2020年、BL漫画の今

ボーイズラブ、通称「BL」は、男性同士の恋愛を描いた作品のジャンルの1つです。

とくにBL漫画は世に出る作品の数は右肩上がり、新しいBLコミック誌が創刊されたり、新人作家が続々とデビューしたりして、近年盛り上がりを見せています。また『窮鼠はチーズの夢を見る』という作品の実写化が複数のテレビ番組でも紹介されるなど、これまでBL漫画に触れてこなかった人たちにもコンテンツが届くようになりつつあります。

BL漫画で描かれる男性同士の恋愛は、同性婚が認められていなかったり偏見があったりする2020年現在の現実社会と同じく、マイノリティな恋愛という印象がまだまだ残ります。しかしその一方で、禁断な恋愛の形ではなく「ありふれた恋愛の中の1つ」「個と個の恋愛」として描かれつつある流れも感じます。そのためBL漫画の中には、恋愛漫画の1つとして楽しめたり、登場人物の気持ちが痛いほど共感できる作品もたくさんあるのです。

とはいえ、BL漫画のタイトルや表紙のインパクト、エロ描写に抵抗を感じている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、少しBL漫画に関心を持ったあなたにおすすめの作品を、初心者向けから次に手に取りたくなる作品、ハマった人向けの作品まで幅広くご紹介します


『窮鼠はチーズの夢を見る』の詳細が知りたい方は、「『窮鼠はチーズの夢を見る』名言をネタバレ!映画化の名作BL漫画の内容とは 」の記事もご覧ください。

まずは歴代の名作!BL漫画の始まりはここから

BL漫画に興味を持った人なら一度は聞いたことがある作品を紹介します。一度は読んでみると、2020年との違いが見えて面白いかもしれません。ただ、やっぱりキュンキュンするところは変わりません。

 

王道であり歴代名作BL漫画『世界一初恋 ~小野寺律の場合~』

本作は、出版業界を舞台にした王道BL作品です。2014年3月に劇場版アニメが公開されました。

25歳の小野寺律が入社した出版社、丸川書店は、小野寺の初恋相手で過去の恋人でもある高野政宗が編集長として勤める会社でした。高野と別れてからもう二度と恋なんてしないと誓う小野寺と、どうしても小野寺のことが忘れられなかった高野の攻防戦が始まるのです。

『世界一初恋』は登場人物が多く、何組もカップルが出てきます。主人公も章によって変わっていくので、あらゆる視点から物語の世界へ入ることができます。小野寺と高野をはじめとするそれぞれのカップルに焦点が当てられたボリューム満点な作品です。

著者
中村 春菊
出版日
2008-07-01

思わずキュンとする場面が多いのもこの作品の人気の理由のひとつです。

「もう一度俺を好きって言わせてやるよ。覚悟しておけ!」 
(『世界一初恋』より引用)


過去にすれ違いから別れてしまった高野と小野寺ですが、誤解が解けたことで高野が改めて告白する場面での一言。自分を恨んでいる小野寺のことなんてお構いなしに、高野は強引に迫っていくのです。一見クールに見える高野が胸に秘めた情熱的な部分を初めて見せた場面で、高野の男らしさを感じられるシーンになっています。

『世界一初恋』のキャラクターたちはとにかく一途。長い間ただ一人を思い続けることは決して簡単なことではありません。しかしその経験をしているからこそ得られる喜びや優しさがあり、一途に誰かを思う気持ちは素敵なことなんだと思わせてくれる作品です。読めばきっと恋がしたくなるのではないでしょうか。

『世界一初恋』の名シーンを紹介した漫画『世界一初恋』名シーンを本気で!徹底的に!ネタバレ紹介!【〜14巻】の記事もおすすめです。

 

楽しくBL漫画を読むならコレ!『純情ロマンチカ』

CDドラマ、アニメ化、関連作品だと文庫も出ています。一世を風靡し、いまだに根強い人気を誇る純情シリーズ、まだ読んだことがない方、ぜひこの機会に手に取ってみてください。

著者
中村 春菊
出版日

宇佐見秋彦、通称・ウサギさんの仕事は人気の小説家です。主人公の美咲は、兄の友人のウサギさんが大の苦手。嫌いな男の家にあった小説を、美咲は偶然手にし、衝撃が走ります。なんと、その小説は「ウサギ×自分の兄」のBL小説でした。怒り心頭の美咲は、勢いでウサギさんに食って掛かりますが……。

泣くときも、笑う時も、何から何まですべてが豪快です。特に主人公の美咲がとても表情豊かな子なので、見ていて飽きません。常にストレートの彼の性格は、気持ちよさを感じるほど。そんな美咲に引っ張られ、無表情で食えない男・ウサギさんもどんどん表情豊かになっていきます。見た目も中身もすべてが凸凹、そんな二人のちょっとピュアで可愛いラブストーリーに心もキュンキュンです。

個性的な描きで、苦手だったという方もいらっしゃるかもしれません。ですがこの作品では、そんな方々も一度読んでしまうと、ドハマりしてしまう不思議な力があります。「読んでハマった」という方がとにかく多いです。他のBLには見られない独特の勢いがあります。中毒になるほどの魅力です。少しでも興味が湧いた方、ぜひ一度読んでみてください。

『純情ロマンチカ』については、漫画『純情ロマンチカ』の登場人物徹底紹介!『純情エゴイスト』なども!の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

 

男子校を舞台に、一目惚れから始まるBL漫画『タクミくんシリーズ Pure』

『タクミくんシリーズ Pure』は、男子校を舞台にした恋愛物語。

他にも『タクミくんシリーズ jealousy』や『タクミくんシリーズ June Pride〜6月の自尊心〜』などがあり、ほとんどが葉山託生(たくみ)をメインとした漫画です。しかしこの『タクミくんシリーズ Pure』では託生と同じ学校に通う三洲新と、新入生の真行寺兼満のカップルが主役になっており、脇役にスポットライトを当てた作品で、これがまた名作なのです。

著者
["ごとう しのぶ", "おおや 和美"]
出版日

ふたりの出会いは高校の入学試験。真行寺が受験生として私立祠堂学院高等学校に来た際に試験監督として教室にいたのが三洲でした。そこでちょっとしたトラブルから真行寺は三洲に一目惚れしてしまい、入学後に追いかけまわすようになります。素っ気ない扱いを貫く三洲に真行寺は健気に懐き、一途に彼を想い続けるのです。

この作品では些細なすれ違いや嫉妬に胸が締め付けられる場面がたくさんあります。例えば三洲の憧れの人である相楽が関わるシーン。自分には冷たいのに対し、相楽には優しい三洲。彼の姿を見た時の真行寺の気持ちは計り知れないもがあるのではないでしょうか。しかしそれでいて三洲は真行寺に対する独占欲をむき出しにする時もあるなど、読者まで一緒に翻弄されてしまいます。真行寺の不安な心情が特によく表れている場面があります。

「俺だけがアラタさんに恋をしていた。」 
(『タクミくんシリーズ Pure』より引用)


体の関係を持ったものの、心は自分に向いていないのではないかと不安で仕方がない気持ちから出た言葉です。相楽と楽しそうに話す姿に嫉妬したり、自分が誘っても断られてしまったり、三洲の気持ちが分からずに苦しむ真行寺の姿にはやり切れない思いがします。

『タクミくんシリーズ Pure』は真行寺の切ない恋心に涙を流さずにはいられない作品です。しかし切ないだけではなく、三洲も真行寺を大切に思う場面ではほっとすると同時に心が温かくなります。三洲は普段冷たい分、優しい時のギャップが大きいので、思わず彼の魅力にハマってしまう方もいるのではないでしょうか。

 

同性愛と社会に真っ向から向き合った漫画『ニューヨーク・ニューヨーク』

理解されないからと、自分を偽りつづける苦痛。作中の彼らも同性愛であるがゆえに、日々自分を偽って生きています。

著者
羅川 真里茂
出版日

主人公のケインは、ニューヨーク市警に勤めながら、毎夜マンハッタンまで繰り出し、その日限りの相手を探す日々を過ごしていました。周囲には同性愛者ということを隠しています。そんな軽い付き合いを好んでいたケインが出会ったのは美青年・メル。様々な試練が訪れる中、ケンカをし、傷をぶつけ合い、そしてお互いを理解していきながら、二人は愛を深めていくのです。

「ジーザス 運命だと思った」
(『ニューヨーク・ニューヨーク』から引用)


BL漫画と一括りにはできない作品の一つです。アメリカを舞台に、ゲイとして生きる主人公たちの日常を描いています。カミングアウト、宗教観、周りとの意識差、差別、HIVについても真摯に向き合っており、同性愛を色眼鏡で描くこともなく、また誤魔化すような表現もありません。マイノリティについてじっくり考えさせられる作品です。

初めて読むのにおすすめな学生BL漫画

次に、最近ハマったという人におすすめなの学生BL漫画。エロ描写が比較的控えめな作品も充実している学生同士の恋愛を描いたBL漫画は、初めて読む人でも手に取りやすいジャンルでしょう。

 

純粋な恋心を描いた王道学生BL漫画『同級生』

『同級生』は男子高校生の初恋を描いた恋愛物語です。2016年2月に劇場版アニメが公開されました。最終的に全国60か所以上の映画館で上映されるなど注目を集めた作品です。

高校2年生の草壁光はクラスで合唱祭の練習をしていた時、クラスメイトの佐条利人が歌っていないことに気付きました。最初はやる気がないのかと不快に思っていた草壁でしたが、偶然放課後の教室に残り一人で練習している佐条の姿を見つけるのです。

実は佐条は歌が苦手で、クラスでの練習の時は邪魔にならないようにしていただけで、本当は克服しようと頑張る努力家でした。そんな佐条に感化された草壁は練習に付き合うようになります。それまで話すことすらなかったふたりが同じ時間を過ごす中で特別な存在になっていくのです。

著者
中村 明日美子
出版日
2008-02-15

草壁は明るくお調子者で、バンド活動もしているクラスの人気者。女性にモテますが恋をしたのは佐条が初めてで、ストレートに思いをぶつける素直な性格です。佐条は真面目で秀才、どちらかと言うとクラスでも地味な存在でした。そんな正反対なふたりですが互いを尊重し、自分に足りないものを補い合って過ごしていくのです。

音楽教師の原との三角関係が見どころのひとつです。原もまた佐条に片思いしていて、彼の行動のひとつひとつが草壁を嫉妬させてしまいます。勘違いでよく空回りしてしまう草壁ですが、素直に行動に移せる姿はとにかく真っ直ぐでひたむき。誰もが応援したくなるキャラクターです。

『同級生』はお互いに惹かれ合っていく過程がゆっくりと丁寧に描かれているので、キャラクターと一緒に違和感なく時間を追っていけます。登場人物の心の動きが分かりやすく、すんなりと物語に入っていけるでしょう。ただ純粋にふたりの恋心を描いた品のある話なので、BL初心者におすすめしたい作品です。

 

漫画から伝わる、音と胸の鼓動『ギヴン』

『ギヴン』は、漫画のタイトルにもなっているgiven(ギヴン)というバンドの中で起こる、音楽と青春、そして恋愛を描いた作品です。2019年にはTV、2020年には劇場アニメ化もされています。

確かなギターの技量を持ちながらどこか音楽への熱が冷めつつあった上ノ山立夏(うえのやまりつか)と、学校の階段の踊り場で壊れたギターを抱えながら眠るなんだか訳アリな佐藤真冬(さとうまふゆ)との出会いから、物語は始まります。

あるきっかけで真冬にギターを教えることになった上ノ山は、彼が口ずさんだ曲名も歌詞もない歌に衝撃を受けます。そして自身が所属するバンドへ加入しないかと真冬を誘いますが、断られてしまいます。

その後紆余曲折を経て、真冬はバンドに加入することに。ベースの中山春樹(なかやまはるき)、ドラムの梶秋彦(かじあきひこ)と一緒に真冬の歌を形にし、ライブで演奏することが決まります。しかしライブに向けてバンドが本格的に動き始めた中で、真冬は過去と、上ノ山は自分の心に芽生えた真冬への想いと向き合っていくことになるのです。

著者
キヅ ナツキ
出版日
2014-11-29

本作では、自分の気持ちと向き合うことにもがき苦しみ乗り越える若者たちの姿が、その背景とともに丁寧に描かれています。かといって1から10まで全て描かれているわけではありません。読者に想像の余白を残すような文学的、詩的ともいえる言い回しも、『ギヴン』の特徴だと思います。

またライブシーンは圧巻です。漫画の中から音が鳴っているような感覚が味わえるでしょう。さらにメインの真冬と上ノ山だけでなく、春樹と秋彦をはじめ周囲のキャラクターたちの恋模様も描かれている本作。いろんな恋物語を堪能できるのも魅力の1つです。

音楽やバンド活動を通して、互いに引き上げ合う、背中を押し合う彼らの姿はきっと、あなたの胸も熱くさせてくれるでしょう。

本作の魅力をさらに詳しく知りたい方は、『ギヴン』青春バンドBLが尊い。4巻までの見どころをネタバレ【アニメ化】の記事もおすすめです。

 

ピュアでもどかしい、幼なじみBL『君には届かない。』

いたって平凡な芦屋架(あしやかける・以下、カケル)と、成績優秀でクールなイケメンの大原倭斗(おおはらやまと・以下、ヤマト)。この幼なじみの、友情とも恋とも言えない関係性を描いている作品が『君には届かない。』です。

女の子からの告白を断ったヤマトに好きな人がいないのかと尋ねたカケル。その質問にヤマトは、「カケル」と答えたのです。カケルは一瞬勘違いしそうになりつつも、イケメンで女子からモテるヤマトが男の自分を好きになるなんてありえないと、今まで通りの関係を続けていこうとするのですが……。

著者
みか
出版日
2019-06-27

もはやお節介を焼きたくなるほどのもどかしさを感じる本作。ずっと一緒にいられた今の関係を壊したくないという気持ちと、抑えられなくなりつつある淡い想いの間で揺れ動くふたりの姿に、胸がキュッと締め付けられるような感覚が味わえます。

BL漫画の入門書としてはもちろん、ピュアな青春漫画としても楽しめる作品です。

 

ギャップ注意報発令!青春と恋が炸裂しまくりなBL『キューピッドに落雷』

人懐っこい後輩・永田慎吾(ながたしんご)とクールでミステリアスな先輩・藤々木蒼生(とときあお)の青春と恋を描いた作品が、『キューピッドに落雷』です。

気になっている男子の情報を女子にリークする「恋のキューピッド屋さん」をしていた慎吾。そんな彼のもとに、誰にでも塩対応で有名な蒼生の額にある傷を調査してほしいと依頼が舞い込みます。初対面にもかかわらずド直球ストレートで傷のことを尋ねてしまった慎吾は、蒼生の怒りを買ってしまうことに……。そして謝罪のために再び蒼生を訪ねた慎吾は、そこで彼の秘密と意外な一面を知り、もっと近づきたいと願うようになります。

著者
鈴丸みんた
出版日
2017-10-13

秘密を共有したふたりの間でどのように恋が芽生えていくのかはもちろん、蒼生の見せるギャップが本作の必見ポイントです。普段はクールな蒼生が慎吾のストレートな感情表現に赤面したり笑顔を見せたりする瞬間、きっとあなたの心にも胸キュンという名の雷が落ちているかもしれません。読む際は慎吾と同様、蒼生の意外な一面に心を撃ち抜かれないようにお気を付けください。

ドタバタ&ほのぼのな今時男子の小悪魔受けBL漫画『鮫島くんと笹原くん』

大学の同級生でバイト仲間でもある笹原に、玉砕覚悟で告白した鮫島。足の指まで舐めて本気であることを示します。

一方の笹原は、スルーをしようとすると自覚しろと強気に攻められ、逆に受け入れようとすると急にヘタレて逃げ出す鮫島にドキドキしはじめます。

大学生の恋愛がコミカルに描かれた作品です。

著者
腰乃
出版日
2011-03-20

自分の気持ちが抑えられなくなり、玉砕覚悟で想いを伝えた鮫島と、男と付き合うのは抵抗があるけど、友人関係は終わらせたくないと思っている笹原。

そんな2人の関係は、時間をかけてゆっくりと深まっていきます。若者らしい爽やかさと性欲を一度に味わえる作品です。彼らのなかなか進まない、じれったくて可愛らしい恋愛をお楽しみください。

 

ツンデレ姫×強面ヤンキーの主従関係!『可愛い花には毒がある』

小柄で可愛いけど腕っぷしの強い主人公・砂島に一目ぼれした大型わんこ系ヤンキー石塚のヤンキー高校生の恋愛作品です。

「付き合う代償に俺の下僕になれよ」と命令する砂島。こう言えば諦めるだろう……と希望空しく、むしろ喜んで下僕になってしまった石塚とのツンツンたまにデレな学園もの。小柄で細身で可愛いのに喧嘩が強いヤンキー受・砂島と名の通った有名ヤンキーなのに砂島にデレデレな攻・石塚の王道とも言える主従ラブストーリーです。

著者
文日野 ユミ
出版日
2013-12-07

一途すぎる石塚をツンツン足蹴にしつつもついデレてしまう砂島が可愛すぎて胸キュンシーンの連続です。基本的にツンツンツンデレくらいのデレ頻度でムフフなシーンでもツンデレは健在ですので、ツンデレものがお好きな方には堪らない作品なのではないのでしょうか。表題のヤンキーカップルの話のほか、その他4カップルのラブストーリーが詰め込まれた短編集です。美人系からゴツイ系までさまざまなカップルが描かれていますので、きっとお気に入りのカップリングに出会える事と思います。

この1冊で完結した話ですが、数年後の大学生となった後日談を収録した次巻と合わせて全2巻のシリーズものです。

 

ほんわかあたたかい恋模様が面白いBL短編集『お守りくん』

表題作の「お守りくん」の他2篇が収録された、作者のtacocasi初のコミックスです。

字の汚いサラリーマンと書道教室の先生、忠犬系大型わんこ風高校生とクールな飼い主高校生、重度の霊障体質高校生と天然キラキラお祓い系高校生の三組の、ちょっと不器用でじれったい恋のお話が詰め込まれています。

著者
tacocasi
出版日
2016-05-20

憧れの書道の先生に寄った勢いでキスしてしまった事でぐるぐると悩んだり、相手を思ってわざと付き離したり、勘違いですれ違ってしまったり……という硬派でプラトニックな展開が大変微笑ましいです。

表紙を見て分かるように昭和レトロっぽく温かみのある絵柄と、小春日和の日差しのように優しい温度感の恋模様を皆さんにぜひおすすめしたくて紹介させて頂きました。暖かい雰囲気を冬にぬくぬくしながら楽しんで欲しい1冊です。

 

7日間限定の恋人。切ない恋心を描いた「セブンデイズ」

『セブンデイズ MONDAY→THURSDAY』は弓道部の先輩・後輩が一週間限定で付き合うという物語。月曜日から木曜日までの四日間がゆっくりと進んでいくストーリーです。

女子生徒から人気の芹生冬至は、毎週月曜日の最初に告白してきた人と付き合い、必ず一週間で別れるという噂がありました。芹生の弓道部の先輩である篠弓弦は軽い気持ちで芹生に告白し、二人は付き合うことになります。最初はゲーム感覚で付き合い始めた二人ですが、徐々にお互いに気になる存在に変わっていくのです。別れの日が近づくにつれ焦り始め……。

著者
橘 紅緒
出版日
2007-09-01

芹生は今まで人を好きになったことがなく、好きになる可能性を信じて一週間限定でたくさんの女子生徒と付き合っていました。それでも結局恋を見つけることはできず「好きになれなかったから別れよう」とほとんど自ら別れを告げるのです。一方の篠はというと彼女はできるものの、いつも「思ってたのと違う」と言われ振られていました。どちらも元々女の子が恋愛対象だったはずなのに、お互いを知るうちに恋に落ちてしまうのです。

この作品はたったの1週間しかない話なので、一日一日が長く丁寧に描かれています。しかし細かすぎず、程良く読者の想像力を掻き立てるのでいろんな解釈の仕方ができると思います。思春期の男の子ならではの繊細な心の動きがリアルで、すぐ近くで起こっていることのような気になれるはず。徐々に近づいていく二人の距離に温かさを感じられる作品です。

落ち着きがあり淡々と進められる物語。山あり谷ありの大きな展開はありませんが、不思議と退屈しない、読んでいて心地の良い作品です。続編の『セブンデイズ FRIDAY→SUNDAY』には金曜日から日曜日までの残された三日間が描かれています。二人の関係に答えが出る完結編なので合わせて読んでみてはいかがでしょうか。

共感要素、満載! 大人の恋愛を描いたおすすめBL漫画

大人になればなるほど、恋愛に臆病になっていくように感じることはありませんか? そんな人に、きっとたくさんの共感を届けてくれるのが、大人同士の恋愛を描いたBL漫画です。

 

尊敬できる大人同士の恋を描くBL『ダブルセクション』

『ダブルセクション』は、保険会社で契約調査員をしている半井(なかい)と営業マン・高橋の、同僚&お隣さん同士の恋愛を描いた作品です。

引越しの挨拶の際に向けられた高橋の笑顔に惹かれた、半井。しかし高橋が、同じ保険会社の、契約調査員と敵対関係になりやすい営業マンだったと判明します。営業マンは必至で契約を取ってくる立場ですが、調査員がチェックして無効になることもあるという関係性。

契約調査員のせいで契約解除となれば、営業もお客さんもいい顔を向けるわけがない……。そんな契約調査員の仕事につらさを感じつつも半井は、不正な契約を出さないことで客も営業も守りたいという信念を貫き、仕事に打ち込んでいました。

そんな半井の姿勢に感銘を受けた高橋は、仲良くなりたい一心で彼を食事に誘いますが、断られ続けます。どうやら半井は、営業マンと慣れ合わないと決めているようで……。

著者
毬田 ユズ
出版日

この作品の魅力は、登場人物がどうすれば契約が取れるかアイデアを出したり、お客様に対して真摯に向き合ったりするなど、真面目に仕事をしているところにあります。

仕事モノであっても恋愛を中心に描かれる作品も多い中で、半井も高橋もとにかく仕事に真剣です。いち大人として尊敬できるふたりの恋愛だからこそ、相手に対する誠実さや愛情の深さがヒシヒシと伝わってくるでしょう。

 

おげれつたなかの感動BL漫画『ネオンサイン・アンバー』

無表情で自分の気持ちが伝えることが苦手な緒方(おがた)は、職場のクラブでナンパをしては騒動をおこす客、サヤに手を焼いていました。

できるだけ関わらないようにしていたのに、酔っぱらって路上で倒れていたサヤを助けたことで、二人は打ち解けます。いつしか恋心のような感情に気付いた緒方ですが、あるきっかけでサヤを傷つけてしまいました。

好きなのに、どうして伝えることができないんだろう、と自分のことばかり考えていた緒方は、サヤを失いそうになり、ようやく気付きます。 過去にとらわれるサヤを緒方は救い出すことができるのでしょうか。

著者
おげれつ たなか
出版日
2016-12-29

おげれつたなかの作品は、どれもストーリーが精密に練られています。今にも消えてしまいそうな受けと、自分に自信がない攻め、そんな二人の関係から、切なさが滲んでくるようです。

緒方はサヤに対する感情に気付く前に、身勝手な行動でサヤを傷つけてしまいました。大切に思う人の大切な気持ちを踏みにじってしまったのです。いつ始まり、いつ終わるかもわからないような儚い関係だったはずなのに、いつしか失いたくないと強く思うようになります。

自分が相手を大切に思えば思うほど、恋愛の矛盾の中に引き込まれてしまう……。今作を読み終えたとき、読者はきっと涙してしまうでしょう。

 

大人ならではの不器用な恋を描くBL 『夜が明けても』

『夜が明けても』は、過去の恋愛で傷を負った甲坂卯一郎(こうさかういちろう)と、そのれを癒すお手伝いをする二町真(ふたまちまこと)の、ゆきずりの関係から始まる恋を描いた作品です。

見知らぬ男の真とベッドをともにしてしまった卯一郎。真は「先輩」と言ってしがみついてきた卯一郎が気になって、介抱ついでについてきたと言います。その先輩とは、卯一郎が大学時代に失恋した相手。しかし真は、その人にまったく似ていません。なぜ真を先輩だと見間違えたのか、腑に落ちない卯一郎。とはいえ関係はこれっきりだと思っていた彼のもとに、真が「友達になろう」と再び訪ねてきます。さらに失恋で傷ついていたことを指摘されて……。

著者
まさお 三月
出版日

本作の魅力は、なんといってもふたりの恋愛下手っぷりにあります。言葉が足りなかったり、肝心なことが抜けていたり、のめり込み過ぎないよう無意識のうちにブレーキをかけていたりと、あまりにも恋愛に不器用なふたりは、読者の想像のななめ上をいくところですれ違いを起こすのです。 

ただこれらの不器用さに思い当たる節がある人も、きっといると思います。過去の失敗を引きずってなかなかうまくいかないふたりの恋愛には、どこか自分のことのように思える部分があるかもしれません。

 

心のアンチエイジングのきっかけに 『オールドファッションカップケーキ』

『オールドファッションカップケーキ』は、会社の上司と部下である野末と外川が織りなす、スマートには進まない大人ならではの恋を描いた作品です。

毎日同じことの繰り返しに憂鬱感を抱きつつも、新しい何かに踏み込むことが億劫になっていた、四十路目前の野末。自身のある言葉をきっかけに部下の戸川から、これまで「おじさんだから」という理由で避けていた「オシャレなカフェでパンケーキを食べる」というアンチエイジングに誘われます。

それを機に外川とプライベートでもともに過ごすことが増え、その時間に心地よさを感じ始めた野末。しかし野末は、年が離れた上司と部下、さらには同性という関係から、外川に抱き始めた気持ちと向き合うことができずにいました。

著者
佐岸 左岸
出版日
2020-01-04

いろんな経験を積んできたからこそ、失敗を恐れ、新しいことの先に希望よりも不安を抱いてしまう……。そんな大人な野末に自分を重ねてしまう人もいるかもしれません。

一方で野末は過去に、ある言葉で外川の背中を押しています。この言葉はきっと、今のままでいいのかともがいている大人にも響くはずです。だからもし今、自分の生き方に少し自信が持てずにいる人がいたら、ぜひ手に取ってみてください。

 

さり気ない日常のなかにある恋心『どうしても触れたくない』

ヨネダコウ作品でもファンが多い『どうしても触れたくない』は、実写映画化もされている人気作品です。彼女の作品の特徴は、セリフ一つをとっても無駄がなく、日常の些細なシーンまでもが魅力的に映る、表現の豊かさではないでしょうか。ちょっとした一言が胸をじんわりと打ちます。しっとりと静かに、思いを積もらせるように描かれてた大人のラブストーリーです。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2008-09-01

嶋が新しい職場で出会ったのは、二日酔いで出勤するどうしようもない上司・外川。図々しい印象でしたが、何気ない彼の気遣いを知り、なんとなく気になる存在になります。一方の外川も、嶋の素直さを気に入り、よくちょっかいをかけるようになり、徐々に惹かれ合った二人は、勢いに任せ一線を越えてしまいます。

この作品には、過剰な表現は一切ありません。誰かを救い上げられるようなヒーロー、もしくは王子様も現れません。話の中にいるのは、自分の日常を生きている普通のサラリーマンです。なのに、彼らの一つ一つの挙動に胸を打たれます。一歩間違えれば、単調すぎてしまう設定なのに、ここまで読み応えのある作品に仕上げた、作者の表現力の豊さに脱帽です。

お互いにトラウマを抱えたサラリーマン同士が、理性と感情に振り回されつつ、二人の関係を築き上げていきます。そっと静かな場所で、じっくりと読んでいただきたい作品です。

オトナの男たちの煩雑で歪んだ愛を描いた『犬も喰わない』

探偵事務所の調査員として働いている空木。ある日、大学教授を務める山代から、「妻の身辺調査をしてほしい」と依頼されます。依頼通りに調査を進めると、山代の妻と、同じ大学の教授・奥園修治との浮気が判明。しかし、「山代の愛した女性を奥園が寝取る」という行為は今回がはじめてではなかったのです!

そして、異様な二人の関係に自ら身を投じる空木。歪んだ三角関係はどのような結末を迎えるのでしょうか。

著者
彩景でりこ
出版日
2015-10-27

 

好きな人には、他に好きな人がいて、直接触れることはできません。そのため、別の人間を介して己の好きな人に触れる、という異質なBL漫画です。

言葉では言い表せないような複雑な感情が彼らの間にはあります。一見すれば歪んだ愛ですが、味方を変えれば、相手を何年も真っ直ぐに想い続ける純愛のようにも見えます。独特の雰囲気が漂っており、他の漫画では見れないであろう唯一無二の作品です。

 

好き同士なのになかなか上手くいかない『エスケープジャーニー』

切なくも甘酸っぱい、胸がぎゅっと締めつけられる、そんなお話が読みたい方におすすめします。今や不動の人気の作家・おげれつたなか作品の一つ『エスケープジャーニー』は、好き同士なのになかなか上手くいかない、そんな二人のすれ違いに、ハラハラドキドキできるBL漫画です。

著者
おげれつ たなか
出版日
2015-10-10

 

高校時代に付き合っていた直人と太一。お互いを思い合っていましたが、交際中は上手くいかず、別れを決意します。それからはずっと疎遠のままでしたが、なんと大学で再会。別れたものの、友人として付き合うには、奥深くまでお互いを知りすぎていました。再熱した気持ちを止めることはできず、再び付き合い出す二人。初めは順調に見えましたが、徐々にすれ違うようになっていきます。

注目していただきたいのは、直人たちの表情です!どこを切り取っても、キャラクターの喜怒哀楽の表情が多彩で、作品の中で生き生きとしています。悲しんでいる顔には、胸がぎゅっとしますし、満面の笑顔では恋に落ちそうなほど魅力的です。無口で無表情な太一が、自分を抑えているシーンは切なくなります。

また、BL作品ではおまけ扱いされがちな女性キャラを日常に組み込んでいるところも美点。邪魔者にされがちですが、作品の中で上手く華を添えており、大変良いエッセンスをプラスしてくれています。時にはライバル、時には支えなど、彼らの男女間の友情も見物ですよ。

 

ゆっくり進む、大人のBL漫画『それでも、やさしい恋をする』

出口晴海(でぐちはるみ)はゲイであることを隠しながら生きています。性に奔放ながらも、どこか物足りなく感じる日々でした。

友人の紹介で出会った小野田(おのだ)に年下にみられるという事件が発生しましたが、そんなやりとりを機に仲良くなります。 ノンケに惚れるようなことはしないと意気込んでいましたが、結局出口は小野田に惚れてしまいました。

これまで男性とお付き合いなど考えたことのなかった小野田は、自分なりに出口とのこれからについて考えていくのですが……。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2014-04-01

どんなに過去に傷ついていても、どんなに理性が働いても、人は必ず恋に落ちます。「好きになってはいけない」と思っている段階で、もう逃げ出すことはできないのだと教えてくれる作品です。

出会いも関係性もありきたりに見えますが、それぞれが相手を大切に思う気持ちは類を見ません。小野田はノンケであるからこそ、男同士の恋愛について、もう一度深く考えることができたのです。

ヨネダコウの描く、切なくて触れたら消えてしまいそうな登場人物たちが、読者の心をつかんで離しません。

 

新入社員と上司のオフィスほのぼのラブ『俺と上司の恋の話』

主人公・高梨の初めての上司はゲイの徳永、そしてその相手は社長、というオフィス内の三角関係、でもストーリーはほのぼの、というギスギスしたBLに飽きた人へおすすめしたい作品です。

新入社員の高梨についた上司・徳永は社長・古谷とお付き合い中。この堂々たるゲイカップルに圧倒されつつも、一途な徳永が気になって目で追ってしまうようになった高梨の恋のお話です。

著者
ナナメグリ
出版日
2012-04-28

社長のナイスミドルな格好良さ、酔った徳永のツンデレな可愛さ、高梨の男らしさ頼もしさがキュンとするポイントです。そしてわりとシリアスな社長の過去編で締めるサラリーマンものBL漫画です。

初めは会社公認のゲイカップルの存在にに戸惑っていた新入社員が段々と馴染んでいく様子が成長を感じさせ、思わず応援したくなってしまいます。徳永の酔った時のギャップにキュンときて、高梨の新入社員らしからぬ頼もしさで徳永を支える男気にぐっとくる作品です。ギャグ調で会話の掛け合いを楽しみながらゆるく読み進められます。表題作のほか、別カップルの番外編も収録されています。

1冊で完結している作品ですが、全3巻です。2巻は上司・徳永視点の半年後の後日談、3巻は1年後の後日談になっています。

冬に始まるロマンチックで優しい恋物語『男の子と恋』

どこか女性的な雰囲気を持ち内向的な青年・巡(めぐる)は、親友で幼馴染の隼人に「好きだ」と告白されます。しかし、男同士の恋愛に対して「普通じゃない」と困惑してしまう巡。それが原因で2人の間に距離が出来てしまい……。

著者
雲之助
出版日
2012-04-14

繊細な心理描写を書かせたらBL界一、二を争う作家・雲之助の、幼馴染同士の恋愛を描いた一冊。華奢で女の子っぽい見た目だけれど意外に男らしい巡と、クールなイケメンなのに実は涙もろくて女々しい隼人の2人が、遠回りしながらも、時間をかけて寄り添っていく過程が丁寧に描かれています。

特に最終話の、雪が降る中2人が手を繋いで歩き、部屋に入ってからお互いの思いを涙ながらに確かめ合うまでのシーンは本当にロマンチック。読んでいて一緒に目頭が熱くなってしまいました。

お互いがお互いを思ってたくさん泣いてたくさん笑い合う、男の子同士の甘くて切ないお話が好きな方におすすめしたい一冊です。

 

警察官とヤクザの禁断の恋が描かれた小悪魔受けBL『ほんと野獣』

真面目な警察官の上田朝春は、ある朝ヤクザである後藤田輝に告白されます。一目惚れだと言われますが、上田は彼に会った記憶がなく……。

実は、昨夜助けた下着泥棒の被害者でした。その日から可愛い顔をしたヤクザ、後藤田の猛烈アタックがはじまります。

著者
山本 小鉄子
出版日
2008-07-10

ヤクザなのに顔や性格が可愛くてあざといという、後藤田に萌える作品です。猪突猛進で超積極的な後藤田と、真面目でちょっとヘタレな上田が可愛らしいイラストで描かれています。

イチャイチャとキスシーンが多いので、全体的な糖度は高め。可愛い系の誘い受けがお好きな方におすすめしたい作品です。

 

復讐のために、元いじめっ子と付き合った『恋愛ルビの正しいふりかた』

鈴木弘(すずきひろし)は、今でこそイケメン美容師のリア充ですが、昔は園芸部に所属する陰キャラでした。当時自分の生活をめちゃくちゃにした鷲沢夏生(わしざわなつお)を今でも恨んでいます。

突然鷲沢と再会し、告白された鈴木は、復讐と称して鷲沢と付き合い始めます。1ヶ月記念日にはひどい言葉で振ろうと決め、鷲沢と過ごしますが、その日々の中で徐々に知らなかったはずの気持ちが芽生えてきました。

著者
おげれつ たなか
出版日
2015-04-30

人を恨むことはつまり、その人を気にかけているということなのだと教えてくれる一冊です。純粋に鈴木を想う鷲沢の心に、少しずつ気持ちが動かされていく鈴木の心情描写が見どころです。いつしか心を奪われそうになる鈴木は、それでも鷲沢のことを嫌いであり続けようとします。愛情と憎悪の区別がつかなくなってしまったのです。

鈴木は、大切に育てていた観葉植物のように、いつしか鷲沢にも同じような愛情を注ぎます。 切なく甘いストーリーに加え、濃厚な性描写が魅力的です。淡泊にみえる鷲沢が意外と乱れているシーンには、思わず前のめりになってしまいます。

ちょっとエロいけど楽しく読める!コメディ要素が強いBL漫画

BL漫画を読むなら、男同士のドタバタ感も楽しみたい!そんな人におすすめの作品を紹介します。少しエロ描写が強い作品も含まれますので、苦手な方はご注意ください。

 

腹黒天使×乙女ヤンキーのライトコメディ『小悪魔カレシ』

『ブサメン男子♂~イケメン彼氏の作り方~』で一躍有名になった野々宮ちよ子が描くBL漫画です。

亮太は高校時代からハルに片思いをしている大学生。天使のようなハルでイヤらしい妄想をしています。

でも天使だと思っていた彼は、実は元ヤンな小悪魔だったのです……!押し倒すはずが、強引なハルに流されて逆にエッチに持ち込まれ、超絶テクでトロトロにされてしまいます。

著者
野々宮 ちよ子
出版日
2015-06-03

可愛い顔したあの子とあわよくばエッチしたいと思っていたのに、押し倒されて逆に自分が抱かれてしまうという「お約束」な展開。エッチシーンもありますが、ストーリーに重点が置かれていてコメディタッチなので、気軽に読める一冊です。

 

イケメンおネエとドタバタコメディ!?『魅惑仕掛け 甘い罠』

蜂鳥心(はちどりしん)は超絶イケメンで仕事も完璧にこなすエリート上司、その部下にあたる雨深わたる(あまみわたる)は、過去のトラウマからホモが苦手でした。

雨深はある日、偶然蜂鳥がオネエであることを知ってしまい、蜂鳥に処女(?)を狙われる日々がはじまります。 蜂鳥はまるでゲームのようにノンケの雨深を落とそうとしますが、いつもギリギリのところで雨深は耐え忍びました。

だんだんとゲイに耐性が付いていくことに怖さを感じながらも、蜂鳥のことが気になって仕方ない雨深の可愛らしい挙動に、ついつい蜂鳥も絆されていきます。

著者
ねこ田 米蔵
出版日
2017-02-10

行きつけのバーの常連オネエや会社の同僚を巻き込んだ、Sオネエ男子とノンケ男子のドタバタストーリーです。 ホモが嫌いだと豪語しつつも、雨深はドSな蜂鳥に流され体を許してしまいます。

いつも新鮮な反応をする雨深に、蜂鳥やバーのオネエたちはもちろん、読者思わず可愛さを感じてしまうでしょう。 不憫な雨深ですが満更でもなく、これから蜂鳥のものになるんだろうな、と気づけてしまうほどわかりやすいところも、雨深の良さです。

強烈な設定ながら、決定的な性描写はなく、苦手な方でもスムーズに読むことのできる可愛らしい作品です。

 

3組のDKカップルが紡ぐギャグエロ物語『純愛えろ期』

幼なじみの恒ちゃんに振られたばかりの充。傷心して、学校の書庫で一人で「発散」しようとしていたところを、見知らぬアロハシャツの男・太郎に目撃されてしまいます。彼は充のことを「花子」と呼びますが、そんな風に呼ばれる心当たりは充には無く……。しかし、そのまま淫靡な行為をされてしまいます。

恋心あり、青春あり、発情あり!な田舎の学校に通う男子高校生のお話です。

著者
彩景 でりこ
出版日
2010-10-30

本作には、3組のカップルの愛とエロが描かれています。個性的なカップルたちは見ていて飽きることがありません。男子高校生たちのアホな可愛さに、ほのぼのとした気持ちになりますよ。

エロにも重点が置かれているので、エロいBL漫画が読みたい!という方にオススメです。男子学生の青春を見たいという方にも、きっとご満足できる内容になっています。シリアスな部分はないので、気軽にサラリと読める一冊です。

 

おバカでエッチな方言ラブコメBL漫画『残りモノには愛がある!?』

「にっしゃん」に対し、高校生のときから6年間片思いをし続ける「よね」。二人は同窓会で久しぶりの再会を果たしますが、お酒も入ったよねは、長く秘めていたにっしゃんへの想いを爆発させます!これをきっかけに、むっつりスケベなよねと押しに弱いにっしゃんのラブラブな生活がはじまりました。

著者
彩景 でりこ
出版日
2008-10-31

二人の若さと勢いを堪能できる作品です。あるときは車の中で、またあるときは女子に見られながら観覧車の中で、あるいは寝ている友だちの横でなど、様々なシチュエーションのイチャラブエッチが描かれています。

作中に登場する阿波弁も本作の魅力を引きたてていて、関西弁よりも柔らかくて可愛らしい印象の阿波弁に、方言BL漫画の良さを実感すること間違いなしです!

 

オカン系男子とろくでなしビッチのエロコメ『やたもも』

生活能力皆無、さらにビッチでろくでなしのモモと、面倒見が良くお人好しな八田。この2人の出会いは公衆トイレで、モモの事後処理中に八田が遭遇するという最低最悪なものでした。

モモは彼のやさしい心につけこんで家に転がり込むことに成功しますが、一緒に暮らしていくうちに、彼に影響されて少しずつまともになっていくのです……。

著者
はらだ
出版日
2014-08-16

モモのキュートな笑顔やアホ可愛い言動に、八田とともに読者もメロメロになってしまいます。

たっぷりあるエッチシーンとシリアスな展開、そしてそれぞれの愛が絶妙に合わさっていて、読み応えがあります。特に、巨根&絶倫な八田がモモをめちゃくちゃにするシーンは、エロ好きには必見ですよ!エロコメディなのにシリアスな部分もあるという、これぞ「はらだワールド」な作品です。

好きになるのに年齢なんて関係ない。年の差恋愛を描いたBL漫画

年の差恋愛には、「恋愛対象にもならないのでは」という不安がつきものの。BL漫画にも、そんな不安を抱えながらも膨らむ好きな気持ちを丁寧に描いた作品がたくさんあります。

 

誠実だから、胸が痛い。教師と生徒の禁断愛BL 『好きになったらダメですか?』

『好きになったらダメですか?』は、高校の数学教師・名取洋平(なとりようへい)とその生徒である白石要(しらいしかなめ)の、前に進んではならない禁断の恋を描いた作品です。

名取を気付けばずっと目で追っていた要は、彼がゲイだと感付き、本人に確めてしまいます。同性愛者という共通点を持ったことで、教師と生徒という線を引きつつも距離を縮めていく要と名取。そんなある日要は、話の流れで名取にとって生徒が恋愛対象外であると知ります。それでも要は、名取への想いを募らせていくのですが……。

著者
文川じみ
出版日
2018-02-24

教師と生徒の恋は、決して許されるものではありません。その恋愛における高いハードルが、ふたりの恋をより切なく感じさせるのです。

だからこそ関係を進ませたい気持ちを抑えて、相手の立場や未来のために誠実であり続けようとするふたりの姿に、胸が締めつけられます。ただただ、ふたりの幸せを願わずにはいられない展開が続く作品です。

 

セロトニン大放出なおすすめ爽やかBL漫画 『デリバリーハグセラピー』

『デリバリーハグセラピー』は、三十路目前サラリーマンの桜庭貴一(さくらばきいち)と大学生バー店員の木島尚(きじまなお)の、週に1度の癒しのひとときから始まるラブストーリーです。

馴染みのバーで酔いつぶれてしまった貴一は、目を覚ますまで待っていてくれた尚を自宅に招くことに。そこで、ずっと隣にいると思っていた親友の結婚にショックを受けていたことを尚に打ち明けます。そんな貴一に尚は、抱きしめてもらうと幸せホルモンが出るからと、ハグを提案。貴一は10歳近く年下の大学生のとんでもない提案に戸惑いつつも、その心地よさのトリコになってしまいます。週に1回の「デリバリーハグセラピー」は、ふたりの距離を確実に縮めて……。

著者
宮田 トヲル
出版日

あくまで業務としてハグをする、後腐れのない関係から始まったふたり。お互いに一歩踏み込めずにいながらも会いたい気持ちが溢れ出ている姿に、愛おしさを感じます。

読み手への癒し効果も抜群。読んでいる間も読み終わった後も、セロトニンがたくさん出ているような気がするほどです。ちょっとやらしさを感じなくもないタイトルからは想像できないほどの爽やかさとあたたかさをかけあわせたラブストーリーから、たっぷりのマイナスイオンを浴びてみませんか?

 

読めばきっと、恋がしたくなるBL漫画『花は咲くか』

『花は咲くか』は、広告代理店のクリエイティブディレクター・桜井和明(さくらいかずあき)と美大生で下宿を営む水川蓉一(みずがわよういち)の、年の差恋愛を描いた作品です。

駅でぶつかってきた青年・蓉一に、なかなか手に入らない仕事資料を濡らされて焦っていた桜井は、同じものを持っていると言う彼の自宅へついていくことに。自宅兼下宿だという日本家屋の家屋の雰囲気に魅せられた桜井は蓉一に声をかけますが、かわいげのない物言いしか返ってこないことに腹を立てます。その翌日、桜井は駅で体調を崩し、そこに居合わせた蓉一宅の下宿人・菖太(しょうた)と竹生(たけお)に連れられて、再びあの日本家屋で体を休めることに。そして桜井はその日から繰り返し、蓉一が住む日本家屋へと足を運ぶようになって……。

著者
日高 ショーコ
出版日
2009-12-24

舞台となる日本家屋の穏やかな時の流れと融合するかのように、ふたりの関係はゆっくりと進展していきます。自分にしか興味を持てなかった桜井と、自分にすら無関心だった蓉一。そんなふたりが互いに他人へ興味を持つきっかけとなり、惹かれ合い、自分の生き方や考え方すらも変えていく描写からはきっと、人を好きになることの尊さが伝わってくるでしょう。「恋っていいな」と素直に思える1冊です。

本作の魅力をより詳しく知りたい方は、『花は咲くか』全5巻の見所をネタバレ紹介!スローで優しいBL漫画が映画化の記事もおすすめです。

 

優しい恋を描いた年の差おすすめBL漫画『山田と少年』

山田(やまだ)は特筆何か持っているわけではない、普通の26歳の社会人です。クリスマスの冷える夜に酒に酔って路上で寝ている少年、鈴木千尋(すずきちひろ)を拾います。

鈴木は自分が同性愛者であることに悩み、苦しんでいる少年でした。そんな重たい問題を抱えている鈴木を自分が救えるはずがないと割り切ろうとする山田ですが、次第に鈴木のために何かしてあげたいと思うようになります。

神社に行き、自分恋愛運を使い果たしてでも鈴木の幸せを願うようになる鈴木。両者から生まれる柔らかい感情に、涙を誘われる一冊です。

著者
三田 織
出版日

表紙の絵から、三田織らしい暖かい雰囲気がうかがえます。何も持っていなかったはずの山田が、鈴木という大切なものを宝物のように扱うシーンは、胸が暖かくなっていくようです。

多感な思春期である10代の鈴木が、山田に見合うような大人になりたいと陰ながら努力するシーンがとにかく可愛く、健気な鈴木を思わず応援したくなります。

人はきっと一人では生きていけなくて、自分よりも大切な誰かに出会えた時、本当の生きる意味を知るのではないでしょうか。優しさが詰まった恋の物語は、読者の恋心を刺激します。

 

大学教授と生徒の胸キュンBL漫画『暫定ボーイフレンド❤』

「ハイスペックな年下男子」と「ドジっ子ツンデレ年上男子」のカップリングが楽しめる本作。

秋月(あきづき)はその可愛らしい見た目から、日々痴漢にあっている大学教授です。ある日、教え子のハイスペック男子、北村怜矢(きたむられいや)に助けられたことで、その距離が縮まります。

女の子にもモテる北村がどうして自分を気にかけるのかわからないまま、秋月は北村に構われます。チャラそうな見た目通り、どSな態度で迫られて困惑する秋月。案外一途な北村に次第に心を開いていく秋月でしたが……。

著者
高崎ぼすこ
出版日
2016-11-25

秋月の照れた顔や、素直になれずに悪態をつくシーンは、読者をキュンとさせるポイントです。

イケメンのギャップにやられてしまうのは秋月は、北村によってかなり強引に体を重ねることになりますが、そこにはきちんと愛情がこもっており、乱暴さを感じることはありません。 快感や推しに弱い秋月が、今後北村の超絶テクニックにどこまで溺れていってしまうのか、必見です。

相手よりもバカになることで成長する!ほっこり漫画『恋とはバカであることだ』

年下純粋わんこ男子と、ヘタレでビビりな年上男子の恋です。純粋に相手が好きで、かっこよく見せたいと思うがゆえにすれ違ってしまう二人から、もどかしさを感じられるストーリー。

真木信二(まきしんじ)は32歳にしてようやく、初めての彼氏ができました。相手は12歳年下の大学生、佐山(さやま)。お互い超絶タイプでラブラブだけれど、真木は佐山に対し、3つの問題を感じていました。

1つめに「若すぎること」、2つめが「がつがつくること」、3つめは「佐山が真木を恋愛経験者であると思っていること」です。いっぱいいっぱいだけど、佐山の前ではかっこつけたい真木。好きな人を相手に見栄をはるのは仕方がありませんが……。

双方の誤解が解け、リラックスした大人の恋愛をむかえることはできるのでしょうか?

著者
おげれつ たなか
出版日
2014-06-10

個人の成長が、お互いをより良い関係にしてくれるということがわかる本作。恋愛という経験値だけでは測れないものに奮闘する姿が可愛らしくて、微笑ましく見えます。

タイトル通り、ハッキリ言って二人は「バカ」です。しかしお互いを思いやるからこその「バカ」なので、佐山と真木の幸せを願わずにはいられません。

輝かしい業界の恋愛事情。芸能界が舞台のBL漫画

芸能界を舞台にした作品も多い、BL漫画。芸能界という非日常的な世界で起こる恋愛を描いてはいますが、登場人物たちの揺れ動く心情には共感できる部分もたくさんありますよ。


ハイテンション、トロ甘アイドルBL漫画『俺たちナマモノ?です』

『俺たちナマモノ?です』は、元高校サッカー部の先輩後輩で人気アイドルユニット「HR(ホームルーム)」を組む立花累(たちばなるい)と新條響(しんじょうひびき)の、ビジネスラブから始まる恋物語です。

ユニット結成5周年に向けて仕事に邁進するふたりは、事務所の先輩榛名(はるな)から、「ひびるい」というワードでのエゴサをすすめられます。そこで見つけたのは普通のファンサイト……、かと思いきや、ふたりが裸でキスをしているエッチな漫画でした。興奮してしまった累は、漫画と同じことをしてみないかという響の誘いを興味から断れず、体を繋げることに……。そしてその行為をなんと、マネージャーに見られてしまいます。

ところがマネージャーは慌てるそぶりもなく、腐女子ファンが多いからという理由でふたりに「仕事として付き合ってみたらどうか」と提案。戸惑いを感じつつも、ふたりはビジネスお付き合いを始めることに……。

著者
腰オラつばめ
出版日
2019-09-27

この作品の魅力は、なんといってもエロとテンポのバランス感の良さ。BLを初めて手に取る人にとってエロ描写はハードルが高いと思います。効果音や喘ぎ声、赤面顔に抵抗を覚える人もいるでしょう。ただこの作品に関してはそれらの要素はありつつも、ちょっぴりおバカで純粋な累と表面上はクールな響の掛け合いがコメディタッチに描かれているので、ちょっとエッチなBLの入門書としてうってつけ。

なによりひそかに累のことを思い続けてきた響の一途さと、そんな響に触れられることに幸せを感じ始めた累の心情描写に、ときめきが抑えられなくなること必至。あちらこちらに胸キュンがちりばめられたアイドルの日常をのぞき見できる、そんな贅沢な作品です。気づけばひびるいのファンになっているかも……!

 

夢を支えあうふたりにしか紡げないラブストーリー『アプリコットの心臓』

『アプリコットの心臓』は、脚本家を夢見る小説家・日比千歳(ひびちとせ)と、今をときめく王子様系俳優・芹沢杏平(せりざわきょうへい)の、夢と青春と恋がたくさんつまったBL作品です。

千歳は、子役のオーディションで出会った杏平の演技に心を奪われます。その瞬間、杏平に自分の書いた脚本を演じてもらうことが、千歳の夢になりました。

それから12年。千歳の目に飛び込んできたのは、杏平が芸能活動を休止するというニュースでした。夢が途絶えてしまった千歳は、せっかく書き上げた脚本をコンテストへ提出することすら諦めてしまいます。そんな打ちひしがれる千歳の前に現れたのは、世間を騒がせている杏平本人でした。さらに驚くべきことに杏平は、千歳の脚本を演じさせてほしいと言い出して……。

著者
柚子町汐
出版日

千歳と杏平の恋物語としての満足度もさることながら、夢を追う若者たちの青春物語としての爽やかな読後感も素晴らしい本作。本当にやりたいことと実際にできること、世の中から求められていることのズレに悩みながらも、互いに影響を与え与えられながら少しずつ変わっていくふたりの姿がとてもまぶしい1冊です。

 

ドラマの裏側で、静かに燃え上がる恋 『25時、赤坂で』

『25時、赤坂で』は、新人俳優・白崎由岐(しらさきゆき)と人気俳優モデル・羽山麻水(はやまあさみ)の、ドラマ撮影中にくり広げられる恋を描いた作品です。

エキストラを中心に細々と役者を続けていた白崎。そんな彼のもとに、「同性愛」を題材にしたゴールデンドラマのメインキャストという大きな仕事が舞い込みます。しかも大学時代から憧れていた羽山との共演というビックチャンスでした。

ドラマの飲み会の後、白崎は酔った羽山と勢いで一夜をともにし、気持ちよさを知ってしまいます。その経験のせいで役どころが掴めずにいた白崎は、ハッテン場(※)へ。そこで声をかけてきた羽山から、演技のためのセックスパートナーにならないかと提案されて……。 
※ハッテン場:男性同性愛者の出会いの場のこと

著者
夏野寛子
出版日

羽山との関係をあくまでドラマ撮影期間だけにとどめるつもりだった白崎。その考えとは裏腹にどんどん羽山に惹かれていく白崎の純粋さが、切なさをかきたてます。そんな白崎の恋心が演技と溶け合った瞬間には、見惚れてしまうほどの神秘的な美しさを感じるでしょう。

また、目ヂカラに凛とした強さを感じる作画も魅力的。キャラクターたちの目に映る光を通して、芸能界の華やかさはもちろん、心に宿った抑えられない気持ちを垣間見ることができます。

華やかな世界の裏側で織りなされる普遍的な恋に、猛烈なドラマを感じる1冊です。

危険と隣り合わせの恋愛。任侠BL漫画

自分がいる場所とは疎遠な世界である、任侠モノ。バイオレンスな世界でくり広げられる恋模様にドキドキが止まらないこと必至です。

淫乱と性的不能が進む、危うすぎる恋路『囀る鳥は羽ばたかない』

『囀る鳥は羽ばたかない』は、真誠会の若頭兼真誠興業の社長・矢代(やしろ)とその付き人兼用心棒・百目鬼力(どうめきちから)の、危険と隣り合わせの世界で静かに始まるラブストーリー。2020年には劇場アニメ化もされた人気作です。

ヤクザのナンバー2とは別に、組員から影で公衆便所と言われたり、事務所にやってきた刑事にも犯されたりする、ドMで変態、淫乱な一面がある矢代。そんな彼のもとに、刑務所から出てきたばかりだという百目鬼がやってきます。

百目鬼を気に入った矢代は、部下には手を出さない主義にもかかわらず彼を誘います。ところが百目鬼が性的不能だと判明。矢代は自分に欲情しない百目鬼を、ますます気に入るのですが……。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2013-01-30

表向きは飄々としている矢代ですが、その内側には徹底的に蓋をしてきた自身の過去にまつわる複雑で壮絶な想いが渦巻いています。そんな彼がまっすぐぶつかってくる百目鬼にだけは、思いがけず本音を引き出されてしまい戸惑う姿に、矢代本来の人間性を猛烈に感じずにはいられないでしょう

暴力的な描写もセックスシーンも決して少なくはない本作。そのためBL初心者向けとは言いづらい作品だと思います。しかし本音を隠したい矢代と本音を知りたい百目鬼の、いつ壊れてしまってもおかしくない危うい関係性にどうしようもなく引き込まれます。既刊6巻をあっという間に読破してしまうでしょう。

本作については『囀る鳥は羽ばたかない』の見所を全巻ネタバレ紹介!大人気ヤクザBL漫画!の記事で詳しく紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

 

危ない世界の、ほんのり怖い執着愛BL漫画『白刃と黒牡丹』

『白刃と黒牡丹』は、黒々組若頭・黒井憲剛(くろいけんごう)と弁護士・白樺刀麻(しらかばとうま)の、切っても切れない幼なじみ同士の恋愛を描いた作品です。

白樺から告白を受け続ける日々を送っていた黒井。ある日黒井は白樺から、組の顧問弁護士になるという報告を受け、激昂します。黒井にとって白樺は、堅気である以上に大事な存在。だからこそ危ない世界に近づけたくないと思っていました。しかし白樺はその黒井の気持ちを知った上で、隣に立つ手段として顧問弁護士になることを決め、組長や先代顧問弁護士へも根回しを済ませていて……。

著者
ゆくえ萌葱
出版日

この作品を一言で伝えるとしたら「執着愛」でしょう。黒井の優しさを知った上で、何が何でも側にいるために顧問弁護士という立場を手に入れる白樺の愛には、一種の恐怖すら感じます。

ただそんな怖さを帯びた執着を描いているにもかかわらず、ライトに読み進められるのが本作の魅力。きっと脇役の明るい人柄と、なにより黒井の優しさが任侠モノのハードな側面を和らげてくれるからだと思います。

大切だからこそ遠ざけたい黒井。大切だからこそ側にいたい白樺。危険な世界に身を置くからこそ交わらないふたりの想いがどんな終着点を見せるのかを、見届けませんか?

 

ピュアとエロスのコントラストに酔いしれるBL漫画『やさしいあなた…』

『やさしいあなた…』は、とあるバーで出会った春本と水田の一目惚れから始まる恋の物語です。

バーで出会ったふたりは、映画を見たり一緒に食事をしたりとデートを重ねます。しかし春本も水田も、デートに後ろめたさを感じていました。なぜならふたりとも、ヤクザという素性を隠していたからです。 

会えば会うほど想いは積もっていく。かといって組は簡単に抜けられない……。そんな葛藤を抱えながらも、夢のような時間を楽しむふたりでしたが、その幸せなひとときは長くは続かなくて……。

著者
["西田ヒガシ", "西田 東"]
出版日

裏社会で生きるふたりの恋愛を描く本作ですが、不思議と古い洋画を見ているかのようなロマンティックな雰囲気にあふれています。その理由は、ふたりのデートがあまりにも瑞々しく、純愛を絵にかいたようなものだから。

一方でキスやセックスの描写には、ゲイとして生きてきたふたりの経験値を感じる色気が漂っています。ピュアとエロスのコントラストに心地よく酔えるのも、本作の魅力でしょう。

またふたりが身を置く極道は、決して甘くない世界です。その高い壁がふたりの恋路をより困難なものとし、切なさを増幅させます。極道の純愛の行く末はどうなるのか、ぜひ見届けてください。

 

憂鬱と暗闇の中で交わる想いがせつないBL漫画『NightS』

唐島真人(からしままさと)は薬などを密売を手伝う、いわゆる運び屋をしています。ある日、仕事の依頼に現れたヤクザ、穂積マサキ(ほづみまさき)の妙な色気に惹かれ、仕事を引き受けました。

仕事を依頼されたことで優位に立つはずの唐島は、いつの間にか穂積に振り回されるようになります。いやいやながらも仕事はしっかりこなす唐島は、穂積の放つ特有の色気に惹かれ続け、危うく気を失いそうになるほどです。危ないくらいに激しい愛の物語がスタートします。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2013-02-09

ストーリーは暗くシリアス感を放っていますが、読み進めていくうちにコミカルで思わず吹き出してしまうようなシーンも登場します。クールに見える唐島も、穂積の前では学生のように可愛らしくなる一面もあり、読者を飽きさせません。

大人びて、余裕そうな穂積が、いつも小ばかにしている唐島に抱かれるシーンは必見です。また、ヤクザなどの裏社会的な設定が苦手な方でも、スッと入り込めるような暗すぎないストーリーになっています。

大人の恋の駆け引きが楽しめる今作は、思わず息を飲んでしまうシーンも満載です。

切り口の意外性も楽しんで。人外BL漫画

ファンタジー要素満載の人外BL漫画。現実にはない世界を描けるので、切り口の自由度や意外性も楽しめる作品が多いのが特徴です。

このジャンルの漫画をもっと知りたい方は、ケモノが出てくるBL漫画おすすめ5選!ケモショタ作品も!の記事もおすすめです。

 

この優しさは、言葉にできない 『ワンルームエンジェル』

『ワンルームエンジェル』は、人生諦めモードのアラサー無職・幸紀(こうき)と彼の前に突然現れたふてぶてしい天使の、言葉にできない関係性を描いた作品です。

いつ死んでもいいと思っていた幸紀はある日、バイト先で絡んできたチンピラに刺されてしまい、生死の境をさまようことに。そんな彼のもとへ突然、背中に羽の生えた天使が降り立ちます。あの世からの出迎え……かと思いきや、無事退院した幸紀。自宅のドアを開けるとそこには、あの天使がいたのです。天使はどうやら、飛び方を含め記憶をなくしているようで……。

その日から、天使が飛べるようになるその日まで……。幸紀と天使の不思議な同居生活が幕を開けます。

著者
はらだ
出版日

本作は、言葉にするのが本当に難しい作品だと思います。帯に「あなたは、この関係をなんと名付けますか?」とあるように、ふたりの関係性にしっくりくる言葉が思いつかないのです。

また本作はBL誌「on BLUE」に掲載されていた作品なので、書店や電子書籍サイトではBLコミックにカテゴライズされています。しかしなかにはきっと、BLとして読まない人もいるでしょう。それくらい枠に当てはめて読むのが難しい、いや枠に当てはめて読む必要性を感じない作品です。

自分を諦め続けてきた幸紀と、厚かましく毒舌な天使。互いが心の底で望んでいたものを知らず知らずのうちに与えあっていくふたりの姿は、読み手に「自分も誰かにとってこうありたい」と思うきっかけをくれるような気がします。

世の中に息苦しさや生きづらさを感じている人がいたら、ぜひ本作を手に取ってみてください。幸紀と天使の不思議な日々から、自分にとっての幸せを見い出すヒントが見つかるかもしれません。

 

新たなイチャラブの形、十二支エッチ!?『十二支色恋草子』

『十二支色恋草子』は、神に仕える動物たちに憑かれる「神使憑き」という共通点を持った干伊正隆(かんいまさたか)と古万乃胡太朗(こまのこたろう)のイチャラブを描いた作品です。

神使たちのお休み処で宮司をしている正隆のもとへ、お社が家事で燃えてしまい困っていた古万乃神社の跡継ぎ・胡太朗と御祭神コマが助けを求めにやってきました。しかしお休み処は、過去に猫をのけ者にした十二支たちも利用する場所。コマと十二支たちの関係は修復されていなかったため、話がうまく進みません。そして機嫌を損ねたコマがお休み処から脱走して……。

著者
待緒 イサミ
出版日

正隆と胡太朗が惹かれ合い甘々になっていく過程はもちろん、かわいい動物たちにも癒される本作。その一方で、エロシーンも毎話出てくるくらい充実しています。毎月異なる十二支に憑かれ影響を受ける正隆の、動物の特徴を捉えたあらゆる愛情表現を満喫できるでしょう。

幸せなラブストーリーは外せない、でも少し変わった物語が読みたい方におすすめの1冊です。

 

血の味で感じて伝わる、好きな気持ち『花と純潔』

『花と純潔』は、人間の赤城弥生(あかぎやよい)と吸血鬼の日向千歳(ひゅうがちとせ)の、種族を超えたラブストーリーを描いた作品です。

舞台は吸血鬼と人間が共存する世界。純血種の吸血鬼である千歳は、その希少性とセレブ性からいつも、見目麗しい女の子たちに囲まれてました。そんな彼にひそかに心を寄せていたのが、弥生です。

弥生はひょんなことから千歳に抱かれ、吸血されることに……。拒まなければと思いつつも、憧れの人からどんな形であれ求められることに快感を覚えてしまいます。しかし千歳にとってセックスは、「血の味をよくする」食事の一貫でしかなくて……。

著者
桂 小町
出版日

この作品のキーポイントはやはり、種族の違いでしょう。本作で吸血鬼と人間は、共存しているとはいえ本質的には理解し合えていない存在として描かれています。千歳に寄ってくる人間はあくまで、純血吸血鬼というセレブ性に惹かれているにすぎません。だからこそ、弥生の純粋な好意や千歳の孤独の切なさが際立つのです。

また千歳の、吸血鬼ならではの心情描写にも注目を。血の味の変化が心の変化とリンクしているため、彼の想いはより本能的なものとして伝わってくるでしょう。その吸血シーンには、体の内側に響くような色気も漂っています。切なさとエロさの塩梅が絶妙な1冊です。

獣人と生きる世界を描いたBL漫画『ROMEO』

BL界でも、次から次へと新しい設定やジャンルが増えており、日々楽しみではありますが、ここにもまた、新しい世界観を持った作品が登場しています。『ROMEO』は、ファンタジー好きにもおすすめできる、壮大さと独特の世界観が魅力です。

著者
わたなべ あじあ
出版日

人類強化獣種・ライカン。彼らは遺伝子組み換えにより、通常の人よりも桁外れの身体能力を持ち、寿命もほぼ不死近い獣人族です。このライカン達は、性欲が強いうえにほぼ不死身のため、増殖しないように雄しかいません。彼らの主な仕事はモンスター退治で、城や街を守る戦闘部隊に所属しています。

主人公・光陽は、隊の中でも古参であり、そしてかなり強力なフェロモンの持ち主です。部隊内での面倒事を回避するため、年下の獣人・ジェイドが性処理を手伝っています。処理はするくせに、最後まではしたことがない二人。本当は惹かれ合っているのですが、関係はなかなか進展しません。誤解が誤解を生み、ショックを受けた光陽は他の獣人の誘いに乗ってしまいます。

もともと同人誌で連載されていた作品ですので、作者の趣味や好みがぎゅぎゅっと凝縮されています。けっこう濃い内容です!好みは分かれるかもしれませんが、世界観にハマってしまえば、この濃厚さにぐっと心を掴まれてしまいます。ファンタジーらしい壮大さと、考え抜かれた設定に興奮すること間違いなしです。

ファンタジーの世界にぐっと浸りつつ、光陽とジェイドの両片思いにハラハラしてください。世界観が掴めるか不安な方でも大丈夫。どっぷりと『ROMEO』の世界に浸ることができます。詳しい説明もありますのでご安心ください。

長い時間が生む、切なくも温かいちょっと不思議なBL漫画『500年の営み』

主人公の山田寅雄は恋人の太田光が事故死したのを聞き、生きていても仕方がないと後を追って自殺します。しかし、250年の冷凍保存の後、なんと未来の世界で目覚めてしまうのです。そこで世話役として起動したアンドロイドのヒカルBは、亡くした恋人に似せて作られたはずが、似ても似つかない魅力が「3割減」のロボットでした。

著者
山中 ヒコ
出版日
2012-07-25

家同士の仲が悪く、光とほぼ駆け落ち同然で恋人になった事でとうとう絶縁状態になってしまっていた親が、自分のためを思って冷凍保存を実行したという事を知る寅雄。涙を流す彼に対してヒカルBは言います。

「『泣いてるの?寅 うれしいの? かなしいの?』」 
(『500年の営み』より引用)

アンドロイドであるが故に、感情を詳しく理解する事ができないヒカルBは作中で二度この台詞を言います。しかし、問いかけの意味は最初と二回目ではまったく異なります。一回目は親への感謝や後悔、安堵など複雑な思いが入り混じったシーンでのもの。二回目はヒカルBへの愛や絆に対してのものなのです。寅雄とヒカルBの成長と思いの経過を見る事ができる、この作品を象徴する台詞となっています。

分類としてはBL漫画ではありますが、今までにないストーリーです。恋人とそっくりなアンドロイドが主人公を困惑させ、気持ちが通じ合ったとしても、アンドロイドゆえの寿命の違いによって悲劇が起こる作品は数多くあります。しかし、従順なアンドロイドが恋人と似ておらず不滅的である事によって主人公が救われるという逆方向からのアプローチをした作品はそうありません。

また、本作は余白や時間の空白が多い本作品。読者の感性や想像力でストーリーをつなぎ合わせることによって、私たちに対して言葉にできない思いを優しく伝えてくる作品だといえます。

ノラ猫は愛を見つけることができるのか『クロネコ彼氏のアソビ方』

2012年から連載されている「クロネコ」シリーズは、スピンオフ作品もあり、大変読み応えのある作品です。ノラ猫主人公が愛する人と出会い、幸せを掴んでいくシンデレラストーリーが楽しめます。

主人公の真悟は、ネコに化けることができるネコ科人間です。性に奔放な真悟は、日中は映画のセットの設置や解体をし、働いてはいますが、夜になれば一夜の相手を探し回る日々。けれど、ある映画撮影の現場で人気俳優の賀神に、正体がバレてしまいます。

そして、彼の罠にはまった真悟は、一夜を過ごすことになるのですが……。

著者
左京 亜也
出版日
2012-09-29

この作品で面白いのは、遊び感覚で手を出してきた賀神の方が、真悟に夢中になってしまうところです。あまりにもツレない彼に、一生懸命アプローチします。真悟がなかなか懐かないので、賀神は四苦八苦です。イケメンの焦り落ち込む姿は見物ですよ。臆病な真悟に、賀神は愛情を注ぎ、そして最後は粘り勝ちのハッピーエンドです。

この作品全体から伝わるのは、二人の愛し合っている気持ちです。愛情溢れんばかりにたっぷりと描かれているので、読んでいくうちに幸せな気持ちになれる作品です。ドキドキしたいけど、ほっこりもしたい方におすすめします。

男性も妊娠できる世界を描く。オメガバースBL漫画

男性も妊娠できる世界を描く。オメガバースBL漫画

2015年頃から作品が出始め、年々作品数も増加し、BL界のトレンドになっているジャンルが「オメガバース」です。男女以外にα(アルファ)・β(ベータ)・Ω(オメガ)という第二次性があること、そしてΩなら男性でも妊娠できる設定が特徴的です。

αは、体格・容姿ともに優れたエリートです。αは周囲にヒート(発情)中のΩがいた場合、ラットとよばれる発情状態になり、性的衝動を抑えられなくなります。主人公やパートナーの場合はαの性質に嫌悪を抱く人物として、それ以外のキャラの場合は地位を利用するなど傲慢で支配的な人物として描かれている印象が強いです。

βは人口が1番多い、普通の人間として描かれます。αやΩのような発情期はなく、交際や結婚もβ同士でするのが一般的とされています。

Ωは、社会的地位の低い人間として描かれることが多い存在です。一方で人口の少なさから、厚遇される対象として描かれることもあります。Ωには数ヶ月に一度、約1週間、ヒートと呼ばれる発情期がきます。この期間のΩの特徴は「フェロモン」を出すこと。フリーのαや時にはβをも本能的に誘惑してしまう強い匂いが自分の意思とは無関係に出てしまうため、就職や就学の際に敬遠されたり、日常生活でも偏見を受けたり、性被害にあったりすることも少なくありません。

Ωの中には社会で少しでも生きやすくするために、物理的にヒートを抑える抑制剤を服用している人もいます。しかし抑制剤も、効用が100%保証されているわけではありません。周囲へのフェロモンによる影響を完全に抑えるには、特定のαと「番(つがい)」関係を結ぶ必要があります。番はフリーのαがフリーのΩのうなじを噛むことで成立。番成立以降はフェロモンが変質するため、そのαとΩの間でしか発情しなくなります。不特定多数を誘惑するリスクがなくなるため、Ωの就職や外出のハードルが下がるのです。

またなかには出会った瞬間、本能的に惹かれ合う「運命の番」という関係もあります。

オメガバースをテーマにしたBL漫画をもっと知りたい方は、オメガバースとは?意味とおすすめBL漫画ランキングベスト10を解説!の記事もおすすめです。

 

誰もが導き、導かれる存在になれる。希望あふれるBL『先生のせんせい』

新米小学校教師でαの大路譲(おおじゆずる)とスクールカウンセラーでβの保美公彦(やすみきみひこ)の、職場内恋愛を描いた物語です

大路は新年度を迎えた勤務先で、高校時代の失恋相手であるスクールカウンセラーの保美と同僚として再会を果たします。意識しないようにと心がけるものの、何かと動揺する大路。そんな彼は、αの児童の相談に乗っていたところを保美に目撃され、「大路先生のような人が教師になってくれてよかった」と笑顔を向けられます。そこから高校時代に抱いていた気持ちが再燃しはじめて……。

著者
noji
出版日

数あるオメガバース作品のなかでも珍しい、αとβの恋愛を描いた本作。高校生時代には叶えたくても叶えられなかった恋がゆっくりと育まれていく様子に、心がじんわりと温まります

また小学校を舞台にした本作では、発情を迎える前の子どもたちとその成長を見守る大人たちが描かれています。自分の性に向けられるレッテルや偏見に戸惑う子どもたちに、対等に寄り添う教師として描かれている大路ですが、彼もまた同じように自分と対等でいてくれた保美に導かれてきた存在です。

誰もがきっと、誰かの先生になっている。導きが、次の世代へどんどんつながっていく。そんな希望にあふれているBLだと思います。オメガバース作品には珍しく性描写も控えめなので、入門編にもうってつけの1冊です。

 

番愛と親子愛に心温まるオメガバースBL『嫌いでいさせて』

『嫌いでいさせて』は、シングルペアレントのΩ・古賀雫斗(こがなおと)と高校生のα・土屋葉月(つちやはづき)の、あたたかな愛情にあふれた物語です。

男性αに傷つけられた過去を持つ雫人は、1人で愛娘の雫(しずく)を守っていくと心に決めていました。しかし就活で「他のαやβを誘惑されては困る」と落とされ続ける雫人は、Ωの生きづらさをあらためて痛感。そんな雫人に、彼の頑張りも大変さも知っている母から、女性αも参加する婚活パーティーへ参加して番を見つけたらという連絡が入ります。

「雫を一緒に愛し守ってくれるαなんているのだろうか」と不安を抱えながら参加したパーティーで雫人は、会場スタッフの葉月から「運命の番だ」と腕を掴まれます。しかも葉月は、やっと決まった就職先の生徒だったのです。その日から雫人の、葉月のド直球アプローチから逃げる日々が始まって……。

著者
ひじき
出版日

第二次性のレッテルに苦しんできたふたりが、性別ではなく、ただ目の前の人に惹かれ一歩一歩関係を深めていく姿を丁寧に描いた本作。1人で抱えるには辛すぎる過去を抱えながらも娘のために頑張る雫人の強さと、彼の並々ならぬ努力を心から尊敬し、好きになってもらえる自分になりたいと願う葉月の誠実さにきっと、胸を打たれるでしょう。

恋愛模様はもちろん、家族愛にも涙できる本作。雫人と葉月、そして雫のそれぞれを大切に想う気持ちが漫画から溢れ出てくるような、ハートウォーミングな1冊です。

 

好きな人のため自分の弱さと向き合う。ひたむきな想いが美しいBL 『君は純愛にふさわしい』 

『君は純愛にふさわしい』は、性別に捉われずただひとりの人間として生きたいと願うα・津賀(つが)と、幼く落ち着きのないΩ・松前柚季(まつまえゆずき)の、タイトルどおりの純愛を描いた作品です。

何かと騒がしい柚季を苦手視していた津賀は、彼が橋の上から川へ飛び込んでしまいそうなほど深刻な表情をしているのを見かけます。放っておけず助けようと近づいた際に、匂いで松前がΩであることに気が付きます。

そしてその場に居合わせた母の言葉に流されるまま、津賀は柚季を家へと招き、さらに泊めることに。それ以降津賀は、柚季につきまとわれるようになって……。

著者
Luria
出版日

本作は、第二次性に強い劣等感を持つふたりが、互いの性や境遇、考え方を深く知る中で惹かれ合っていく様子を描いています。

「みんな同じ人間なのに」と性と向き合うことから逃げていた津賀。現状から逃げるために性を利用していた柚季。そんなふたりが互いの存在を通して自身と真剣に向き合うようになる姿に、相手を想う気持ちの強さを感じずにはいられません。

ふたりのひたむきな想いは、交わるのか。その結末をぜひご覧ください。

ちょっと不思議な設定が魅力!個性派おすすめBL漫画

ここから紹介するのは、ファンタジー要素や複雑な設定が面白いBL漫画です。リアルなストーリーも面白いけれど、ちょっと違う趣向に手を出したい……そんな人はぜひ読んでみてくださいね。

限られた世界での残酷な人間関係を描く『カーストヘヴン』

カースト制度と子供たちの残酷さを描いた作品。刺激や新しいものを求めている方におすすめです。学校という狭い世界で行われる「遊び」にドキドキが止まりません。

著者
緒川 千世
出版日
2015-06-10

主人公・梓はカーストゲームで最上級の札・キングを手にし、クラスで好き勝手やりたい放題でした。しかし、再び始まったカーストゲームで、自分の忠犬・刈野に裏切られ、ターゲット・いじめの標的にまで落ちてしまいます。

「その顔を苦痛に歪めるのが見たかったんだよ」
(『カーストヘヴン』から引用)


新しいキングは、裏切り者の刈野でした。その日から、今までの仕返しとクラスメイトから標的にされる日々。とうとう身体にまで手を出されそうになった時、刈野は梓に選択を迫ります。犯されるなら、自分かクラスメイト、どちらかを選べと言われ、そして梓が選んだのは……。

すごい設定ですよね。まずゲームでカーストを決めようという発想に驚きです。しかもゲームのルールは単純、校内に隠されたトランプを探すだけ。昨日までは雑魚扱いだった子が、次の日から人気者になれるんですから、全員必死です。こんな学校だからか、ほとんどの登場人物が歪んでいます。

どろっとした人間模様がお好きな方、ぜひ一度読んでみてください。癖になる面白さです。

 

幸せとは何かを考える、ほのぼのBL漫画『僕らの食卓』

『カーストヘヴン』とは打って変わって、癒しをくれて少し考えさせられる作品です。

穂積豊(ほづみゆたか)は過去に家族関係に対するトラウマを持っているサラリーマンでした。人と食事をすることが苦手で、公園でおにぎりを食べているところ、小さな男の子がやってきます。そこが、男の子の兄である上田稔(うえだみのる)と出会いです。

小さな弟、種(たね)を含めて三人で食事を囲むうちに、穂積は幸せを感じることができるようになりました。しかし、 同時にこの幸せを失うのが怖くもなります。穂積と稔と種、そして父と過ごしながら、幸せとは何か、失うとはどんなことかを学んでゆく、ゆったりとしたラブストーリーです。

著者
三田 織
出版日

食を通じて、愛情に触れていく本作。匂いまで伝わってきそうな絵に、思わずお腹が鳴ってしまいそうです。三田織らしいやわらかいタッチで登場人物が描かれ、紙面から暖かさが漏れ出してくるのを感じられます。

可愛らしい種の救いもあり、穂積と稔は恋人関係になりました。愛情に飢えていた穂積の心を不器用ながらに埋めてくれた稔に、一緒に生きようと伝えるシーンは読者を感動させます。二人の隣で成長していく種からも目が離せません。

手に入れることは、失うことに近いことです。誰しもそのことを理解していながらも、求めてしまうのでしょう。安心や信頼の本当の大切さを教えてくれる作品です。

優しさと葛藤が渦巻くアラビアンストーリー『王子と小鳥』

砂漠の国を舞台にした、御伽噺のような物語です。

貧乏美大生の鈴木圭一はある日目を覚ますと、借金のカタとして砂漠の国に奴隷としてオークションに出品されてしまいました。強欲で有名な国の第一王子に期待外れだとバカにされますが、彼の弟である第二王子によって買い上げられます。それから鈴木は日本に帰ろうと脱走を繰り返しますが、徐々に第二王子の優しさに惹かれはじめます。

著者
山中 ヒコ
出版日
2009-08-29

ある時、第一王子の気まぐれで第二王子と鈴木は引き離されそうになります。大切なものをなくす悲しみを恐れて、大切なものはすべて窓から投げ捨てていた第二王子。しかし初めて手放したくないと感じた鈴木という存在を前に、こう言うのです。

「お前を窓から投げ捨てる訳にはいかない」 
(『王子と小鳥』より引用)


第二王子が初めて執着の一面を見せたシーンです。アラブ、奴隷系統の話によくある、愛の無い体だけの悲壮感のあるつながりとは異なり、優しさと笑いが独特の雰囲気を作る作品となっています。

また、言葉では表現しきれない心情を作者独特の表情や身振り、空白の表現で作画されており、読むたびに味わい深くなっていく本作。作品に明確な終わりが無いためしっとりとした余韻が最後に残ります。

 

明治時代を舞台にした名家の当主と執事の物語『憂鬱な朝』

『花は咲くか』の作家・日高ショーコの作品。明治時代を舞台に、名門家の次期当主と、その家に使える執事の切ない恋愛模様を描いています。読み終えた後、上質な映画を見たかのような達成感が感じられる良作です。

著者
日高 ショーコ
出版日
2009-03-25

父も母も死別した10歳の久世暁人が頼れるのは、父の遺言にもあった「桂木」だけでした。父に言われた通り桂木に従い、少しでも気に入られようと努力しますが、彼は冷たいままです。他人には笑顔を見せるのに、なぜ自分だけと困惑する暁人。そんな暁人に対し、自分の主人は先代だけだと桂木は言い放ちます。二人の重々しくも切ない関係を、幼少期から青年になるまでを描いた作品です。

話が進むごとに変化していく、二人の関係性に注目です。特に、初めはピュアで素直だった暁人が、桂木を自分に繋ぎとめるために、どんどん強かになっていく姿は見物です。冷静沈着な桂木も、そんな暁人に引きずられるように、感情を露わにしていきます。7巻にわたり、じっくりと二人の関係性を描いているので、ストーリー重視の方にも、十分満足していただける作品です。

快楽と背徳が織り成す昭和の闇が描かれたBL漫画『蟷螂の檻』

本作では、暗くて痛いアンダーグラウンドな世界が描かれます。

物語の舞台は、昭和の地方名家。當間家の跡取りとして厳格に育てられた育郎が主人公です。母親には先立たれ、父親の愛情は全て妾腹の兄・蘭蔵に注がれていました。

孤独な育郎に、年上の使用人である典彦は、仄暗くて卑猥な愛を植え付けます。彼の思惑通り、育郎は快楽の虜となっていきました。時は過ぎ、當間家当主がこの世を去って育郎が次期当主を継ぐときが来ましたが……。

著者
彩景 でりこ
出版日
2016-11-25

育郎から蘭蔵に向けられた暴力は、父の愛情を奪ったことに対する憎しみなのか、はたまた父をたぶらかした得体の知れない力に対する恐れなのか。典彦から育郎に与えられる偏愛の真実など、作品全体を覆う独特な雰囲気に肌が粟立つ感覚を覚えるでしょう。

シリアスでドロドロ、救いのない暗い闇の底を覗いてみませんか?

 

時代物BL漫画!巧みな心理描写が光る『丸角屋の嫁とり』

武家の庶子である主人公の鈴は本妻の逆鱗に触れぬよう、男として生まれながら女として育てられ、ついには借金のカタに嫁に出されてしまいます。ここまではよくある時代物の設定です。

しかし、鈴はならず者に絡まれたところを、商人の新三郎に助けられ男というものに憧れを持つようになります。彼に助けられ、初めて新三郎と出会った事で始めて男という存在を見て鈴は驚愕と憧れを持ちます。

著者
山中 ヒコ
出版日
2009-09-30

「あれが 男か」 
(『丸角屋の嫁とり』より引用)


物語の始まりともいえる台詞です。そんな当たり前のことを口に出してしまうほど、彼女の周りには「男らしい男」がいなかったのでしょう。

主人公の鈴は、時代ものによくある、か弱く女らしく悲観しながらも相手の男に惹かれるという性格ではありません。生い立ちからも、あくまで男らしさへの執着と羨望があります。男に戻りたいと思う心情や、男らしさの憧れである新三郎に嫁いでからのすれ違い。それらの深く切ない心理描写がキャラクターの物語の中で交差し、魅せられます。複雑な環境下で育った少女はどのように成長し、愛を見つけるのでしょうか。

不思議な三角関係を描いた名作漫画『チョコストロベリー バニラ』

登場人物の3人とも歪んでいるという物語。歪んだ彼らが関係を持つことで、歪みに歪んでさらに拗らせて、最後には円満?になってしまう、不思議な感覚の作品です。

著者
彩景でりこ
出版日
2013-09-17

昔から大事なものは、幼馴染のタケに分け与えてきた拾。そんな拾の喜ぶ顔が嬉しくて、受け取り続けるタケ。それは物だけにとどまらず、恋人に至るまで共有しようとします。そんな拾に告白したミネは、「共有」のことなど知りもしません。拾は言います。タケを自分と同じように思ってほしいと。拾にずっと恋焦がれていたミネは、タケを受け入れる決意をします。

始まりからして歪な関係です。タケも拾の行為を「歪な好意」だと認識していますが、口に出すこともなく、流されるまま。そんな二人の関係に、振り回されているミネでしたが、身体は許しても、心だけは拾を一途に思い続けています。

一途なミネを見ている内、タケと拾にも今までとは違う感情が徐々に出てくるのです。様々な思いが絡み合い、彼らは彼らなりの円満な結末を探し出します。



「特別な」とか「禁断の」というよりも、世の中にごくごくありふれた恋愛を楽しめる作品が増えている、BL漫画。もし今回紹介した作品の中で少しでも気になったものがある人は、ぜひ手に取ってみてください。

タイトルや表紙のインパクトに面食らって購入しにくいという人は、まずはアプリや電子書籍サイトの試し読みキャンペーンで読んでみてはいかがでしょうか。よきBLライフを。