韓国のイラストレーター、CUTEGがイラストを手掛けるライトノベルをご紹介します。男女問わず丸い目が特徴のキャラクターが印象的。作品の世界観を繊細に表現する挿し絵にも要注目です。
CUTEGは、韓国のソウル出身の漫画家、イラストレーターです。
『マジカル†デスゲーム』や『私とあなたの青春革命。』など日本のライトノベルのほか、韓国の作品のイラストも手掛けています。
イラストレーターとしてだけでなく漫画家としても活動しており、単行本も発売されているほか、2012年には画集「CUTEG画集 この中に1人、妹がいる!」も発表し、活動の幅を広げています。
孤児院育ちの少年と、由緒正しきワケあり侯爵令嬢が、ひょんなことで入れ替わってしまうお話です。
下町暮らしをエンジョイしすぎて、どうしても貴族の世界へ戻りたくない少女に変わり、少年は彼女の体で貴族の学院生活に飛び込むことに。
とにかくお金にがめつく、趣味は「銅貨を数えること」という少年が、なぜか薄幸の貴族の少女・レオノーラとして人々に語り継がれるようになってしまうのです……。
- 著者
- 中村 颯希
- 出版日
- 2016-07-30
ライトノベルでは定番の「入れ替わりの物語」ですが、本作の面白いところは、何も知らない主人公を置き去りにして周囲が妄想を膨らませ、物語が展開していくところです。
孤児の少年、レオが突然入れ替わることになったのは、国の宝ともいわれる血筋を受け継ぐ貴族の少女、レーナ。彼女はある理由で下町で暮らしていましたが、あまりにその生活が気に入ってしまったため、入れ替わったままレオの体で暮らすことを望みます。
元に戻そうにも魔力が戻るまで最悪1年はかかるとの見立てに、レオはしぶしぶ彼女の体で貴族の学院へ赴くことになりました。
学院で待っていたのは意地悪な美少女のいじめや、学生同士の派閥争い、ワケありな教師など。しかしそんな彼らが、四六時中金貨のことしか考えていないレオの言動を勝手に誤解し、なんと彼は「無欲の聖女」と呼ばれるカリスマ的存在になってしまうのです。
何も分かっていないレオが、自らの損得しか考えずにポロッと出したセリフが、なぜかその場の状況にうまく合わさってしまい、誤解の連鎖が生まれていきます。そしてそれが、やがて国をも動かしていくのです。勘違いの行きつく先はどうなってしまうのでしょうか。
物語のなかで重要な役割を果たしているレーナの美貌、そのイラストにも注目です。
魔女が絶滅したとされている世界。しかし高校1年生の柏崎文哉は、小学生くらいの見た目をした女の子を発見します。その少女こそが、絶滅したはずの魔女でした。
彼女を拾ってミラと名付け、部屋で飼うことにしたものの、生態のわからない生き物である魔女の行動に文哉は振り回されます。人間のフリをさせてもうまくいかず、魔法を期待したら家を破壊されてしまうのです……。
それでもミラとどうにか暮らしていた矢先、彼女の存在が「魔女保護機関」にバレてしまいます。2人の生活はどうなるのでしょうか。
- 著者
- 山川 進
- 出版日
- 2011-01-18
「昨日深夜、保護されていた最後の魔女の死亡が確認されました。これにより、国の特別天然記念物で絶滅危惧種にも指定されている『魔女』は、地球上から絶滅したことになり―――」(『うちの魔女しりませんか?』1巻から引用)
最後の魔女が死んだことで魔女が絶滅した、というニュースの後に流れてきたのは、なんと自分の父親がヒマラヤで行方不明になったというニュースでした。驚く文哉を中心にして、物語が進行していきます。
文哉の父親は魔女マニアで、この地球上には魔女が作った「楽園」があり、絶滅したと思われている魔女たちはそこに隠れて暮らしているんだと信じて、探索の旅に出ていました。その父親の失踪により、天涯孤独の身になってしまった文哉。そんな彼が拾ったのが、なんと絶滅したと言われていた魔女だったのです。
CUTEGの立体的な挿し絵で描かれるミラはいまにも動き出しそうで、読者をより一層物語の世界に引き込んでいきます。
一夜にしてファンタジーのような世界になってしまった日本。架空の生き物がはびこり、現代的な世界は人々の記憶から消され、ファンタジーの記憶へとすり替えられてしまっています。
国際展示場前には伝説の剣が突き刺さり、茨城県はエルフの巣窟になっているこの国を、どうにかまた統一しようともくろむ組織がありました。
軍事組織「新宿市国」に所属する御神楽零は、謎の少女、火倶夜との出会いを経てとある力を手にします。それはなんと、「誉めて伸ばす能力」!?
- 著者
- 竹井 10日
- 出版日
- 2016-11-02
キリッとしているけれど実はファンシーなものが大好きな美少女や、ちょっと料理が苦手な癒し系少女など、多種多様な女の子が登場する「誉められて神軍」シリーズ。彼女たちひとりひとりのイラストは、ビジュアルから個性が透けて見え、それぞれがかわいいですよ。
新宿の地下ダンジョンを探索中に、拘束された奇妙な少女を見つけた零と、幼馴染の姫毬。少女の拘束を解いたお礼として、火倶夜と名乗る謎の少女から零は「褒めて伸ばす力」を与えられます。
たとえばしけった火薬には、
「『お前はこんな所で燻って終わる奴じゃないはずだ。最後に一花……ドカンとデカい花火を打ち上げると私は信じている』」(「誉められて神軍」1巻から引用)
と「誉める」ことで、盛大に爆発する火薬へと復活するのです。奇妙だけど便利な零の力で、日本は安全に暮らせる国へと戻るのでしょうか?
1ヶ月以内に72万円を手に入れる必要がある高校1年生のアイザワ・モモ。金策のアテとして彼女が訪れたのは、アイドルのオーディション会場です。
しかしそこはただのアイドルを募集している場所ではなく、新時代の戦うアイドル「アイドライジング」の会場でした。
- 著者
- 広沢 サカキ
- 出版日
- 2011-02-10
「アイドライジング」のことをよく知らないまま、募集内容であるアニメ「コハクのなゆた」にそっくりだという理由で即合格になったモモ。そのままアニメのイメージガールとしてバトルドレスを着せられ、アイドル同士が戦う「アイドライジング」に出場することになります。
身体能力を上げるドレスにはバトル機能がついており、特性と呼ばれる特殊機能があります。バトル中に1度しか使うことができない特殊能力をどう使うのか、そして、相手を倒す条件であるアクセルスマッシュをどう当てるかなど、心理戦も楽しめるのです。
ショーとしてのバトルとして成立する「アイドライジング」ですが、アイドルたちのキャラクターと駆け引きが、手に汗握る展開を生み出しています。
ライトノベルのイラストはもちろん、CUTEGがキャラクターデザインをつとめるコミックも発売されているので、本作を読んでもっと作品の世界観を楽しみたい方は漫画で読むのもおすすめです。
数々の有名人を輩出し、現役アイドルも在籍する「アイドル科」を持つ白桜台学園。
そこには、「普通科の生徒はアイドル科の生徒にみだりに声をかけてはならない」というルールがあります。その権力をふりかざす生徒会に、「青春革命」を掲げてひとり立ち向かう謎の少女がいました。
- 著者
- 広沢 サカキ
- 出版日
- 2012-07-10
学園モノのライトノベルですが、これが普通の学園ではありません。白桜台学園は、普通科の学生がアイドル科の生徒に話しかけようとすると生徒会に阻止されてしまうような場所なのです。
生徒会はアイドル科に対する「保護権」を持っており、その権力は絶大。副会長の雛井を筆頭に、生徒会に少しでも逆らえばひっとらえられてしまうような横暴さを誇っていました。
その圧政にひとり立ち向かう謎の少女は、「青春革命」という単語を発し、神出鬼没に現れては生徒会を翻弄します。麒麟堂と名乗るその女生徒に目をつけられた主人公の天道優馬は、彼女が率いる青春革命部に引きずり込まれることになってしまいました。
果たして革命部は、打倒生徒会を達成できるのでしょうか。そして優馬の学園生活はどうなってしまうのでしょうか。
武器を駆使し、学園を舞台にゲリラ活動を行う破天荒なヒロインですが、そのビジュアルはCUTEGならではのかわいさ。手榴弾と制服という異質な組み合わせさえキュートに見えてしまうパステルカラーの世界観を、ぜひお楽しみください。
ちょっと切ない物語から全編爆笑のコメディまで、多彩な世界観を繊細な筆致で表現するCUTEG。かわいいイラストで表現される物語をぜひ、読んでみてくださいね。