ぽんかん⑧がイラストを手掛けるおすすめラノベ4選!細部までこだわる絵師

更新:2021.11.9

ぽんかん⑧がイラストを手掛けたライトノベルのうち、おすすめのものをご紹介します。シリアスからギャグまで、さまざまな世界観を繊細な絵柄で飾った本は一読の価値ありですよ。

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ぽんかん⑧とは

ぽんかん⑧は京都府の人気イラストレーターです。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『生徒会探偵探偵キリカ』『SHIROBAKO』など、ライトノベルのキャラクターデザイン原案やイラストを担当しています。

淡い色が印象的なイラストは、特に女の子を描いたものが人気があります。彼女たちの表情はもちろん、髪の動きや細やかな背景描写など、繊細な描き込みが特徴的です。

ぽんかん⑧がイラストを描く、不器用な問題児たち

「ぼっち」が長かったため性格がひねくれてしまった主人公の比企谷八幡は、横暴な女教師にとある部活に入るよう言い渡されます。その部活のメンバーは、学年1の秀才かつ美少女である雪ノ下雪乃ただひとり。何をする部活なのかと訝しがる八幡に対し、雪乃はこう言い放ちます。

「ようこそ、奉仕部へ。歓迎するわ」(『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』1巻から引用)

なんとその部活は、困っている人に救いの手を差し伸べるボランティア活動をする部活だったのです。

料理が壊滅的にできない女の子にクッキーの作り方を教える、テニスの練習に付き合う、など学生たちの悩みに寄り添っていく八幡と雪乃。それまで積極的に人と関わってこなかった彼らは不器用ですが、それだけにとにかく一生懸命依頼者と向き合おうとします。

著者
["渡 航", "ぽんかん8"]
出版日

外見はかわいいけれど、性格は残念な雪乃。自分がかわいいことを自覚しており、人に対して歯に衣着せぬ言葉を発します。そんな彼女に最初は反発を抱く八幡でしたが、奉仕部に入部して依頼者の悩みに寄り添っていくうちに、ぼっちだった彼にも友達ができるようになりました。

ぼっち歴が長く、トラウマだらけで人と向き合うのが怖い八幡と、かわいすぎることで排斥されてきた過去を持つ雪乃。さらに、女子グループに入って他人ににこにこ頷くだけで、自分の意見を主張できない結衣。こんな問題だらけの登場人物たちは、かつて学生だった大人の読者の琴線にも触れるのではないでしょうか。

個性的だけれど、誰しもがどこか覚えがあるような、そんなキャラクターたちが自分の問題と向き合っていくストーリーが、コメディチックな会話劇とともに展開していきます。最初はキツいだけだと思っていた雪乃の良いところも見えてくるようになり、それに伴って八幡の良いところも少しずつ、読者に伝わっていくでしょう。

マンガのようなポップな挿し絵はもちろん、詳細に描き込まれた肉感的な描写もイラストで楽しむことができます。また各章の間には、キャラクターごとの「進路指導アンケート」というものがはさまれており、それぞれの性格がよく出ているこちらも見どころです。

8億円を動かす少女の裏の顔は、探偵!?

中高合わせてその生徒数8000人という、超巨大学園・白樹台学園の生徒会執行部予算は、年間なんと8億円!しかしそのぶっとんだ額を采配する執行部には、たったの3人しか在籍していません。

生徒会長は、女のくせに女好きな暴君・天王寺狐徹、副会長は金髪美少女の学園のマドンナ・竹内美園、そして8億円の予算を一手に担う会計係は、なんと不登校の少女・聖橋キリカです。

高等部から編入してきた少年・牧村ひかげは執行部に入り、キリカと出会い、彼女の抱えるもうひとつの顔を知ることになります。なんと彼女は「探偵」だったのです。

著者
杉井 光
出版日
2011-12-02

冒頭にある登場人物紹介がとにかくかわいくて見どころです。同じ制服を着ているのに、キャラクターごとにその着崩し方が違うところに細やかなこだわりを感じます。

主人公のひかげだけが男で、生徒会のメンバーは全て女の子。他にもひかげを取り巻く美少女はたくさんおり、ハーレム状態で物語は進みます。しかしただのハーレムものにならないのは、なんでもできる姉と自分を比べてコンプレックスを抱えるひかげの葛藤が描かれているからでしょう。自分の居場所や存在意義を探し続ける彼の姿に、共感する読者も多いのではないでしょうか。

本作の魅力は、なんといってもハチャメチャな生徒会の一員になってしまったひかげと、執行部の少女たちとのテンポのいい会話劇。思わず笑ってしまうギャグと、シリアスな部分のバランスが絶妙です。重すぎない学園ミステリーが好きな方には特におすすめできるシリーズですよ。

どうしようもないニートとアブないシスターの織りなすギャグコメディ

聖職者見習いのアンナは教会でお勤めをしていますが、毎日自分を見つめる青年の視線に気づきます。

視線の主が何か悩んでいるのかもと勘違いし、彼の自宅を強襲したアンナは、その青年が妹のような少女を自分の代わりに働かせ、自分は食っちゃ寝をくり返すいわゆるニートだということに気付き仰天。

なんとか彼を更正させないと!と意思を固めますが、青年・ユリウスは口がうまく、アンナをはじめ周囲はいいようにはぐらかされてばかりです……。

キャラクターたちの掛け合いが楽しい、ギャグコメディ作品です。

著者
八薙 玉造
出版日
2011-06-24

主人公はどうしようもないニート、という本作。しかし彼を更正させようと奮闘する聖職者見習いのアンナも、常に包丁を持ち歩いているというかなりアブない女の子です。無意識に人を殺しかける彼女は、よくぞ聖職者見習いになれたなというほど危険なヒロインです。

シリアスなシーンでも笑ってしまうような彼らの会話は、とにかくギャグ要素満載。魔女や教会といった正統派ファンタジーあり、魔術を駆使したかっこいいバトルあり、ラブコメあり、そのすべてに笑いがかかってくるのです。

激しい動きを伴うキャラクターの勢いが描かれたイラストも、要所要所で笑いを誘います。ファンタジーな衣装はもちろん、挿画の色遣いは繊細で、各巻の表紙で読者に目線を送るキャラクターはイラストの萌えポイントのひとつです。どの巻もばっちり、誰かと目が合うようになっていますよ。

舞台が戦争後ということや、アンナたちの過去など、今後シリアスになりそうな要素も盛り込まれています。ユリウス、ユリウスの世話をしているサロメ、そしてアンナの正体とは一体何なのでしょうか。

「72時間の呪い」がある世界をぽんかん⑧が描く

1000年前、「世界同時深緑化」という大災害により崩壊した世界が舞台です。都市は植物に覆いつくされ、罪獣(グリム)という化け物が出現するようになってしまいます。

そして人は、グリムを倒して得られるりんごを食べないと、3日以内に死んでしまう体になってしまいました。罪匣(ハコ)という力を使ってグリムと戦い、倒していきます。

果たして人類は、この「72時間の呪い」を解くことができるのでしょうか。

著者
平松ハルキ
出版日
2016-07-09

服や髪の質感が伝わってきそうな美しいイラストで、緑が溢れる都市の描写も繊細です。

主人公のキサキは、ハコを使ってグリムを倒すグリムリーパーです。ハコには、メールや自分の命の残り残量が分かるタイマーのような機能がついており、まるでスマホのような印象を受けます。魔法のような機能も使うことができますが、それは自分の命の残り残量を対価として使うのです。こういう細かい設定に心躍る人も多いのではないでしょうか。

ハコを用いた戦闘もスタイリッシュでかっこよく、ディストピアもののファンタジーが好きな人はもちろん、SFが好きな人も楽しんで読める作品です。どこか淡々とした文体が、1度崩壊した文明に生きる登場人物たちの生き方とよくマッチしています。

キサキは、妹のユイハ、仲間のロウハとともにグリムを倒しに出かけ、そこでマリアという少女と出会います。なんと彼女は、命のタイムリミットが「無限」。しかし、理由を聞こうとしても、彼女には自分の名前以外の記憶がありません。果たして人類は72時間の呪いから逃れることができるのでしょうか?

色づかいが美しいぽんかん⑧のイラストがつめこまれたライトノベル、ぜひ見かけたら手に取ってみてくださいね。

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