水城せとなおすすめ作品4選!リアルな心情描写に胸が締め付けられる・・・

更新:2021.12.12

ドラマ化された『失恋ショコラティエ』や映画化された『脳内ポイズンベリー』などで知られる水城せとなの作品には独特な言い回しが多く、世界観に引き込まれる独特な雰囲気を持っています。今回はそんな水城せとなのおすすめ作品を4つご紹介します。

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『失恋ショコラティエ』で一気に知名度を上げた水城せとな

水城せとなは1971年生まれの漫画家です。1993年に『プチコミック』掲載の『冬が、終わろうとしていた。』でデビューしました。

2008年には『放課後保健室』がアメリカのヤングアダルト図書館サービス協会が選出する「ティーン世代に向けたお薦めグラフィック・ノベルのベスト10」に選ばれるなど海外でも高い評価を受けています。

2014年には代表作『失恋ショコラティエ』が松本潤主演でドラマ化され話題を呼びました。

海外でも高い評価を受けた水城せとなの代表作

『放課後保健室』は、上半身は男で下半身は女という特殊な身体をもつ一条真白が主人公となっています。

真白はふとした時に存在していたはずの人がいなくなったような喪失感を覚えることがありました。妙な感覚について思いをはせていると、突然目の前に白衣を着た女性が現れたのです。そして、その女性は言いました。「この学校を卒業するために、放課後保健室で行われる授業に参加しなさい」と。
 

著者
水城 せとな
出版日
2004-12-22


毎週木曜日の放課後、地下に現れる保健室では、学校を卒業するための特別授業が行われています。その特別授業の内容は「夢の中で自分の課題と向き合い、どこかに存在している卒業するための鍵を生徒同士で奪い合う」というものでした。

夢の中では生徒自身の心がそのまま生徒の姿となっており、現実の姿とはかけ離れているものも多いです。そんな中、真白は現実と変わりない姿で夢の世界に現れました。ただし、スカートを穿いて。男でありたいと強く願う真白は、思えば思うほど自分がどちらの性別なのかということがわからなくなってしまいます。「自分の心と体に向き合っていくこと」。それが、真白が克服すべき課題なのです。

夢の中で出会ったボロボロのレインコート姿の藤島紅葉。彼女は現実で真白に声をかけ、特別授業のことについて説明をしてくれました。真白と紅葉は現実でも特別授業でも助け合うようになり、心を通わせ……。

自分のことや周囲のことについてそれぞれに悩み、苦しみ、もがきながら精一杯今を生きている生徒たちは特別授業を無事に終え、卒業することができるのでしょうか。

恋愛に障害はつきもの・・・だよね?

『ふたりのために世界はあるの』は水城せとな傑作集の2冊目です。

未申学院高校と丑寅高校は些細なことにすら優劣をつけどちらがすごい学校なのかということを日々競い続けるライバル校でしたが、それぞれの高校の生徒会長千春と恭は実はカップルで……。

許されない二人の関係は平穏に続けることができるのでしょうか。
 

著者
水城 せとな
出版日


今日も今日とていがみ合いを続ける未申高校と丑寅高校でしたが、そんな生徒たちをしり目にせっかくの夏休みということで伊豆へ小旅行に出かけることにした生徒会長二人。高校のことなど関係なくのびのびとできると思っていたのですが、泊まったホテルには見知った顔がありました。

なんとか二人の関係がばれないようにとクラスメイトの深谷を彼氏だと偽り、その場では事なきを得た千春でしたが、やはり生徒がいる中堂々といちゃいちゃするわけにはいきません。もやもやとしながらも小旅行を何とかやり過ごそうとしたのですが、どうにも耐え切れず、深谷に愚痴をこぼしていた千春は間違ってカクテルを飲み、酔いつぶれてしまいます。深谷がそんな千春を何とか介抱しようとしていたところ、恭がその現場を目撃してしまい……。

これから二人はどうなってしまうのでしょうか。

チョコレートはほろ苦い恋の味

ショコラティエ(チョコレート専門の菓子職人)の小動爽太は、長年思いを寄せ続ける女性吉岡沙絵子に好きになってもらうために腕を磨き続けています。高校のころから思い続けており、沙絵子が一番好きなチョコレートを作って、彼女の笑顔が見たいと奮闘し続けているのです。

一見けなげな爽太も、一見妖精のような沙絵子も、それぞれに人間臭さのある姿が見られ、ほろ苦いチョコレートのような大人の恋を堪能できます。
 

著者
水城 せとな
出版日
2009-01-09

「もし生まれ変われるのならば彼女の赤血球になりたい」。そんなことを真顔で呟けるほどに沙絵子に入れ込んでしまっている爽太はただ、沙絵子のためにおいしいチョコレートを作り続けます。沙絵子は気まぐれに自分の店に寄ってきてくれるだけとわかっていても、やはりチョコを作るのをやめられないし、気まぐれにでも店にチョコを買いに来てくれるのならそれでいいかと思ってしまうのです。

どれだけ振り回されても爽太には沙絵子が妖精のような存在に見えているのですからその思いが冷めることもなく、ある意味純粋に、一途に沙絵子のことを思っていました。でも、優しいだけの男ではだめだと気付いた爽太は悪い男になろうとします。そこから爽太の逆転劇が始まるのか。意地悪な駆け引きを始める爽太とどこまでも確信犯な沙絵子の攻防戦が始まります。


『失恋ショコラティエ』については<漫画『失恋ショコラティエ』に現実と恋愛の厳しさを学ぶ!【ネタバレ注意】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

水城せとなによる傑作BLマンガ

『窮鼠はチーズの夢を見る』は同性愛をテーマにした作品です。

基本的に愛情に対して受動的で、どんな相手に対しても流されてしまう大伴恭一は妻に浮気調査をされてしまいます。その浮気調査員として依頼を請け負ったのは偶然にも恭一の大学の後輩今ヶ瀬渉でした。

女性の方から言い寄ってこられるとどうしても断り切れなくて流されてしまう恭一は、浮気の証拠を今ヶ瀬に突き付けられてしまうのです。ばれるわけにはいかないと必死で弁明をする恭一に今ヶ瀬はこう囁きかけます。

「証拠をもみ消して差し上げてもいいですよ。ただし、あなたのカラダと引き換えで」
 

著者
水城 せとな
出版日
2009-05-08


浮気の証拠をネタにゆすられ身体の関係を強いられてしまった恭一は、それでも自分の身体で家庭が守れるならと今ヶ瀬に身体を預けていました。

ですが、恭一の奮闘むなしく知佳子は離婚を切り出します。すべてを受動的に生きてきた恭一に求めるものは何もなくなってしまった、というのです。浮気調査を依頼したのも浮気をしていれば慰謝料をもらえるかもしれないという動機でした。

こうしてバツイチになり、独り身のさみしい生活を続けていた恭一のもとを今ヶ瀬が訪ねてきます。

男同士の愛情というのは気兼ねもなく、ただただ無条件に愛されている状況がとてつもなく心地よく、恭一は今ヶ瀬にどんどん流されていってしまいますが、どれだけ今ヶ瀬が愛情を注いだところで恭一の流され癖は全くとどまるところを知らず、消耗的な愛情が二人を蝕んでいきます。

二人の関係はいつまで続いていくのでしょうか。

私が水城せとなの作品に出会ったのはドラマCDが最初でした。

キャラクターのセリフの多くが心に残り、原作本が読んでみたくなったのです。その作品が先ほどご紹介したものの一つである「窮鼠はチーズの夢を見る」で、読み始めると一気に彼女の世界に引き込まれていきました。甘くほろ苦い恋愛模様に私もいつかこんな風な恋愛をすることがあるのだろうか。好きな人を思ってこんなにも苦しい思いをすることがあるのだろうか、そんな風に思いをはせることがあります。

ぜひ、あなたも一度水城せとなの世界に足を踏み入れてみませんか?それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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