伊吹有喜作品おすすめランキングベスト7!『ミッドナイト・バス』が映画化!

更新:2017.10.8

『ミッドナイト・バス』の映画化でも注目を浴びている話題の作家、伊吹有喜。明るく爽やかな文体が魅力的で、いつも読者に温かみのある読後感を提供してくれます。ここでは、そんな彼女のおすすめ作品をランキングにしてご紹介していきましょう。

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伊吹有喜とは

 

1969年三重県に生まれた伊吹有喜は、中央大学法学部法律学科を卒業後、出版社へと入社します。着物雑誌やファッション誌などの編集者として活躍した後、フリーライターへ転向。2008年に応募した『風待ちのひと』が、ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、作家デビューとなりました。

2010年に刊行された『四十九日のレシピ』がドラマ化されるなどして注目を浴びると、2014年には『ミッドナイト・バス』が山本周五郎賞と直木賞の候補に挙がります。惜しくも受賞は逃したものの、映画化が決定しました。

その他にも彼女の小説はどれも人気が高く、2015年に刊行された『BAR追分』は、続編が出る人気シリーズとなっています。

ここからはそんな伊吹有喜の作品を、おすすめ順にランキング形式で紹介していきます。

 

7位・心温まるストーリーと料理を堪能できる伊吹有喜の連作短編集

『BAR追分』は、新宿の「ねこみち横丁」という路地にある飲食店「BAR追分」を舞台として、さまざまな人々が織り成す優しく温かい物語を展開させる、伊吹有喜の連作短編集です。

「BAR追分」は、昼は「バール」としてコーヒーや軽食を、夜になると「バー」に変わり、お酒やおつまみを楽しむことができます。シナリオライターを目指す27歳の青年、宇藤輝良は、ライターとして一向に芽が出ないことに加え、仕事も失い、人生の「追分」に立たされていました。

そんなとき、ひょんなことから「ねこみち横丁」のホームページ製作を担当することになり、そのことをきっかけに人生を大きく変えていくことになるのです。

著者
伊吹 有喜
出版日
2015-07-11

美味しそうな料理やお酒が続々と登場し、ついお腹が空いてきてしまう一冊です。物語は4つの短編から構成されており、人生の分かれ道を迎えて悩む人々が、まるで吸い寄せられるように「BAR追分」へと集まってきます。

ねこみち横丁の人々が皆個性的で心優しいため、思わず「ここの住人になりBAR追分に通ってみたい」という衝動に駆られてきてしまうでしょう。

作品全体が心地の良い雰囲気に包まれ、読書中は穏やかな癒しのひと時を過ごすことができます。最近疲れているなという方は、一読してみてはいかがでしょうか。

6位・家族の再生を描く感動の物語

 

伊吹有喜の感動長編小説『ミッドナイト・バス』は、深夜バスの運転手をするひとりの中年男性を主人公に、ばらばらになった家族が再生していく様子を丁寧に描き出しています。

主人公の高宮利一は49歳。16年前、妻は利一の母との確執に耐えられず、家を出て行きました。それでも2人の子供は無事に成人し、息子の怜司は東京で就職、娘の彩菜はどうやら結婚したい相手が見つかったようです。

母は他界し、子育ても一段落した利一は、恋人関係にある志穂との新しい生活を考えていました。ところがそんな矢先、利一が運転するバスに別れた妻美雪が乗客として現れたことから、家族が再び顔を合わせることになり……。

 

著者
伊吹 有喜
出版日
2016-08-04

主人公やその家族が抱える、それぞれの事情や葛藤が静かに語られていく一方、物語にはバスの乗客たちの人生のワンシーンが、サイドストーリーとして描かれていきます。作品内では、年齢も性別もさまざまな登場人物たちのエピソードが綴られているため、共感できる部分が誰にでも見つかるのではないでしょうか。

すれ違い続け、1度は壊れてしまった家族が、どのように新たな関係を築いて前に進んでいくのか。その展開は胸にしみるように優しく、ほろりと涙腺を刺激する素敵な物語となっています。

5位・中年サラリーマンの奮闘が清々しい!

 

突然バレエ団への出向を命じられた、中年サラリーマンの奮闘の日々を描く伊吹有喜の傑作長編小説『カンパニー』。実直で誠実な主人公のキャラクターに好感を覚えるとともに、登場人物それぞれの努力や成長に胸が熱くなる一冊です。

青柳誠一は、製薬会社に勤める真面目なサラリーマン。社内改革に伴うリストラ候補に挙げられ、会社が支援しているバレエ団へ出向となってしまいます。しかも妻は、青柳に突然の離婚を言い渡して、娘と一緒に家を出ていったばかり。

一時は自殺まで考えた青柳ですが、バレエ公演を成功させるという会社からの命に従うべく、右も左もわからない畑違いな世界で奮闘することになるのです。

 

著者
伊吹 有喜
出版日
2017-05-22

物語は、主人公の青柳と、ともにバレエ団へ出向となったスポーツトレーナーの瀬川由衣を中心に描かれていきます。失敗すれば職を失うという危機的状況のなか、苦悩や葛藤を抱えながらも、徐々に周りの人々との信頼関係を築いていく様子は読み応えたっぷりです。

出演の決まっている有名バレエダンサーの故障やダンサー同士の確執など、さまざまなトラブルを乗り越えながら成長していく登場人物たちの姿に、熱いものが込み上げてきてしまいます。 
 

華やかな世界の裏側を垣間見るような、リアルな心情描写に引き込まれ、バレエをまったく知らない方でも問題なく楽しむことができるでしょう。

4位・伊吹有喜が描く優しさに溢れた大人の恋愛物語

伊吹有喜のデビュー作となった『風待ちのひと』では、じんわりと心に響く大人のラブストーリーが描かれています。

心の病で休職中の、39歳エリート銀行員である哲司は、母の遺品を整理するため三重県の美鷲を訪れました。ひょんなことから明るく気立ての良い女性、喜美子と出会い、遺品整理の手伝いを頼むことになります。

母の家にはたくさんのクラシックがコレクションされており、それを見た喜美子は、手伝う代わりにクラシックについて教えてほしいと言ってきたのでした。

著者
伊吹 有喜
出版日
2011-04-06

なんとも穏やかで優しい文体に、心が洗われるような感覚を味わう作品です。疲れ果てた東大卒のエリート哲司と、ずうずうしいほどの明るさを見せながらも悲しい過去やコンプレックスを抱える喜美子が、徐々に惹かれあいお互いを支え合うようになる姿が魅力的に綴られています。

情景をありありと思い浮かべることができるほど、ひとつひとつの描写にリアリティーがあり、感情移入しながら読書を楽しめることでしょう。

つい自分の人生についても思いを馳せたくなる、心打たれる一冊となっています。

3位・伊吹有喜の直木賞候補作

戦前、戦中、戦後の過酷な時代に人々のために信念を持って雑誌作りに奮闘した女性と仲間たちを生き生きと描いた感動作です。

物語は平成の老後施設に入所している90代の女性、佐倉ハツのもとに、赤いリボンに包まれた箱に入った美しいカードが届いた場面から始まります。カードはハツが若かりし頃のゆかりの品でした。ハツはこれをきっかけに過去の記憶を思い出していきます。

1937年、ハツの父親は大陸で失踪してしまい、病気の母を心配してハツは進学を諦めます。そしてあるきっかけで、憧れの少女向け雑誌「乙女の友」の編集部で雑用として働き始めることになりました。周りは大学卒や院卒の人たちで、小学校出のハツは邪魔者扱いされ萎縮してしまいます。それでもハツは懸命に仕事に向き合い、段々と雑誌作りに携わるようになり成長していきます。

次第に戦火が強まり出版社に対する言論統制や、同僚たちの出征、東京大空襲など雑誌を作る環境が厳しさを増すのですが、ハツは「友へ、最上のものを」という仲間たちとの信念を胸に雑誌を作り続け人々の灯火となるのです。

著者
伊吹 有喜
出版日
2017-11-17

ハツが初めは邪魔者扱いされながらも、素直さとひたむきさで大好きな「乙女の友」の仕事に真摯に向き合い、周りに受け入れられていく様子に励まされます。また周りで働く人たちが1人1人明るくて個性に溢れていてとても魅力的です。そんな仲間たちとハツが「友へ、最上のものを」という信念のもと、読者である少女たちのことを想い最高の雑誌を作り上げていく姿にワクワクします。だからこそ、戦争によってその仲間たちが1人ずつハツのもとを離れていってしまうことに、改めて戦争の悲惨さを実感します。

物語のラストには平成のハツのもとにある人からのメッセージが届くのです。またハツたちの熱い信念が時代を超えて平成に生きる人々にも伝わります。涙のとまらない感動の1冊です。

2位・レシピが起こす素敵な奇跡

 

伊吹有喜の長編小説2作目となる『四十九日のレシピ』は、テレビドラマや映画にもなり、たいへん話題になった作品です。

名古屋に住む熱田良平は、妻の乙美を突然の心臓発作で亡くしてからというものの、気力を失い食事もとらず、配達される牛乳だけを飲んで過ごしていました。そんな彼の前に、ある日奇抜な出で立ちの少女、井本幸恵が現れます。

乙美がボランティアで絵手紙を教えていた時の生徒だという井本は、生前の乙美から「自分が死んだら良平の面倒を四十九日まで見て欲しい」と頼まれていました。乙美は生活するうえで必要なあらゆることを「暮らしのレシピ」に書き記していたのです。

そしてそこへ、東京で結婚生活を送っていた娘、百合子が離婚を決意して舞い戻り……。

 

著者
伊吹 有喜
出版日
2011-11-02

失って初めて、その人がいかに大切な存在だったかということに気づき、さまざまな後悔に苛まれる良平と百合子の姿は、読んでいてとても切なくなってきてしまいます。ですが、突然現れた明るい少女井本と、彼女が連れてきた青年ハルミが、熱田家に徐々に活気を与えていってくれます。

辛い現実を乗り越え、家族が新たな1歩を踏み出すまでの四十九日間を描いたこの作品。亡くなった乙美の愛情深さや、2人の若者の優しさが心に響き、あたたかい気持ちになれる物語です。
 

1位・伊吹有喜の胸に響く言葉の数々に涙が溢れる傑作

大人の都合に振り回されながらも、友情を深め成長していく2人の少年少女が、やがて周囲の大人の心をも溶かしていく感動の長編小説『なでし子物語』。2017年には続編も刊行された、おすすめの注目作品です。

昭和55年、小学校4年生の間宮耀子は母に捨てられ、祖父が使用人として働く旧家の邸宅「常夏荘」へと引き取られました。常夏荘の管理を任されているのは、昔の思い出だけを糧に日々を過ごす、未亡人の遠藤照子。他にはわずかな使用人と、病弱のため療養中の遠藤家の息子、立海が暮らしています。

母親からの暴言を受け続けて育った耀子は、いつもびくびくしていて学校でもいじめられてばかり。立海は父親と愛人との間にできた子供で、複雑なトラウマを背負っています。そんな2人が常夏荘で出会い、心を通わせるようになっていくのです。

著者
伊吹 有喜
出版日
2014-12-05

幼い子供たちのあまりにも不憫な状況には胸が痛むばかりですが、祖父の勇吉や照子、家庭教師の青井たちの、優しい眼差しや教えを受け、徐々に子供らしさを取り戻していく2人の姿が印象的です。「自立と自律」について教える青井の言葉は、読者の胸にも十分に響くものではないでしょうか。

周囲の大人たちにも温かい何かを与えてくれる、子供たちの成長から目が離せない一冊です。心に残る素敵な言葉の数々が散りばめられた、何度も読み返したくなる作品ですから、興味のある方はぜひ一読してみてください。
 

伊吹有喜のおすすめ作品をランキングにしてご紹介しました。現実の厳しさを描きながらも、優しさと温もりに溢れた素晴らしい小説ばかりです。読後にホッと癒されるような作品をお探しの方は、ぜひ読んでみてくださいね。

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