漫画『青のオーケストラ』の魅力をネタバレ紹介! 『青のオーケストラ』は、実在の高校のオーケストラ部を舞台にした、青春漫画です。将来を期待されつつも、とある理由から演奏することを辞めたヴァイオリニストの主人公が、オーケストラ部に入り、仲間と一緒にバイオリンに向き合っていきます。スマホの漫画アプリ「マンガワン」で無料で読むことができるので、チェックしてみてください。
吹奏楽の全国大会やコンクールで金賞を多数受賞する実績を持つ実力校、千葉県立幕張総合高校の「シンフォニックオーケストラ部」。実在する高校をモデルに、音楽を通じて、音と心を通わせていく部員たちを描いた青春漫画です。
とある理由でバイオリンを弾くことを辞めた主人公が、仲間たちとの交流によってしだいに心を開き、バイオリンや自分に向き合う様子が丁寧に描かれています。
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いかがですか?作品の世界観が伝わったのではないでしょうか。この記事では、より注目することでもっと作品を楽しく読めるポイントをご紹介します!
ネタバレも含みますので、未読の方はご注意ください。
主人公の青野ハジメは、著名なプロのヴァイオリニストの父親をもっています。幼いころから父の指導のもとヴァイオリンの練習に励み、一時は天才少年とも呼ばれ、将来を期待されていました。しかし、両親の離婚をきっかけに、ヴァイオリンを弾くことを辞めてしまいます。
ヴァイオリンを家の「開かずの間」に封印したまま、ハジメは中学3年の秋を迎えました。進路が定まらない彼に、担任の武田先生はもう1度弾かないのかと持ち掛けますが、首を縦に振りません。
そんななか、校舎のどこからともなく聞こえてくるヴァイオリンの音に気づきます。武田先生によると「秋音律子」という生徒が弾いているそうなのですが、その時は気にしていないふりをして過ごしました。
そして、ある日体育で怪我をしたハジメは、休んでいた保健室でヴァイオリンを弾く秋音に偶然出会うのです。さらに武田先生から、秋音にヴァイオリンを教えてやってほしいと頼まれ……。
主人公の父親は、著名なヴァイオリニスト。その息子であるハジメも幼いころからコンクールや大会で賞を取り、天才少年として将来を期待されていました。しかし両親の離婚をきっかけにヴァイオリンを弾くことを辞めてしまいます。
ハジメの父親は、ヴァイオリニストとしては一流でしたが、家庭では決してよい父や夫ではありませんでした。そんなに父に対する嫌悪感から、彼はヴァイオリンを拒むようになってしまったのです。
ハジメは自宅の開かずの間に自分のヴァイオリンをしまい、その音色から耳をそらすようになりました。
しかしひょんなことから、ヴァイオリンを始めたばかりの初心者、秋音に出会います。技術は拙くも、生き生きとヴァイオリンを弾く彼女の姿に、ハジメは心を打たれます。
そして秋音の練習に付きあううちに、ただただ音を出すのが楽しかったこと、ヴァイオリンが好きだったことを思い出していくのです。
「あんたの父親、ヴァイオリンとは違うと思うよ」と言う秋音の言葉に背中を押され、ハジメはもう1度ヴァイオリンと自分に向き合う力をもらいます。頑なに閉ざされていた彼の心が、秋音によってしだいにほぐされていく様子が丁寧に描かれています。
ハジメは、中学から高校へ進学しオーケストラ部へ入っていく過程で、さまざまな人物に出会います。
まずは、ヴァイオリンを再開するきっかけとなった、秋音律子。明るく朗らかで、やや勝気なところのある彼女ですが、ある日ハジメは、秋音が女子をいじめて転校させた、という噂を聞きました。
その事件以来、いつも保健室で勉強をしているという秋音。彼女が教室で見せた怖い顔に、ハジメは自分がまだ秋音について少ししか知らないことに気が付き、もっと知りたいと思うようになるのです。
ある時武田先生は、海幕高校に無事合格したお祝いにと、ハジメと秋音をラーメン屋に連れて行ってくれました。そこでハジメは、同じく天才と謳われる佐伯直について知ることになります。
ちょうど彼がヴァイオリンを辞めた2年前からコンクールに出はじめ、数々の賞を総なめするほどの実力の持ち主だといいます。音楽推薦で海幕高校に入り、オーケストラ部を引っ張る存在になるだろうと、入学前から噂になっているほどの実力者でした。
その後もハジメはあちこちで佐伯の名前を聞くようになり、どんな風にヴァイオリンを奏でるのだろうと、ライバル的存在が気になっていきます。
- 著者
- 阿久井 真
- 出版日
- 2017-07-19
また入学前に、楽器店でチェロを弾く山田と出会います。彼はハジメの顔を見るなり、「お前、青野だよな?」とまるで知り合いのように話しかけてきますが、当のハジメはまったく覚えていません。
彼は小学校のころからコンクールで一緒だった、と言います。ハジメのことを尊敬していたと言う山田は、自分と同じ海幕高校に入学予定だと知り、嬉しいとはしゃいだ様子です。明るく陽気な山田に、ハジメはやや強引にオーケストラ部に入る約束をさせられました。
秋音の友達のハルはおとなしい女の子で、ヴァイオリンの経験者です。高校入学当日、ハジメを見ると避けるかのように逃げてしまいました。一緒にいた山田はコンクールで会ったことがあると言うものの、ハジメはまったく思い出すことができません。ところがハルの方は何か思うところがあるようで......。
ヴァイオリンやオーケストラを通じてさまざまな人に出会い、ハジメや登場人物が交流することで成長をしていく様子も本作の見どころのひとつです。
登場人物の心理描写と、音楽の描写がリンクして描かれているのも、注目のポイント。特に印象的なのは、ハジメが再びヴァイオリンを弾くきっかけとなった河原でのシーンです。
学校に忘れていったヴァイオリンを家まで届けてくれたハジメを、秋音は今から教えてほしいと近所の河原に連れていきます。彼女がクラスに居場所がないことを心配するハジメに対し、秋音はヴァイオリンを弾くために通っていると返しました。
「だって好きなことを我慢するのはなんか違うじゃん?」
(『青のオーケストラ』1巻より引用)
好きなヴァイオリンを弾いて辛い過去の出来事を消化している秋音の姿を見たハジメは、自分は秋音のことが羨ましかったんだ、と気づくのです。
「ヴァイオリン弾いてみせて」と秋音に頼まれ、自分のなかで父親のことを整理したハジメは、2年ぶりに河原でヴァイオリンを弾きます。その時の彼の顔は、どこか解放されたようなすがすがしい表情で、久々に弾くことをただただ楽しんでいるよう。
セリフもト書きもないページですが、夕暮れの河原を感じながら、のびのびとヴァイオリンを弾くハジメからは、好きなものを好きと表現することの嬉しさが伝わってきます。
本作はプロの父を持ち、かつては天才少年と呼ばれたハジメが主人公。こう言っては何ですが、よくある主人公の設定かもしれません。
やはりもともと才能ある人物が上り詰めていく様子を見ている方がスケールが大きく、成長スピードも格段に異なり、見ていて楽しいものだからです。そしてその成長譚こそが少年漫画では定石だと思われます。
- 著者
- 阿久井 真
- 出版日
- 2017-11-10
しかし本作の見所はその天才少年が、凡人の少女に励まされて成長するというところにもあります。秋音はヴァイオリンにまっすぐに向き合うという才能はあるものの、技術的には未熟で、普通。
それなりのスピードでそれなりにうまくなってきます。しかしそんなどこにでもいそうな彼女こそが物語を動かす人物だというところに読者は共感してしまうのかもしれません。
2巻でも始まりこそハジメと佐伯という天才コンビのぶつかり合いが描かれましたが、そのあとはしっかりと秋音やある程度の実力はあるものの精神的に不安定なハルの様子が描かれます。
このように普通であれば物語の主人公にはなれない人物たちにもしっかりとページ数をさいて説明するところに引き込まれる要因があるのではないでしょうか。
そんなそれぞれの思いが混在するなか、物語は定期演奏会の演奏メンバーのオーディンが始まろうとしていました......。
みんなで演奏することの心強さ、難しさをますます感じさせてくれる展開になりそうです!3巻が待ちきれません!
『青のオーケストラ』について紹介した<『青のオーケストラ』がリアルすぎる理由とは?共感が止まらない理由を解説>の記事もおすすめです。
青春音楽漫画の『青のオーケストラ』。主人公ハジメの今後の成長に期待大です。スマホの漫画アプリ「マンガワン」で無料で読むことができますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。