然子。そこでしろちゃんは突然何のためかあゆみと火賀の体を入れ替えてあげると提案してきます。その提案を聞いて、海根然子は不敵な笑みを浮かべるのです。
- 著者
- 川端 志季
- 出版日
- 2015-07-24
3巻完結なだけあって、2巻から一気に物語が動き出す展開。しろちゃんが何かをたくらみ薄気味悪さを感じさせていて、ハラハラドキドキする内容となっています。一難去ってまた一難、様々な動きが出てきて読んでいる人を飽きさせない工夫がされているのです。
ただこの場面では、しろちゃんの行為の意図がはっきりと理解しにくくなっています。海根然子の機嫌をとるためなのか、それともただ単純にあゆみに近づく火賀の人生を壊したいだけなのか。読者は、何のためにそんなことするの?と思ってしまうかもしれません。
果たしてしろちゃんが何を企んでいるのか、あゆみと火賀はどうなってしまうのか。3巻でその真相がはっきりします。先の展開を考えながら読むと面白いかもしれません。
2巻の終わりで、しろちゃんの画策によりあゆみと火賀はバラバラに。そしてしろちゃんは火賀を無理やり屋上から落とそうとして、2人とも落ちてしまいます。その結果、しろちゃんと火賀の体が入れ替わってしまうのです。
しかし、これはしろちゃんの作戦通りだったのです。というのも、しろちゃんはあゆみを元の姿に戻す方法を前から考えており、そのためには4人の協力が必要不可欠でした。
その作戦を成功させるために、まずは自分から火賀と入れ替わったのです。作戦とはつまり、それぞれが別の人間を経由して入れ替わることで、体を元に戻すというものでした。
しろちゃんと火賀、あゆみの3人は、この計画に賛同しますが、海根然子はもちろん反対します。しかも海根然子は、突然行方不明になってしまい……!
- 著者
- 川端 志季
- 出版日
- 2015-12-25
とにかく展開が早いことが本作の魅力のひとつ。次から次へと予想外の出来事が起こります。物語の中盤では、恋人だったしろちゃんは、あゆみのことを気にかけていないように見え、対立関係にあるように思えるでしょう。
しかし実は、彼はずっとあゆみを気にしており、彼女を助けるために自ら悪役を演じきっていたのです。そんなしろちゃんの姿に心を打たれるでしょう。
しろちゃんと火賀の両方が、あゆみのことが好きであると再確認する場面からは目が離せません。2人が自分の気持ちに折り合いをつけて、あゆみを元に戻すため、前に進む重要なシーンだといえるでしょう。
最終回は、彼らの成長した姿を見られることができます。関係性は何も知らない人から見ると大した変化は内容に思えるかもしれませんが、彼らは確実にこの一連の事件を経て何か学んでいるところがあります。
しかし、気になるのが、宇金と、あゆみのもとにいたインコの正体。実は彼女たちのストーリーも、最終回で大きな種明かしが行われるのです。ぜひ、その詳しい内容は作品でご覧ください。
ここまでこの作品の大まかな内容や見所について説明してきました。しかしこの記事では紹介しきれていない素晴らしいシーンがいくつもあります!結局外見が大事という現実的な意見があるなか、やっぱり中身も大事、そう思わせてくれる作品です。