『フリンジマン』に学ぶ愛人の作り方!?ヤンマガのご乱心漫画をネタバレ!

更新:2021.11.27

「愛人を作りたい!」という男性の、不倫をテーマにしたコメディ漫画として一部で話題騒然となった、『フリンジマン』。2017年10月には、テレビ東京系でドラマ化されることになりました。いい意味でばかばかしく、そして侮れない注目の一冊です。

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ヤンマガのご乱心漫画『フリンジマン』

ドラマ化まで決定してしまった『フリンジマン』。かつて「ヤングマガジン」で連載されていた作品ですが、ものすごく癖が強く、読む人を選ぶといっても過言ではありません。

そもそものテーマが、不倫・愛人なので、どこまで美化してもろくなものではないのです。しかし、そこに命を懸けている登場人物のバカバカしさと、女性のかわいらしさ、そして適度なリアルさに、つい引き込まれてしまいます。

作者は青木U平。主な作品としては『服なんて、どうでもいいと思ってた』『酩酊!怪獣酒場』などがあり、切れ味鋭い独特の比喩表現が得意な作家です。

著者
青木 U平
出版日
2013-12-06

本作のテーマは前述のとおり、不倫。愛人づくりの達人、通称愛人教授(ラマン・プロフェッサー)の指導を受けながら、愛人童貞3人のある種の成長を追っていくコメディものです。

彼らは4人で「愛人同盟」なるものをつくり活動していくのですが、その手段は無駄に壮大。愛人づくりのためにイヤホンを通じて指示を出す、GPS誘導でサポートするなど、普通であれば到底考えられないことをします。

しかし、そんな一見ふざけたような展開でも、物語の軸となる「愛人」をつくるために誠心誠意とりくみ、愛人に適した女を探し、そして愛人ができた後の対処法を真剣に検討しています。

また愛人とのエピソードは、職場の同僚から元カレと縁を切るために彼氏のフリをするように頼まれたというものや、デパートの受付嬢を愛人として狙おうとしたら実はバツイチの子持ちだったというものなど、ナチュラルな展開が多く、日常でふれるものが題材となっているので、そのリアルさも面白いポイントです。


不倫をテーマにした作品を紹介した<不倫がテーマのおすすめ漫画ランキングベスト20!大人のドロドロ恋愛を読む>もご覧ください。

『フリンジマン』あらすじ

4人の男たちが「愛人同盟」を組んで、愛人づくりのプロことラマン・プロフェッサーのもと、愛人づくりに邁進していくという話です。

本作の主役は田斉という男。ことなかれ主義のヘタレですが一応妻帯者、周りの目を気にしすぎるため、人の胸も見ることができないという特徴があります。

そして、もうひとりの主役といえるのが、井伏真澄で、彼こそがラ・マンプロフェッサーと呼ばれる男です。同時に作った愛人の数は最大5人という猛者で、自ら築きあげた愛人理論を、ほかの3人を被験者として実践しているというぶっ飛んだ設定です。

そして、わきを固めるレギュラーキャラクターの満島と安吾がおり、彼ら登場人物がいい味を出しているのが『フリンジマン』の魅力でもあります。
 

愛人のルール1:まずは心得。誠心誠意、愛人をつくること

著者
青木 U平
出版日
2014-02-06

この漫画において、基本的な愛人の定義は、「好きな人ではなく、都合のいい女」としており、割り切った大人の関係で、マシーンにならなければならないとさえ言いきっています。
 

しかし、その愛人づくりへの熱意は本物。「愛人同盟」のメンバーは 、愛人をつくるため、お互いに誠心誠意を捧げています。

第1章の山口詠美編で、田斉が愛人づくりを断念しようとしているときに、ラマン・プロフェッサーは「ウニを食べずに終える人生は何とも悲しい」「愛人を知らない人生をまっとうすることはできるが、それは味気ない」という名言を残しています。

人生1度きりだからこそ、思い残すことがあっては無念ではないかと熱弁しているのです。

また、愛人を作ることに関して、ラマン・プロフェッサーはフェアでなければならないとしています。満島の愛人を作るために「愛人同盟」が奔走する回でラマン・プロフェッサーは、「自身が妻帯者であることを伝えなければならない」「相手が恋人として狙っているのであればそれは、愛人ではない」と断言しています。

満島は相手に対し、妻帯者であることを伝えなかったことで、悲しいラストを迎えてしまうのです。

時には「バツイチ」で「子持ち」だとしても愛人になりうることも言及していて、愛人を作る際の男側の覚悟の重要性を説いています。

そして、愛人を作るということは、国によっては処罰の程度が重いことも第1話で述べており、真剣に取り組まなければならないということを呼びかけています。

愛人のルール2:原石(都合の良い女)を探せ!

著者
青木 U平
出版日
2014-05-02

 

本作では前述のとおり、愛人になりやすい「都合のいい女性」を探すよう提言しています。都合が良いかどうか判別できる具体的な行動としては、「あいさつの後に名前を付けて呼んでくる女性」と「歪んでいるネクタイを指摘するのではなく直そうとする女性」、そして「乾杯が終わった後も、グラスが当たるまで追いかけてくる女性」といった3つの例を挙げています。

いずれも女性側がある程度積極的で、何かしらの気があるという特徴があるのです。

また愛人探しを行いやすいところとして、料理教室が例に挙げられています。そこには2パターンの愛人候補者がいるとされていて、入りたての初心者で男性に喜んでほしいという動機の女性と、花嫁修業として通っているけど実際に結婚はできない女性はねらい目だそう。

一方、手ごわい職種としては店舗案内などのデパート勤務者や、水商売の女性は愛人関係においてハードルが高いとしています。この辺りは作中で妙な説得力を発揮していますので、必読です。

そして、愛人関係に持ち込むために必要なテクニックとして、疑似不倫に持ち込むためにパーソナルリサーチを進めることや、2人きりで会話すること、また女性にしゃべらせる方法としては、ショウウィンドウで立ち止まると会話が弾むなどのテクニックが紹介されています。

この漫画に妙なリアルさがあるのは、ベタ中のベタである、女性の誰も気づいていないポイントをほめるという王道のテクニックすら披露しているところ。『フリンジマン』では、都合のいい女との出会い方だけではなく、女性をどのようにして落とすのかもレクチャーしてくれているのです。

愛人のルール3:妻にバレない方法は男友達にあり

著者
青木 U平
出版日
2014-07-04

 

この漫画の最大の強引な展開ともいえるのが、妻にばれないための作戦です。

第1章では、田斉が山口詠美と見事デートにまで持ち込みますが、ある種奇跡的に、デート中の彼らの後ろに嫁がいるという状況に陥ります。すると、その店から立ち去る際、カクテルパーティー効果を防ぐためにあだ名をつけるという手法をみせるのです。

また愛人ができてからの危機管理としては、携帯電話を見られた時のために、「あすか」や「ちあき」など女性の名前に勘違いされそうな男友達を愛人に見せかけて登録し、嫁が実際に電話をかけると男性に繋がるテクニックを披露しています。

そしてラマン・プロフェッサーは、たとえその男友達がいけ好かないやつだったとしても、そのような名前を持っているだけで大事にしろということを熱弁するのです。

「愛人同盟」のメンバーは、だれかひとりが愛人とデートに行く際は、みんなで協力してバックアップをしていきます。愛人づくりは決してひとりではできず、周りの協力が不可欠なんだとわかるでしょう。

愛人を全力で作るコメディ漫画『フリンジマン』は、設定がぶっとんではいますが、人間関係において重要なポイントも織り交ぜられているのが魅力です。不倫を肯定するわけではありませんが、作品内の愛人同盟の輝き方は一読の価値があるでしょう。

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