アメリカ合衆国の第32代大統領で、「善隣外交」や「ニューディール政策」で知られるフランクリン・ルーズベルト。彼の大統領就任中には表に出ることのなかった歴史的事実や私生活について、いろいろな側面から紹介してくれる本をいくつかご紹介します。
フランクリン・ルーズベルトは、アメリカ合衆国の第32代大統領で、第26代大統領のセオドア・ルーズベルトとは従兄の関係に当たります。アメリカ史上唯一4選を果たした人物であり、秘密結社「フリーメイソン」の会員でもありました。
彼は1882年1月30日、ニューヨーク州北部のハイドパークの裕福な家庭で生まれ、高度な教育を受けました。1904年にハーバード大学を卒業した後、法律を学ぶためコロンビア大学のロースクールのに入学、1908年に卒業しています。
その後は何年か法律事務所で働いた後、1910年の州議会議員選挙に州上院に出馬。1911年に議員に就任しました。上院議員を2年ほど務めた後は海軍次官、ニューヨーク州知事を務め、1933年に大統領選挙に当選します。
大統領就任後は世界恐慌の対策として「ニューディール政策」で景気回復を図り、共産国家であったソビエト連邦を国家として承認するなどの「善隣外交」を行いました。
大統領を4期も務め、「偉大な大統領歴代2位」に選ばれるほど評価されている一方、第2次世界大戦を引き起こした張本人として批判されることも多く、非常に評価の分かれる人物でもあります。
戦時中にアメリカのリーダーとして引っぱって来た彼ですが、1945年に開かれたヤルタ会談の直後、戦争終結を見ることなく病死し、11年の大統領生活とその63年の人生に幕を下ろすこととなりました。
1:読書の趣味が偏っていた
昔からルーズベルト自身や彼を知る人物が認めるほど、経済学や歴史といった学術系の読み物にはほとんど興味がなく、海軍関連書物や推理小説を好んで読みました。また趣味として、切手集めにも夢中だったそうです。
2:スターリンと仲がよかった
ルーズベルトは、ソ連のヨシフ・スターリンのことを「友人」だと公言したことがあり、当時大統領顧問であったホプキンズも、2人のことを親友同士であると発言したことがあります。ただ、スターリンによる独裁政治や、ソ連周辺の国の侵略を黙認していたことが、彼への批判にも繋がっています。
3:病弱な体質だった
難産の末生まれ、幼少期には鼻炎、麻疹、おたふく風邪、蕁麻疹など、多くの病を患いました。また、その頃にドイツで施された温泉療法で体調を改善して以来、温泉水には長生きできる効果があると信じ、体質改善を期待するようになったそうです。
しかし、成人してからは小児麻痺にかかり、その後遺症で自力で歩くことすらままならくなってしまいました。車椅子での生活を余儀なくされましたが、国民にはできる限り車椅子姿を見せなかったといいます。
5:政治家としての資質が備わっていた
彼は目的のためならば手段を選ばない冷酷さを持っていました。反対勢力には容赦なく粛清処分を下し、彼に反発する勢力にも恐れられていたといいます。
それに加え、ハンサムな顔つきと魅力的な声で、ラジオや演説では時に皮肉や冗談を交えながらその才能を遺憾なく発揮し、人々を魅了しました。これらの武器を巧みに使うことができたルーズベルトは、政治家として大変有能でありました。
6:不倫していた
彼は海軍時代の秘書、ルーシー・ページ・マーサー・ラザーフォードと一時愛人関係にありました。別荘にて彼が急死した際も、側にいたのは彼女だったと言います。しかし、愛人は1人だけではなかったようです。
7:妻と離婚騒動にまで発展したこともあった
妻・エレノアが闘病中のルーズベルトの荷をほどいていた際、ルーシーとの手紙を発見したことで不倫が発覚します。「愛人とは2度と会わない」という条件で、表向きは和解したことになりましたが、その後も夫婦の仲は冷え切ったままだったそうです。
本書は20年間友人として、そして1933年以来は政敵としてフランクリン・ルーズベルトと関わってきたハミルトン・フィッシュによって綴られた一冊です。
「真実を知らせなければならない」というフィッシュの信念の元、第2次世界大戦の裏側で何が起きていたのかが記されています。
- 著者
- ハミルトン フィッシュ
- 出版日
- 2014-09-11
ルーズベルトや第2次世界大戦の裏事情など、政界に深く関わる立場にいたからこそ知ることのできた各国の思惑を、フィッシュ自身の会合の記録やさまざまな人物の日記、メモ、新聞や議事録からも引用し詳細に記されています。
「歴史にifはない」といいますが、読者は本書を読み進めるうち「もしもこの時……」と思いたくなることでしょう。
本書は、「産経新聞」にて連載されていた「ルーズベルト秘録」を、一冊にまとめたものです。
本書を作成するうえでの入念な取材と膨大な量の資料調査が、大統領時代のフランクリン・ルーズベルトの秘密にたどり着きました。
- 著者
- 産経新聞「ルーズベルト秘録」取材班
- 出版日
日本人が第2次世界大戦を考えるに当たって、フランクリン・ルーズベルトはマッカーサーと同等、あるいはそれ以上に重要視せざるを得ない存在です。しかし、そんな彼がこの大戦や日本をどのように見ていたのかというのは、あまり公にはされてきませんでした。
そこで、戦後しばらく経ってようやく公開された秘密文書を含む、第2次世界大戦前後の彼に関するたくさんの資料により、真相をまとめ上げたのが本書です。
限りなく真実に近い、ルーズベルトの人物像に触れられる作品となっています。
フランクリン・ルーズベルトが死亡した当時、死因は過労として世論の理解は落ち着いていました。
しかし、彼の身近にいた人々の証言や、名演説家だったはずのルーズベルトのヤルタ会談後のスピーチの様子、そして目の上に突如あわられ、消えたシミから、彼の死因について、ある疑いが出てきました。
彼は癌だったのではないか、と。
- 著者
- ["スティーヴン ロマゾウ", "エリック フェットマン"]
- 出版日
- 2015-03-19
フランクリン・ルーズベルトはかなり病弱な体質でした。歴史の裏側では常に多くの病と闘い続けていました。本書は彼の死因を探るだけではなく、彼の60数年にもおよぶ闘病人生を辿りながらフランクリン・ルーズベルトという男の性格や政治を読み解こうとしたものです。
果たして死因は過労死だったのでしょうか?病気だったのでしょうか?もし、病気だったとしたら、なぜひた隠しにされ続けたのでしょうか?
本書を読むことで、彼に対する新たな見方ができるようになるかもしれません。
『FOR:THE OTHER SIDE OF THE COIN』の邦訳書(上記で紹介したものとは訳者が異なる)を元に、原著の要約とそれについての著者による解説とコメントが書かれたものです。
- 著者
- 青柳 武彦
- 出版日
- 2017-02-13
本書は、フランクリン・ルーズベルトを批判するだけの単なる歴史書ではありません。
著者は歴史の大まかな流れの解説などを挟みながら、フィッシュの著書を参考に、戦後日本に根付いている自虐史観からの脱出を切言しています。
そして、そのうえで今後日本が米国や諸外国、そして今も多く存在する外交問題についてどう向き合うべきなのかを読者自身に考えさせる内容になっています。
要約と解説、コメントははっきりと区別して書かれているので、原著を読まれた方もぜひ一度目を通してみてはいかがでしょうか。
以上、フランクリン・ルーズベルトについてさまざまな側面から書かれている著書をいくつか紹介しました。読む著書によって彼に受ける印象はまた少しづつ変わっていくことと思われます。彼は偉大な大統領だったのでしょうか?それとも……?ぜひご自身で判断してみてください。