ギャグ系日常4コマ漫画『WORKING!!』はファミレスを舞台に、そこで勤務する人たちの日常を描いています。ちょっと抜けてるバイトの先輩・ぽぷらと、仕事をしない店長、名前をずっと間違われながらもぽぷらに甘い・小鳥遊(たかなし)の3人が、絶妙なテンポでボケとツッコミを繰りひろげます。 ギャグ要素だけでなく、甘酸っぱい恋愛模様も展開され、最終巻まで目が離せません!気軽に読める4コマ漫画なので、スキマ時間に読み進めやすい本作。気になった方は、まずはスマホの無料アプリで読んでみるのをおすすめします。
北海道の某所にあるファミリーレストラン「ワグナリア」。無類な可愛いもの好きの男子高校生・小鳥遊宗太(たかなしそうた)は、同高校に通う先輩・種島ぽぷら(たねしまぽぷら)に誘われ、ここでアルバイトを始めます。
ワグナリアの従業員たちは、みんな個性豊かです。本作はそんな彼らの日常と、少しばかりの恋愛模様を4コマ漫画で楽しめる作品となっています。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2005-11-25
『WORKING!!』の魅力はなんといっても個性溢れる従業員たち。彼らの掛け合いには、思わずクスリとしてしまうでしょう。そして、そんな従業員たちによる恋愛模様にも注目です。日常漫画とは思えない甘酸っぱさが楽しめます。
さて、今回はワグナリアに勤める従業員たちがどんなキャラクターなのか、どんな最終回を迎えるのかをそれぞれ紹介をしていきます。多少ネタバレを含めて書いていくので、その旨はご容赦ください。
本作の主人公で、ワグナリアではフロアを担当。学業とアルバイトをきちんと両立させる真面目な少年です。加えて、家では個性溢れる4人の姉妹の面倒もみており、多忙な生活を送っています。
お金を貯めて家を出るためにアルバイトを始めたと説明しますが、最大の理由は、ぽぷらに誘われたから。彼は小さくて可愛いものが病的なまでに好きな「ミニコン」という性癖を持っており、「12歳以上は年増」という厳しい発言をしています。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2007-01-25
そんな彼は面倒見がいいため、よく世話役を任されます。その内の1人に伊波まひる(いとうまひる)という女子高生がいます。一緒に仕事をしはじめてから、宗太とまひると急接近!本来ミニコンであるはずの宗太が、彼女には「可愛い」という感情を抱くようになっていきます。
自分の恋心をなかなか認められない彼は、電信柱に頭を強打するなどの暴走を見せることもしばしば。基本的には真面目で礼儀正しい彼ですが、「ミニ」なものとまひるが絡むと、冷静でいられなくなってしまうのです。
しかし、宗太の最大の魅力は礼儀正しい面ではなく、自分の欲望に忠実なところにあります。真面目なはずの彼が、我を忘れて暴走するというギャップが堪らないのです。真面目な顔でふざけた発言をする場面も、シュールで笑いを誘います。
さて、前述したとおり、彼はまひるを徐々に意識していきます。順調に距離を縮めてきたかと思いきや、小鳥遊家の迫力のある母や、手のかかる姉妹たちという壁が立ちはだかり、一筋縄ではいきません。宗太とまひるは、無事に壁を超えることができるのでしょうか?2人の恋路から目が離せません。
種島ぽぷらは、宗太の同高校の先輩で、同じくフロア担当。非常に身長が低いため、マスコット的な扱いを受けています。作中ではかなりの常識人ですが、時折失礼な発言をすることも。ただ、本人には一切悪気がありません。
彼女自身も小さいことを気にしており、他の従業員にからかわれたときには「私小さくないもん‼」と言い返します。そのたびに宗太からは慈愛の籠った目で見つめられています。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2011-03-25
小さくて可愛いぽぷらは、仲間意識の強さが魅力です。従業員の人間関係にとても気を遣う陰の功労者で、個性の強い従業員たちの潤滑油的な存在も担っています。しかも、それを無意識的にやっていることから、彼女の人格がうかがえるでしょう。
しかし、恋愛に関しては非常に鈍感で、従業員たちの恋愛事情のなかで置いてけぼりになっています。小学生のような外見に加え、小学生のような純真さを持つ彼女を見ていると、ミニコンの宗太の気持ちを少し理解できてしまう読者は悔しい思いをすることでしょう。
さて、彼女がどんな展開を迎えるのかと言うと、まだまだワグナリアでバイトを続けます。フロアチーフの役職に就いたことで、さらにお店に貢献することでしょう。
伊波まひるは、宗太たちとは違う高校通う女子高生で、ぽぷらと同い年です。彼女は幼いころから父に「男は怖い生き物だ」と言い聞かされていたため、重度の男性恐怖症です。年齢問わず男性が苦手で、挨拶するよりも先に相手を殴ってしまいます。その威力は壁を破壊するほどで、ワグナリアの男性陣からはとても恐れられています。
ワグナリアのマネージャー・音尾が、店長の白藤に「戦力になる子を雇ってほしい」頼んだ結果、即戦力(物理)としてまひるが雇われることとなったのでした。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2007-10-22
ワグナリアにおいては宗太より先輩ですが、男性恐怖症を克服するため、宗太が彼女の教育係になります。何度殴っても普通に接してくる宗太に徐々に心を開いていき、それが最終的に恋心へと変わりました。
あまりにも男を殴りすぎ、さらに照れ隠しから宗太をボコボコに殴ることから「ボコデレ」と呼ばれる新たなジャンルを開拓しており、キャラクター人気投票では他者を引き離しての堂々の1位を獲得。ツンデレとはまた違う、新たなキャラクターを確立させました。
ボコデレなところも彼女の魅力の一つですが、暴力的な一面の裏に、乙女な要素を隠し持っています。宗太にヘアピンを褒められると、次の日から毎日違うヘアピンをつけてくるといった可愛い姿を見せてくれるのです。
そして、宗太に恋心を抱いたまひるは、クセの強い「小鳥遊家」という壁を超えなければいけません。彼女の恋路を最後まで見守りましょう。
轟八千代(とどろきやちよ)は20歳のフリーターで、フロアチーフを任されています。高校生のころからワグナリアで働いており、バイト歴は最長。一見いつもニコニコしている働き者ですが、腰には常に刀をぶら下げています。
それに加え、小学生の時にイジメから救われて以来杏子に酔いしれており、杏子の身の回りの世話をこなすのも彼女です。その陶酔加減はもはやそれは「杏子中毒」といえるほどで、数日会えないというだけでひどく動揺します。
また、杏子の世話とバイト以外はほとんど何もしていなかったり、過去のイジメから非常に人見知りで世間知らずだったりする一面もあります。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2006-06-24
杏子を溺愛していた八千代でしたが、物語が進むにつれ、同僚の佐藤に徐々に惹かれていきます。宗太とまひるの関係のみならず、佐藤と八千代の関係がどうなっていくかにも注目です!
側から見れば大人びている彼女の正体は、世間知らずの子供。しかし、ワグナリアの従業員たちとの触れ合いを経て、少しずつ成長していきます。そして最後にはワグナリアから卒業し、他所のお店に就職をする決心までしました。
たくさんの苦労をしてきたであろう彼女には「笑顔を絶やさず、幸せに過ごしてもらいたい」と願わずにはいられないことでしょう。
白藤杏子(しらふじきょうこ)はワグナリアの雇われ店長。諸事情からほとんどマネージャーがいないワグナリアでは、事実上の最高権力者です。クールな外見からは想像できないほどの脳筋で、物事をすぐに暴力か、ヤンキー時代の後輩に任せて処理しようとします。
店長ながらレジ打ちくらいの仕事しかできず、お店の食料品をいつも勝手に食べます。しかし、意外と気が回る面もあり、シフトは従業員を気遣って作成しているようです。
若干年齢を気にしている彼女は、宗太から「年増」と言われてからは、彼のシフトを週7にしてしまいました。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2005-11-25
このように、傍若無人で我が道を進む彼女ですが、八千代のことをいたく気に入っており、彼女と異性との恋愛を許しません。しかし、佐藤と八千代の恋愛に関しては保護者として心配しながら、彼女のためを思って様子見に徹しています。
他の従業員にはまったく気を使わない彼女が、八千代にだけ向ける思い。ずっと大切にしてきた娘のような彼女の成長と、やがて訪れる別れのシーンは、ほのぼのとした『WORKING!!』では貴重な感動を与えてくれるかもしれません。
佐藤潤(さとうじゅん)は、キッチン担当の大学生。八千代と同い年で、ワグノリアでは彼女に続く古株です。「金髪」「タバコ」「無愛想」という不良っぽい風貌をしていますが、見た目に反して非常に気が利き面倒見もいいため、従業員たちから信頼されています。
ただ、八千代に恋心を抱いていることで彼女に対する気苦労が絶えず、頭痛薬や胃薬を常備しています。さらに重度の「ヘタレ」で、そのことを同僚の相馬によくからかわれているのでした。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2006-06-24
高身長と整った顔立ちから女性人気は高いそうですが、本人はあまり嬉しく思っていません。しかし、女性に代わって力仕事を引き受けたり、仲間を心配して様子を見にきたりと紳士的な行動もとるため、モテてしまうのも仕方がないでしょう。
最後には、ヘタレながらも勇気を出し、徐々に八千代との距離を詰め、面と向かって自身の思いを八千代に告げることができます。
なんでもストレスに感じてしまうヘタレな彼には、同情の声も多いことでしょう。しかし、彼もやるときはやる男。ひとりの男として成長していく彼の姿と、告白の行方を、温かく見守ってください。
相馬博臣(そうまひろおみ)は、ワグナリアのキッチン担当で佐藤と八千代と同年代。大学に通っているらしいですが、極度の秘密主義者なために彼の詳細は不明です。また作中でも、自身のことをほとんど語りません。
一方でなぜか各従業員の情報という名の「弱み」を多数握っており、説得と称した「脅し」で言うことをきかせます。そのことから作中最強キャラクターかと思われますが、まひるのように何かを言う前に殴ってきたり、音尾のように弱みがなかったりと、自身の想定外の行動をとる人物は苦手です。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2010-07-24
このように謎の溢れる人物で、彼だけは終始大した情報が明かされず、最終回を迎えます。ただ、冷血な人間などではなく、仲間の世話をよく焼いており、時には本当の兄のように接します。他にも、おもしろがりながらも佐藤の恋路を応援するなど、悪い人間ではありません。
さて、謎の多い相馬ですが、秘密にばかり気をとられす、意外と情があるという人柄に注目してください。その時その時に見せる人間味こそ、彼の魅力なのです。もしかすると、それすらも計算かもしれませんが……。
陰でワグナリアを支配しながら、仲間たちをきちんと支える彼。謎の多い彼については、後にとあるキャラクターとともにもう少し紹介しますので、よろしければそちらもご覧ください。
音尾兵吾(おとおひょうご)はワグナリアを経営する本社のマネージャーで、個性あふれる従業員を束ねる最高責任者。しかし、ほとんど店にはいません。その理由は、彼の妻が重度の方向音痴で、たびたび行方不明となっては捜索しなければならないからです。「妻と遭遇するのはツチノコを探すのと同じくらい難しい」らしく、目を離すといつのまにかいなくなってしまいます。
それゆえ、基本的に日本各地を転々としています。ただ、月に何度かお土産を持ってワグナリアに戻ってきては、不在のうちに溜まっていた仕事を数日でこなしてしまう優秀な社員です。ちなみに、山田も各地を転々としていたときにしてきた拾い物です。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2008-04-25
非常に温和な性格をしていて、従業員とも良好な関係を築いているものの、お店にほとんどいない理由からキャラが薄いので、「いてもいなくても変わらない」といわれてしまう可哀想な人物です。 読者の視点からでも印象に残るエピソードがないので、ますます不遇な扱いです。
しかし、37歳の中年男性らしく、若い人、特に女性スタッフたちとの接し方について悩んでいる姿を見せるなど、親近感を持てる様子も見せます。
そんな彼の唯一の目的である奥さん探し。相馬の情報網をもってしても見つからない奥さんが見つかることを、ワグノリアのメンバーとともに願ってあげましょう。
山田葵(やまだあおい)は、「妻探し」をしていた音尾が拾われて以来、ワグナリアのフロア担当として働いている少女。実は彼女は、山田という苗字も、16歳という年齢も、その他もろもろの情報もすべて詐称している「家出少女」なのです。
陽気でアホな人柄の裏で家族の愛に飢えており、音尾を父、八千代を母、相馬を兄というように、ワグナリアの面々を疑似的な家族として扱います。
そのアホな性格の裏にはややミステリアスな面も隠れているため、一瞬「どこまで本気なの?」と勘ぐりたくなる事もありますが、おそらくはほとんど本気でしょう。
- 著者
- 高津 カリノ
- 出版日
- 2012-11-24
彼女には実の兄が、彼女を探してワグナリアに来店するエピソードがあります。その時の彼の性格も山田に似てアホの一言で、「血は争えない」ということをあらためて感じられます。
ワグナリアの問題児である山田ですが、彼女なしではおもしろい展開が起こりません。しかし、いずれ彼女も家族のもとに戻らなければならないのです……。そのことについて描いたエピソードもあるので、ぜひ注目してみてください。
アホの子ゆえに空気を読めない彼女ですが、それこそが彼女の魅力でもあります。心の奥では愛に飢えている彼女を、読者も大いに愛してあげてください。
『WORKING!!』は漫画版が発売される前に、インターネット上で掲載されていたWeb版がありました。そちらでは漫画版とは違った場所のワグナリアでの日常が描かれていました。そのため、従業員も漫画版とは違います。近藤妃(こんどうきさき)は、そのWeb版に登場するキャラクターです。
有名な大学に通いながらアルバイトをして働いています。20歳という若さながら、姫という可愛い娘をもつ母親です。
なぜ彼女をこの場で紹介するかというと、漫画版の「ある人物」と深い関わりがあるかもしれないからです。
- 著者
- 高津カリノ
- 出版日
- 2014-12-25
その人物とは、謎多き相馬博臣。作者のサイトで過去に公開されていた漫画による情報なのですが、今はその漫画が消されてしまっているために、憶測を含むことを理解したうえでお読みください。
妃の娘である姫、彼女の父親が相馬である可能性が高いのです。高校時代、風紀委員であった相馬が素行が悪く、さらには不倫していると噂のあった妃にちょっかいを出していました。そこから関係深いものへと発展し、いつしか妃は身籠りました。
しかし、不倫という噂の真偽が定かではなかったことかた、相馬は「誰の子?」という、酷い発言をしてしまいます。妃は当然激怒し、相馬と別れたのでした。
このような少々重い内容が、かつてWeb版では描かれました。さらに相馬が近藤母娘のことに詳しかったり、「姫」という名前が妃と博臣から作れたり、相馬の好みが妃そのものであったりという要素が、この噂の信憑性を高めていきます。
しかし、このエピソードはもう消されており、現在の公式設定は作者のホームページに載っているものです。もしこの2人のことが気になる方は、『WORKING!! Re:オーダー』をチェックしてみましょう。漫画版とWeb版のメンバーの交わりも見ることができるので、作品をより深く楽しむことができます。
楽しいワグナリアの日常を少しは感じていただけたでしょうか。きっとワグナリアの一員になりたいと思ってしまうので気を付けてくださいね。