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小説『グランクレスト戦記』の魅力を全巻ネタバレ紹介!

更新:2020.11.29 作成:2017.11.3

人気ライトノベルシリーズを書くことで知られる水野良による新たなファンタジー戦記『グランクレスト戦記』。2018年にはアニメ化も決まり、ますます人気の高まりを見せている作品を最終10巻までまとめてご紹介します。

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『グランクレスト戦記』とは

「グランクレスト戦記」シリーズは、「ロードス島戦記」シリーズなどの作者である水野良によるファンタジー小説です。コミカライズもされており、2018年にはテレビアニメ化も予定されているなど、高い人気を誇っています。

物語は、「混沌(カオス)」と呼ばれる災厄を起こす不確実な力がたゆたう世界を舞台に、混沌を鎮める「聖印(クレスト)」を持つ「君主(ロード)」たちが領域を奪いあい、戦いに身を投じるファンタジー戦記です。

また主人公をはじめとしたキャラクターたちの恋愛や、人間ドラマなども描き込まれた壮大なストーリーは、読みやすくも重厚なのが特徴。ライトノベルファンはもちろん、ファンタジーファンにも必読のシリーズになっています。

テオとシルーカの出会い、混沌の幕開け『グランクレスト戦記』1巻

幻想詩連合軍(ファンタジア・ユニオン)と大工房同盟(ファクトリー・アライアンス)の二大勢力によって二分され、混沌(カオス)の時代が続いている大陸は、それぞれの勢力を束ねる大公たちの娘と息子の結婚により、再び秩序(コスモス)の時代が始まろうとしていました。

しかし、歴史的な儀式になるはずであった結婚式の場に現れたのは、混沌(カオス)をもたらす最悪の魔物で……!?

著者
水野 良
出版日
2013-08-20
「世界から秩序(コスモス)が失われてから長く静かに続く混沌(カオス)の時代」(『グランクレスト戦記』1巻より引用)

物語は、混沌の時代が今まさに終止符を打つかもしれないという瞬間から始まります。

それは、大陸を二分している幻想詩連合軍(ファンタジア・ユニオン)と大工房同盟(ファクトリー・アライアンス)という大勢力の大公たちの子供が結婚し、その復活とともに世界の秩序も回復するとされる爵位「皇帝聖印(グランクレスト)」が誕生しようとしているからでした。

タイトルにもなっている「皇帝聖印」は、今後の物語でも重要なキーワードになるので、ぜひここでチェックしておいてください。

しかし、そんな秩序の回復への期待はもろくも崩れ去り、世界は再び君主(ロード)同士が覇権を巡って争う混沌の時代へと突入します。

そんな大陸を舞台に活躍する主人公が、無名の騎士テオ・コルネーロと、彼に従属する天才魔法師シルーカ・メレテスです。

シルーカは、エーラム魔法大学の「青の召喚魔法学部」に在籍している少女で、魔法師としては一流の才能を持った天才少女です。そんな才能ある彼女であれば、力のある君主と契約することもできますが、権力や利益ばかりを求める君主のもとで働く気はさらさらありませんでした。

しかし無理やりアルトゥークという領地を治めるアルトゥーク伯ヴィラール・コンスタンスと契約させられることになってしまうのですが、その時に出会ったのがテオだったのです。

彼は無名ながら誠実で謙虚なその性格で、何よりも領民たちの平和と安寧を願って戦う好青年。圧政に苦しむ自らの故郷を救うために戦っており、その人柄はシルーカの理想そのものでした。テオを気に入ったシルーカは、彼と主従契約を結びます。

こうして、戦乱の世を舞台にした2人の戦記が始まりました。

1巻はタイトルどおり、戦記ものらしいストーリーが展開されていきます。戦いの迫力だけでなく、各領地を治める君主の政治や、大陸の歴史、宗教など緻密に作り込まれた設定は、物語をより深く壮大なものに仕上げています。壮大な戦記ファンタジーを堪能することができるでしょう。

一方で見逃せないのは、やはりテオとシルーカのラブコメパートです。まだまだ序盤なので目に見えた進展があるわけではありませんが、2人の関係性はもちろん、最初はまったくテオのことを異性と見ていなかったシルーカの変化に注目してみると、ついニヤニヤしてしまうこと間違いなしです。

妖魔バトルに注目『グランクレスト戦記』2巻

大工房同盟の盟主であり大陸最強と名高いヴァルドリンド重装騎士団を破ったテオとアルトゥーク伯の軍勢。アルトゥーク伯に従属することになったテオと共に、シルーカは一角獣城へとやってきました。

しかしそこで彼女を待ち受けていたのは、「業火の」女性魔法師長・マルグレッドをはじめ、個性的かつ優秀な魔法師たちで……!?

著者
水野 良
出版日
2013-12-20

前巻で、テオはヴァルドリンド重装騎士団に勝利するという快挙を成し遂げました。ヴァルドリンド重装騎士団とは、大工房同盟に属する騎士団で、歴史も名誉もあり、大陸でも最強の名前を欲しいままにしてきた存在です。そんな相手を無名のテオが倒してしまったので、大工房同盟の威厳は失墜してしまいました。

とはいえ、テオがひとりで騎士団を倒したのではなく、勝利の大きな要因にアルトゥーク伯ヴィラール・コンスタンスの援軍がありました。この援軍の存在もあり勝利を収めたテオは、ヴィラールに従属することになり、シルーカらとともにアルトゥークにあるヴィラールの居城、一角獣城へとやってきたのです。

そこで出会うキャラクターのひとりに、マルグレットという女性魔法師長がいます。「業火の」という異名がある有能な魔法師なのですが、実はヴィラールとは想い合っている関係です。

本巻ではこの2人のロマンスなどもあり、これまで好色家であまりよい印象のなかったヴィラールの株が一気にあがる一冊でもあります。

その分、テオやシルーカはやや後ろへ下がった印象はありますが、テオに対するシルーカの初々しい反応など思わずニヤニヤしてしまうシーンもあるので、彼らの関係が気になる方はぜひラブコメエピソードを探してみてください。

また、前巻は戦記ファンタジーの色合いが強かったですが、本巻は人狼、魔女、妖精など妖魔バトルがくり広げられるファンタジー色が強くなっています。印象が変わりつつも面白さは加速している2巻をぜひチェックしてみてくださいね。

ヴィラールをより好きになる『グランクレスト戦記』3巻

大陸歴2013年8月10日。大工房同盟の公女であるマリーネ・クライシェ率いるヴァルドリンド軍は、アルトゥークへと進軍を始めていました。その知らせは、君主となり「常闇の森」を領地としているテオのもとへもすぐに入ってきました。

戦上手で有名なアルトゥーク伯を相手にしたその遠征は、ヴァルドリンドにとっても危険な賭けです。それだけ覚悟を持って攻め入る彼らに、テオたちも緊張を高めますが……!?

著者
水野 良
出版日
2014-07-19

冒頭でいきなりアルトゥークへ進軍するヴァルドリンド軍が描かれていますが、物語はここからやや時を遡ります。テオが従属するアルトゥーク伯ヴィラール・コンスタンスは、幻想詩連合に属する君主で、その君主たちが集まる会議に招聘されました。

テオとシルーカはヴィラールに付いて、会議が開催されるハルーシアへ向かうことになるのですが、その途中で、大工房同盟の国家であるフォーヴィスとクローヴィスを落とすために動くことになりました。

1巻に続き国盗りに挑む2人にハラハラするのはもちろん、戦わずして勝つテオの手腕や人柄も味わうことができ、彼のファンは活躍を堪能できるのではないでしょうか。

そんなテオとシルーカの活躍はもちろんですが、本巻の見どころはやはりヴィラールとマルグレッドかもしれません。

マルグレッドは魔法師として契約期間が終わってしまい、ヴィラールからはあっさりと契約を切られてしまいます。しかし、そんな行動の裏にあるヴィラールの美学や誠実な一面などを垣間見ることができ、前巻に引き続き彼の活躍はテオたちより目立っているかもしれません。

また、ヴィラールやテオが属する幻想詩連合がどのようなものかも、本巻では詳しく描かれます。連合の盟主であるアレクシス・ドゥーセは今後のシリーズで重要な存在になっていくので、ぜひチェックしておいてください。

3巻と4巻で上下巻となっているため、1冊分としてはやや分量は少なめ。内容も次巻へ向けての助走のような構成ですが、中身の詰まった無駄のないストーリーは濃密なものになっています。上下巻合わせて一気に読んでみてください。

ヴィラール散る……!! 『グランクレスト戦記』4巻

大陸歴2013年5月10日、マリーネがアルトゥークへ侵攻してくる3ヶ月前のことです。幻想詩連合は、大工房同盟へ和平の提案をしました。

君主会議を終えて帰還したテオとシルーカは、アルトゥーク伯の居城に留まってはいたものの、和平が決定してしまってはただ状況を静観するしかありません。

マリーネの威信が落ちて、同盟の結束が揺らいでいる今こそ戦いのチャンスと思っているシルーカたちは、やきもきと気を揉んでいたのですが……。

著者
水野 良
出版日
2015-01-20

ハルーシアで開催された幻想詩連合の君主会議によって、幻想詩連合は大工房同盟に対して和平を持ちかけることになりました。とはいえシルーカたちの本音は、同盟の威信が落ちている今こそが戦うチャンスであり、和平交渉を持ちかけている期間はむしろ相手に立て直しの時間を与えることになるのではと思っています。

しかし会議で決まったことに逆らうことはできず、テオとシルーカはヴィラールの居城に留まっていました。

その間にも同盟の盟主であるマリーネは、揺らいでいた同盟の結束を、力と恐怖、そして新たな策によって再度まとめあげることに成功。そして和平を受け入れずに連合へ攻め込むことを決意します。

彼女の狙いは、同盟の威信を失墜させるきっかけにもなった、いわば仇敵でもあるヴィラールでした。そうしてマリーネは、アルトゥークへ侵攻してきたのです。

軍勢はテオの領地にも迫ってきました。その数は、テオの軍勢200に対して何と5000。敗北は必至な戦況でしたが、テオの元に続々と仲間がやってくる様子に思わず熱いものを感じる方も多いでしょう。

しかし、マリーネの総力を挙げた攻撃に、ヴィラールはとうとう倒れてしまいます。これまで主役級の活躍をしてきた彼なので、その退場劇に衝撃を受ける方も多いかもしれません。この死はストーリーにおいても重要な分岐点になるので、ぜひ押さえておいてくださいね。

また、テオとシルーカの関係にも進展が見られます。この巻で晴れて恋人同士となった2人が、ヴィラールの死をはじめとした困難にどう打ち勝っていくのか、ぜひ手に取って確認してみてください。

悲願達成のため故郷へ『グランクレスト戦記』5巻

城主のヴィラールと、城を守っていた君主や兵士のほとんどを失い、一角獣城を陥落させた激しい戦いから半月が経った頃、テオとシルーカは君主の集まりに参加していました。

ヴィラールの意志を継いだ君主たちは、「アルトゥーク条約」を結び、新たな盟主を立てることにします。そこに名前が上がったのは、テオの従軍君主であるラシック・ダビッド。しかし彼は、自分ではなくテオが盟主に相応しいと言って……!?

著者
水野 良
出版日
2015-07-18

マリーネら同盟軍によってアルトゥークを奪われ、ヴィラールも失ってしまったテオとシルーカが、君主たちの集まりに参加します。ヴィラールは失ってしまったものの、その死は決して無駄だったわけではありません。激しい戦いによって、同盟軍もまた相応の被害を受けていました。

生き残った君主たちは、ヴィラールの意志を継ぐ「アルトゥーク条約」に署名をし、新たな勢力を作ってその盟主を決めようと考えます。

そこで名前があがったのが、テオの従軍君主、ラシック・ダビッドです。彼はテオを盟主に推しますが、元は無名の騎士に過ぎないテオを快く認める君主はいませんでした。

そこでテオは、自らの力を示すため、原点に返ることにします。それは、テオの故郷システィナを圧政から解放することでした。

彼は、システィナに恐怖政治を強いているロッシーニ家を1年以内に倒すと宣言し、シルーカたち仲間と大陸を出て現地へと向かうことになりました。

本巻は次の6巻と合わせて上下巻の構成になっているので、クライマックスに差し掛かる前で終了します。システィナに渡ったテオたちですが、ロッシーニ家を倒すためには住民を味方につけなければなりません。

しかし恐怖で縛られている彼らはなかなかテオ側につくことはなく、むしろ自分たちを圧政から解放しようとしているはずの彼を邪魔もの扱いするのです。

本巻のメインはこの住民たちの説得。クライマックス前なので戦いのシーンでのハラハラ感はあまりありませんが、住人たちに邪険にされるテオにやきもきしてしまうでしょう。

自分たちを救うはずの存在を拒絶してしまう恐怖政治の恐ろしさ、そして力で押さえつけながら反乱の意志を持たせないようにするロッシーニ家の手腕など、つい唸ってしまうような設定が物語に厚みを与えてくれています。

またマリーネと再会したテオが、彼女を挑発するためにシルーカにキスをするシーンがあり、テオの思いがけず大胆なエピソードを読むことができます。

実はマリーネは、連合の盟主であるアレクシスと想い合う仲なのですが、2人は敵対勢力の間柄。彼らの関係を刺激するためにテオが前述のような行動をとったのです。キスされたシルーカの反応にも、思わずニヤニヤしてしまいますよ。

ついにシスティナ解放へ!!『グランクレスト戦記』6巻

テオに敗北し、命を落としたロッシーニ家の三男サルヴァドル。その原因は、テオの故郷でもあるマルザ村の住人がテオに味方し、蜂起したからでした。反乱が他の村へ飛び火することを恐れたロッシーニ家は、テオを何としてでも討とうと考えます。

一方でテオは、マルザ村の住人とともに砦作りに励んでいました。サルヴァドルとの戦いを経て、住人たちの説得に手ごたえを感じはじめていましたが……。

著者
水野 良
出版日
2015-12-19

前巻から続き、システィナ解放の戦いが続く下巻です。

前巻でロッシーニ家の三男サルヴァドルとの戦いを制したテオでしたが、それでも不利な状況は変わりません。テオの故郷であるマルザ村はテオに組してくれましたが、だからといって他の村がすぐに彼の味方になるかといえば、そうではありません。

もちろんテオも周辺の村に声をかけていましたが、長く続いてきたロッシーニ家への恐怖政治がそう簡単に覆るわけでもなく、彼に味方してくれる住民はいませんでした。それを理解しているロッシーニ家は、テオを討つため準備を開始します。

本作での彼らは、システィナで恐怖政治を振るういわば悪役として描かれていますが、一方でその歴史などにも触れられており、今の状況に至るまでの過程がわかります。ただ悪いだけではない、悪役としての正義があるので、物語の奥深さに繋がっているのでしょう。

ちなみに、ロッシーニ家の二男ジュゼルは、後々にキーパーソンとなる人物なのでぜひチェックしておいてください。

なかなか住人たちを味方にできないテオに、シルーカは奇策ともいえる作戦を提案します。それは、システィナの海境に存在し、システィナの住人たちを閉じ込めていた混沌災害「混沌渦」を鎮めることでした。

そうすることで海が開かれ、住人らはシスティナから「逃げる」という選択ができるようになります。つまり、万が一テオがロッシーニに敗北したとしても、彼らはロッシーニの手から逃げることができるので、住人たちがテオに味方しやすくなるということです。

「混沌渦」を鎮めるなどということは前代未聞ですが、シルーカが久しぶりに派手な魔法で暴れてくれるので、読んでいて楽しくなること間違いなし。

システィナ編はここで完結ですが、システィナの解放はテオが1巻から掲げていた目標で、本巻はシリーズにおける重要な分岐点とも言えます。いったいどのような結末を迎えるのでしょうか。

正反対の2人が目指すものとは……『グランクレスト戦記』7巻

ロッシーニ家を倒し、新たなシスティナの領主となったテオ。それから4ヶ月あまりが経ち、システィナは少しずつ希望を持ちはじめていました。しかしその一方で、大陸では大戦が激しくなっていきます。

ある日システィナのテオのもとへ、エンデール・セルク率いる船団がやってきました。彼は大陸最強の剣士と名高いミルザーという男の異母兄弟であり、かつてミルザーが反乱を起こしダルタニア太守の座を奪った際、偶然にも難を逃れていた人物でした。

エンデールは、ミルザーからダルタニアを奪還するため、テオに力を貸してほしいと言うのですが……!?

著者
水野 良
出版日
2016-05-20

ロッシーニ家の当主だったペデリコに代わりシスティナの領主となったテオですが、一方で大陸では幻想詩連合と大工房同盟による大戦が激化していました。なかでも、父親であるダルタニア太守の座を力づくで奪ったミルザーの戦いは激しく、「アクトゥール条約」に名を連ねる君主たちも、次々に彼の手にかかって倒れていきました。

テオはシスティナの領主として、システィナに城を建てたいという思いもあるのですが、今は幻想詩連合、大工房同盟、そして「アクトゥール条約」の三国鼎立に向けて動き出し、そのためにもできるだけ早く大陸へ戻ろうと考えています。

そんなところへ、ミルザーの異母兄弟であるエンデールがやってきたのでした。

黒衣の太守ミルザーは、テオと正反対の人物として描かれています。個人的な野心がなく、領民を救うために攻撃よりも守りを重視するテオに対し、ミルザーは攻撃的で自分の野心に忠実です。

唯我独尊なキャラクターのようにも見えますが、そんな彼にもやはりドラマが隠されています。ロッシーニ家のエピソードでもそうでしたが、主人公の敵が悪なのではなく、そこに隠された物語があるからこそ、物語が熱く心打たれるものになっているのは間違いありません。

このような人間ドラマも相まって、テオとミルザー2人のバトルは本巻最大の見どころと言っても過言ではありません。楽しみにしてください。

遂に盟主となったテオ!! 彼の目指すものとは?『グランクレスト戦記』8巻

黒太守ミルザーとの一騎打ちのすえ、ついにアルトゥーク奪還を果たしたテオ。それまで彼を盟主とすることに抵抗していた条約軍の君主たちもとうとう彼を認め、テオは条約軍の盟主となりました。

彼はあらためて覚悟を感じながら、シルーカにある決意を伝えます……。

著者
水野 良
出版日
2016-11-19

前巻でミルザーとのバトルに臨んだテオ。さまざまな要因もあり見事にミルザーを倒したテオは、かつて奪われたアルトゥーク、そして一角獣城を取り戻しました。

ヴィラールが倒された後、従属君主たちの間で作られたアルトゥーク条約の盟主として相応しいのは誰かと議論されていましたが、その決着がようやく本巻で付くことになります。

元々、テオがシスティナを解放し、その力を示せば盟主として認めると発言していた君主たちでしたが、システィナ解放後もテオを盟主として認めることを渋っていました。

しかし、ミルザーを倒しアルトゥークを奪還したからには、彼らも彼を認めざるを得ません。次々と従属を申し出て、テオはアルトゥーク条約の盟主となりました。

彼の目的は、幻想詩連合と大工房同盟を和解させること。それが亡きヴィラールの意志でもありました。

彼は条約を連合から独立させて対等な関係となり、2つの勢力に交渉を持ちかけようと考えます。そして、和平の可能性として、アレクシスとマリーネを結婚させ「皇帝聖印」を復活させようと夢想していました。

そのために、それまでなかなか重い腰のあげなかったアレクシスに発破をかけ、彼もまたテオの檄に応えて動き出すところなどは、2人の強い関係が垣間見られる印象深いエピソードになっています。

本巻は、このアレクシスのエピソードなどさらなる大戦を予感させる内容になっており、シリーズもいよいよクライマックスだと感じさせてくれるでしょう。

また、テオとシルーカの関係も順調で、テオは彼女を自分の妃にするとはっきりと告げました。ともに戦う2人ですが、そんなななかでの恋愛エピソードは、通常よりもドキドキしてしまうこと請け合いです。

アレクシスついに参戦!!『グランクレスト戦記』9巻

三大勢力がいよいよ決戦を迎えようという風向きになってきた頃、一角獣城にはテオをはじめ、各地を治める君主たちが集まっていました。各君主は各地でそれぞれうまく手腕を振るっており、シルーカはあらためて条約の人材の優秀さを感じています。

しかし、それでも油断のならない戦いは続きます。大陸北部では、海洋王と名高いエーラム率いるノルドが、連合の領地へと侵攻しはじめていたのです。いずれはアレクシスと激突するであろうエーラムについて話すテオたちでしたが……!?

著者
水野 良
出版日
2017-10-20

幻想詩連合、大工房同盟、そしてアルトゥーク条約という3つの勢力、がいよいよ決戦の時を迎えようという風向きになってきた本巻。テオ率いるアルトゥーク条約には、優秀な人材が続々と集まってきていました。そのなかに、ジュゼルがいます。

彼はシスティナ編で恐怖政治をしいていたロッシーニ家の二男ですが、今はテオのもとで治安の悪い地方を、目立たないよう影からうまく操っているのです。その手腕は、テオやシルーカも認めるものでした。

他にも、テオに従属する君主にはさまざまな人材が集まっており、そういったことからも彼がこれまで積み重ねてきた人徳や努力が垣間見えるかもしれませんね。

本巻では、前巻でテオに発破をかけられたアレクシスがいよいよ本格参戦することになり、海洋王と呼ばれるエーラムと海戦をくり広げることになります。戦いのシーンは迫力もスピード感もあって、ハラハラしながら一気に読むことができるでしょう。

また同時に、アレクシスとマリーネの関係にもとうとう決着の時が訪れます。彼らが選んだ道がどんなものか、ぜひ手に取って確認してみてください。

シリーズはいよいよクライマックス。次の10巻で完結するとされているので、最終巻である次巻と合わせて本巻はまさに1番の盛り上がりと言ってもよいでしょう。しかも、ここにきてまた影で動き出している組織なども見え隠れしているので、最後まで目を離すことができません。

遂に完結!! 皇帝となったテオが選んだものとは?『グランクレスト戦記』10巻

幻想詩連合、大工房同盟、そしてアルトゥーク条約。3つの勢力の和睦のもと、テオは全てをまとめる皇帝へとなりました。

しかし、そんなテオに率いる3大勢力に対しさらなる牙を剥いてきた魔法師協会。皇帝となったテオの戦いの先にあるものとは……!?

著者
水野 良
出版日
2018-03-20

10巻に渡って続いてきた本シリーズも、これにて完結です。物語は、連合、同盟、条約の3大勢力をまとめる皇帝となったテオと魔法師協会の最終決戦が描かれています。

魔法師協会は、協会が授ける聖印をテオが拒否することは唯一神の敵であることと同じとして、テオ率いる3大勢力とと敵対する姿勢を見せます。

その闇はかなり深く、協会は無差別な殺戮をくり返すなど、あらゆる暴挙に出ました。そんな協会を見て、テオと仲間達も協会に対して抗戦する覚悟を決めます。

これまで対立を続けてきた3大勢力が1つにまとまり、混沌と戦乱の時代を終わらせようと立ち上がり、さらにそれが人々に受け入れられる様子は、これまでのシリーズを読んでいる読者にとってはなかなか感動するシーンですね。

そして、クライマックスでは涙なくして読めないシーンも。最終巻らしく、最初から最後まで手に汗握るハラハラする展開や感動する展開があって、読み応えは充分です。

読者としてはもちろんテオの勝利を信じながら読むかと思いますが、それでもハラハラしてしまうのはもちろんのこと、読んでいるうちに協会側の理念もわかって、共感してしまう部分も出てきます。どっちも応援したくなる方もいらっしゃるかもしれませんね。

理念と信念、それぞれの考えを持っているからこそ、2つの勢力の戦いに感動ができるのかもしれません。テオ達が掴み取る未来はどんなものなのか……ぜひ実際に手に取って確認してみてください。

いかがでしたか?とにかく内容が濃密で無駄のないストーリーは、何度読み返しても新たな発見をさせてくれます。キャラクターの魅力もストーリーの魅力も兼ね備えた完成度の高いシリーズなので、ライトノベルを初めて読むという方にもおすすめです。10巻で完結予定なので、最終巻まで読み切るのに長過ぎない巻数なのも嬉しいですね。これを機会にぜひ手に取ってみてください。