浮気にはマイナスイメージがついて回ります。誰かと結婚、ないし付き合っている状態で他の人と深い関係になるというのは、やはり不誠実であるという印象はぬぐえません。浮気をする人の心理をよく知ることができる浮気漫画を5作品紹介します。
浮気に年齢は関係ありません。精神的、肉体的に異性に興味を持つ年齢となれば、恋愛をするのと同じくらいに、浮気も発生するものでしょう。大人よりも肉欲に引きずられやすく、純粋な面も持ちあわせているせいか、もしかしたら若者のほうが浮気という状況に苦悩するのかもしれません。
『ごくりっ』は、高校生の男女の浮気を描いた作品です。高校生というと、大人の目から見ればまだまだ未熟な子ども。そこに浮気という生々しい言葉がそぐわず、困惑してしまいます。
本作はとある方法を用いることで、浮気という言葉から感じる生々しさを排除し、肉体関係はありつつもどこかライトな浮気物語となりました。
- 著者
- 前原 タケル
- 出版日
- 2016-06-10
高校生の拓は、幼馴染の理子に片想い中。しかし、理子はもうひとりの幼馴染である直樹と付き合い始めました。2人と一緒にいることが多い拓でしたが、辛い気持ちを抑えることができません。
ある日、両親の仕事の都合で直樹が海外に引っ越しをしてしまいます。そこで拓は恋愛成就で有名な神社に参拝し、そこで理子が自分のことを考えるようになってほしいとお願いをしました。
彼の切実な願いが通じたのか、理子は拓の精子が無いと生きられない体になってしまいます。しかも、必ず理子の手や口を使用しなければ効果はないという状況に、彼女は仕方なく拓と関係を持ってしまうようになるのです。
お色気要素が満載ですが、拓と理子の関係性がとにかく風変わりな本作。理子は拓を挑発するようなそぶりも見せますが、あくまでも高圧的で、心は無いように見えます。身体から始まる恋、というよりも、性的な興味を追求していく関係にも思え、心の内を見せない彼女の本音を探りたくなってしまうでしょう。
強制的な浮気が描かれている本作、2人の関係から目が離せません。
自由恋愛という考えが定着している日本ですが、かつては当人たちの気持ちは関係なく、親の決めた相手と添い遂げることが最良とされていました。両者の性格が合えばよいのかもしれませんが、すべての結婚が幸せだったわけではありません。誰かに決められる結婚には、数多くのリスクがあったのです。
とはいえ、婚活をしても結婚相手が見つからない、と嘆いている現代人は、『恋と嘘』に登場する法律をいますぐ現実にしてくれないかと願うことでしょう。
本作は、国が国民すべての遺伝子情報から最良の結婚相手を見つけてくれる、「超・少子化対策基本法(通称:ゆかり法)」が施行されている世界なのです。
- 著者
- ムサヲ
- 出版日
満16歳以上の男女の自由恋愛は禁止され、国が決めた最良の伴侶と子どもを育て、家庭を築き、添い遂げることを義務付けられた日本。
満16歳となった少年、根島由佳吏は、結婚相手を知らせる通知を受け取って困惑していました。というのも彼は、ずっと片想いをしていた高崎美咲と両想いになったばかりで、自身の結婚について深く考えていなかったのです。しかし政府の決定は絶対で、逆らうことはできません。
結婚相手に定められた真田莉々奈にもその事情を知られてしまいましたが、彼女は思いもよらず美咲との恋を応援してくれました。結婚という形で結ばれなくとも、燃えあがっていく由佳吏と美咲の恋に、少しずつ由佳吏に惹かれていく莉々奈の恋心が絡みあってきます。
身内で決めたことなら駆け落ちという選択肢がありますが、本作は国が定めた法律というところがミソ。本当に好きな人と世間的には認められない想いを通わすという悲劇性が、現代でも不思議と馴染みます。由佳吏と美咲はもちろんのこと、莉々奈の微妙な立場ゆえの切ない心理にもご注目ください。
男女ともに、モテる性格や容姿を持っている人が存在します。なかには、複数の人と関係を持つ、浮気が通常の状態、という人もいるでしょう。浮気をしたいがために人に好かれる性格に変化したのか、浮気がたくさんできる状況だったので結果的にしてみたのか、その真相は当人にしかわかりません。
『彼女のいる彼氏』は、タイトルから察することができるとおり、浮気を扱った作品です。IT会社を舞台にした恋愛劇ですが、会社でのエピソードも含め、作者の矢島光の実体験や、周囲の人の現実にあったエピソードを参考に描かれていて、とてもリアル。イケメン男子に迫られ、恋に惑う女性の心理に共感できる女性読者も多いのではないでしょうか。
- 著者
- 矢島 光
- 出版日
- 2016-10-08
IT企業でデザイナーとして働く小泉咲は、近頃お疲れ気味の女子。彼氏はいません。自分を磨き、仕事も恋も全力で取り組むキラキラ女子たちに羨望のまなざしを向けていました。そんな咲の周囲には、女子にモテるイケメン男子がいます。徳永靖太郎と佐倉直己、性格は正反対な2人ですが、咲は彼らから積極的なアプローチを受けていました。
徳永は少々チャラチャラした面はありつつも、人当たりが良く、女性の扱いもスマート。後輩の佐倉は無表情でクール系、恋愛に対しても女性が不必要な存在と感じれば、すぐさま関係を切り捨ててしまいます。しかし、必要と感じる女性に対しては甘える姿を見せることもあるのです。
咲は徳永と佐倉、どちらかを選ぶことができず、相手のただひとりに選ばれることもなく、中途半端な関係を続けていきます。
咲が浮気の恋だと割り切り、身体だけの関係だけだったのならば、心理的には楽だったのでしょう。しかし気持ちがあるからこそ、どちらかを選ぶことができずに迷走してしまいます。
徳永と佐倉が、浮気に対してあまり罪悪感が無いところに腹立たしさを覚えるものの、そんな男性に惹かれる咲の気持ちを理解できてしまう女性は多いはず。読後感はちょっと複雑な作品となっています。
『彼女のいる彼氏』については<胸キュン社会人漫画『彼女のいる彼氏』の登場人物紹介!徳永クソすぎ>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
人間にはいくつかのモテ期があり、その時が来ると異性から思いのたけを告白されたり、アプローチされることが増えるのだとか。はっきりとモテ期を自覚する人もいれば、思い返せばあれはモテ期だったのでは、と振り返る人もいるでしょう。どちらにせよ、恋をする機会のひとつであることには変わりありません。
そんな羨ましいシチュエーションを描いた作品が『間くんは選べない』。彼女がいない歴が年齢と同じという、悲しき童貞青年が主人公の作品です。
- 著者
- 板倉 梓
- 出版日
- 2017-02-10
26年間彼女ができなかった間くんは、女性と性的な関係になったことはもちろんない、童貞青年。しかし、取引先の巨乳美人、憧れの人である里見さんと食事に行く機会をゲットしました。告白しようとするもののふんぎりがつかず、電車内で落ち込んでいた間でしたが、そこで酔っ払いに絡まれていた女子高生の野々宮鏡香を助けます。
LINEで里見さんに告白をしたものの、返事を貰えずに玉砕したと思い込んでいた間は、鏡香と偶然再会。連絡先を交換した後、告白をされます。浮かれていた間でしたが、直後に里見からも告白をOKする返事が舞い込んできたため事態はとんでもない方向へ……この機会を逃すわけにはいかないと、両方と付き合うことにしてしまったのです。
26年間も女性と付き合えなかったことを考えると、彼の選択を完全に否定することができないところが読者としても複雑な気持ちになるでしょう。しかし、どちらかと別れようと何度か考えるものの、関係を続けてしまう間の優柔不断さに、羨ましいと思いつつも腹立たしい気持ちがわいてきます。
26年間童貞だった間が、果たして二股状態を隠しきれるのか、読者もちょっと意地悪な視点で楽しめてしまう作品です。
相手が浮気をしていた時、人によって対応は異なるでしょう。すぐに別れる人、1度だけなら許す人、何度されても最終的には許してしまう人……どれも不正解ではなく、カップルそれぞれの程よい落としどころがあるはずです。
しかし、復讐をしようと思った時はどうでしょうか。
木乃伊取りが木乃伊になる、という言葉のとおり、最初の思惑とは違う方向に気持ちが傾いてしまうこともあります。『ダメ…ダメ…ずるい。』は、まさに木乃伊になってしまった女性の物語。浮気の仕返しに浮気をしてみたところ、本気の恋にシフトしてしまうのです。
- 著者
- しゃあた
- 出版日
- 2016-05-10
実家の工務店で働く白川柚には、田中周一郎という恋人がいました。両親公認の仲で、ゆくゆくは結婚するつもりでいた柚でしたが、ある日を境にその考えが一変してしまいます。
知らないアドレスから送られてきたのは、周一郎の浮気現場を撮影した写真でした。ショックを受けた柚は、彼に直接問いただせないまま女子会に参加、そして実は合コンだったというその場で、イケメン男子の泉圭人と出会います。
アプローチをしてこなかった彼女に興味を持った圭人に、積極的に迫られ、ついには身体の関係を結んでしまった柚。浮気をされた傷を埋めるかのように、圭人との関係に溺れていきました。
しかし、周一郎にも圭人にも、何か隠された秘密がある様子。2人への恋心のはざまで、柚は揺れ動き続けます。
登場人物に謎が多く、単純な浮気ものではない、ドロドロとした愛憎劇のような深い感情が見え隠れします。少女漫画ですが性描写はハードなので、苦手な方はご注意ください。
浮気というと少々軽い印象を受けるかもしれませんが、そこに関わる人々の心理には、言葉以上に複雑な感情が入り混じります。他の魅力的な人に惹かれる気持ちは理解できますが、実際に行動を起こす前に読んでおきたい作品ばかりです。