つかこうへいのおすすめ本5選!演劇界に革命をもたらした人物

更新:2017.9.18

劇作家、演出家、そして小説家という多彩な才能の持ち主、つかこうへい。ここでは代表作『蒲田行進曲』を含めた、彼の作品を5つ紹介していきます。

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つかこうへいとは

1948年、福岡県に生まれたつかこうへいは在日韓国人2世で、本名は金峰雄といいます。

慶應義塾大学文学部哲学科に在学中、人から頼まれてお芝居の戯曲を書いたことがきっかけとなり、演劇の世界に夢中になっていきました。1974年に劇団「つかこうへい事務所」を設立。劇作家、演出家として活動を始めると、1970年代から80年代にかけて「つかブーム」が起こり、演劇界で多くの支持を集めました。

1980年には女優の熊谷真実と結婚しましたが、2年後に離婚。その後、劇団の女優だった生駒直子と再婚します。生駒とのあいだに生まれた娘は、宝塚歌劇団雪組の娘役のトップにもなった愛原実花です。
 

1982年、劇団「つかこうへい事務所」を解散して執筆業に専念。同年、小説『蒲田行進曲』が直木賞を受賞し、これはのちに深作欣二監督によって映画化もされました。1987年には自分のルーツである韓国を初めて訪れ、代表作『熱海殺人事件』を舞台上演し、大成功を収めました。

2010年、肺がんになったことを公表。闘病のすえ、62歳という若さでこの世を去りました。

つかこうへいの代表戯曲

凄腕部長刑事の木村伝兵衛、地方から赴任してきた新任刑事の熊田留吉、木村の愛人である婦人警官ハナ子の3人が、恋人殺しの大山金太郎を一流の犯人に育てあげる、ちょっとおかしな物語です。

個性的な4人の登場人物たちがくり広げる、軽快な会話から目が離せません。
 

著者
つか こうへい
出版日

1973年に文学座アトリエで初演された、つかこうへいの代表作です。岸田國士戯曲賞を受賞しました。

キャストを入れ替えながら今日までさまざまなバージョンで上演されています。1976年につかこうへい自身が執筆し小説化されました。

 

登場人物たちの軽快でおかしな会話を読んでいると、舞台で上演されている様子が頭に浮かんできます。つかこうへいの才能溢れる一冊をぜひどうぞ!

 

 

激動の時代を駆け抜けた女性

主人公は、親からも兄弟たちからも愛された記憶のない、愛情のない家庭に育った神林美智子。優秀だった彼女は学生運動が盛んな1968年の春、東大に入学するために高松から上京します。

そこで彼女は魅力的な全共闘斗士の桂木と出会い、恋に落ちます。しかし、彼女を待ち受けていたのは楽しいキャンパスライフではありませんでした。全共闘委員長への指名、機動隊の計画を知るためのスパイ活動、機動隊長との同棲、結婚、そして妊娠……。

愛を知らなかった女性が、激動の時代に巻き込まれながら必死に生きた青春の物語です。

著者
つか こうへい
出版日

大学生たちが、学校で勉強をせずに安保闘争に明け暮れていた時代があったことを知っていますか?いまでは想像しにくいですが、大学は講義ができる状態ではなかったのです。

そんな混乱した時代に、希望を胸に上京してきた主人公の美智子。愛情を受けずに育った彼女は、くしくも安保闘争という戦いのなかで愛を知ることになります。

敵対する機動隊の作戦を知るため、機動隊長の山崎との同棲を始める美智子。しかし、生活を共にするうちに、彼を本当に愛してしまうようになります。

衝撃のラストは涙なしでは読めません。

 

これぞ、つかこうへいの代表作!

スター俳優の銀ちゃんと大部屋役者のヤス。2人は役者としての格が違いながらも、なぜかいつもつるんでいます。特に、ヤスの銀ちゃんへの尽くしっぷりは呆れるほど!

そんなある日、銀ちゃんがヤスのもとへ、恋人で女優の小夏を連れてきました。なんと銀ちゃんは出世のため、自分の子を身ごもった小夏と結婚してくれとヤスに言うのです……。

憧れの女優だった小夏と結婚し、そしてお腹の子の父親になることになったヤス。複雑な思いを抱えたまま、彼は出産費用を稼ごうと、危険な撮影をこなしていきます。

 

著者
つか こうへい
出版日

『蒲田行進曲』は、劇団「つかこうへい事務所」によって、1980年に紀伊国屋ホールで初演されました。その後、つか自身によって小説化されたのが本作です。

 

舞台はキャストを代えて何度も上演され、深作欣二監督によって映画化もしています。主題歌のメロディーは、誰もが1度はどこかで耳にしたことがあるはずです。

自分勝手でやりたい放題、でも実はシャイな銀ちゃんと、そんな彼の男らしさに惚れ込んで言われるがまま尽くしているヤス。そして、銀ちゃんに振り回され傷つきながらも、ヤスとの新しい生活に馴染んでいこうとする小夏。

出てくる登場人物たちはみんな魅力的!1度読み始めたら止まりません。

 

父親から娘に贈るメッセージ

在日韓国人2世のつかこうへいが、本を通して語りかける祖国への思いと、アイデンティティ、そして何より娘への愛情の深さが伝わってくる一冊です。

自分の娘へ語りかける文体で書かれていてとても読みやすいので、中学生・高校生の読書にもおすすめです。

著者
つか こうへい
出版日
1998-04-01

悲しいことに、差別を恐れて在日韓国人ということを隠すことが多いのが日本の現実。しかし、つかこうへいはこの本で、自分が在日韓国人だとはっきり世間に公表しました。

日本で生まれ育っているけど、国籍は韓国。でも、韓国へ行けばなぜ韓国語が話せないんだと差別される……舞台上演のために韓国を訪れたつかは、韓国の文化や人に触れながら自問自答をくり返します。

「みな子よ、きっと祖国とは、おまえの美しさのことです。ママの二心のないやさしさのことです。パパがママを愛しく思う、その熱さの中に国はあるのです。二人がおまえをかけがえなく思うまなざしの中に、祖国はあるのです。」(『娘に語る祖国』から引用)

祖国とは何か、自分とは何者なのか、読み終わった後にいろいろなことを考えさせられる本です。

つかこうへいが描く悲しく美しい恋物語

在日青年少将の恨一郎は、在日韓国人2世でありながらその優秀さを買われ、作戦参謀本部で任務についています。彼には幼い頃、身分は違いながらも結婚の約束をした百合子という女性がいました。

しかし、あることがきっかけで仲違いしてしまった2人。彼らは大人になってから再会します。恨一郎は軍人、そして百合子はなんと代々続く海軍の刺客として、ドイツのヒトラーの元へ向かおうとしていました……。

第二次世界大戦の史実に絡め、つかこうへいが創りだす、熱く哀しい物語です。

 

 

 

著者
つか こうへい
出版日

これは、ただ戦争を題材とした物語ではなく、恨一郎と百合子の美しい恋物語でもあります。愛しあっているのにさまざまな障害に阻まれる2人を、読者はいつの間にか応援しているはずです。

 

そして、恨一郎は在日韓国人2世。どれだけ日本のために尽くしても外国人として扱われ、同じ韓国人からは裏切り者として冷たい視線を向けられる……つか自身も在日韓国人なので、彼に自分の想いを重ねているのかもしれません。

上巻は、恨一郎が愛する百合子がいる広島に原子爆弾を投下するところで終わっています。なぜ、今まで尽くしてきた日本に原子爆弾を投下したのか、なぜ、愛する女性の頭上に原子爆弾を投下したのか……。

ぜひ、あなた自身が物語を読んで確かめてみてください。涙なしでは読めない作品です。

 

日本の演劇界に革新を与えたつかこうへいの作品はいかがでしたか?ここで紹介した本の多くは映像化されたり、今もなおキャストを代えて劇場で上演されています。物語を読んで気になった人はぜひそちらもチェックしてみてください。

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