『青のオーケストラ』がリアルすぎる理由とは?共感が止まらない理由を解説

更新:2023.3.9

「音楽が聴こえてくる」「色が見える」と話題沸騰中の『青のオーケストラ』。ヴァイオリンの元・天才少年とシンフォニックオーケストラ部という、珍しい題材でありながらも、「高校時代を思い出す」「心に沁みる」など、読者から共感の声が多くあがる本作。 回を追うごとに登場キャラに感情移入してしまい、どハマりしてしまう、そんな作品です。今回は、読者が夢中になってしまう作品の魅力を、あるあるネタとともに紹介します!

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『青のオーケストラ』あらすじ

まずは作品のあらすじから紹介します。本作は、高校生たちの心の成長を描いた物語です。

とある理由で、ヴァイオリンを辞めてしまった元・天才少年の青野一(あおの はじめ)。中学3年生の秋、一人の少女と出会いヴァイオリンともう一度向き合うことになります。

徐々にヴァイオリンと向き合い始めた頃、担任の後押しもあり、シンフォニックオーケストラ部(以下、オーケストラ部)のある千葉県立海幕高校(うみまくこうこう)へと進学。オーケストラ部の圧倒的な演奏に魅せられ、入部を決意します。

今までは一人で弾いていた青野ですが、オーケストラ部での活動を通じ、音を合わせる楽しさに気づきます。

初めての友達、初めての部活、初めての合奏……さまざまな初めてを経験し、演奏だけでなく心も成長していく姿が描かれる青春ドラマ。

本作は容赦無く読者の感情を揺さぶってきます。ジェットコースターのように感情が揺れます。

高校生が部活を頑張る物語かと思いきや、親の不倫や異母兄弟の存在など重いテーマから、母親との不和、親友との衝突なども描かれ、登場人物それぞれが壁にぶち当たります。

そんな逆境を乗り越えていく高校生たちが、輝いて見えてしかたない作品なのです。

なぜ、こんなにも作品に共感できてしまうのか。

ただの青春群像劇ではない、ということをお伝えしましたが、それでも本作の魅力は、やはり「輝く高校生」に集結します。

前回の記事でも書いたように、本作の舞台となっている海幕高校は、千葉県立幕張総合高校がモデルとなっています。徹底的な取材によるリアルな高校生活が描かれているため、過去の自分を思い出したり、共感できたり、作品に没入してしまうのです。

そこでこの記事では、作品の魅力を伝えるべく「あるある!」と共感できたポイントを紹介していきます。

「千葉県立海幕高等学校 シンフォニックオーケストラ部」とは

あるあるに入る前に、まずは本作の舞台から紹介します。海幕高校は、生徒数が2、000人を超えるマンモス校で、「シンフォニックオーケストラ部」という珍しい部活があります。

新入生を対象に行われる部活動紹介で発表されたオーケストラ部の部員数は164人。学内で一番大きい部活です。規模の大きさだけでなく、実力も兼ね備えています。全国大会で8年連続最優秀賞、各コンクールで好成績を残している、いわゆる強豪校。

出典:『青のオーケストラ』

オーケストラ部に入るために入学を希望するのは、青野たちだけではありません。コンクール経験者など、実力者が集まる部活です。
 

本作はオーケストラ部が描かれていますが、部活経験者なら、思わず共感してしまうポイントもたくさんあるのです。これから「吹奏楽部あるある」として進めていきますが、何かを頑張ったことがある人なら共感できるはず。「強豪部活があった!」と言う人も楽しんでいただけます。ぜひ最後までお付き合いください!

著者
阿久井 真
出版日
2017-07-19

#吹奏楽部あるある:返事がやたらでかい

#吹奏楽部あるある:返事がやたらでかい
出典:『青のオーケストラ』1巻

まずはこちらです。「一糸乱れぬ動きや、返事をする声の大きさに驚いた!」という経験がある人も多いのではないでしょうか。返事がでかいと運動部と間違われがちですが、吹奏楽部にとどまらず、強豪部活あるあるかもしれません。

また演奏で鍛え上げられた肺活量によって、持久走がめちゃくちゃ速い人もいたり……。厳しい環境が伝わってきます。

#吹奏楽部あるある:演奏がうまいイケメンの楽器になりたい

#吹奏楽部あるある:演奏がうまいイケメンの楽器になりたい
出典:『青のオーケストラ』1巻

読者から大人気の、3年生でコンマスを務める原田先輩。高校生にとって、先輩は同級生の5倍かっこよく見えてしまうのに、演奏がうまいイケメンはもう……本当にたまりません!

#吹奏楽部あるある:楽器の搬入、重いものは基本男子

#吹奏楽部あるある:楽器の搬入、重いものは基本男子
出典:『青のオーケストラ』5巻

演奏会などで楽器を移動する際は、自分たちで運ばなければいけないことも。普段は男女関係ないのに、こういうときだけ男扱いを受ける男子部員のみなさん。

#吹奏楽部あるある :顧問が怖い

#吹奏楽部あるある :顧問が怖い
出典:『青のオーケストラ』2巻

顧問が入ってきた瞬間に空気が変ったり、顧問が途中で帰った時には空気が固まったり……。しかし3年生くらいになると、わりと慣れてくることも。慣れってすごいですよね。

海幕高校のオーケストラ部顧問・鮎川先生は、強面です。しかし5巻で描かれる、部長・白石から顧問に感謝の言葉を送るシーンでは、慕われているのがヒシヒシと伝わってきます。彼女のメッセージでは、恩師を思い出して胸が熱くなってしまうでしょう。

#吹奏楽部あるある:人間関係のトラブルが多い

#吹奏楽部あるある:人間関係のトラブルが多い
出典:『青のオーケストラ』2巻

部員数が多いと、必然的にトラブルが多くなってしまいがち。『青のオーケストラ』でも3年生が抜け、代替わりをしたときは一気にトラブルが発生します。「前のやり方がよかった」「朝練もこない人がパートリーダーできるの?」など、部員の不満が爆発。とっても苦しい時期ですが、振り返ってみるとぶつかるのは大切なことだったなと、今なら思います。

#吹奏楽部あるある:オーディション前の空気→ピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリ…

#吹奏楽部あるある:オーディション前の空気→ピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリピリ…
出典:『青のオーケストラ』3巻

新入生にとって初めての演奏会でのシーン。演奏会に出るためには、オーディションを受けなければなりません。このオーディションで出られるかが決まるのはもちろん、ポジションも決まります。そんな演奏会前はピリピリピリピリ……先輩には特に話しかけづらかったことを思い出します……。

#吹奏楽部あるある:卒業すると、楽器を演奏する機会がまったくない

#吹奏楽部あるある:卒業すると、楽器を演奏する機会がまったくない
出典:『青のオーケストラ』1巻

青野の中学時代の担任です。大学生や社会人になるとあらためて思うのですが、毎日楽器を弾くというのは、学生の特権といえるのではないでしょうか。学校がなくなると演奏する場所は限られてくるし、自分から行動しない限り合奏なんかはもっての他。

辞めてから、学生の時間は特別なものだったと思い知らされます。

#吹奏楽部あるある:やり切った後の後悔は、ない!

#吹奏楽部あるある:やり切った後の後悔は、ない!
出典:『青のオーケストラ』5巻

部活を頑張ると、休みがない……ということもしばしば。平日は放課後に練習、土日は朝から夕方までみっちり練習。同級生が遊んでるなか、毎日怒られて、悔しい思いをして、このまま高校生活を終わっていいのか?と思った人もいるはず。

でも「部活をやりきる」という経験は、学生しかできません。やり切った後の感動は、きっと言葉にできないものでしょう。白石部長の涙が、あの時の感情を蘇らせてくれます。

本作では演奏会で3年生が引退します。最後の曲を弾き終わった後、3年生には花が贈られるのですが、すべてをやり切った白石部長の涙にこちらまで感動してしまいます。ぜひ実際にご覧になってください。

青春が詰まった『青のオーケストラ』

本作には、青春ならではの要素がたっぷり詰まっており、高校生たちの姿に元気がもらえる作品です。

最近頑張ることをやめてしまったな……という人は、ぜひ本作を読んでみてください。過去に頑張ったときの気持ちが蘇ってきて、これからのパワーになってくれるはずです。

そして新しいことを始めようと思っている人たちは、本作を読んで自分を奮い立たせてみてください。


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著者
阿久井 真
出版日
2017-07-19

 

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