深遊がイラストを描くおすすめラノベ5選!世界観を忠実に表す絵師

更新:2017.11.2 作成:2017.11.2

緻密で繊細なイラストを描くことで知られるイラストレーター・深遊。ここでは、プロデビュー作をはじめ、彼女が手掛けたライトノベルを厳選して5作紹介します。

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深遊とは

深遊は、ライトノベルの挿絵やゲームのキャラクターデザインなどを手掛ける女性イラストライターです。その実力はプロデビューする前から、一般読者のイラスト投稿コーナーなどで話題になっていました。

ライトノベル雑誌「ザ・スニーカー」での新人募集企画に応募し、その後プロデビューを果たしています。

細部まで緻密に描かれる絵が特徴で、さまざまな作品の世界観を見事に表現し、読者からの人気も高いイラストレーターです。

深遊が描く荒廃した世界の青春とアクション『鋼殻のレギオス』

汚染され荒廃した大地。人々は生活する場として、移動する都市・自律型移動都市(レギオス)を作り、生活していました。

無数にあるレギオスのひとつ、「学園都市ツェルニ」の1年生としてやってきたレイフォン・アルセイフは、入学式の日に武芸科の生徒たちが起こした騒ぎに巻き込まれ、生徒会長に呼び出されてしまいます。

ハラハラしながら生徒会長と向き合うレイフォンでしたが、彼の口から出た提案は思いがけないもので……!?

著者
雨木シュウスケ
出版日
2006-03-01

物語の舞台は、タイトルにもなっている自律型移動都市、通称レギオスのひとつで、学園の機能に特化した「学園都市ツェルニ」です。

レギオスは汚染され荒廃した世界のなかで、人間が生活できる唯一の場所。数あるレギオスにもいろいろな特徴があり、生活を送ることに重きを置いた作りになっているものや個別の機能に特化したものなどがあります。

レギオスの外は汚染されており、巨大な怪物「汚染獣」というものも存在します。このような外敵から身を守るため、人間の一部は特殊能力に目覚めました。

能力に目覚め、外敵からレギオスを守る者たちを「武芸者」と呼びます。ツェルニにある武芸科は、そういった武芸者を育成するための科のことなのです。

主人公のレイフォンは、幼い頃から武芸者として天才的な素質を開花させ、卓越した能力を持っていたのですが、ある事件をきっかけに武芸に嫌気が差してしまっていました。そのため、ツェルニにも一般教養科の生徒として入学します。

しかし入学式での騒ぎに巻き込まれた際に、武芸科の生徒を軽く倒してしまったため、生徒会長に目を付けられて武芸科へ転科するように言われてしまったのです。

レイフォンは最初こそ拒むのですが、物語が進むうち、自分の能力をいかしてレギオスを守ることに目覚めていくことになります。

1巻ではさまざまなキャラクターの出会いからはじまり、後半ではバトルシーンが多くなっていきます。レイフォンは確かに強いキャラクターではありますが、学園には同レベルの生徒も多く、主人公だからといって反則的に強いというわけではありません。彼の成長を楽しみに、ハラハラしながら読むことができるでしょう。

また巻が進むにつれハーレム要素も加わってくるので、好きな方はチェックしてみてくださいね。

荒廃した世界を描いた深遊のイラストは、全体的に硬質で、細部に至るまで丁寧に描き込まれた建物などが目を引きます。その世界で縦横無尽に戦うレイフォンたちの表情は豊かで、アクションシーンではスピードを感じることができるでしょう。

レイフォンたち学生が、自分の道を模索したり恋愛をしたりする青春ストーリーと、武芸者や汚染獣とのアクションを、緻密なイラストとともに想像を膨らませて楽しんでみてください。

静かな筆致で描かれる心温まるストーリー『光降る精霊の森』

とある事件を起こして故郷にいられなくなってしまった修道僧の青年・エリ。冷たい風の吹くある日、森で番人の仕事をしていたエリは、ある奇妙な拾いものをしてしまいます。

それは、10歳に満たないほどの幼い少女と、猫。ファティという名の半精霊の彼女と、猫の精霊のゼッテと出会ったエリは、なりゆきのまま彼女たちの旅に付き合うことになってしまい……!?

著者
藤原 瑞記
出版日
2005-07-26

『光降る精霊の森』はC★NOVELS大賞を受賞した作品です。新人らしく、まだどこか初々しさの残る物語で、ストーリー自体は王道で読みやすいものとなっています。

主人公のエリはとある事情で故郷から逃亡していて、1年ばかり潜伏生活を送っていましたが、ある日行き倒れていたファティとゼッテと出会ったことで、運命が再び動きはじめます。

生意気で口の悪いゼッテからファティの世話を押し付けられるなど、生真面目な性格ゆえ何かと苦労が絶えないエリですが、彼女たちとの旅を通じて過去の自分と向き合っていく様子は、王道ながら静かに感動することができるでしょう。

一方でファティは、とある目的のために旅を続けています。見た目は10歳に満たないくらいの幼い少女で、人間と精霊の間に生まれたハーフです。彼女と一緒にいる猫の精霊・ゼッテによる半ば脅迫に近い言動で、エリは彼らと共に旅をすることになりました。

登場するキャラクターたちが静かな者が多いためか、全体的におとなしい印象を受けますが、旅をとおしてエリが変わっていく成長物語として楽しむことができるでしょう。

そんな世界観を彩るイラストは、森や風といった自然や登場人物の表情などが丁寧に描かれ、タイトルどおり精霊や森を感じることのできるイラストになっています。静かな王道ファンタジーが好きな方は、ぜひ手に取ってみてください。

深遊プロデビュー作!!地球人は強かった!?『円環少女』

私立御陵甲(ごりょうきのえ)小学校で副担任をしている武原仁(たけはらじん)は、小学生たちにからかわれるような一見頼りない教師ですが、実は、

「文化庁文化財部の非セクションに属する専任係官。(中略)実は教員免許すら持っていないニセ教師」(『円環少女』より引用)

でした。彼の任務は、鴉木メイゼル(あぎめいぜる)という少女の保護と監視。帰国子女という名目で学校に通っている彼女は、実は異世界からやってきた魔女で……!?

著者
長谷 敏司
出版日
2005-08-31

物語の舞台は21世紀はじめの日本。読者にとって馴染み深いものですが、そこでくり広げられる魔法バトルは激しく、かつ特徴的です。

本シリーズの設定のひとつに、魔法使いの魔法を消す「魔法消去」という現象を、地球人が起こすことができるというものがあります。

ファンタジーものでは超能力や魔法などは人智を超えたものとして描かれることが多いですが、そういった能力を地球人が消すことができるという設定を加えることで、本作では地球人が魔法使いにとって脅威の存在になっています。

ただそれらは地球人が意識しておこなっていることではないので、通常の人は魔法や魔法使いの存在を知りません。しかし魔法使いにとって地球は「地獄」のようなところで、罪を犯した者は地球へ送り込まれることになっていました。

地球に送り込まれた魔法使いたちは「刻印魔導師」と呼ばれるのですが、ヒロインであるメイゼルもそのひとり。類まれな魔術の才能を持つ彼女は、地球では12歳の小学生として過ごしています。小悪魔的な魅力のあるキャラクターで、物語を牽引していくことになります。

そんな彼女を保護監視するのが、主人公の武原仁です。「魔法消去」を自分の意思でおこなうことができ、銃器や格闘にも優れています。

ストーリー自体はシリアスな展開なのですが、バランス良く個性あるキャラクターを配置していることで、どこかノリのよいコミカルさも感じることができます。文章がやや特徴的なので、最初は読みづらさを覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、慣れるとサクサク読み進めることができるでしょう。

深遊は本作がプロデビュー作です。キャラクターのブーツやアクセサリーは細部まで緻密に描かれ、臨場感に溢れています。またメイゼルの吊り目気味の大きな目は、彼女の小悪魔的な部分をよく表しているといえるでしょう。

異国情緒溢れるファンタジー『災獣たちの楽土』

雷獅子に守られた神槌之国(かんづちのくに)。しかし、ある日守護獣は殺され、隣国に国を奪われてしまいました。

国を取り戻すため、そして殺された親兄弟や仲間の仇を討つため、緋乃人(ひのと)は親代わりの老人らとともに敵を討とうと企てますが……!?

著者
尾白 未果
出版日
2011-07-22

C★NOVELS大賞で特別賞を受賞した作品です。舞台は、5頭の災獣が5つの島をそれぞれ守っているという架空の世界ですが、どこか中華な雰囲気の漂う世界観になっています。

1巻の主人公である緋乃人は、突然空から降ってきた閃(せん)という名の少女を助けたのですが、実はこの少女こそ神槌之国の守護獣・雷獅子でした。緋乃人は閃とともに、国を取り戻すべく動いていくことになります。

シリーズは全3巻で完結しており、それぞれ異なる国、異なる主人公の視点から描かれます。2巻では、神槌之国の守護獣を殺し実権を奪った隣国・薙古之国(なぎふるのくに)の役人、3巻ではまた違う国の主人公が登場し、国や守護獣を巡るストーリーを追いかけていくのです。

いずれも舞台となる時代や時間の流れは同じなので、シリーズをとおして読むと群像劇のような雰囲気を感じることができます。文章も読みやすく、3冊一気に読めてしまいますよ。

深遊のイラストは、背景の町並みやキャラクターの衣装で独特な世界観を感じることができるように描かれているので、表紙を見ただけで物語の雰囲気を想像することができるでしょう。

守護獣や国を巡る戦いなど、異国情緒のあるファンタジーが気になる方はぜひ読んでみてください。

混沌渦巻く大陸を深遊が描く『グランクレスト戦記』

混沌(カオス)という不確実な力がたゆたう大陸。大陸の二大勢力である幻想詩連合(ファンタジア・ユニオン)と大工房同盟(ファクトリー・アライアンス)が今にも大戦を始めるのではとささやかれているなか、それぞれの大公の子供同士が結婚をしました。

長く続く混沌の時代もこれで終わり、秩序の時代になるとみんなが期待をしましたが、結婚の儀式の場に突如最悪の魔物が現れ……!?

著者
水野 良
出版日
2013-08-20

舞台は混沌という不確実な力が存在する大陸です。混沌によって魔物が出現したり災厄が引き起こされたりし、それを鎮める力を持つ聖印(クレスト)が存在します。

聖印を操り混沌を鎮めるものを君主(ロード)というのですが、君主はそれぞれの領域を狙い争う存在でもありました。

大陸では、この君主たちが大きな勢力に分かれて戦っており、その二大勢力が幻想詩連合(ファンタジア・ユニオン)と大工房同盟(ファクトリー・アライアンス)です。

彼らが各地で争うなか、無名の騎士テオ・コルネーロは、ある目的のために戦っていました。

それは、圧政に苦しむ自分の故郷を救うこと。そんな誠実で領民のために戦うテオに理想を見たのが、魔法師のシルーカ・メレテスです。

天才魔法師の彼女は、テオを自らの主として従属することを決め、主従となった2人は自分たちの目的のため、戦いに身を投じていくことになります。

物語は基本的に2人を主人公にしたファンタジー戦記ですが、他のキャラクター視点で描かれるエピソードも多く、群像劇のように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

たとえば悪役として登場したキャラクターも、悪としての正義や歴史を描くことで物語が深いものになり、各登場人物の存在感が強くなっていくのです。

また、テオとシルーカの恋愛パートも見逃せません。戦いは波乱万丈ですが、2人の絆は強くて揺らぐことがないという、ライトノベルではちょっと珍しいパターンかもしれませんね。安心して見ていられる恋人同士なので、主人公には波乱よりも恋人とイチャイチャしてほしい!という方にとっては嬉しいポイントです。

分量がやや少なめの巻もありますが、いずれもそれを感じさせない濃密な内容になっており、そんな物語を支えるイラストもまた繊細で緻密なものになっています。

細かい装飾までしっかりと描かれた各キャラクターの衣装をはじめ、海戦や城内など豪華な背景も大陸のイメージを伝えてくれます。壮大な戦いの行方をぜひ手に取って確認してみてください。

いかがでしたか?イラストはライトノベルにとって大切な要素のひとつで、良し悪しによって物語への入り込み具合が変わってしまうこともあるでしょう。これを機に、ぜひお気に入りのイラストレーターを見つけて、本選びの基準のひとつにしてみてくださいね。