シリアスな異世界ファンタジー少女漫画『黎明のアルカナ』をご紹介します。悲しい運命に立ち向かい、国のあり方を変えようと頑張る王女の、戦いと恋愛の記録です。魅力的なキャラクターや世界設定にファンになること間違いなしの作品となっています!
『黎明のアルカナ』は、異世界を舞台にしたファンタジー少女漫画です。2つの国を渦巻く因縁に巻き込まれながら、必死に生きる主人公たちの姿が描かれています。
キャラクターの活躍だけでなく、練りこまれた世界観や複雑な歴史設定も魅力的で、物語を面白くしています。少女漫画でありながら、男性読者からの人気も高い作品です。
- 著者
- 藤間 麗
- 出版日
- 2009-05-26
この記事では、『黎明のアルカナ』の魅力である世界観や、シーザとナカバのひと筋縄ではいかない恋愛について説明し、最終話のネタバレまでご紹介します!壮大な世界観と設定に、ファンになること間違いなしの素敵な作品です!
隣りあう2つの国「セナン」と「ベルクート」は、長い間敵対関係にあり、争いが起こるたびにそれぞれの国の王族同士が婚姻関係を結ぶことで平和を保とうとしてきました。
しかしその婚姻も気休め程度にしかならず、平和な時間が長く続いたことはありあせん。今回ベルクートに嫁がされた王女・ナカバと、夫となった第2王子・シーザの仲も殺伐としていました。
そんな2人は、物語が進むにつれてしだいに心を許し合い、愛し合うようになります。
しかし、実はナカバの一族は、未来と過去を見る「刻のアルカナ」という能力をもっており、それを恐れたベルクートの王によって滅ぼされた過去があったのです。能力が開花したナカバは、その力を使って2つの国の平和を願うようになります。
- 著者
- 藤間 麗
- 出版日
- 2009-09-25
舞台となるのは、豊かな南の国ベルクートと、貧しい北の国セナンです。隣り合う2つの国は、200年もの間争い続けていました。
和平の証という建前で、セナンからベルクートの第2王子の元に嫁いできたのは、赤髪の王女ナカバです。この世界では「王族でいられるのは黒髪の人間だけ」という決まりがあるため、赤髪の彼女は疎まれました。
さらに、彼女が疎まれるもうひとつの理由として、「半獣半人」の男、ロキを従者としていたことも挙げれます。この世界では希少な黒髪を持つ者が王族、他の髪色の者は平民、そして獣の尻尾や耳を持つ者は「亜人」と呼ばれ奴隷として扱われていたのです。
王族でありながらも蔑まれて生きてきたナカバだからこそ、平和を願い、人々の架け橋としての説得力を持てたのかもしれません。
またこの世界には、人の心を読む、炎を操るなど、人知を超えた力を持つ者もいます。ナカバが持つのは、未来と過去の出来事を見る力「刻のアルカナ」です。
あまりに強いその力を恐れ、かつてベルクートの王はナカバの一族を滅ぼしたことまであります。しかし、未来を知っても必ずしも悲劇を防げるわけでなく、また悲劇を防いだことでさらなる悲劇を呼ぶこともあるのです。
ナカバは「刻のアルカナ」の力と葛藤しながら、平和な世界を目指して懸命に戦います。
ナカバとシーザは、それぞれが敵対している国の王族ということもあり、出会った当初は互いを疑っていました。
他人を気遣わずワガママに生きてきたシーザと、一国の王子に対しても遠慮なく自分の思いを真っ直ぐにぶつけるナカバ。また、シーザは彼女の従者であるロキの存在を認めず、2人の間には殺伐とした空気すら流れていました。
しかし、王に楯突いて囚われの身となったロキをシーザがかばったことをきっかけに、2人の関係が徐々に変わっていきます。
幼い頃から母親に努力を認められなかったシーザは、真っ直ぐに自分の努力を認めてくれたナカバの台詞に感銘を受けます。そして、王族として認められない髪色のせいで周りから疎まれてきた彼女は、初めて自分の幸せを考え、喜ばせようとしてくれるシーザに少しずつ心を開いていきました。
お互いを思い合っていてもなかなか素直になれない2人ですが、少しずつ距離を縮めていく過程が丁寧に描かれていて、キュンとするラブストーリーとして楽しむことができます。
- 著者
- 藤間 麗
- 出版日
- 2011-02-25
仲良くなったベルクートの少女レミリアが、剣で貫かれることを「刻のアルカナ」の力で予見したナカバ。彼女はその悲劇的な未来を変えようとします。
奔走するなかで、シーザの兄、カインが争いを起こそうとしていることを悟り、なんとか彼を止めようとします。実はカインも彼女と同じく、王族でありながら黒髪でないという運命に翻弄された人物でした。
心の傷を理解しているナカバの説得の甲斐があり、カインに「争いを起こさない」と約束させますが、彼はナカバを裏切ります。
その後ナカバは、カインに殺されそうになるレミリアをやっとのことで守ることができましたが、そのせいでカインが殺されてしまうのでした。止められなかった戦いのせいで、世界から平和が再び失われていきます。
理不尽な戦いが無い国を目指すナカバとシーザは、ついに「ベルクートとセナンをひとつの国にしよう」と決意します。しかしそれは、愛し合う2人にとっては別れの道だったのです。
シーザはベルクートの王になるため、亡きカインの婚約者であったルイスと結婚し、ナカバも策略を巡らせてセナンの王位につきます。そして彼らの目的どおり、ベルクートもセナンも、人間も亜人も関係なく平等に暮らすことのできる国まであと1歩というところまできました。
しかしその時、なんとロキが反乱を起こします。彼はセナンを乗っ取ると、亜人だけの国を作ってしまいました。セナンにいるナカバはどうなってしまうのか、彼女とシーザは再び結ばれることができるのか……最後まで何が起こるかわからない、ドラマチックな展開が続きます。
常にナカバのそばにいて誰よりも彼女を思い、身を呈して守ってきたロキ。なぜ彼女の願いを裏切って反乱を起こしたのでしょうか。ナカバとシーザの驚きと悲しみは、読者にも痛いほど伝わってきます。
最終話では、今まで「刻のアルカナ」でもどうしても見ることができずに謎に包まれていた「ナカバの出生の秘密」を見ることができるようになります。
ロキが隠していたナカバとの本当の関係、そして彼女への思いは、言いようもない悲しみと愛、感動に溢れていました。さらに、なぜロキが反乱を起こし、亜人と人間が完全に袂を分かつ世界を作ろうとしたのか、その理由も明らかになります。
タイトルの「黎明」とは、夜明けのことです。シーザとナカバは再び夫婦となり、平和で平等な国を作り、夜明けを迎えることができるでしょうか。
『黎明のアルカナ』は最後まで目が離せない、ドラマチックでシリアスで、そしてとっても魅力的な作品です。
- 著者
- 藤間 麗
- 出版日
- 2013-08-26
今回は異世界ファンタジー『黎明のアルカナ』をご紹介しました!練りに練られた世界観や、悲劇的な運命に屈せず、勇敢に立ち向かうキャラクターが魅力的な作品です。時に残酷でシリアスなストーリーに夢中になること間違しです!