闇金融という裏社会のストーリーでありながら、ドラマ化、映画化までされた『闇金ウシジマくん』。この記事ではその魅力を、やばすぎる登場人物とストーリーの見所からご紹介していきます。
『闇金ウシジマくん』は、タイトルどおり裏社会に生きる、闇金融の世界を描いた作品です。
貸したお金は返すまでつけまわす「カウカウファイナンス」の社長・丑嶋と、返さなければいけないことはわかっているけど返すことができない、ちょっとワケありな顧客との壮絶な返済バトルがくり広げられます。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2004-07-30
さらには裏社会に生きる者たちや中学時代からの因縁など、丑嶋に恨みを持つ凶悪な男たちの復讐劇があったり、カウカウファイナンスの仲間たちとのバトルも織りまぜられたりしていて、ドキドキハラハラする展開に注目です!
ダメな大人だとわかっていながら同情を誘うストーリーや、つい共感してしまう顧客の心の闇など、他人事ではいられない登場人物たちに引き込まれる作品となっています。
この記事ではそんな本作のクレイジーな登場人物たち、そして最新巻までの見所をご紹介!
闇金融「カウカウファイナンス」の社長を務める丑嶋。彼は頭の回転がはやく、口が達者なため、顧客を次々とつかまえては高金利で貸し付けをおこなっていました。
序盤では「奴隷くん」と呼ばれる主婦5名がでてきます。どうやら彼女たちは、パチンコ依存症をこじらせた結果、闇金にどっぷり浸かり込んでいました。彼女たちが逃げられない状況を逆手にとって、丑嶋はいかに金を奪えるか企てるのです。
物語が進むにつれて、さまざまな状況下に置かれた顧客が続々と登場します。
丑嶋だけでなく、同じく闇金業者に勤める人物たちにも要注目です。どの人物も強烈な個性があり、それぞれがいい味を出しているのです。
今回は登場人物に焦点を当てて、彼らの魅力を紹介していきます。
怖いイメージのあるウシジマですが実は優しいエピソードも。そんなウシジマを紹介する<「これは反則」『闇金ウシジマくん』のイメージが変わる4つのエピソード>の記事もおすすめです。ぜひご覧ください。
カウカウファイナンスの社長である丑嶋は、金の返済のためには手段を選ばない冷徹な男。ただ返済意欲のある顧客に対しては臨機応変に対応するなど、寛大さも持ち合わせています。
顧客に対してもヤクザやチンピラに対しても、その言動は凶暴なもので、よく恨まれては復讐されるのですが、それをものともしない喧嘩の強さと策略を練る頭脳、そして信頼できる強力な仲間を持っています。
普段は冷静沈着で静かな男ですが、取り立ての際は怒鳴ることも。その一方で自宅ではウサギを飼っていたり、同僚をからかったりすることもあるのです。
カウカウファイナンスの仲間たちのことは信用していて、取り立ての最中に反撃をくらう彼らを自ら助けに行くなど仲間想いな一面を見せることもあり、カリスマ性をもっている男でもあります。
そんな丑嶋と、同僚の柄崎と加納は、中学生時代からの旧知の仲です。初めは彼らからリンチを受けるなど敵対した関係でした。
ただ地元で「絶対に逆らってはいけない3人」と言われている鰐戸三兄弟の三蔵に加納が拉致された時、丑嶋は「鰐戸とケンカすんならてめーに付き合ってやるよ」と柄崎と共闘。助けにいきました。
柄崎と加納が丑嶋を慕い、彼についていくのは、この頃の恩があってこそなのです。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2006-08-30
カウカウファイナンスでナンバー2を務める男。丑嶋とは中学の同級生で、転校生だった丑嶋をクラスメイト全員でリンチし、後日返り討ちにあうという過去をもちます。
丑嶋社長の命令に従い、顧客に対して容赦なく返済を求めるなど、丑嶋同様冷徹な心をもつ男です。その反面、恐喝の罪で丑嶋が逮捕されたときには彼を助けるために奮闘するなど、仲間に対しての情は厚く、丑嶋からも信用されている人物であるといえます。
ただ、カウカウファイナンスの従業員全員が投資詐欺の被害に遭ったときには、自分が賭けた金を丑嶋が持ち逃げする気だと疑い、その関係に亀裂が入ったこともありました。丑嶋が柄崎に「俺を信じろ」と言っても、柄崎は「信じられっかよ……」と本音を漏らします。
最終的には丑嶋のことを信じなおし、ひとりの男に忠誠を誓う男らしい柄崎の人柄は、『闇金ウシジマくん』の中でもかなり魅力的な人物のひとりです。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2006-10-30
カウカウファイナンスの従業員で、柄崎と同じく、中学のときに丑嶋をリンチした過去をもちます。
その際、返り討ちにきた丑嶋から「今すぐ柄崎を呼びだせ」と言われるも、それには従わずに気を失うまで殴られるという男気を見せており、その頃から丑嶋や柄崎からの信用は厚いといえるでしょう。
カウカウファイナンスでは熱心に仕事をしていた彼ですが、付き合っていた彼女が妊娠したため結婚することになり、生まれてくる子供のためにもオモテの仕事をしたいと、闇金融から足を洗う決意をします。
しかし、祝福され退職した後、元同僚であるマサルの丑嶋への復讐劇に巻き込まれ、なんと口封じのために命を落としてしまうのです。
結婚する彼女と生まれてくる子供のため、まっとうに生きていくと決意した男の残酷すぎる最期に、胸を打たれます。
カウカウファイナンスの従業員であり、元ホストの若者です。ホスト時代は「瑠偉斗(るいと)」という源氏名を使い、同僚の隼人とともにナンバー1ホストを目指していました。
その頃、愛華という孤独な少女が客として来店、ふたりは恋に落ちます。しかしナンバー1を目指していた高田は、彼女を利用するようになりました。
やがてホストとしてめきめきと頭角を現し、愛華の協力もあって、ついにはナンバー1にまで登りつめた高田ですが、ホストに通うお金がなくなり彼から突き放された愛華は、自ら命を絶つ選択をしてしまうのです。
その罪悪感により、いまもなお愛華の虚像を見ては彼女に責められる高田でしたが、丑嶋から愛華の遺品を受け取り「なんで死んだんだ」と泣きわめくことで、その思いから少し解放されることとなりました。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2008-01-30
カウカウファイナンスの従業員です。彼がカウカウファイナンスで働くようになったきっかけは、丑嶋に助けられた経緯にあります。
高校にも行かずふらふらしていたヤンキーのマサルは、「愛沢連合」の総長である愛沢のバイクを、そうだと知らずに盗んでしまいます。
その後、事件が発覚しボコボコにされた彼は、愛沢によってカウカウファイナンスから200万円の借金を背負わされそうになりました。それを丑嶋が断り、自らの会社で雇うことにしたのです。
しかし丑嶋はマサルの母親を顧客としていて、返済のためにデリヘルへ働きに行かせようとするなどしたため、彼はしだいに丑嶋に対して恨みをもつようになりました。優良顧客に勝手に自分で金を貸すなど店を裏切る行動を起こすようになります。
1度それがバレたときは土下座をすることで許してもらいましたが、丑嶋への復讐心は変わらず、丑嶋を殺そうと企てるヤクザたちと手を組んで、またも彼らを裏切る行動をとります。
2度目の裏切りの後、丑嶋と柄崎に捕まったマサルは、「あんたに親父や兄貴みたいにもっと教えてもらいたかった」と訴えかけました。まだまだ子供で、丑嶋を恨みつつも慕っていた感情がよく表れた一幕です。
やばい登場人物が多い本作のなかでも、かなりやばい男といえるのが肉蝮(にくまむし)です。
丑嶋と初めて会った時、肉蝮は包丁を片手に彼に喧嘩を売ります。しかし柄崎が運転する車に轢かれ、倒れこんだところに丑嶋が飛び降り、右腕を骨折しました。
そのせいで丑嶋に強く恨みをもった肉蝮は、彼に対して復讐を誓うのです。
その後、同様に丑嶋を恨んでいたマサルに計画を持ち掛けられ、丑嶋への復讐を果たそうと奮闘します。
そのやり方はあまりに凶暴で、コンクリ片がついた鉄パイプを振り回し攻撃しますが、結局はまたも柄崎の運転する車に轢かれ、丑嶋に殴りつけられることになってしまいました。
そんな肉蝮ですが、一本指で逆立ちするほどの強靭な肉体を持ち、「タイマンではかなわない」と丑嶋に言わせるほどの腕の持ち主でもあります。
きちんと日雇いのバイトをしてお金を稼いでいる彼ですが、パチスロをやめることができず、バイト代も借金もすぐにパチスロで消えてしまいます。
実家に住んでいるため生活をする分には困っておらず、いずれは相続で家をもらえるとまで考えていました。
しかし、母親が株で大損してしまい、借金を抱えて破産してしまいます。
団地に移った両親と衝突し、ひとり立ちすることを決めた宇津井ですが、やめようと思ったパチスロがどうしてもやめられません。借金も返済できない、さらには腰を痛めて働けないという、人生のどん底に落とされてしまいました。
結局、実家に戻ろうと決意した宇津井が自宅に電話をかけると、そこで母親が倒れたことを知ります。
母親が入院する病院にたどりついた彼は両親と和解し、借金の取り立てに来ていた丑嶋に対して「両親は自分が守る」と誓いました。
その後は誓いどおり、訪問介護の仕事をしながら両親の借金の返済をします。そんな宇津井に丑嶋が興味を持ち、借金を軽減するという優遇を受けることになりました。
最後は家族で鍋を囲み夜勤のバイトに出かけるという、『闇金ウシジマくん』では珍しく、人生のどん底から這いあがって更生した人物となっています。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2009-06-30
藪蛇組のヤクザであり、覚せい剤の売人でもある男です。
ある時、読者モデルを目指す中田という男が金に困り、ハブを騙して2000万円を持ち逃げしようとしました。中田を拘束したハブと、中田を助ようとしたキミノリという青年によって連れてこられた丑嶋が、ここで顔を合わせます。
その時、ふたりは特に面識はなかったのですが、丑嶋の顔面スレスレにナイフを突きつけたハブは、反対によって強烈な顔面パンチをお見舞いされました。
それに恨みをもったハブ。1度は覚せい剤ビジネスで逮捕されますが、出所後にマサルと手を組み、丑嶋に復讐するため納を拉致する計画に参加します。
しかしその後、駆けつけた丑嶋たちの策略により、ガソリンを全身に浴びて火だるまになり焼死してしまう、残酷な最期を迎えるのです。
高田のホスト時代の先輩が経営するお店の、ケツモチとして登場する男が鼓舞羅(こぶら)です。
かなり自己中心的で凶悪な男で、一般のカップルに突然絡んだり、くしゃみした際に出た鼻水を男のコートで拭いたりと、奇怪な行動をとることもあります。
彼はまさに常識外れで、店から逃げたホストの顔を含め全身に蛇柄の刺青を入れ、「珍獣戦隊コブレンジャー」と呼ぶなど、かなり恐れられている人物です。
そんな鼓舞羅ですが、高田の元同僚である隼人を脅して投資詐欺を仕掛けます。カウカウファイナンスの従業員たちも、彼に金を預けました。
しかしその隼人が金をもって逃げたため丑嶋たちは隼人を探すことになるのですが、そこで鼓舞羅とも争うことになります。丑嶋と亀裂の入った柄崎を利用し、おびき寄せて殺そうと考えますが、柄崎の策略によって丑嶋には指一本触れることなく、射殺されました。
鼓舞羅が死んでもホストたちが全身に入れられた刺青は消えないと思うと、その非道な行為に恐怖を感じる人物です。
一(はじめ)、二郎(じろう)、三蔵(さんぞう)からなる三兄弟の末っ子で、中学生当時、地元では「絶対に逆らってはいけない」と言われていたほどの凶悪人でした。
同じく中学生だった丑嶋と柄崎は、鰐戸に拉致された加納を助けるため、彼の元へ向かうことになります。
恐怖心から死をも覚悟していた柄崎ですが、丑嶋は恐れることなく、鰐戸の頭を思い切りバッドで殴りました。そのときの恨みが数年後、丑嶋への復讐へと繋がっていくのです。
その恨みは単なる個人的な恨みではなく、丑嶋にやられてから落ちぶれ、辛い生活を送ってきた三兄弟としての恨みでした。
三兄弟は丑嶋から大金を奪う計画を企てますが、それも失敗に終わり、その際に巻き込んだモンスター連合というチンピラ連中に拷問されるなどし、さらに落ちぶれていくのでした。
性格はかなりサディスティックで冷徹非道な男であり、10万円を用意できなかった男を裸にさせ、その胸の周りにタバコの火でブラジャー型の焼き入れをしたり、監禁していた施設から逃げ出したホームレスの足首を切断したりするなど、常識はずれな行動をとる恐ろしさもあります。
40巻では、少年院を退院した丑嶋がどのようにして闇金融の世界に足を踏み入れ、のし上がっていくことになったのかが描かれています。
当時、柄崎や加納が所属していた金融屋に誘われた丑嶋は、知り合いのツテで働き手が見つかっているからと彼らの誘いを断ります。しかしその金融屋を経営していたのが、丑嶋の因縁の相手、獅子谷だったのです。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2017-07-28
丑嶋が入らなければ耳を切り落とされると獅子谷に脅された柄崎と加納は、再度丑嶋の勧誘を試み、獅子谷からも誘いを断るなら懸賞金をかけるとまで言われました。
特にやることもなく退屈だった丑嶋は彼らの誘いに乗ります。そして、やるからには「金融屋のテッペン目指すぞ」と決意するのです。
そんななか、獅子谷に恨みをもつ金融屋の店長2人が、売上金を強奪して丑嶋を犯人に仕立て上げることを計画します。
売上金がとられたことを知り怒り狂う獅子谷。果たして、丑嶋は彼にどう立ち向かっていくのでしょうか。
41巻でも40巻に引き続き、過去パート「ウシジマくん」編が続きます。特に大きな展開はありませんが、それぞれのキャラの過去、今までの伏線のようなものを回収している巻で、そこは作者の力量を伺えます。
おそらく42巻あたりで獅子谷とウシジマの直接対決になるでしょうか、獅子谷のやばさがこの巻でも感じられました。現代編でホームレスになっている竹本ですが、過去編ではファッションブランドで成功しています。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2017-10-30
しかし専務の吉澤が女関係で失敗し、獅子谷の餌食になってしまうのです。ふたりが話している場所の床には耳を切り取られた男が倒れていました。
そして獅子谷は自分の首にぶら下がっている耳が刺さったネックレスを見せて「これこれなんだと思う?」と聞きます。生返事をする吉澤に、彼は淡々と説明します。
それは今まで彼に歯向かったり、仕事ができなかったりした人物たちの耳。彼らを教育するために、獅子谷はまず「焼肉パーティー」をし、それでもダメな場合は心を折るくらいの説教をしたあと、この「耳ジャーキー」をつくるのだと言います。怖すぎです。
そう言ったあとに吉澤の胸元をつかみ、例のものが用意出来ていないと聞くと明日までにできなければ話し合いは終わりだ、と言います。そして吉澤の耳を見て褒め、彼の実家の家が燃えやすそうだから気をつけろ、と釘をさすのです。
かつてはウシジマのボスだった彼。過去編ではウシジマに今のような気迫がない分、余計に恐ろしく見えます。
また、41巻でもうひとり見所なのは熊倉。「ヤクザくん」編ではかなりのへっぽこぶりを見せた彼ですが、過去編ではかなりかっこいい。言われた仕事を淡々とこなし、表情一つ変えないやばさがある滑皮の兄貴分なだけあります。
この他にも竹本の堕ちていく様子や、怪しい動きを見せる戌亥など、現在に繋がる過去編は見所満載。ぜひその様子をお確かめください。
42巻では、40巻から続く過去編のクライマックスが描かれていきます。
兄が金融屋を経営する獅子谷から金を奪った疑いをかけられ、丑嶋は身柄を拘束されていました。実際に金を奪ったのは、支店長を務めていた海老名と鯖野でしたが、その事実が判明しても獅子谷は丑嶋を解放しませんでした。
41巻で描かれていたように、耳ジャーキーという醜悪な行為をする獅子谷ですから、捕まえた丑嶋をどう痛ぶるのかは想像がつきません。
- 著者
- 真鍋 昌平
- 出版日
- 2018-03-12
しかし丑嶋は、「俺が獅子谷を倒す」と宣言し、獅子谷に恨みをもつ見張りの部下を説得して、身柄を解放されます。
無事に柄崎、加納と車で逃げ出すことに成功しましたが、そこに獅子谷が乗る車が衝突してきて……。ついに直接対決を迎え、彼らにはどのような結末が待っているのでしょうか。
緊張感がただよい、息を飲むほどエグい殺人シーンも描かれる42巻。カウカウファイナンスの名前の由来が明らかになるなど、徐々にシリーズの終わりが近づいていることも感じさせられます。気になる展開は、ぜひ本作でお楽しみください。
やばい登場人物だらけの『闇金ウシジマくん』。実際に身近にいたらと思うとゾッとする彼らですが、各々の過去や心情を知れば、恐ろしいだけの男たちではないかもしれません。そんな彼らのことを詳しくしりたい方は、ぜひ『闇金ウシジマくん』本編をご覧ください!