美大生とサラリーマンが、何気ない日常のなかで「一輪花が咲くように」ゆっくりと育んでいく、年の差ラブ。こんな穏やかで優しいBLがあってもいいのかも?と思わせてくれる、きっとあなたの心が癒されるBL漫画『花は咲くか』をご紹介します。
日高ショーコが描くBL漫画『花は咲くか』の魅力は、何といっても彼女の安定した画力に支えられた繊細で美麗な作風、そしてゆったりとした優しい時間が流れる独特な空気感ではないでしょうか?
都市の中に佇む、まるで森のような広大な庭をもつ古い日本家屋の下宿を舞台に、家主であり美大生の水川蓉一と広告代理店で働くサラリーマン桜井和明が、互いに影響を与えながら成長し、ゆっくりと愛情を育んでいく日常を美しく描いていきます。
『花は咲くか』は実写映画化が決定しており、2018年2月24日から公開予定。メインキャストは、一般的に受けと言われる蓉一を渡邉剣、攻めと言われる桜井を天野浩成が演じますので、こちらも楽しみですね。
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- 著者
- 日高 ショーコ
- 出版日
- 2009-12-24
年齢や住む環境がまったく異なり、接点のなかった美大生の水川蓉一と広告代理店勤務の桜井和明は、ある夜、駅の構内で偶然出会います。
蓉一は自分にも他人にも興味がなく、何にも執着しないイマドキの若者。桜井はというと、子どもの頃から育てていた植物を、突然熱が冷めてしまったかのように放り出して枯らせてしまうなど、どこか冷めたところのある人間です。
- 著者
- 日高 ショーコ
- 出版日
- 2010-09-24
性格が違いすぎるせいか、最初から反発しあう2人。しかし相手との対話をとおして、それぞれが背負うものや相手の夢を理解していき、しだいにお互いのことが気になるようになります。
はたして、2人がゆっくりと育む愛情の花は、いつか咲くのでしょうか?
桜井和明は37歳。仕事はできる男ですが、毎日大量の仕事に忙殺され帰りはいつも深夜になっていました。最近は年齢のせいもあり、慢性的な疲れがたまっているような、くたびれた中年のベテランクリエイティブディレクターです。
桜井は深夜の駅で、美大生の水川蓉一と出会い頭にぶつかってしまいました。不可抗力とはいえ、ペットボトルの水をかけられてしまった桜井は、口では謝りつつもぞんざいな態度の蓉一に「なんだよ、こいつ!!」と激昂します。
このことがきっかけで、桜井は蓉一の住む下宿水川邸に出入りすることになるのですが、蓉一の桜井に対する態度は最悪でした。桜井にだけ、ことあるごとにつっかかってくるのです。
しかし本来の蓉一は、何にも執着しない冷めた性格。あとから思えば桜井に対する悪態の数々は、蓉一の彼に対する関心の裏返しだったのかもしれません。
- 著者
- 日高 ショーコ
- 出版日
- 2009-12-24
桜井が勤める広告代理店の撮影が水川邸で行われたある日、彼はキャンパスに向かって絵を描く蓉一の姿を偶然見かけます。
「花を描いている」と指摘した桜井の顔を、蓉一は驚いたように見つめました。そして、その瞬間の彼の横顔が月明かりに美しく照らされるのです。自分の絵を一瞬で理解してみせた桜井に、蓉一はこの日初めて興味を抱くようになります。
また同時にこの瞬間、桜井も蓉一のことが好きだという気持ちをはっきりと自覚するようになるのです。鮮明に描かれるこのシーンは、とても印象に残るでしょう。
個性的でマイペースな蓉一に興味を持った大学の同級生の藤本が、水川邸に下宿したいとやってきて大騒ぎします。蓉一に対して素直にアプローチする藤本に、桜井は内心気が気ではありません。
いたたまれず先に帰った桜井を追って、蓉一はマンションまでついてきました。今までとは違うあまりの距離の近さに、彼のことを好きになりかけていた桜井は内心ドキドキしてしまいます。
あれほどまでに自分を邪険にしてきた蓉一が一転、素直に甘えてくる姿に、桜井は動揺を隠せません。しかし、まだ若い蓉一の将来を思い、自分は友人に徹しようと大人の彼はかろうじて踏みとどまるのです。
- 著者
- 日高 ショーコ
- 出版日
- 2010-09-24
管理人の吉富から水川邸に下宿するように勧められる桜井ですが、蓉一への複雑な思いに二の足を踏みます。しかしそんな思案の甲斐もなく、仕事場で会った藤本の挑発に焦った彼は「水川邸に移り住む」と思わず宣言してしまうのでした。
一方、桜井とのふれ合いで自分の感情を表に出せるようになった蓉一は、自らの気持ちを少しずつ自覚するようになるのです。
藤本のおかげもあり、ゆっくりと着実に距離を縮めていく2人の今後に期待できるでしょう。
迫ってきた藤本を受け入れることができなかったことで、蓉一はさらに桜井が自分にとって特別な存在だとはっきり自覚します。
一方、蓉一への思いを持てあまし気味の桜井は、上司から打診された関西支社への転勤話に悩みはじめます。蓉一のいる東京から離れたくないけど、逆にいっそ遠くに離れることができたら、彼への想いも忘れられるかもしれない……。そんなことを考えてしまう始末です。
またしても大人な桜井は、一方的に蓉一から距離をとろうとしますが……。
- 著者
- 日高 ショーコ
- 出版日
- 2011-12-24
桜井に避けられ、会えないことで一層想いを募らせる蓉一。純粋にまっすぐに恋に向かう怖いもの知らずの若者と、しがらみに縛られつつ空気を読みながらぐるぐる進めないでいる中年の対比が、とてもリアルに描かれています。
一見クールなのに、恋には案外積極的な蓉一は、意を決して桜井に踏み込んでいきます。ぐいぐい押してくる彼に桜井は観念し、2人は晴れてお互いの気持ちを確認しあうのです。
しかし、桜井の大人ブレーキはまだまだ健在。そのおかげで、キスから先へはなかなか進展できないままでした。
進展しそうで進展しない……このじれったさもまたBL漫画の萌え要素なのかもしれませんね。
転勤が決まった桜井。しかし、蓉一の反応が怖くてなかなか彼に伝えることができません。それどころかどんどん仕事が忙しくなり、さらにすれ違う2人。最近は会うことすらままならなくなります。
その間、蓉一は悶々としながらも、大学でグループ制作に参加したり課題に打ち込んだり、少しずつ自分を変えようと努力していくのです。
- 著者
- 日高 ショーコ
- 出版日
- 2013-04-24
自分に好意すら示してくれない桜井の気持ちを量りかねて、悶々とする蓉一。純粋で無垢な彼にとって、桜井の大人の事情はなかなか難解のようです。
蓉一を大切にするあまり、かえって煮え切らない桜井に対し、自分が先に変わらないと桜井も変わらないのではないか?と考えるに至った男前な蓉一は、行動を起こすべく桜井のマンションに向かい……。
そしてその夜、蓉一は今まで誰にも言えなかった自分の両親の死について、心を許した桜井に解き明かすのです。すれ違っていた2人でしたが、信頼が少しずつ深まっていく様子が感じられるでしょう。
蓉一は、父との思い出が強すぎて足を踏み入れなかったアトリエにこもり、一心不乱に絵を描き続けます。
そんななか、水川邸の取り壊しの話が持ちあがりました。これまで自分の意思を伝えることを諦め、問題と向き合うのを避けて生きてきた蓉一でしたが、今は桜井の存在が彼に勇気を与えます。反対する叔父に対して、下宿を続けたい、自分にあの家を任せてほしい、と言葉を絞り出して訴えるのですが……。
これまで誰にも興味をもたなかった蓉一が、水川邸という「自分の居場所」に、初めて「執着」という感情を見せたこのシーンはとても印象的です。彼自身が幼いころから苦しめられてきた、父親の呪縛から解き放たれた瞬間が描かれています。
- 著者
- 日高 ショーコ
- 出版日
- 2015-03-31
大阪転勤の前に、本格的に水川邸に引っ越してきた桜井。「お前のそばにいたいと思ったから」と笑う桜井に対し、蓉一は思わず「きゅん」としてしまいます。そして、「今夜は最後までしたい」と桜井を誘うのです。この場面では、とても可愛いやり取りをする2人が微笑ましく描かれています。
その夜、水川邸の桜井の部屋で初めて体をつなぐ2人。やっと素直に愛を伝えあうことができた彼らの、美しく官能的なシーンです。
BL漫画ではHシーンを楽しみにしている方も多いでしょう。やっと体を重ね、見方によってはむしろスタート地点でもあります。
そんな気持ちを汲み取るかのように、最終回はその後、桜井の転勤から1年半後が描かれています。2人がどうなっているかは読んでからのお楽しみです!ふたりが大事に育んだこの関係、「花」が咲く様子をぜひご覧ください。
『花は咲くか』の魅力をご紹介しました。いかがでしたか?まだまだ2人の恋は始まったばかりです。彼らがこれから先、どんな色の花を咲かせていくのか気になりますよね。BL漫画を読んだことがない方でも安心して読める、淡い恋物語となっていますので、ぜひ手にとってみてください。
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