『黄昏乙女×アムネジア』は男性2人組の漫画家コンビである、めいびいの作品です。アニメ化もしているこの人気作を、今回は紹介していきたいと思います。無料漫画アプリ「マンガUP!」で読むことができますので、ぜひ試してみてくださいね。
本作は過去にアニメ化もされている、めいびいの代表作です。めいびいは元々成人向け漫画でも活動していたこともあるため、癖こそあるものの、非常に丁寧で可愛らしい絵が特徴の作家です。
学校の怪談話を解決していきながら、幽霊であるヒロイン、夕子の死の秘密を探っていく、というのが大まかな話の流れになります。
- 著者
- めいびい
- 出版日
- 2009-08-22
この作品の最大の魅力は、何といってもメインヒロインである幽霊、夕子でしょう。学校の怪談を解決していくなどホラー要素もあるのですが、この作品は彼女こそがすべてであるといっても過言ではありません。
その人気っぷりは「夕子さんを好きになれないとこの作品を楽しむのは難しいのでは」とすら言われるほど。中学生とは思えないプロポーション、百面相のごとくコロコロと変わる喜怒哀楽の豊かな表情など、非常に可愛らしいキャラクターです。
今回はそんな彼女の活躍を楽しむことができる『黄昏乙女×アムネジア』を、最終回までの見どころをネタバレも含みつつ紹介していきます。
小高い丘の上に建っている私立誠教学園。創設以来増設をくり返してきたその建物は、中学校舎と高校校舎が複雑に入り組みあい、結果として迷路のような建築物となっていました。そしてその結果、学内では「旧校舎の幽霊」を始めとする多数の怪談が噂されるようになっていたのでした。
中学1年生の新谷貞一(にいやていいち)はある日、旧校舎に迷い込んでしまいます。そこで彼は、自分のことを「旧校舎の幽霊」だという庚夕子(かのえゆうこ)と出会いました。彼女は貞一に自身の死の真相を解明してほしいと申し出ます。
その一環として怪談などを調査するため、「怪異調査部」を勝手に設立した2人。こうして、奇妙な彼らの学園生活が始まりました。
幽霊であるヒロインの死の原因解明のため、学校に存在する怪異などを解明していく本作。1話からヒロインである夕子の白骨死体が出てくるなど、随所で描かれるホラー要素も魅力です。
しかし、ついさっきまで貞一に裸を見られているにもかかわらず、自分の白骨死体を見られた彼女の反応が「恥ずかしいっ!」だったり、学校で噂される怪異の一部は彼女が原因(その他も大半は人為的なもの)だったりと、ホラーというよりも、ホラー要素を含んだコメディタッチで描かれているのです。
特に怪異調査部の初めての依頼となった「隠れ鬼」の事件では、「元凶は自分である」と把握していて、物的証拠が自分の真後ろにあるにもかかわらず、夕子は「きっと何か原因があるハズ!」と言い放つのです。もちろん1ページもしないうちに貞一からツッコまれてしまうのですが。
このように、ホラー要素はあるものの、どうにも締まらないこのゆるさも『黄昏乙女×アムネジア』の魅力といえるでしょう。
死後60年もの間、誰からも気づかれることなく学園内をさまよっていた夕子は、初めから自分を見て、触ることができた貞一には特別な感情を抱いていました。1話の段階で彼にお弁当を食べさせてあげたり、膝枕をしてあげたりとかなり積極的な行動が目立ちます。
夕子がはっきりと貞一に対する恋愛感情を抱くのは、物語の後半に入ってから。とはいえ、貞一に想いを寄せる小此木ももえの言動に対して、軽い嫉妬のような行動を起こすなど、それ以前からかなり意識はしていたようです。
怪異を調査しながら少しずつ縮まっていく2人の距離感や、コロコロと変わる夕子の表情は、見ているだけで癒されるでしょう。むしろそれこそが、この作品の最大の魅力といえるのです。
前述のように夕子の可愛さと、無意識のうちにくり広げられるラブコメ展開が最大の魅力といえる『黄昏乙女×アムネジア』ですが、魅力はそれだけではありません。
この物語のストーリーの根幹は、あくまでも夕子の死因を探ること。自身の白骨死体を見ても何も思い出さないなど、自分の生前のことをまったく覚えていなかった彼女ですが、学校の七不思議を解明していくにつれ、徐々に真相に近づいていきます。
また、彼女の妹である庚紫子(かのえ ゆかりこ)の孫であるという庚霧江(かのえ きりえ)も、夕子が見えると言い、真相解明のため彼女も怪異調査部に入部しました。
彼女の協力もあり、夕子の負の側面である「影夕子」との邂逅やその結末なども描かれていくことになる、怒涛の後半。もちろん夕子さんの死の原因も明かされるのですが、その内容は今までと打って変わって非常に重苦しい展開となっています。
可愛いだけのキャラかと思われていた夕子にのしかかる、暗く重い過去とは一体何なのでしょうか。本作は、ヒロインが可愛いだけのコミカルなだけではない、シリアスな一面も持ち合わせているのです。
- 著者
- めいびい
- 出版日
- 2013-11-22
夕子の死因の謎などを解決し、ようやくたどり着いた最終回。彼女のいた旧校舎は取り壊されてしまい、彼女は消えてしまいます。また旧校舎がなくなったため、彼女以外の学校の七不思議も語られることはなくなり、学園には平穏な日常が戻ってきました。
しかし貞一は、彼女がいなくなった喪失感を抱えたまま毎日を過ごしていました。そんななか、生徒たちの間でまたも、旧校舎の幽霊である夕子の噂が流れはじめます。その噂は「夕子さんは一緒にいてくれる人をみつけた」という内容でした。
「で、その男の子は夕子さんと一緒に消えちゃったんだって」という結末でしめられるその噂を聞いた貞一は、彼女のもとへ走り出したのです。
その先で彼が見た景色は、この物語を締めくくるに相応しい最高のワンシーン。ここまで彼とともに、夕子の死の謎に迫り、その過去を知り、可愛らしさを見てきた読者の心に響く名シーンなのです。
この後にエピローグも収録されているのですが、こちらも必見です。貞一たちの行く末が暗示され、可愛らしいエンディングとなっています。
いかがだったでしょうか。ヒロインの可愛らしさにノックアウトされながらも、ストーリーもしっかりと組まれていて面白い作品です。今なら無料漫画アプリ「マンガUP!」で読むことができるので、この機会にぜひ夕子さんに出会ってみてはいかがでしょうか。