フィデル・カストロにまつわる逸話7選!キューバ革命の指導者の生涯を知る

更新:2021.11.8

カリブ海の島・キューバで革命を起こし、超大国アメリカに対抗し続けたカリスマ指導者であるフィデル・カストロの生涯とその魅力について、おすすめの本とともにお伝えしたいと思います。

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フィデル・カストロとは

フィデル・アレハンドロ・カストロ・ルスは1926年生まれのキューバの政治家・革命家です。

1959年にキューバ革命を起こし、親米独裁だったバティスタ政権を打倒、キューバの国家元首に就任しました。革命の闘士チェ・ゲバラ、弟で国家元首を引き継いだラウル・カストロといった人物も、キューバ革命の同志です。

キューバ共産党の独裁政権を樹立して以降、アメリカと激しく対立する一方でソビエト連邦と接近し、米国を直接攻撃できるソ連の核ミサイルがキューバに配備されるという、冷戦を象徴する事件であるキューバ危機を引き起こしました。

キューバは米国に経済封鎖を受けていたため、経済はソ連の援助頼みとなっていましたが、1991年にソ連が崩壊すると深刻な経済危機に陥ります。一方で冷戦終結後に台頭したラテンアメリカ諸国の反米政権とは、協力関係を築きました。

2000年代以降は健康状態が思わしくなく、2008年には国家元首の座を弟のラウルに譲り、2016年11月25日、フィデル・カストロは90歳でこの世を去りました。

フィデル・カストロにまつわる逸話7選

1:フィデル・カストロに対して638回も暗殺が計画された

彼が革命の闘士となって以降、その身は常に暗殺の危険にさらされていました。638回の暗殺計画はギネスブックに世界最多として登録されたほどです。なお、最も彼を暗殺したがっていたのはアメリカのCIAだったようで、タバコやボールペンに毒を仕込んだり、巻き貝に見せかけた爆弾を設置したりするなど、ありとあらゆる暗殺方法を検討したようです。

2:実の母親から勘当されていた

キューバにて行われた政策の中には、大農園の地主から土地を取り上げて国有化するというものがありました。フィデルもまた農園主の家に生まれたのですが、自分の実家であっても特別扱いせずに国有化に踏み切ったため、実の母親からは絶縁を言い渡されることになりました。

3:かつては葉巻愛好家だったが、のちに禁煙を宣言した

もともとキューバはタバコの名産地で、葉巻をくわえているフィデルの姿は革命家の象徴のようにみなされていました。ゲリラ戦でジャングルに潜るときに寄って来る虫を追い払うために葉巻が有効だったため、吸い始めたのです。しかし年をとって健康に気を使うようになった彼は、1986年に禁煙を宣言すると同時に、国民にも禁煙するよう勧めました。

4:野球が大好きで、自らも野球選手だった

フィデルは高校時代に野球をプレーしており、国内の優秀選手に選ばれるなど活躍しました。その後、オリンピックではキューバ代表チームを強豪に育て上げ、2006年から始まったワールド・ベースボール・クラシックでも自国チームや日本のイチローに賛辞を送るなど、野球好きの人生を送りました。

5:自分自身の巨大な肖像画や銅像をつくることを許さなかった

フィデル・カストロは自分のことを美化されることを嫌っていました。そのため、ソビエト連邦や中国など他の共産圏指導者にありがちだった、町にフィデルの銅像を建てたり肖像画を飾ったりするようなことを拒否しました。その姿勢は、政治指導者が神格化されることを防ぐため、存命中の人物のモニュメントを公共の場所に建てることを禁止する、キューバの法律に受け継がれています。

6:長時間の演説で有名だった

彼は非常に演説が好きで、国内各地を遊説しては長く話し込む癖がありました。1960年の国連総会では4時間半にわたってスピーチを行い、国連総会の最長記録となって残っています。自分でも演説が長くなり過ぎることは自覚していたようで、「今日は早く終わるから安心して」などとジョークを言って聴衆を笑わせることもありました。

7:ローマ教皇から破門されていた

キューバはもともとスペインの植民地だった歴史からカトリックのキリスト教徒が国民の大半を占めます。フィデルもキリスト教徒として生まれましたが、彼自身は無神論をもって国内の教会を取り壊し、キリスト教徒を矯正キャンプに入れるなど強硬な宗教弾圧を行いました。その結果、1962年に当時のローマ教皇ヨハネ23世から破門されてしまいます。フィデルとカトリック教会との関係の修復は、1996年にフィデルがバチカンを訪問するまで待たねばなりませんでした。

フィデル・カストロ入門書

フィデル・カストロが生まれ、学生時代を過ごし、チェ・ゲバラと出会い、革命を成就させるまでのストーリーを本書では扱っています。

どのように彼は大事業を成し遂げ、超大国アメリカにも屈することのない国を作り上げることができたのでしょうか。それが本書によって明らかになります。

著者
佐々木 譲
出版日
2005-11-18

キューバ革命を扱う書籍は数多くありますが、その大半は著者の革命に対する思い入れが(肯定的にも否定的にも)強くなり過ぎ、結果として読みにくいものになってしまう傾向にあります。

その点、この本は淡々と冷静に事実をまとめあげ、フィデル・カストロという人物を理解するために、整理された情報を受け取ることができるのが特徴です。

しかしそれは決して彼の人間としての魅力を損なうものではなく、ニュートラルな立場で彼とキューバの歴史を知るための入門書としてうってつけの本だと思います。

革命家フィデル・カストロが語った歴史的事実

本書は、フィデル・カストロに対してスペイン生まれ・フランス育ちのジャーナリストが合計100時間以上をかけて実施した、長時間のインタビューをまとめたものです。

本人の生い立ちや盟友チェ・ゲバラとの出会い、キューバ革命の理念、そして自ら執り行ってきたキューバ政治の成功と失敗などについて、余すことなく語り尽くしています。

著者
["イグナシオ・ラモネ", "フィデル・カストロ"]
出版日
2011-02-04

本書の見どころは何といっても、カストロという当事者が語った赤裸々な事実にあるでしょう。

彼が体験した歴史的事件の数々に対して、表舞台に立ちながら何を考えていたのか、また命を狙われ続けても成し遂げたかったことは何だったのか、知ることができます。

フィデル・カストロの語ることが事実に正確で、また欧米メディアからの視点では知ることのできないことを教えてくれます。

資料としての価値も非常に高く、革命家の抱いた理想を知るうえで欠かせない1冊です。

カリスマ指導者・カストロの生き様

こちらの本は、フィデル・カストロへのインタビューをもとに構成された伝記となっています。

著者は彼と同じ1926年生まれで、ニューヨーク・タイムズの南米特派員としてカストロと知り合い親しくなり、その関係性からこの取材が実現しました。

キューバ革命で戦ったゲリラ戦や、チェ・ゲバラとの間柄についてなど、本人しか知り得ないことも詳しく書かれています。

著者
タッド シュルツ
出版日

本書のタイトルにある通り、わずか1100万人の人口でカリブ海に浮かぶ島・キューバから、アメリカという大国に対する反抗を貫く「アンチヒーロー」としてのカストロがテーマとなっています。

革命を導いたカリスマ性はもちろんのこと、大国の間で巧みに生き抜いてみせた賢さ、演説でたびたび見せつけた雄弁さやユーモアが、この本のインタビューでもはっきりと示されています。

終生、世界からの尊敬を集め続けた男の生き様を教えてくれる、おすすめの一冊です。

キューバにおけるフィデル・カストロの存在感

自ら半世紀もの間、権力の座についていながら、国家の腐敗を防ぎ続けたカストロ。権力者の銅像をつくることを法律によって禁止したのも、他でもない権力者の彼でした。

この本は、カストロに日本人としてインタビューを敢行した、戸井十月によるルポルタージュです。

著者
戸井 十月
出版日

カストロに会いたいという一心で歩みを進める著者の旅とともに、彼の影が次第に立ち現れ、彼の実像に迫っていくところまで、読者が引き込まれ連れていかれるようになっている構成が、本書の面白い点です。

彼が作り上げたかった理想の国家、実際にそこに住んでいる貧しいけれども希望を失わない人々、それらを知り読み進めていくうちに、キューバのことを好きになっていることでしょう。

キューバにおける彼の存在感がどのようなものだったか、本書は教えてくれています。

いかがでしたか。死後もなお人々の記憶に残り続ける、偉大でユーモラスな革命家、フィデル・カストロのことをもっと知りたくなったならば、ぜひこれらの本を手にとってみてください。

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